2021/06/02 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」にパーシャ・ドルジェヴァさんが現れました。
パーシャ・ドルジェヴァ > 「はー、雨ヤバいなぁ」
ビニール傘から水を弾きながら、ロビーへと入る。

「日本のツユ、とかいうやつだっけ?」

雨見風菜 > 日本の梅雨とは大幅に異なるこの常世島の梅雨。
風菜が彼女のつぶやきを聞いていたら訂正を入れていただろう。

「……♪」

だが、風菜は雨音を聞く方に意識が行っている。
彼女のつぶやきは耳に入らなかったようだ。

パーシャ・ドルジェヴァ > 「…うげ、ローファーの中ぐしょぐしょだ…キモチワル―」
ローファーを脱ぎ捨て、靴下も脱いで裸足になる。

バックからタオルを取り出して、濡れた所を拭いていく。

雨見風菜 > ふと、玄関の方に視線が行く。
金髪の女性がびしょびしょの靴下を脱いでいる。

(見覚えがない、ということは新入生の方でしょうか)

まあ、そういうことだろうと考えて。
彼女に近づいて、ローファーと靴下、そして濡れた身体とタオルの水分を『液体収納』する。

「大変でしたね。
 まだ濡れてるところ、あります?」

パーシャ・ドルジェヴァ > 「……?????」
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
濡れたタオルが乾き、靴下とローファーが乾き、濡れていた服が乾いていた。

実を言えば、ここに来て異能に触れるのは初めてなのだ。不可思議現象には興味があるとはいえ、ここまであからさまにやられるとは思ってなかった。

「…え、と。今なにかされました?」

雨見風菜 > 「ええ、濡れちゃってるようなのでちょっとお節介を」

いつものように、大したことはしていない風に言う。
実際、風菜にしてみればちょっとしたお節介だ。
自分が使える便利なことで他人が助かるだろうからやっただけのことだ。

パーシャ・ドルジェヴァ > 「……成程、これが異能…」
自分とは違う、物質に干渉するモノ。見た感じ蒸発させるだとか分離するだとかいうものでは無さそうだ。それこそ「水がなかったことになっている」ような感触だ。

成程、上が調べろというのも納得だ。このような異能が『当たり前』にあるのなら、調べる価値は十分にある。

「あぁ、えぇと…『お初にお目にかかります、パーシャと申します』」
散々練習した自己紹介をしてみる。日本語難しい。

雨見風菜 > 「いいえ、魔術なんですよ」

そりゃあ急に『液体収納』をかけられたらこう反応される。
これまでさんざん同様の反応をされてきたのだ。
嫌でも慣れる、そもそも自分だってそう勘違いするのは想像に難くない。

「パーシャさん、ですね。
 どうもご丁寧に」

日本人からはなかなか聞かない丁寧な挨拶。
日本語は不慣れなのかもしれない、と風菜は思う。
そもそも、亜人どころか異形や妖怪なんかが闊歩しているこの島だ。
別に外国人程度で驚くことでもない……特に風菜は両親が外国へ稼ぎに行っているのだし。

パーシャ・ドルジェヴァ > 「ほう、魔術。異能とは別の分類なのでしょうか」
そういえばそういうものも報告にあった。確立された術式系統、こちらで言う化学式のようなものだと。しかし、これは…いや、科学も見方によっては魔法と変わりはないか。

「この島では、当たり前のように使われてるんですね」
思ったことを、口にする。他の国ではトップシークレット扱いであろう代物が、こんなにも安売りされているとは思っていなかった。

雨見風菜 > 「ええ、異能とは別です。
 私の異能は、『糸』なんですよ」

言って、右手から赤く太い『糸』を出して見せる。
通常の糸とは違う、質量の無さは一見してはわからないだろう。

「……?
 ええ、そうですね」

エアースイムとかもあるし、当然だと思っていたが。
世界はまだまだ知らないことがたくさんあるようだ。

パーシャ・ドルジェヴァ > 「……………成程」
詳細までは言うまい。狙撃の訓練をしていたから、わかる。

この糸は質量を持たず、風の動きだけで揺れている。

科学ではありえない代物。

「私の居たところだと、見せびらかしていたら誘拐されていても可笑しくはないですね」
嘘は言っていない。事実異能を知られた際に誘拐まがいなことはされたし、そのおかげで今ここにいるわけだし。

人とは違う、有用な何かは、利用し、利用されるものなのだ。
「その糸、何かに使えたりするんです?」

雨見風菜 > 今は特に必要性がない以上、普通の糸と同じように振る舞う『糸』。

「ええ、色々と便利なんですよ」

この『糸』には色々な使い道がある。
普通に縛り付けたり、編んで布や服にしたりといった普通の糸にもできることから、
空中に固定して飛んだり、傷の治療に使うことで対象の自己治癒力の一助になったりもする。
というか、本来の能力としては一番最後がメインなのだが。
そこまでは言わず、茶を濁す風菜。
とはいえ、調べられればすぐに分かるだろう……普段から頻繁に使っているし。

「ええ、そんなに……。
 治安の良い日本生まれで良かったです」

パーシャ・ドルジェヴァ > 「………日本もそう変わらないと思いますけどね」
日本で起きている行方不明事件は万を超える。

そのうちで異能や魔術を持つ人間が拐かされていても、不思議ではない。
治安が良いだけあって、表沙汰にされにくい、というだけの話だろう。

「まぁ、ここではそれが当たり前だから、そういう危険も無いのでしょうね」
そう、それが普遍化すれば、貴重でもないし重要でもなくなるのだ。過ぎた力でさえなければ。

雨見風菜 > 「そうでしょうかねぇ……」

実感がわかない。
治安は良いが、それは犯罪が起きていないことではない。
それでも、風菜の周りはそういった事件とは無関係だった。

否。
それは本土での話。

「……そうでも、ないような」

知人が、一度誘拐に遭っているのを思い出す。
犯人から犯行声明も何もなかったらしく、風紀委員を中心に有志も参加して救出したと聞く。
果たして、何があったのかは噂でしか知らないのだが。

