2020/09/13 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 部屋」に神樹椎苗さんが現れました。
神樹椎苗 >  
 ――時を遡り、常世港での戦いが始まとうとするその前。

 違反部活『ディープ・ブルー』。
 現状最も、『姉』の疾走に関与した疑いのある連中。
 その拠点と思しき場所へ風紀委員が向かおうとしていた。

 こうして実際に乗り込む段階になってしまえば、椎苗に出来る事は少ない。
 直接的な戦力になるには、自分が非力である自覚はある。
 『特定条件下』以外では、椎苗はほんの少し動けて死なないだけの子供でしかないのだ。

 けれど。
 戦いはなにも、戦場だけで行われるものじゃない。
 何時の時代も情報が戦場を支配してきたのだ。
 しかし。

「――なんでまた、この男がいやがるんですかね」

 『オダ・エルネスト』が港の方へと向かっていた。
 またあの、『想定外の男』がふらついているのだ。
 監視していた『ネットワーク』にも、男の接近を警戒する報せが流れる。

(ふうん、まあ、ちょうどいいですね)

 利用できるものは利用してやろう。

 意識を拡張し監視していた『ディープ・ブルー』の利用する電子ネットワーク。
 そのネットワーク内に、『オダ・エルネスト』が常世港へ疑いを向けて接近していると流す。
 常世港周辺に展開している構成員は、これであの男に誘い出されてくれるだろう。

神樹椎苗 >  
「で、次は」

 各地に散らばっている構成員。
 その疑いのある人間は、その携帯端末へ侵入して位置情報を盗んでいる。
 港への攻撃が邪魔されないように、再びネットワークへと情報を流した。

【風紀委員による拠点摘発がある】

 風紀委員から『表向き』に提出された作戦。
 後で言い訳が付くように『娘』が準備した手札。
 結果として必要はなくなったとはいえ、その情報自体は利用できる。

 思った通り、位置情報を把握しているうちの四割ほどが、拠点と推測していた場所へ移動していく。
 組織形態こそ不鮮明だが、ネットワークの動きを見れば指揮系統は確かにある。
 それを末端から遡って、途中で指示を書き換えて組織の連携を寸断していく。

(――さすがに気づくやつも出てきますか。
 ま、諜報に重きを置いてるだけありますね)

 情報操作を受けていることに気づいた構成員の端末を操作して、先んじて『情報工作をされている』というメッセージを発信する。
 それと同時に、別の構成員が発したメッセージを書き換えて『ネットワークがハッキングされている』と流した。
 そして遡った指揮系統の上流から、『ハッキングなど受けていない』と書き換えたメッセージを流す。

 それを繰り返す事でネットワーク上のどの情報が正しいか、構成員たちには判断が付かなくなるだろう。
 混乱によってネットワーク上でのやり取りが阻害されれば、情報伝達の手段は大きく制限される。
 それだけで、『ディープ・ブルー』内での連携は大きく遅れる事になる。

神樹椎苗 >  
(ふん、常世島内でしいに抗おうなんて三千億年はえーのです)

 『神樹椎苗』は常世島において、電子ネットワークの多くを掌握する事が出来る。
 データベースのバックアップとして貯蔵された無数の情報。
 そこから超効率の情報処理を繰り返し『演算』を重ね『予測』を行う。

 完全な情報制圧を行うまでは至らないが、それでも混乱を与えるだけならいくらでもできる。
 下調べをしていた相手なら猶更だ。
 とはいえ、一度使えば馬鹿でもなければ対策を取られる。
 こう簡単に弄べるのは、この一度目だけだろう。

(さて、これで連中の動きは鈍るでしょう。
 後はお前たちに任せますよ『クズやろー』)

 常世港周辺の監視カメラに『接続』しながら、事の成り行きを見守った。

ご案内:「常世寮/女子寮 部屋」から神樹椎苗さんが去りました。