2021/11/03 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」にイェリンさんが現れました。
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」にセレネさんが現れました。
イェリン > 鼻歌交じりに、掃除機をかける。
人を自室に招くのはこちらに来てからは初めてだ。

(変なところはないかしら)

いつも以上に念入りに掃除機もかけた。
脱ぎ散らしたような服も無い。
奥の机に広げたままの魔術道具は、彼女なら見逃してくれるだろうか。

「そろそろ、かしら」

壁に掛けた時計を見て呟く。
ベッドに腰かけたまま落ち着きなく足を揺らして、
静かな室内にインターフォンが鳴るのを、ただ待つ。

セレネ > 自室に人を招く事はあれど、人の部屋に行くのは初めてだ。
部屋の主である黒髪の女性が部屋の綺麗さを気にするように、
己も入念に自身の身嗜みを整える。

何か粗相があってはいけない。
元が生真面目故、必要以上のプレッシャーを己自身にかけながら
彼女から伝えられた号室の前へと。

どこぞの何方と違い、勝手に扉のノブに手を掛けたりしない。
インターホンを白い指で押し、彼女が出てくるまで待つだろう。

その間も服の皴や己が飼っている猫の毛がないか、しきりに確認したりして。

イェリン > 響く電子音に跳ね起きる。
トタトタと慌ただしくドアに向かって鍵を開ける。

「待ってたわ、先輩」

のぞき窓から確認せずとも、なぜだか相手の姿が分かったような気がした。
外の風に乗ってふわりと香るローズの香り、待ち合わせの相手の姿を蒼の眼に映して、穏やかに微笑む。
努めて冷静に、そわそわしていたような素振りを隠して誘うが
長い黒髪は一本に纏められ、感情に応じるかのようにフリフリと揺れている。

来客用のスリッパは用意しているが、気になるようなら靴のまま上がっても文句は言わないだろう。

セレネ > 扉越しとはいえ慌ただしく駆ける足音は耳に微かに届き、
それが非常に可愛らしく思えて込み上げる感情を押し留めながら。

ガチャリと開けられた扉、視界に入った彼女は夜色の女性。
己を部屋へ誘った張本人。

「こんばんは、イェリンさん。
――お邪魔しますね。」

微笑む彼女に釣られるように己も口元に笑みを浮かべ、部屋の中へ入る。
迎えた彼女の纏められた夜色の髪が、なんだか犬の尻尾のように
感情を示しているように見えて
浮かび上がる笑みを必死に噛み殺しつつ。

寮とはいえ多少は部屋主の個性が出るのか、木製の家具が多く見える室内に数度目を瞬かせた。
成程、己とはまた違う部屋のようだ。

此処に来て学んだ、室内では靴を脱ぐ文化。
青のパンプスを脱げば用意されているスリッパに履き替え室内を歩く。

イェリン > 普段見かける姿とは少し違った髪型に、
穏やかな月夜を思わせるような穏やかな出で立ち。
自身の趣味にも似通ったファッションセンスに感嘆しながら
部屋の奥へと進む。

「椅子でもソファでも好きに座って頂戴。
もうすぐお湯も沸くし、すぐに用意してくるから」

ソファ、というよりはクッションと言えるだろうか。
ビーズクッションのようだが手で押すだけでふにふにと形状を変えるそれからは、人を駄目にする感触がするだろう。

「今日はリング、一つなのね。
いつものも好きだけど、それくらい主張のあるのも
先輩に似合ってて、良いわね」

私は好きよ、と言いつつ視線の先には手に煌めくペリドットのあしらわれたリング。
明るい白の照明を受けて煌めく腕のソレは、白い絹のような指によく似合っていた。

セレネ > 基本は白と青を基調にコーディネートする事が多い己。
暖色より寒色を好む傾向があるのは、己が雪国出身だからか、
思い出したくない、思い出してはならない”記憶”があるからか。

「こうして誰かの部屋に来たのは此方では初めてなので
何だか緊張してしまいますね。」

巷で噂の人を駄目にするソファ。
気になって腰掛けてみたが、想像以上に座り心地が良い。
……人のみならず、女神まで駄目にしてしまいそうなソファだ。

「そうでしょうか?
…そう言って頂けるなら、嬉しいですね。
思えば貴女はアクセサリーはつけていないように見えますけれど。
――あぁ、そうだ。あとひと月でクリスマスなのですし、
何か装飾品でもプレゼントしましょうか?」

