2020/08/17 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 XXX号室(御白)」に御白 夕花さんが現れました。
御白 夕花 >  
そういえば日中のナナちゃんは何してるんだろう、と疑問に思ったのがきっかけだった。
せっかく連絡先を交換したわけだし、せっかくだから遊びに誘ってみようと思い立ったのが一時間くらい前。
いざ誘おうと思ったら行き先が思い浮かばない。
図書館は遊びに行くような場所じゃないし、人が多くて賑やかなところはナナちゃんが苦手そうだ。というか私も苦手だ。
ああでもない、こうでもないと頭を悩ませた結果───

『よ、良かったら私の部屋に来ませんかっ!?』

という旨の連絡にOKをもらったのが三十分ほど前。
……いやいやいや、遊びに行くって話はどうなったの!?
やっぱなし! なんて言うわけにもいかず、とりあえず掃除と片付けだけでもやっておこうと考えて、
あとは待つだけになったのが約束の時間の十分前。
何を思ってお友達を自分の部屋に誘おうなんて思ったのか、自分を問い質しながら緊張の面持ちで待ち構える。
というか、場所は分かるかな……外で待ってた方がよかったかな……

ご案内:「常世寮/女子寮 XXX号室(御白)」に227番さんが現れました。
227番 > 暑い。冷気護符がなかったら大変だった。
学生区ではない場所なので、ちょっと迷いながらも、地図を片手にたどり着く。

「XXXごうしつ……」

建物にたどり着いてからは迷わずに部屋の前まで。
数字読めるようになっていてよかった。

人の部屋を訪ねる時は……どうするんだっけ……。
少し考えて……わかんないので、電話を鳴らすことにした。

御白 夕花 >  
玄関の前で正座すること五分。そろそろ足がしびれてきた頃……
不意に電話が鳴って、驚いた拍子に数ミリほど床から浮いた。
その場でもんどり打つように悶えながら、なんとか電話を取る。

「も、もしもし……やっぱり場所、分からなかったですか……?」

電話が来るということはそういうことだろうか、と先読みしての質問。
この時点でドアの前に立つ気配があったことには気付けなかった。足が痛くて。

227番 > 『部屋の、前……居る……どうしたら、いい?』

電話から聞こえるのと同時に、玄関の外から声がする。

御白 夕花 >  
「あっ、もう着いてたんですね! そういう時はノックを……って、それは後でもいいか。
 今開けま……開けますっ!」

電話を切って、壁に手をつきながらなんとか立ち上がって玄関扉に向かった。
鍵とチェーンを外してドアを開けば、フリフリのワンピース姿がそこに。

「よ、ようこそいらっしゃいました。
 外は暑かったでしょう、冷たい飲み物も用意したので中へどうぞっ」

まだ少し痺れの残る足を誤魔化すように笑ってナナちゃんを招き入れる。

227番 > 「わかった。次から、そうする」

ドアが開けばぱぁっと表情が明るくなる。わかりやすい。
直後に不自然な動きに不思議そうな表情をする。わかりやすい。

「えっと……なんだっけ……"おじゃま、します"」

教えてもらった挨拶をして、靴を脱いで上がろう。
部屋は涼しいようだ。たすかる。
風の当たる位置を探して座ろうとするだろう。

御白 夕花 >  
「えへへ……ちゃんと挨拶できましたね。えらいですナナちゃん」

ころころと変わる表情に微笑ましいものを感じつつ、廊下の先へと案内していく。
壁のエアコンが発する冷風は直接当たらないように設定してあるけれど、物欲しげな様子を見て少しだけ下向きにした。
中央のローテーブル付近に涼しい風がそよぐ。

「何もない部屋ですが、くつろいじゃってください」

ナナちゃんが座ったのを確認したら、飲み物を用意するためにキッチンへ。
目を惹きそうなものと言ったらベッドの上のぬいぐるみくらい。
イヌやネコといった動物をデフォルメしたシンプルなやつだ。
あとは部屋の隅、ポールハンガーにかけっぱなしの白マント───あっ。

227番 > 「ちゃんと、できた」

最優先が涼むことになっているため、マントの方も視界には入ったものの、しっかりとは見ていない。
風の当たる位置にぺたんと座りエアコンの方を向いて目を閉じる。

「すずしい……」

帽子が邪魔だ……太陽の光を浴びた帽子は、熱気が籠もっている。
部屋の快適さに気が緩んだのか、つい、耳を隠すための帽子を脱いだ。

御白 夕花 >  
だ、大丈夫。あれだけなら単なるマントだから! 季節感ゼロだけど!
とはいえ、いつ触れられるか分からないから回収したい。
何か自然にポールハンガーに近付く口実は……と思考を巡らせて、ナナちゃんのキャスケット帽に目が留まる。

