2020/09/05 のログ
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」に妃淵さんが現れました。
■妃淵 >
すっかり慣れた部屋
すっかり慣れた光景
ベッドの上に座り込んで、この部屋に持ってきたモノをバッグに詰める
バッグの中身は、まぁスカスカだった
此処に持ってきたモノなんてタカがしれた数
少々の着替えと、下着、くらいだ
新しくなったスマホを充電ケーブルから外して、ポケットへ
──新学期がはじまったらしい、壁もそう厚くない向こう側はそこそこ、賑やかだ
■妃淵 >
「帰りたくねーなー…」
ぼそ…と、一人そう零す
■妃淵 >
綺麗だし、ベッドもあるし、テレビもあるし
エアコンもあるし、風呂までついてるし、冷蔵庫もあるし
自分が勝手に住み着いてたスラムのボロアパートとは全然違う暮らしだった
バッグのジッパーを一気に引っ張って閉じ、ベッドの横へと降ろす
そのまま、うつ伏せでベッドマットへとダイブする
■妃淵 >
スラムのアパートに帰れば、此処にはないものばかりだ
何よりも…その部屋には誰もいない。自分一人しか住んでいない
たったひと夏の間だっていうのに、随分と慣れすぎた
ベッドに顔を埋めながら
「……帰りたくねーな」
もう一度同じ言葉を呟く
■妃淵 >
──とはいえ此処は男子寮
今日の今日までバレなかった?お咎めナシだった?だけでも不思議なものだが、
これ以上宿泊するわけにもいかないだろうことは明白
流石に怒られるだろう
下手したら追い出されるまであるかもしれない
そんなリスクをアイツに与える前に
夏の終わりと共に、綺麗サッパリ跡を濁さず、去るべきなんだ
■妃淵 >
ベッドにうつ伏せに沈み込んだまま
時折退屈そうに足をぱたぱたと動かしはするものの、じっとしていた
静かなエアコンの音と、時計の針の正確な音だけが聞こえる
アイツは今日はいつ頃帰ってくるかな
思えば此処にきて、毎日そんなことを考えていたんじゃないだろうか
──ようするアイツのことばかり考えていたんじゃ?
■妃淵 >
──………
それに気付いてしまった以上は…
アイツにそう言わなきゃいけない気がした
学もなけりゃ、言葉も大して多くを知らない
それでも伝えられる言葉があるとしたら、一つだけじゃないか
ご案内:「常世寮/男子寮 部屋」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
■水無月 斬鬼丸 > 新学期が始まって、海の家のバイトも終わり
色々と…波乱はあったものの手続きもおえて。
フェイがずっとここにいるわけにはいかない。
新たな生活を始めるにしても、一旦はここからでなければならない。
部屋に帰っても返事が…あるだろうか?
今日部屋を引き払う予定だったはず。
「ただい、ま…」
自身の部屋のドアを開けて
小さく帰宅の声を。
答えは、あるだろうか。今日は
■妃淵 >
「!」
帰ってくる気配と、声
飛び起きて、ベッドの上に座る格好
思わず枕を抱えたままの姿勢で
「お、おかえり…」
斬鬼丸が姿を見せると、ややいつもとは違った調子で、そう言葉を返す
ベッドの脇には、ジッパーの締まったバッグが置かれている
帰る準備はできている、といった様子だった
■水無月 斬鬼丸 > 返事が帰ってくる。
部屋にいたとは…少しは名残惜しく感じてくれているのだろうか?
新学期が始まってからしばらく
なんだかんだと帰るのが先延ばしになっていたかも。
先日風紀本庁で、必要なことは全て終えたし
一段落ということでようやく帰る…ということ。
正直、帰ってほしくない。
しかし、ここで見つかってしまうと、色々と厄介だ。
「あ、えっと、うん」
少しだけ様子がおかしい。
なんだかかしこまったような。
いつもだらだらと返事を返すのに…
■妃淵 >
「もう、帰る準備できたし、そろそろ帰ろうと思って」
「斬が帰って来るの、待ってた」
枕を抱えたまま、やや見上げるような角度のまま視線を向けて
「なんやかんやでけっこーいたよナ。結構居心地良かったヨ。
それで、エー、と……」
やや歯切れ悪く、言葉を詰まらせて、視線を外す
「帰りたくねーナ、って思った。少しだけナ」
■水無月 斬鬼丸 > 「あー…うん、そっか…
待ってて、くれたの?ありがと」
それを聞けば少し嬉しそうな声色。
だがしかし、それも一瞬。
眉根も下がり、なんだか、話しづらそうに頬を掻く。
「そ、そう、だよね。スラムの方ってエアコン、なかったんだっけ?