折角の見目なのに、着飾らないのは勿体ない。
己がつけている指輪に蒼を落とすと、片手でそれを撫でつつに。
そうして妙案を思いついたかのよう、両手を軽く合わせてそんな事を持ち掛けた。
彼女が好きなモチーフ、もしくは似合いそうな装飾品があれば贈るのも良いであろう。
己は人にプレゼントをしたがる節があるから。

イェリン > 「ふふっ、私もこっちに来てから人を部屋に誘うのなんて初めて。
なんだか緊張しちゃうものね」

言いながら、ソファに腰かける姿を楽しそうに見つつ湧いた湯をティーポットとマグカップに注いでいく。
ガラス製のポットとマグカップは二つ。
艶のある柄の無い黒のマグカップ猫のプリントされた雪のように白いマグカップ。

「ホントよ、嘘は吐かないタチだもの。
アクセサリーは確かにあんまり付けないわね。
ピアスやイヤリングをしてた事はあるのだけど、
片方だけ無くしたりしてショックだったから……やめちゃったわ。
本当? それは嬉しいわね。
貴方の見立てならきっと素敵な物になる。
そうとなると私からも何か用意しなくっちゃ」

もともと、着飾る事は好きだった。
しかし故郷にいるときは危険な存在と立ち会ったりする事もあり、
あまり身に付けなくなって、そのままになっている。
愛おしそうに指の緑を撫でる姿を見て、問う。

「その指輪、普段のとは違うけれど
求婚でもされたの?」

この田舎者、故郷の村では未婚の女性が指輪を付ける姿を見た事が無い。

セレネ > 「人をお誘いするのっていつでも緊張しますよね。」

分かる分かると何度も首肯。
自分の家ではないにせよ、時折訪れる人をもてなす立場にいた頃もあったので
その気持ちは非常によく分かる。
彼女が紅茶をカップに淹れる音を拾いながら、思い返すのは過去経験した事。

「…。無くしがちなら、無くしにくいものをつければ良いのです。
ペンダントやネックレスなら、掛けるものですし無くしにくいものでしょう。
とはいえあまりセンスに自信はないので、貴女が気に入ってもらえるデザインなら良いのですけれど。
――あら、それは嬉しいですね?」

ピアスやイヤリング、そして指輪は小さいものだから確かになくしやすい。
己が指輪を撫でる仕草に、滲む感情は隠し切れなかったか。
この指輪を贈ってくれた相手に抱く想いを滲ませてしまいながら。

「――!?
ぇ、いや、そういう訳ではないですよ…?!」

求婚なんてそう何度も受けるものではない。
彼女からの衝撃的な言葉に思わず蒼を見開いて
語気を強めにしてしまった。

イェリン > 「どうぞ、カップも温めているから、ゆっくり飲んでもらっても冷めないと思うわ」

盆など一人暮らしで用意していなかったこともあり、
手渡しで白いマグカップを渡す。
手に取れば立ち昇る湯気から僅かにミントとリンゴの香りを感じられる。

「ペンダントなら、確かに無くしたりしないかしら
どんな物でもあなたがくれた物なら嬉しいけど、きっと気に入るわ」

婚約指輪では、ないらしい。
ふぅん、と違ったのねと言うが、その仕草に愛らしさを感じる。
自分で買ったお気に入り、というのでは無いだろう。
誰かからの贈り物だとは思うが、似合って見えるあたりよく彼女を見ているのか、はたまた野生の感のようなフィーリングでの事か。

「故郷だと、あまり指輪って婚約や結婚指輪以外につける風習が無くって。
勘違いしちゃったわ、ごめんなさい」

思っていたより強く否定する声にしゅんとして謝罪する。

「クッキー、小皿が良いかしら。それとも大皿に出してしまって気にしない?」

セレネ > 「……有難う御座います。」

手渡しで渡される、猫のプリントが施されたマグカップ。
そのデザインの愛らしさに蒼を細めながら、彼女の言葉に少し間を置く。
…紅茶が好きな癖に、猫舌なのだとは、流石に言えない。