「あっ、ナナちゃん。帽子はかけておくので外しても───」

タイミング良く帽子を脱いでくれたので、預かろうとそちらを見たら。
そこから現れたネコっぽい耳に、思わず言葉を失ってしまった。

227番 > 帽子のことを言われて、ようやくはっとする。
思わず耳を手で抑える。当然無意味だが。

「……うっかり……」

耳を抑えたまま、困った表情で、そちらに向いて。
まぁ……ゆーかなら……大丈夫か。
そう判断して、ゆっくりと手をおろした。

御白 夕花 >  
「ナナちゃん、その耳……えと、本物……ですよね」

私を驚かすために内緒で付けてきた───ようには見えない。
困り顔に合わせてへたれるその耳は紛れもなく本物だ。
獣耳のある異邦人なら見たこともあるし、それほど驚くような事でもないけれど。

「ひょっとして、見ちゃったらまずい物でしたか……?」

たった今、見られたらまずい物を隠そうとした身だから。気にしてしまう。

227番 > 「うん……本物」

自分の意志でぴこぴこと動かしてみせる。
見られたからには、もう開き直るしかない。
大丈夫だ。ゆーかは、悪い人じゃない。

「人に見せるのは、良くないって……」

誰に言われたんだっけな。それは思い出せない。
落第街での教訓でもあるので、まぁ経験則でもある。

御白 夕花 >  
「わぁ……」

ぴこぴこ動くそれを、ついつい目で追いかける。
隠していたものをじっと見るのは悪いと思いつつ、目が離せない。
仕方ないじゃん。だって可愛いんだもの。

「ん゛っ……そ、そうですね。
 悪い人に目を付けられちゃっても困りますし、いい判断だと思います」

珍しいことには変わりないんだし、可愛い女の子にネコ耳が付いてるってだけで色々と危ない。
しっかり見せてくれる辺り信用してくれてるんだと感じて、ちょっとだけ嬉しくなった。

「まぁでも、ここは安全な学生寮の一人部屋ですから、楽にしてください。
 ずっと隠し事してるのって疲れちゃいますよね」

言いながら白マントを回収。苦笑いしつつ今度こそキッチンへ。
二人分の麦茶をコップに注いで戻る。マントは置いてきた。

227番 > 「ゆーりも、そんなこと言ってた」

保護者の名前が出てくる。公安所属だ。
まぁ、今日はその話はあんまり関係ないので、気にしない方向で。

「うん……ありがと」

楽にしていいと言われて。最初からあまり遠慮していなかった気もするが、
背伸びをしたり、首をぶんぶんと振って髪がふわっと広がって戻ったりと、
猫っぽい仕草をするようになった。

麦茶を持ってくるのに気づけば、首だけそちらに向ける。

御白 夕花 >  
ゆーり……また知らない名前だ。お友達かな?
話の内容的に、保護者的なポジションかもしれないけれど。
まぁいいか。というか仕草に猫っぽさが増して可愛さも倍増でそれどころじゃない。
麦茶をローテーブルに置いて、自分もラグマットに腰を下ろす。

「はい、どうぞ。冷たい麦茶ですよ。飲んだことありますか?」

氷を入れてよく冷やされた麦茶が部屋の明かりを透かしてきらきらしている。
安全な飲み物だと証明するのも兼ねて先に一口。うん、美味しい。

227番 > 「麦茶は、知ってる」

大体どこの家にもある奴。家によって風味が変わってくるやつ。
227が今居るとこはおそらくボトルの買い置きだが……。

「つめたい……」

氷をちょっと舐めてから、飲み始める。
外を歩いてきているので、当然汗をかいている。麦茶が進む。

御白 夕花 >  
さすがに麦茶くらい知ってたか。知らない前提で話すのもよくない。
いつも飲む分しか作ってなかったけど、数日分まとめて作るから今日一日くらいは持つと思う。