気温とか…えーと…まだ暑い日とかもあるだろうし
すこし、たいへん、かも?」
ハハハと、乾いた笑い。
何でもはっきりと物を言うフェイらしからぬものいいだけど
確かに環境で言えば、フェイの家に比べれば上等なものだろう。
帰りたくないという気持ちもわかる。
■妃淵 >
「あとお前もいないシ」
エアコンがない、という言葉に、そう返す
色々とないものはある
けれど帰りたくない理由の最たるものは、そこに斬鬼丸がいないからだと
はっきり口にするのだった
そむけていた視線を向けなおして、枕を置いてベッドから立ち上がる
バッグを広い、肩へとかけて…
あの日、会った時に見た格好のようにパーカーのフードを被る
それから、ひたひたと少年の前まで歩いていって──
「俺、多分オマエのこと好きになったヨ」
見上げる、赤い視線が近づく
爪先立ちで背伸びして、ほんの一瞬に唇同士が触れ合うだけの、キス
離れればやや照れくさげに、フードを目深く被るように引っ張って
「……だ、だから早めにナ。迎えに来い……」
■水無月 斬鬼丸 > 「………」
かぁっと頬が暑くなる。
はっきりとした物言い。
いつものフェイらしい言い切り。
なのに、驚きに顔を上げて
帰り支度をした少女。
行ってしまう、帰ってしまう。
行かないで、帰らないで
この部屋にフェイがいなくなってしまう。
帰したくない。
目の前に立った少女、フードを被り…
それでも近く、部屋の中、誰も見ていないのに
はじめからそうなのに…
二人だけの距離。時間も、空気も、熱も
フェイだけのものしか感じられない。
広く感じる部屋の中においての、二人の間の空間。
「…は…はい…っ…!
俺、オレッ…フェイ……フェイぃ……
ずっと、好き…だった……」
触れ合った唇。今までで一番熱く感じた。
迎えに来いという少女に深く、うなずく
泣きそうになった。でも、いまは…きょうは…泣かない。
照れくさ気に顔を隠す少女に手を伸ばせば、強く抱きよせる
「…洗濯と、飯…俺がいなくても、わすれない…で……
くだ…さ、フェイ…ふぇい、…ふぇい…
……いか、ないで…」
■妃淵 >
「オマエが俺のこと好きなのは知ってるヨ」
抱き寄せられれば華奢なその矮躯はすっぽりとその腕に抱きしめられる
そして、そんなことはもう何度も聞いた、と
言われなくても知っていると口にする少女
「帰らないわけにいかねーモン」
「どーすんだヨ。いなくなる前からそんなで」
叶わないと知りつつ、帰らないで欲しいと哀願する少年に、やれやれと少々の呆れ顔
自分だって帰りたくないと思いつつも重い腰をあげたのだ
「すぐ会えるだろ。多分…。
俺もまァ…その時までにもうちょっと飯とか…色々できるようになったりとか、
──メンドクセーけど、バイトとか探すシ」
正規学生に抱えあげられるのなら…生活が一変するのは判っている
怠惰に暮らしていた、スラムの日常とはまた違うのだと
「……まァ、いいヨ。オマエの気が済むまでこーしとく」
抱かれたまま、身を寄せるようにして
■水無月 斬鬼丸 > 「でも、フェイが…フェイが、俺のこと…
好きって、言ってくれたから…俺だって…伝えたいんだ
何度も言ってるし、耳にたこができるかも、だけど…
それでも、フェイの好きに…応えたい…
俺も、好きだって。その気持、変わってないんだって…」
少女の体を抱いたまま
好きだと、再び口にする。
帰ってほしくない。
この温もりがなくなってしまうのが…あまりに辛い
耐え難い。
でも帰らなくてはならないのもしかたないのだ。
「多分じゃ、なく!!
すぐ、すぐに!!
俺、すぐ部屋探すから…!!すぐにっ!!
フェイと、一緒に…」
フェイの言葉に何度もうなずく。
めんどくさがりなフェイがこんなにも歩み寄ってくれている。
だから自分も、フェイのために、自分のために…
いくらだって走り回れる。
「だから……えっと……痕、残して…ください…
消えたら、また、つけに来て、ほしい…
できれば、消えるまでに…さがすから…」
抱きしめたままに、少女に求める。
自分は…フェイのものなんだ。