2020/12/02 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」にセレネさんが現れました。
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」にクロロさんが現れました。
■セレネ > 「――よし、上手く出来てる。」
オーブンから取り出した焼き立てのパン。
香ばしい香りが部屋に広まり、満足そうに蒼を細めた。
文明利器とは素晴らしいものだと、去年は別の世界で作っていた事を思い出しつつ。
ふと時刻を見ればそろそろ人が来る時間で、エプロンを脱ぎ折り畳んで椅子の背に掛けておく。
飼い主が忙しそうに準備しているのを、白い毛並みを持つ小さな仔猫は不思議そうに眺めていた。
■クロロ >
『深き海底<Deep blue>』
『千の顔を持つ月<Hydra>』
クロロの口元が自然と紡ぐ独自の魔術詠唱。
全身がひんやりしていき、"人並み"の体温まで下がっていくのが分かる。
海の加護による詠唱。人様の部屋にお邪魔するならば、下げておかないと困るものだ。
女子寮を火事になんて、たまったものじゃない。
それにしても……。
「…………」
とある女子寮の一室の前。
此処に来るまでの間、なんかやたらとみられた気がする。
目立つのか、それとも男子の姿してたからか。
思ったよりも暇な連中が多いのか、口元への字の微妙顔。
「まァいいか。ここであッてンよな?おーい。」
無造作にインターホンを押した。
因みに、ドアノブにも手をかけるので、鍵が開いてれば勝手に入ってくるタイプだ。
■セレネ > 鍵をうっかりかけ忘れるなんて、そんな事は滅多にないので。
押されたインターホンの後ガチャガチャと忙しなく響く音に部屋主も飼い猫もジト目顔。
足早に玄関へと向かい、鍵を開けて外に居る人物を招き入れよう。
「…戸建てではないのですから、もう少し静かにお願い致します。
どうぞ、クロロさん。お待ちしておりました。」
彼の姿を確認した途端飛び出るのは注意の言葉。
その後は空いている片手で中へ差し示しつつ。
動作が手慣れているのは、この島に来る前、半年程小さな貴族邸に住み込みをしていたからだ。
室内は仔猫の為か、それとも気質のせいか、必要以上に物を置いておらず。
しかししっかりと整頓された様子を受けるかもしれない。
■クロロ >
ガチャガチャ。
ちゃんとカギはしっかりかけてある。
ガードはちゃんと固いらしい。安心。安心ではないが。
ドアノブから手を離せば、程なくして部屋主が出てきた。
見慣れた儚げな姿、どうやら間違えなかったらしい。
「よォ、元気そうだな。……アァ?アー、悪ィ悪ィ。」
己の首筋を撫でながら平謝り。
そう言えば、すぐ隣は知らない人間だ。
余り周りに迷惑をかける事は望まない。"スジ"が通らない。
とりあえず、もう少し大人しくすることにしよう。
小さく頷けば、「邪魔するぜ」と玄関を上がった。
予想通りと言うか、中は小奇麗で整頓もされている。
几帳面さがにじみ出ており、仔猫も見える。
「へェ、ペット飼ッてンのか。オレ様も猫は呼べるけど、アイツよりは100倍美人だな、コイツ。」
■セレネ > 相手の発言により、見た目は元気そうに見えるらしい。
それは良かったと内心思いながらも彼が部屋へと入れば扉を閉めてきちんと鍵を掛け。
白仔猫は見知らぬ人物が入って来た事に対し少しばかり毛を逆立てるが
露骨に警戒するような素振りは見せなかった。
「呼べる…?召喚魔術でしょうか。」
緩く首を傾げながらもあまり追及はせず。
ふんわりとパンが焼けた香ばしい香りと己が常に纏うローズの香りと二種類の香りが部屋に充満しており。
「丁度シュトーレンが焼き上がった所なので、もし良ければお土産に持って帰って下さい。
…洋酒は此方では買えなかったのが残念ですが。」
言いながらトレーに乗せたシュトーレンを示す。
本来ならブランデーやラム酒等の洋酒にドライフルーツを漬け込み、
加えてナッツ等を生地に練り込んで焼くお菓子なのだが。
此処では未成年なので買えなかった。
■クロロ >
白仔猫を見下ろす金の瞳。
じぃ、と金色の瞳は明るい場所でも煌々と光っており
明らかに異質な感じがする。
「へッ、まァカッカすンなよ。お前の飼い主に手は出さねェッて。」
ひらひらと手を振って、ニヤリと口角を吊り上げる。
部屋の住民だ。猫と言えど侮りもせず、コミュニケーションは欠かさない。
落ち着いたら、部屋を軽く一瞥する中、香ばしい香りと嗅いだ事のある匂いが混ざり合っている。
「結構お前の匂いすンのなァ。……アー、そう。召喚魔術。
オレ様はムカつくからあンま呼ばンが、便利な奴だ。」
あのローズの香り。
意味合いは間違いではないが、もう少し言い方は無いのか。
ないんだろうなぁ。
「お、ソイツか。いい匂いしてンじゃねェか。
いや、ガキも多いし、返ッて酒はいらねェかもしれねェな。」
思えばあのメンバーも未成年(?)が多い。
結果的に酒は必要ないかもしれない。
「つか、お前も酒買えるようにゃ見えねェし、いいンじゃね?
