2021/11/06 のログ
セレネ > 「でしょうね。」

他の生徒達も使う公共のものだ。
それは怒るだろうと納得。

「そもそも文字だけで三種類あるって事が難しいですよね…。
父は縛られる事が大嫌いでして、言っても聞かないのは知っているのでもう諦めてましたね。」

父は話は聞いてはくれるけど、受け入れるかはまた別の問題。
自分勝手で、横暴で、細かい所は気にしない、そんな人だった。
それを反面教師にした結果、育った娘が己なのだが。

「人に見せられないものの一つや二つ、誰にでもありますもの。
だから、見せてくれて有難う御座います。」

己の場合、ボロボロなのは心の方だ。
目に見えないものだからこそ、なかなか人には言いづらい。
当てられた額のぬくもりには優しく微笑みを。

「成程?ピクニックと聞くとつい日中にやるもののイメージがあったので。
…でも確かに、夜のピクニックも楽しそうですね。」

日中とは違う景色を眺めながらゆっくりと過ごすのも良さそうだ。

「たまには、別の衣服も見てみたい気持ちは分かります。
…まぁ、年に一度くらいなら構わないのです。」

ストレートな物言いを何度も受けていると、流石に照れが出てくる。
小さく咳払いをしては

「お迎えできる日を楽しみに待っていますね。」

イェリン > 「ホント、難しくって嫌になっちゃう。
ふふっ、自由な人――先輩の真逆ね」

自分も思い当たる所はある。
怪我をしていようとそれを理由に自分が身を引いた結果誰かが傷つくような事を思えば、
自分の身に鞭打ってでも動くだろう。

「貴方になら見られても、嫌じゃないって思えるの。
笑ったり、気味悪がったりしないでしょう?」

全てを誰にでも曝け出せる程、人は強くない。
できるとすればそれこそあなたの言う品が無い、だ。
触れた額と手の温度。今はただ、それだけで良い。
いつの日か、その心の一端を開かれたなら、少女はただ静かに側に寄り添うだろう。

「そ、普通はお昼にするのかもしれないけれど、
別に普通を強いられて生きていたくないでしょう?」

ようは外で楽しく食事を取る事を言うのでしょう? と。

「ふふっ。一年に一度、ね。
大事に残さなきゃ」

言いつつカメラを手に取る。
はいチーズ、と。普段の何でもない貴方にレンズを向ける。
顔を背けたりの素振りがあれば、過ぎた冗談だったと謝るだろう。

「えぇ、気を入れて探してくるわ」

セレネ > 「えぇ。私がこうなったのも、父と同じようになっては駄目だと思ったからです。
私生活は自他共に認める駄目な人でしたけど…
彼の観察眼や洞察力…人を見る力や考え方の柔軟さ、視野の広さは、飛びぬけておりましたね。」

己が、一番尊敬する人だ。
父のそういった考え方や人を見る目の真似は常日頃からしているつもりだけれど。
やはりなかなか難しい。

「私の場合、以前の職業もあったりして見慣れているのもあるかもしれませんが。
人を笑ったり気味悪がるのはしたくないですもの。」

己の手はマグカップのお陰で温かい。
そのまま動かないようにしつつ、蒼を細めた。

「何かを強いられるのは好きではないですからねぇ。」

そういうように育てられてきた訳でもないから、余計に好きではない。
逆に言えば、人に何かを強いるのも好きではないとも言える。

「――あら。」

唐突に向けられたカメラ。
驚くように蒼を瞬かせるも、嫌がる素振りは見せず。
小さくピースサインをしてカメラに映ろうとする。

イェリン > 「だけど、貴方のパパが無茶できたのは貴方が居たからなんじゃないかしら。
知らない私が知った風に言うものでは無いのかも知れないけれど、
私も護る者が居なければ強がることすらできないから、そう思っちゃうの」

