2021/10/17 のログ
セレネ > ただ、彼は普通の人間ではない。
それは立場的にも身体的にも。
理解している。

『…私、男性の好み偏ってないかしら…』

以前の男性も裏社会に生きる人だった。
それで失敗したというのに、また似たような人を好いてしまうなんて。
溜息を吐いて紅茶を一口飲む。

……まだ少し熱かった。

セレネ > 舌を灼く痛みに眉を顰め、ティースプーンでジャムを掬い口に含む。
冷たい訳ではないけれど、少しでも痛みを和らげたかった。

『……』

顰める表情は変わらない。
ズキズキと痛むのは、心の方だ。
片手を胸元に添え、服を握り締める。
そうしたからといって、この痛みは軽くなる訳ではないのに。

セレネ > ジャムを掬い取り口に含んでいたスプーンをカップに入れ、クルクルと回す。
胸中に渦巻くのは憎悪と愛情。
未だ少し湯気立つ紅茶に似て、暗い色。

落とす蒼は何を思うか。
彼の事を思うなら、この気持ちは仕舞っておくべき…だろう。
ただ、自覚をした手前。
この気持ちを隠し通せるだろうか?

粗雑に見えて案外人を良く見ている彼の事だ。
何か変化があればきっと気付いてしまうかもしれない。

彼が己をどう思っているか、分からない。
分からないからこそ…怖い。

セレネ > 少なからず、今分かる事は。
彼には嫌われてはいないという事くらいか。

気持ちを伝えるか、先に気付かれてしまうかは、その時にならないと分からないのだし。
今あれこれ考えた所で現状がどうにかなる訳でもないし。
このままだと気持ちが落ち込んでしまうから、一旦思考を切り替えよう。

皴を寄せていた眉を揉み解し、冷めたであろう紅茶を飲む。
…うん、丁度良い温度だ。

セレネ > 『そういえば、もう少しでスミレの砂糖漬けが届くわね…』

割と良いお値段のする、スミレの花弁に砂糖をまぶした食品。
一度食べてみて、美味しかったら自分で作ってみるのも良いかもしれないと思った。
多分其方の方が安くつく。

ケーキなどの装飾に使っても綺麗だし、飲み物に入れれば鮮やかな青に染まるのだとか。
楽しみだな、と少し唇を綻ばせては、一人静かに夜を過ごすのだった。

ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」からセレネさんが去りました。