パーシャ・ドルジェヴァ > 「ふむ?」
そういえば、ここには治安の悪い場所もあったことを思い出す。たしか、落第街、とか言ったかな。そこに情報屋が居ないか探して回ったことを失念していた。
「落第街辺りは、危なそうですよね」
実態を知らない分、噂程度の話しかできない。

雨見風菜 > 気を取り直すように頭を振る。

「ええ、落第街は治安が悪いほうですね」

頻繁に出入りしているため少々危機感が薄れてはいる。
だが、それでも治安が悪いために風紀が巡回していたりすることもある。
最近は、銃弾を弾く幼女が違反部活を潰しまわってるとも聞く。

「行かれるのでしたら、お気をつけて」

パーシャは自分よりも問題ないような気はするけども、念の為。

パーシャ・ドルジェヴァ > 「まぁ、護身術は嗜んではいますけど…どこまで通用するのやら、ですね。」
もしも、戦闘向きの異能や魔術を持っている者が相手なら、普通に負けるような気がする。
勿論、状況次第ではあるが。その辺りのデータ収集もしないといけない。
「御忠告、感謝します。」
あの落第街を『悪い方』で済ますあたり、この子も腕に覚えがあるのだろうか。

雨見風菜 > 「あとは、常世渋谷の方も治安が悪いとかなんとか。
 まあ、落第街よりはマシだとは思うんですけども」

考えてみれば、全く行っていないなと思いつつ。
まあ、行かなきゃいけない用事もないのだからそうもなるだろう。

「いえいえ、ちょっとしたお節介ですよ」

自分も護身術を習ったほうが良いだろうか。
いや、でも全力で逃げればなんとかなるんじゃないかと考えを巡らせる。
走るより糸の飛行が速く、空中へも逃げれるわけだし。

パーシャ・ドルジェヴァ > 「そうなんです?」
そういえば渋谷という場所には行ったことがなかったな、と思いながら。今度行ってみようかな。

「相手の手が読めないのが一番怖いですね。何をされるのかわかったものじゃない」
そう、何時でも怖いのは『知らない』ということなのだ。

だから、情報屋と会いたいのだが。

雨見風菜 > 「何をされるかわかったものじゃない、というのなら。
 青垣山や、転移荒野なんかは戦闘地帯的な意味での危険地帯だそうです」

どちらも、主に人間以外が襲いかかってくる場所だ。
特に戦闘能力を持たない風菜は、青垣山も転移荒野も基本的には足を向けない。
何か、言い表せない予感を感じれば別だが。

ふと気づく。
その言い表せない予感を、パーシャに対して感じることに。

パーシャ・ドルジェヴァ > 「なるほどなるほど…あれ、でも確か誰か青垣山に住んでるとかいう話も聞いたことありますね」
メモを取りながら、風のうわさで聞いたことを、聞いてみる。

「チミモウリョウ、とかいうのがいると聞いてるんですけど…なんですかね、それ」

パーシャをよく見るのであれば、ブレザーの腰の後ろの部分が、少し膨らんでいるのがわかるかもしれない。しかし、『不自然ではない』

雨見風菜 > 「ああ、確か凛霞先輩の御家族ですね。
 修行にもなるから、ということらしいです」

学園内では有名な話だ。
当の先輩は、家を出ると言っていたが今はどうなっているんだろうかと考えながら答える。

「魑魅魍魎とはなにか……うーん、総称ですからねぇ。
 欧米ライクに言えば、インプやゴーストなど、でしょうかね」

ブレザーの腰の後ろが少し膨らんでいるのが見えるが、別に不自然なものではない。
護身用の道具を隠し持っていることなんてよくあることだ。

──そう、風菜は認識している。
パーシャの異能がなくてもそう認識していただろう。

パーシャ・ドルジェヴァ > 「凛霞先輩…というと、生徒会の。そこに家を構えるとは、中々に剛気な…あれ、使い方あってます?」
自分で言ってて不安になった。日本語難しい。

「あー、モンスターの類ということなんですね。ここじゃ知らないこと多いんで、一気に知れる場所があればいいんですけどね」
この人なら知っていることがあるかもしれない。提案してみる。

雨見風菜 > 「生徒会……?
 風紀委員ですよ、凛霞先輩は。
 剛気の使い方は……多分あってるんじゃないでしょうか」

そういえば生徒会の人達をよく知らないなあと思いつつ。
とはいえ、謎の予感を感じないからあまり興味を覚えないのも無理はない、と考え直す。

「じゃあ、図書館で調べてみるとか。
 図鑑とか資料とかがあるでしょうし」

自分の知識から、そう答える。
むしろ、それ以外だと当の凛霞に聞くしか無いだろう。
古書店街はそもそもあるかどうかが怪しいのだし。

パーシャ・ドルジェヴァ > 「あぁ、風紀でしたか。間違えてしまいました」
素で間違えた。

「じゃあ、今日はもう遅いですし、また後日図書館で調べてみることにします。ありがとうございます」
そう言って一礼し、自分の部屋へと行こうとする。

雨見風菜 > 「ああ、そうですね……もうこんな時間ですし。
 では、縁があればまたお話しましょう」

そう言って、パーシャを見送る。
その後は風菜も、自分の部屋……隔離部屋へと戻っていくのだった。

ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」からパーシャ・ドルジェヴァさんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 ロビー」から雨見風菜さんが去りました。