父を語る彼女の表情は、今までに見る物とは少し違って見えた。
優しそうに心配そうに、ころころと変わるような。
ただ、なぜだかそれが微笑ましくも思えた。

「職業?
……あぁ、そういえばこっちの常識で物を考える物ではないものね」

願わくばこの温もりの絶えぬ事を、と独自の言葉で囁く。

「ふふっ、そこは一緒ね。
誰かの為に、"思えば"動けるのだけれど、言われて動くのって私も性に合わない。
最近になって気づいたわ。やる事が同じでも、ね。」

言いつつ、今まさに先輩先輩と猫なで声で色々とねだっているが、
それはノーカウントらしい。

「……やっぱり先輩には白が似合うわね、
マグカップ持ってるだけでも絵になる」

ピースサインをするセレネをフレームに納め、シャッターを切る。
彼女の嫌うであろうフラッシュは勿論閉じたまま。

セレネ > 「…恐らくそれもあったのかもしれませんね。
彼にもう話が聞けない以上、想像でしかありませんが。」

自分の大切な者達を守る為に。その幸せを見届けたいが為に。
足掻いて、しがみ付いて、手段を問わず生き抜いてきた人だから。
己もきっと、その一つだったというのは分かる。

「…私、元の世界では医者をやってまして。
外科的な事も出来ますけれど、基本は魔法や魔術で行う治療をやっておりました。
魔術医、とでも言いましょうか。そのようなものを。」

彼女が囁いた言葉は己には馴染みのないものだった。
彼女の母国語であろう。
その言葉を受けても、己の表情は穏やかに。

「多少強いられるのを許容できるのも、
大切な人だったり普段仲良くしてくれている友人であればまた
話は変わってきますけれどね。」

現在今彼女のお願いを聞いているのもそういう事だ。

「青色も似合うと思うのですけれどねー。
…上手く撮れてます?」

カシャリと切られたシャッター。
温くなった紅茶を飲んでは、緩く首を傾げる。
フラッシュを焚かれれば初めて会った時の二の舞になるから
彼女の気遣いは嬉しかった。

イェリン > 「――――」

友人の語る、父の姿。
彼女の話に聴くその雄々しき姿の如く、自分は成れるだろうか。
この手の届くその限りを、護り抜ける自身を貫けるだろうか。
そんな思いに、押し黙る。

「お医者さん! 素敵ね、何かを治せる力って。
試した事はあるけど、私はあまり治癒魔術には向いてなかったみたい。
餅は餅屋、ね」

自身で応急処置をした結果が、手の傷でもあるが。
傷は塞がるが、二度としたいとは思わなかった。

「ふふっ、私も貴方にわがままくらい言われてみたいわね。
甘えてばっかりじゃ悪いもの」

言いつつ、カメラを操作して保存されたデータを見直す。
ひとつ、ふたつ。
部屋の照明そのままに撮ったにしては、なかなか綺麗に撮れただろう。
褒めて褒めてと言わんばかりに内側のモニターに映して寄って一緒に見てもらおうとするだろう。
甘えてばかりは悪いと言いながらも、甘えるのをやめるというわけではないらしい。

セレネ > 押し黙る彼女をよそに、蒼を細めて思いを馳せる。
が、ふと瞬くと夜色の彼女に向けて笑みを浮かべた。
大丈夫、貴女なら。貴女のやり方で、護れば良い。

「私の魔力適性と合っていたのもあるかもしれませんね。
…もし貴女が怪我をしたり、体調を崩してしまった時は私の所に来てください。
診てあげましょう。」

傷があれば傷痕無く綺麗に治せるし、具合が悪ければ完全に取り除いてあげられる。
医術と魔術の腕は独学であるが、それらは自信を持って言える事だ。

「…我儘って、どれくらいから我儘なのでしょうね?
私は我儘を言っているつもりでも、
相手からすれば遠慮しているように見られる事も割とありまして。」

要は、己は甘え下手。基本は自分だけでどうにかしよう、どうにか出来るようにしてきたせいもあって。
他者に頼る事がどうにも苦手なようだ。

カメラに写されたデータ写真。
覗き込むように見てみると、なかなかな腕前のようで。

「綺麗に撮れてますね。
…こんなに綺麗に撮られると、流石に恥ずかしい気もしますが。」

マグカップの紅茶を全て飲み干すと、深く息を吐いた。
カップをテーブルに置いて、己の分の衣装の袋を手に取る。

イェリン > 「魔力適正……そこよね。
祓ったり斬ったり、少し物騒な血筋だから適正で言うなら皆無だったわ。
ふふ、心強いけど、あまりお世話にもならないようには努めるわ。
怪我したりすると、悲しませちゃうじゃない?」

