2021/01/27 のログ
杉本久遠 >  
 試験の事をきれいさっぱり忘れていた久遠だったが、伊達に十年以上学園に在籍はしていない!
 
「だ、だはは。
 大丈夫、大丈夫だ!
 気合と気合と気合があればなんとかなる!」

 冷や汗をだらだらと流しながらも、強張った笑顔で誤魔化した。
 大丈夫、毎年この調子なのだが、何とかなっているのだ。
 それもこれも、妹の努力によって支えられているのだが。

「おっと、そうだそうだ。
 さっき丁度、このポスターの掲示と、エントリーシート付の冊子を置いてもらえるように頼んだところだぞ。
 冊子と一緒に、ロビーの掲示板に張り出してもらえるはずだ」

 そう言いながらも、カバンから一部、冊子を取り出して少女に差し出す。

「もしよかったら、是非とも見に来てくれ!
 きっと驚くと思うぞ」

 そして、一度ポスターを丸めなおしてからカバンに差し込んだ。

「俺はエアースイム部部長、杉本久遠だ。
 興味があれば体験入部も歓迎だから、あそびに来てくれてもいいぞ!」

 と、親指を立てて、にっこりと白い歯を見せて笑った。
 

雪城 氷架 >  
「気合しかねーじゃん」

やんわりとしたジト目
自分も成績が振るわない、といったことは別に関係なく
バカっぽい男子にはどうも縁がある

差し出された冊子を受け取る
見たらきっと驚く、と楽しげな大柄な少年
本当に好きなんだな。ということが伝わってくる
こういった感情を向けられるのは、悪い気もしないものだ

「ん、部長?そりゃ一生懸命にもなるかー。
 1年の雪城氷架、部活は他のに一応入ってるから…せっかくだし見に行くくらいなら?」

そしてものすごい眩しい笑みをもらった
わかりやすいヤツだなあ、なんて思ってしまう

「じゃ、部屋のヤツにも見せてみるよ。大会は…まぁ試験を倒したらだな」

そう言えば手にした冊子をひらひら、長い長いツインテールをくるりと翻して踵を返す
あいつら興味持つかな?なんて冊子をぱらぱら眺めながら、自分の部屋へと帰っていくのだった

杉本久遠 >  
「おお、部長だぞ!
 最近ようやく、部員が一人入ってくれてなあ。
 やっと一人じゃなくなったんだ――!」

 そんな涙ぐむような調子で、拳を握り感動に震えている。
 まあ『見に行く』という言葉が聞こえれば、ぱっとまた晴れやかな笑顔に戻るのだが。

「そうか!
 その時は歓迎させてもらうぞ雪城!」

 そして去っていく小さな後ろ姿を見送り、手を振って。

「おう、お互いしっかり試験を乗り越えよう!
 聞いてくれてありがとうな!」

 そうして、小さな後ろ姿が見えなくなると、再び遠巻きに囲まれた久遠が取り残される、が。
 その作られた輪から、おずおずとした様子で女生徒が一人歩みだしてきた。

『あ、あの、私も冊子、もらえますか?』

「――おお、いいぞ、是非もっていってくれ!」

 その声を皮切りに、数人の生徒たちが興味を持って冊子を受け取っていく。
 間もなく張り出されたポスターにも、寮生の視線が予想以上に集まっていた。
 それもこれも、あの小さくも頼もしい一年生のおかげだろう。
 久遠は長い二つの尾を揺らす少女を思い浮かべながら、再び明るく挨拶をして、女子寮から立ち去っていくのだった。
 

ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」から雪城 氷架さんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」から杉本久遠さんが去りました。