多少なら大丈夫だが、オレ様も酒を飲める体じゃねェしな。」
■セレネ > 仔猫からはどう映ったか。
明るい中でも光る金に青は静かに細めるのみ。
鳴く事もなく、小さな爪を振るう事もなく、ただその場に座って来訪者の顔を見上げるだけ。
己の飼う仔猫にもきちんとコミュニケーションを取る辺り、律義だと再度感じる。
そうして、お前の匂いなんて言葉を聞けば蒼を少し見開いた。
「…ふ、不快であれば換気しますが。
結構多彩なのですね。羨ましいです。」
己自身が無自覚だからこそか、相手は存外鼻が利くのかと思ったり。
嫌ならば換気するつもりで窓へと移動しながら問いかけて、
羨む言葉をつい口にする。
「――洋酒に漬け込まないのなら、ただの砂糖を塗したパンになるのですけれど…。
貴方は……ぇと、下戸という人なのです…?」
混ぜ込む物を洋酒漬けにしなくとも充分美味しいパンではあるけれど、
それだと少し味気ないような気もして。
彼の言葉に、緩く首を傾げながら問いかけた。
■クロロ >
「随分と頭よさそうな猫だな、コイツ。拾ッて来たのか?」
警戒を解かれたわけでもなさそうだが
かと言って噛みついてくる気配も無い。
聡明さが伝わってくる。へぇ、とクロロは猫を気に入ったらしく楽しそうにみていた。
「別に不快じゃねェよ。イイ匂いだろ。
男だッたら好きそうだし、女でも落ち着く匂いなンじゃねェの?」
クロロは無法者気質だし、遠慮が無い。
不快だと思えば容赦なく口を開く。
そうじゃないなら、そうとは言わない。
しれっと言ってのける事だが、好ましい事は間違いない。
……言い方は如何なものかと言われればそうだが。
猫から目をそらし、金色が蒼を見た。
「オレ様は無敵だからな。そこらの魔術師とは違ェ特別性だ。」
文字通りの特別性。
似たような術を使う相手は見た事あるが、同じものは見た事が無い。
尤も、明るい場所にいる彼女には無縁の魔術なのは違いない。
「いいンじゃね?子ども舌いるし、ちょッとオレ様も食ッていいか?」
手土産にするのもいいが、少しくらい食べても平気だろう。
続く質問にアー、と声を出せば己の首を撫でた。
「下戸じゃねェよ。飲むと"爆発"すンの。」
さらりと、答えて見せた。
■セレネ > 「えぇ、捨て猫を拾ったのはその通りですが。」
彼の言葉に首を傾げながらも答える。
確かにこの子は他の四匹と比べて一番落ち着いていたけれど。
楽し気に見下ろす金を、仔猫は細い尻尾を振ってみぅ、と小さく鳴くだけで。
「そうなら良いのですが…。」
…彼の裏表のなさそうな言葉に蒼を細めた。
そういう言葉をサラリと言える部分は流石と言うべきか。
照れか恥ずかしか、赤らみかける頬を何とか逸らして
「――貴方が特別だとしても、念には念を入れておくべきでは?」
他者の言葉が本当に信用出来るかと言えば、それは否になる。
自己評価程信用ならないものなのだ。
己の目で見ないのなら、それは信用に値しない。
「え?…えぇ、別に良いですけど…。」
多少の摘み食いをした所で腐るものでもないのだし、と
相手の言葉に頷いて。
食べ易いように切り分けた後切ったものを相手へと差し出そう。
「…爆発?」
どういう意味だろうかと、訝し気に問いを投げかけた。
■クロロ >
「捨て猫にしては大人しい奴だな。ダチを思い出すぜ。」
丁度自分の組織の統領、あの少女に落ち着き方は似ている。
とはいえ、彼女とは違った気品に溢れており
捨てねことは思えない。ふ、と軽く肩を揺らして笑った。
「飼い主に似たのかもな?」
なんて、冗談交じりに一言。
「カカッ、そりゃオレ様に対する挑発か?」
一方でそこで食らいついてくるのは、彼女なりのプライドか。
己の目で確かめたい。そんな雰囲気をひしひしと感じる。
それは、己も同じことだ。一つ、披露してもいいがその前に……。
「まァ、隠す事でもねェから先に言うけど、オレ様こういう体だからな。」
徐に翳した手が、ぼぅと音を立てて燃えた。
"燃えた"のではなく、"戻った"のだ。
ごうごうと燃える炎が己の正体だ。
「オレ様、人間だから人の形とッてッけど、炎そのものだからな。
味覚もあるし、匂いも感じるけど、食ッたモンは石炭と一緒だ。
燃えりゃ全部魔力(えいよう)に変わるし、飯じゃなくてもいい。
魔術で温度を下げなきゃ、ろくにものも触れもしねェ。」
人の形をとっていても、炎の本質は変わらない。
触れるものを焼き尽くし、全てを灰に返してしまう。
忌々しい体だ。炎はやがて、拳に戻った。
まるで、炎を握りつぶしたかのようだ。
「……多少ならいーンだが、酒丸々のンだら一気に燃え広がるからな。そーゆー事。」
■セレネ > 「この子、五匹の中で一番大人しかった子ですので。」
ダンボールに一つに纏めて捨てられていた中で、この子が一番警戒心が強く大人しかった。
だからこそか、己と似ていたのは。
「似て良い部分もありますが、悪い部分もありましょうね。
――…っ。」
”可愛げがない”という部分では飼い主も猫も同じかもしれない。
と、相手が翳した手が炎となって燃えた。
一瞬蒼を見開くも、すぐさま通常へと戻し。
「…貴方が来た途端、温度が上がった感覚がするのはそういう事でしたか。」
図書館での邂逅といい、先日の邂逅といい。何方にせよ肌に感じる温度に変化はあった。
炎そのものならば、そうなっても何ら可笑しくはない。
「アルコールは燃え広がりますからね。
…ならば、猶更貴方にお酒は厳禁でしょう。」
彼の言葉に思う事は、燃料は控えるべきだと。
燃えていた炎を握りつぶすように拳に戻る様を見つつ、やや警戒を滲ませる表情。
己への害より周囲への害を考えたものだが。