2020/12/04 のログ
■園刃 華霧 >
「ああいや、別にレイチェルを責めてるわけじゃないし。
そんな謝んなよ。
むしろ……」
其処まで言いかけて、口を閉じる
そうか、これが悪いのか
傷つけてる、なんて思わせている
「まあ、いいやそれは。うん、でも……
特別な気持ちを貰ってることは、わかるから……まあ、それだけで十分」
其処でとどめておく。
無限ループに陥っても仕方ない
「ん……いや、許すも許さないも。
いや、そうか……そうだな。許すよ、レイチェル。」
アタシのことを思えばこそ、のそれ
そうであれば、アタシは応えないといけないのだろう
コレで十分かはわからないが……
「『公平』っていえば……そう、だな。
『公平』のために、レイチェルにも言わないと、だ。」
ソレは話題にでた相手にも言った言葉
ソレはまだ彼の胸に生きているだろうか
「『一生、答え、でないかもよ?』」
そして
だからこそ
あの言葉が胸に刺さった
――縛り付ける
相手の一生すら縛り付ける言葉だ
そんなことが……いや、いまは、考えるまい
いまは、一回忘れよう
「……」
そして、口をつぐむ
■レイチェル >
華霧の言葉を真剣な表情で聞いた後。
オレは、柔らかく微笑んだ。微笑みが、漏れた。
「一生、ね。お前もなかなかでけぇ言葉を使ってくれるじゃねぇか。
……ま、オレは人のこと言えねーんだけどさ。
でも、上等じゃねぇか。
お前がおばあちゃんになっても……
それが、『一生』になったとしても付き合わせて貰うさ」
だってそれ、裏を返せば、一生お前に付き合ったって良いってことだろ。
それを許すって、そういうことだろ? だったら。
「だから、いいぜ。それでも。
華霧の都合でいい、甘えていい、縛り付けてもいい。
お前の隣に居るのが、オレの望みだ。
だから焦って見つけよう、だなんて思わねぇさ。
見つける為に、一緒に歩くその道だって、きっと楽しいんだから。
いや、きっと楽しくしてみせるし、オレも楽しむぜ」
想いを抱きながら、今までこいつと歩いてきた道。
その道は今、新しい『カタチ』を得てきたように思う。
それは、関係を捨てるってことじゃない。確かな前進だ。
桜の花びらが木を離れ、新しい場所を求めて飛び立つするように。
「つまり……
今この瞬間、オレが求めてるのは『答え』なんかじゃなくて……
今みたいに、こうして……『お前と一緒に生きてる時間』なんだよ。
お前と一緒に居られるのが、オレは幸せなんだ。
勿論、その先で『答え』を一緒に見つけられたら、
それは一番幸せなことだけどさ」
勿論、唯一の関係になりたい気持ちはある。
大好きだって、何度だって叫んでやりたい。
想いは簡単になくせないし、多分ずっとなくならない。
けど、今それを華霧に強いるのは、違う。
無理やり腕を引っ張っていくなんてのは、違うんだ。
隣に居ながら、同じ歩幅で――
「今は、同じ歩幅で、お前と一緒に今日を生きたい。
そんじゃま……改めてよろしくな、華霧」
そう口にして、身体を完全に華霧から離すと、
手を差し出した。
華霧からすれば、関係が変わったとか、そんな風には思ってないのかも
しれないけど、オレにとっちゃ随分と大きく変化したもんだ。
役割分担をしてた不器用な『親友』同士の関係が、
不安定ながらも少しずつ『カタチ』を変えていく。
オレは心の奥底で、そう感じていた。
■園刃 華霧 >
「……やれやれ
ほーんと、なんで引かないんだろうなぁ……」
これだけでかい話をされておいて、
それにずっと付き合う、なんて馬鹿みたいだ
いや、自分もそれをかける、といったことはある
けれど、それは自分で言いだしたことだし、
贖罪だったりなんだりと理由はあった
……いや、それと同じだけの理由が、つまり
なんとなく、見えた気はするが
やはり実感には結びつかない
それを一旦頭から追いやる
今は、とりあえず
「ああ、そうだな。
よろしく、レイチェル」
差し出された手を握り返した
■レイチェル >
―
――
―――
「くれてやるだけの価値を、好きだって気持ちを、お前に感じてるからさ」
最後に、困ったように笑うレイチェルはそれだけ口にする。
そうして。
「……さ、今度こそ食べようぜ。
そうだ、常世祭なんだけどさ――」
そう優しく誘って、レイチェルは微笑んだ。
からりと晴れた、青空に浮かぶ太陽のように。
一生答えがでないかもと、そう口にした少女。
なら一生をくれてやると、そう口にした少女。
二人の手は暖かく交わされた。
あの夜のように、美しく瞬く星空の下で。
ご案内:「常世寮/女子寮 レイチェルの部屋」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 レイチェルの部屋」から園刃 華霧さんが去りました。