2021/01/26 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」に杉本久遠さんが現れました。
■杉本久遠 >
多くの男子にとって無縁であり、半ば神聖視されてもいる聖地、女子寮。
そこに今、大柄な男子生徒が足を踏み入れる!
正面玄関から突入した彼は、堂々とした態度で気負い一つ感じさせない!
「失礼します!」
熱を感じつつもけして暑苦しくない快活な声がロビーに響くと、フロアに居た女子生徒の視線が一斉に彼に向かう。
しかし、そんな視線にも一切怖じる事なく、白い歯を見せる笑顔を浮かべて応じた。
「こんにちは!
先程連絡した杉本です!」
そして、よく響く声で入ってすぐの窓口へ挨拶すると、寮の窓口を担当する女性が朗らかに対応する。
そうしてやっと、女子生徒らからの不審そうな視線が和らいだ。
もちろん、好奇の視線はまだ容赦なく降り注いでいるが。
■杉本久遠 >
「今年も掲示のお願いに来ました!
いつも通りに、よろしくお願いします!」
そう言うと、彼──久遠は女性に大きなポスターと、沢山の紙束を差し出す。
女性はそれを笑って受け取ると、久遠にロビーで少し待ってるように伝えて奥に下がっていってしまった。
残された久遠はさて、居心地の悪さを感じるだろうか。
いいや、この男はそんなものは感じない。
むしろ、ここぞとばかりに胸を張り、カバンに刺さっていたポスターを、大きく両手で広げて見せたのだ!
「エアースイム部部長、杉本久遠です!
今年もエアースイム冬季常世大会が開催されます!
ぜひ、遊びに来てください!」
■杉本久遠 >
そう渾身の笑顔を浮かべながら、女子寮の中で堂々と宣伝してのける。
この男、女子生徒の視線の中であろうと、一切の物怖じをしないのだった。
そう!
これがエアースイム部の杉本久遠!
この男が、部長、杉本久遠なのだ!
「エアースイム部も部員募集中です!
体験入部も大歓迎なので、いつでも声をかけてください!」
と、『エアースイム常世島冬季大会』と描かれたポスターを広げて言うのだった。
実はこれ、毎年の事ではあるので、馴染みの生徒にはお馴染みの光景である、が。
さてさて、中途入学や新入生らはどんな反応をするのやら。
ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」に雪城 氷架さんが現れました。
■雪城 氷架 >
さてさて、学校帰り
今日は特に訓練施設に寄ることもなく
研究区への用事もなかったのでまっすぐに女子寮に帰宅
…と、ロビーの様子がいつもと違う
遠巻きに何かを見ている生徒やら、それを見て何やら友人同士で話している様子やら
ロビーゆえかそれなりの数の生徒がいて、目立っているのはどうやら男子生徒だ
「……?」
ちっこい氷架は背伸びをするようにして、注目されている男子を覗いてみよう
体験や募集という単語が聞こえてきた
「なんかの勧誘か…?」
■杉本久遠 >
勧誘か、とのぞき込めば正しく勧誘である。
それも、わりと熱血テンションの勧誘だ。
そのせいか、すっかり注目の的になっている。
「エアースイムは楽しいぞ!
力の強さも、体格も、種族だって関係ない。
もちろん異能や魔術も無し、空の上では誰もが平等だ!
速さを求めるのもよし、戦いに燃えるのもよし、自由に奔放に泳ぐのもよし!
自由でいて、高め合うことも出来る、それがエアースイムなんだ!」
そうポスターを広げて語る久遠自身が、なによりも心底楽しそうに笑っている。
しかし、注目している生徒たちは若干遠巻きだ。
哀しいかな、熱意だけではどうにもならない事もあるのである。
■雪城 氷架 >
なるほど、遠巻きに見ている生徒達の気持ちはわかる
こういった強い、真正面からの熱意というのはどうしても一歩引いてしまいがちなものである
特に、自分たちのような年齢の生徒なんかは
「(しかし随分と熱弁してるな…)」
氷架もどちらかといえば、そういった類の性格の人間…真正面から接してくる熱血タイプの人間は苦手である…が
小さく、鼻から抜けるような息をついて、輪から一歩踏み出す
周りの連中も、見ているだけなんて冷たいものだ、なんて思ってしまったのだ
「なあ」
「なんかイベント?やるの?」
男子生徒の持つポスターに視線を落としながら、問いかける
部活は兎も角として、イベントを見に行くくらいなら…まぁ、誰かといけるかもしれないし
■杉本久遠 >
周囲の輪から抜け出した少女が声を掛けると、久遠の視線が一瞬彷徨う。
しかし、すぐにその小柄な姿を見つけて笑いかけた。
なんと身長差46センチである。
「――おお!