それは嫌だもの、と笑う。
万が一にも命を落とそうものなら、その心に傷をつけてしまいそうで。

「どのくらいから、っていうと難しいのだけれど、
少し恥ずかしいくらいの事を頼んでみるくらいかしら。
受け入れてくれる貴方あってこそ、だけれどね。
いつか膝枕くらいさせて頂戴」

一人でできない事って、二人でいる事よ、と。
なまじ自分でなんとかできる彼女だから、
頼る事や他者に求めるという事があまりないのだろう、と。
ならば、ただ側に。

「……そういえば、初めて人に写真見せたわ。
なんだか恥ずかしいわね」

いくつかデータを遡っていくと、遠い雪国の故郷の写真も見える。

セレネ > 「腕が良くとも適性が無ければ難しいですからね。
…怪我で悲しむ、というのはあまり…感じた事はないですね。
感覚がおかしくなっているのかもしれませんけれど、
何故そのような怪我を負ったのか、とか原因の方に意識が向いてしまうので。」

一つの割り切りか、そこについてはあまり何とも思わないようだ。
人の死にも慣れているつもり。だが、親しい人物が死ぬのなら悼みや悲しみはするだろう。
割り切らなければ、医者は務まらないのだ。

「……大分、範囲が広いですね…。
膝枕。機会があれば、ですけれど。」

つい最近、どこぞの彼に甘えたばかりだから
今は甘えたい気持ちはないけれど。
膝枕との言葉に、することはあってもされる事はあまりないから
己はちょっと照れるだろう事は予想が出来た。

「――あら、これは…もしかして貴女の故郷のお写真でしょうか。」

ふと見つけた写真が気になって彼女に問いを投げかける。

イェリン > 「……そう、ね。
治せるものって私が思っていないせいなのかしら。
貴方が怪我をしたら、私は悲しいわ。
傷つけた人の事、どうするか分からないくらい憎むと思うし」

人の死に、というよりは戦うからには死ぬ事もある。
それは自身も受け入れている。
ただ、自身の性質のせいか。
自身の"繋がり"の先を傷つける存在には牙を剥くだろう。

「良いじゃない、膝枕。
貴方がして欲しいと思える相手なら、拒んだりしないわ。
きっと、ね」

少しずつでも、その距離を縮める事を知って貰えたなら、と。

「そ、湖のそばにある、山奥の集落。今頃これより雪に包まれてるかしら。
あとは、パパとママと、私の家族。
――あ」

スクロールしていく中、イェリン自身を写した一枚が現れる。
普通に見たなら何てことのない自撮り。ただ、彼女の蒼ならその隣に写る者も見えるだろう。

「――っ、今のはっ、無し。無しよ。忘れて!
先輩もそろそろ着替えなきゃ!」

慌てて、カメラの電源を切ってしまう。
全様がしっかり表示されるよりも前に手が動いた為、詳細については見えないが、
おおまかに男性の姿が写っていた事は分かるだろう。

セレネ > 「そうなのです?
私が怪我をしても、自分で治せますし、傷痕も残りませんから悲しむ事なんてないでしょうに。」

他者は兎も角として。己は己自身を大切にしない節がある。
己が仮に傷つけられたら、その人の事を憎むという彼女に
不思議そうに首を傾げてみせた。

「…んー、膝枕…。
確かに、貴女も、別の人も、拒む事はしないとは思いますけれど。」

目の前の彼女も、どこぞの彼も、己と似た見目の小さな親友も、
拒む事は…しないのだろう。恐らく。

「ふむふむ、やはり大人数のご家族で――」

色んな景色や人物が写されている中。
一瞬だけ見えた彼女の写真。
いや、正確には二人で映った写真か。

「あら?あらあら、もしかして今のって。」

クスクス、小さな笑みを零しながら、慌てる彼女に蒼を向ける。
慌てて電源を落とした事と、誤魔化すように着替えを促す様子に、
映っていた彼がどんな存在かの予想がついた。