鼻腔を擽る香りはアップルと爽やかなミントの香り。
己が持ち合わせていない紅茶の香りだ。

「――折角贈るのですもの、永く使って頂きたいので、
お好きなデザインとか宝石とか、教えてくれると有難いです。」

好意を抱いている人物の事はなるべく知っておきたいので。
参考程度に聞きながら、蒼を穏やかに細める。
…クリスマスまでになるべく金を貯めておかなければいかないな、と内心思いつつ。

「…まぁそれは、そうでしょうね。
いいえーお気になさらず。」

己がバツイチだと知ったら彼女はどんな反応をするのだろうか。
気になりつつも今はまだそんな話はしない。
気軽にする話ではないのだし。
しゅんとする彼女に、何故だか犬がしょげるような様子を幻視しながら。

「何方でも構いませんよ。」

彼女が良いと思う差し出し方で構わないと、微笑んで言う。

イェリン > 気に入ってくれるだろうか。
大口を叩いて任せて、と言ったからにはというのもあるが、
淹れ方には随分こだわって見せた。
爛々と輝く蒼をセレネに向け、気づく。

「……もしかして熱いの苦手だったかしら」

良かったら使って、と言い冷凍庫から金属製の氷を取り出してくる。
アイスキューブと言われる物で、溶けたりする事も無いので飲み物を薄めたりする事も無いので重宝している。
冷や汗を浮かべながら木皿に乗せてトングと一緒に持ってテーブルに乗せる。

「気が利かなくて、ごめんなさい……」

これまたしゅんとした顔でセレネの表情を伺う。
叱られた訳でも無いが、自身満々だったがゆえに空回りした事に
どんな顔をしていいのか分からないらしい。

「永く、そうね。ずっと側に持てる物の方が、寂しくなくて良いわ。
貴方から貰うのなら、デザインは月が良いわ。
それか、貴方の髪のようなパールをあしらった物?」

でも私にパールなんて似合うかしらと、初めて身に付ける物らしく悩み顔。
懐きに懐いたセレネからの贈り物なら何でも喜びそうな物ではある。

「それなら、大皿で失礼。
食べきれなかったら、パックにでも詰めて持って帰れるようにするわ」

言いつつ、テーブルに木の大皿を乗せたかと思うと、
自分はテーブルにも付かず部屋の隅にあった段ボール箱二つを持ってくる。
届いたばかりの注文商品らしく、つい先日の到着日が記載されたラベルが貼ってある。
品目は衣装類、メーカーはイェリンもセレネも初耳であろうアミューズメント系の会社の物だ。

セレネ > 香りも紅茶の淹れ方もとても気に入った。それは本当だ。
彼女のセンスはとても良いものだと思える程のもの。

「――っ」

彼女が気を利かせてくれたか、冷凍庫から取り出された銀色のキューブ。
カップに入れやすいようにトングと共木皿に乗せられ運ばれたそれに
複雑な表情を浮かべる。
…まるで、親に叱られる子のような。そんな顔を浮かべている彼女の表情を見ると
どのような言葉を掛けるのが適切なのか分からなくなる。

「いいえ、貴女は悪くないのですよ?
初めから言わない私が悪いのです。
――だから、そんな顔をしないで下さいな。」

せめてもの、と彼女の頭に手を添えて優しく撫でようとしながら。
怒るような感情など微塵もなく、ただ彼女を責めまいと穏やかな表情を浮かべる。

「大切なものが無くなるのは寂しいし悲しいですものね。
…成程、月…か、パール。
もしくは私がつけているようなムーンストーンでも良さそうですね。」

相手の見目や性格から察するに、穏やかな色よりはっきりしたような色の方が合う気もすれど。
それは実際に色々見て判断すべきだろう。
彼女からそこまで懐かれているなんて思っていない己は、
普段使いでも出来るようなアクセサリーのデザインは何かと考え込んでしまう。

「……あら、それは…?」

お茶菓子が持ち帰れるのなら、想い人や友人達にでも差し入れに持って行く事も考えに入れながら
相手が持ってきたダンボールに蒼を瞬かせる。
見えた品目は衣類品。

――もしかして。