ああ、イベントだぞ、競技大会だ。
アマチュア向けのだけどな」
そう言って、ポスターを少女に見やすいように向ける。
そこにはエアースイムという競技のアマチュア向け競技大会であることがわかりやすく描かれているだろう。
「エアースイムというスカイスポーツなんだ。
秋には浜辺で世界大会も開かれていたんだが、噂程度に聞いた事はないか?
まあ、聞いた事なくても、今知ってくれればなによりだ!」
興味を持ってもらえたのが嬉しいのか、声の調子も弾むようだ。
■雪城 氷架 >
近寄ってみると随分と大柄
あんまり、こんなにでっかい男子は自分のまわりにいなかった、と思う
ちっこい自分としては見下されるのが常なので別に圧倒されたりもしないのだけど
「へー…あ、エアースイム?聞いたことある」
ポスターを向けられればまじまじと見つめる
そういえば秋頃にクラスでそのことについて話していたヤツがいた気がする
「異能も魔術も使わないなんて、この島じゃ珍しいな」
専用の道具は使うようだが、一般人でも参加できるらしい
「来月か…じゃ、追試とか回避できたら見に行くよ」
選手としての参加…は、さすがに気乗りがしない。自分の虚弱は身に沁みてわかっているし
目の前の大柄な男子は心から嬉しそうだ
こうやって部活に情熱と青春を注いでるヤツもちゃんといるんだな、と内心思ったり
■杉本久遠 >
「ああ、エアースイムはそういうスポーツなんだ。
異能を持つ者と持たない者、魔術を使える者と使えない者。
そういった垣根なく競い合える、楽しめるスポーツというわけだ!」
この島に限らず、今の世界では、持つ者と持たない者の間にどうしようもない壁が存在している。
そして、多くの娯楽や競技においても、その有無でどうしたって分けられてしまう。
しかし、エアースイムにはそれがないのだと久遠は熱弁するのだ。
「まあ、その分、装備が高価になってしまうんだがな!
あと、まだマイナーすぎて島には常設の競技場がないのが難点だな!」
と、自らオチをつけるのも忘れない。
「そうだな追試に――だはー!?
試験の事すっかり忘れていたぁーっ!」
そして、口をあんぐりと開け愕然とした表情を浮かべる。
この男、成績は常にギリギリなのであった。
■雪城 氷架 >
なるほど、と納得する
あえてそういう、異能なんかで優劣のつかない競技だからこそ熱が籠もる…
そういった気持ちはなんとなく理解できなくもない
熱弁する様子はやや暑苦しい、が
この島で出会ってきた男子は普段大体冷めた感じのヤツが多い気がしたので、新鮮である
「そりゃあ…競技場として整備するにはお金も掛かるだろうし…これ、冬でも海でやんの…?」
秋でも結構寒いとは思うが冬はレベルが違いそうだ
「…おいおい。追試で予定潰されたら大会どころじゃないじゃん…」
忘れてたなど言い愕然とするその様子に小さく肩を竦める
絵に描いたような熱血バカ。案外、話してみると嫌いじゃないかもな、なんて思いながら
「パンフみたいなのないの?あるなら寮の知り合いにも配っとくけど…」
一応、そんなことも訊いてみる
……まぁ、大声で熱弁していたからロビーを取った生徒達はなんだなんだと聞いてたかもしれないけど
せっかく色々聞かせてもらったので、多少は協力しようというちょっとした良心である