「最近は夏真っ盛りって感じで暑いですよね……文明の利器さまさまです。
 ナナちゃんは日中……えと、明るい内はいつも何して過ごしてますか?」

今日ここに呼ぶことになった発端の疑問を投げかけた。
けれど私の意識はもう、半分くらいネコ耳の方に向いてしまっている。

227番 > 「……いつもは、道、覚えるのに、街、歩いてる……けど。
 最近は、暑いから、部屋でごろごろ……」

それはもう、家猫の様に。
耳を注視するのなら、感情に連動してせわしなく動いている。

「あ、あとは、お絵かき、してる」

思い出したように付け加えた。

御白 夕花 >  
「なるほど、自分の足で道を……それじゃこの時期は辛いですよね」

右へ左へ。耳の動きを紅い瞳が追いかける。

「……絵? ナナちゃん、絵も描いてるんですか?」

そこに付け加えられた意外な返答にようやく目線がナナちゃんの顔を正面に捉えた。

227番 > 「うん。ちょっと、たいくつ?」

今日は呼んでもらってお出かけできて、普通に嬉しいようだ。
ちなみに話す時は相手の表情を見ているので……視線が耳に引っ張られているのも気付いている。

「……うん。お絵かき」

ポーチから、ちいさめのメモ帳を取り出して見せる。
年相応……というにはちょっと拙い絵が書かれている。

2羽の別種に見える鳥、それから琴のようなもの。
配置にどこか見覚えがあるかもしれない。

御白 夕花 >  
取り出されたメモ帳を見ると、いかにも子供らしい絵が描かれていた。
鳥のようなものと、これは楽器かな? どこかで見た組み合わせ。

「……あっ、星座!」

───そうだ。この鳥は白鳥と鷲で、この楽器は琴。
デネブ、アルタイル、ベガを含む三つの星座のモチーフと同じことに気付いた。
図書館で本を読んだ時は首を傾げてたのに、成長したものだ。

227番 > 「伝わった……」

ぱぁっと満足そうに笑う。当然耳も連動する。
少女は昼間も星が見れないなりに、勉強しようとしたのかも知れない。

……まぁ、白鳥も鷲も、特徴が捉えられてるとは言い難い。
殆どポーズだけだろう。まだまだ発展途上だ。

御白 夕花 >  
共通点からモチーフに気付けたのは一緒に勉強したからで、そうじゃなかったら何の絵かすら分からなかったと思う。
それでも、ナナちゃんが本で学んだことを絵という形でものにしようとしていたことに感動を覚えた。
嬉しそうに耳がぴょこぴょこしてる。とっても可愛い。

「これは将来有望ですね……!
 お絵描きならお家でもできますし、勉強にもなって一石二鳥ですっ」

自分で言ってて、お絵描きがすごいためになるものに思えてきた。
いいなぁ……私も始めようかな、お絵描き。やったことがないから自分の腕前がわからない。

「そうだ! 紙とペンならありますから、この後一緒にお絵描きしませんか?」

ちょうど呼んでおいて遊べる物が何もないことに焦りを感じていたところ。

227番 > 絵に自信はまったくなかったけど、一緒に見たものだから、
伝わるかも知れないと思った、というのはある。
もっと頑張ろうと思えた。

「しょうらいゆうぼう……?」

続く聞き慣れない言葉に首を傾げる。
文脈からして、悪いことでは無さそうだけど。

「いっしょに……わかった……する」

それに意欲を示した。

ちなみに、メモ帳の他のページは道を覚えるための地図が描かれていたり、
ひらがなが書かれていたりする。目一杯勉強に使っているようだ。

御白 夕花 >  
「これからもっと良くなるみたいな意味です。つまりは褒め言葉ですよっ」

これは心から思ったこと。だから、心からの笑顔でそう補足した。
お絵描きの誘いに乗ってくれたので、テーブルに新品の大学ノートと下敷き、筆記用具を並べていく。
メモ帳にはナナちゃんの努力がたくさん詰まっていて、これを使わせるのは忍びない。

「えへへ……実は私もお絵描き初心者なんです。
 たくさん練習して、二人だけの星座図鑑を作っちゃいましょう!」

題材はスマホで検索。
ナナちゃんの絵に合わせて、星座のモチーフになったものにしよう。
二人で画面とにらめっこしながら紙にペンを走らせていく。


そんなこんなで夢中になっていたら、あっという間に時間は過ぎていった。
私の絵の腕前がナナちゃんと同じかそれ以下のレベルだったことは、二人だけの秘密にしておこう。
だって頭の中のイメージに手が追い付かなかったんだもん……

227番 > 「……これから……そっか。ありがと」

特に疑う要素もないので、素直に喜んで受け入れた。

「ゆーかも? 」

そうなんだ、一緒なんだ、と言った様子で少し嬉しそうにする。

小さいお手本をじっくり見ながら真似して書いていく。
当然ながらまだまだ正しい輪郭は捉えられていないが……
少女は楽しそうに笑っていたことだろう。

しばらくそうしていたが……やがて疲れて、凭れ掛かるように眠ってしまう。
気づけば暗くなり始めていて、慌てて帰る支度をするのだった。

ご案内:「常世寮/女子寮 XXX号室(御白)」から御白 夕花さんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 XXX号室(御白)」から227番さんが去りました。