「貴女の想い人ですか?」

イェリン > 「そうなのよ。そういう、ものなの。
理屈では無くてね。
私の好きな貴方に傷ついて欲しくないっていう、
私のエゴだとでも思って頂戴」

身も心もね、と。
不思議そうにする彼女に、そう伝える。
実際彼女が、というよりも自分の大切な物が傷ついて欲しくない。

「別にそれに限った話だけでは無いけれどね。
何でもしてあげたくなるものよ、大切な人の為なら」

望む事なら、叶えてあげたい。
手が必要なら、言葉が必要なら、求める物を。

「うー……なんで先輩って見えちゃうのよ。
好きだった人、よ。もうこっちにはいないけれど。
――私が初めて還せた、神話の住人。
私はあの人の事ばっかり見てたけれど、
あの人にとっては迷い込んだただの仮宿に過ぎなかったのだから、勝手に私が憧れてただけ」

昔の話よ!? と、早口にまくし立てる。
実際、もう二度会える人ではない、一時の夢のような存在。

セレネ > 「…以前、似たような事を別の人からも言われたのですよね。
もう少し自分を大切にしろって。」

そういった言葉は他の人に向ければ良いのに、と思いもしたが。
…いや彼の場合誰にでも言ってそうだな…。
とりあえず、彼女の前では傷つくような事のないように気をつけねばなるまい。

「…貴女尽くすタイプです?」

気質もなんだか犬のようで、忠、という字が似合いそうな。
己も同じタイプだったが、今は少し変わっている。
裏切られたから、心の底から本当に信用出来る、信頼できる人にしかしなくなった。

「ふふ、目は良いので。
――あぁ、成程。そういう事でしたか。
その神話の住人、とか、還す、とはどういう事なのでしょう?」

彼女の過去の人。その話を聞けば、蒼を細めるだけに留め。
話題を変えるように気になった単語を拾い上げ問いかけた。

イェリン > 「そう、そのとおりよ。
もっと貴方自身を大事にして。そうでないと、泣くわ」

泣かせないで頂戴よ? と、困ったような顔で言う。
言葉一つで人の気質を変えられるとも思わないが、一つ祈るように。

「好きな人の為なら何でもしてあげたいとは、思うわ」

それが、自分の望むもので無くとも。
彼が、彼女が望むのならば。
自分の大切な人達の為なら、心の底から世界を敵に回せる。
それがどれだけ危うい事か、未だ彼女は知りえない。

「…恨むわ、その眼の良さ。
神話や伝承。そういった物がこちらの世界に迷い込んで来てしまう事がしばしばあったのよ。
大変容の起こるよりずっと前から、ね。
それを、元居た場所に還してあげる。それが、私の家に伝わる本来の術式。
平和的な者を還して、好戦的な者を祓う。
私がうまく還せたのは、彼が初めてだったしそれ以来うまくできた試しは無いわ」

気軽に試すものでもないけど、と付け足す。
本来人に明かすような内容ではないが、彼女になら、と言う思いもあった。

セレネ > 「……。」

泣かれてしまうのは、流石に困る。
どう言葉を返せば良いのか分からず、口を噤んだ。

「…貴女の抱くその想いはとても素敵な事ですけれど。
向ける人物はよく見て、判断して下さいね。
そうでないと…裏切る人も、居るかもしれませんから。」

彼女には、己と同じ気持ちは抱いて欲しくはないから。
純粋で、だからこそ危険なその想いを。
向ける人物はきちんと見極めて欲しい。

「”狩人”ですもの。目は良くないと獲物は狩れませんから。
…ふむ?…へぇ、不思議な事もあるのですね。
神話…となると、神もそれに属するのでしょうか。」

相手から蒼を外し、衣服の袋を開けながら。
努めて冷静に問いかけた。

イェリン > 「そうね」

自身の選択に絶対の信を置く。
自身の信条に従ったその先に、誰かに裏切られたとして、
それは私を変えてしまうかも知れない。
その危険性は、感じないとは言えない。

「――そうね」

自分を見る蒼に込められた想いを受け止める。
憐憫でも無い、複雑な感情。
受け止めて、しかと飲み込む。

「私からしたら大変容以降の存在や異能の方が不可思議なくらいよ。
何を神とするのかというのはあるのだけれど、私が還したのは戦神として崇められていた存在だったわ。
だけど術式自体今は不安定。不安定になったの、大変容以来ね。
だから私はここで学んで、発展させたいの。

――もう一度だけ、会いたいのよ」

わがままでしょう? と、未だその域が見えぬ無力さに困ったように笑う。

セレネ > 彼女には、願わくばそのままの彼女で居て欲しい。
様々な人との関わりの中で、変わってしまわない事を願うしかない。
そうなって欲しくないから、己も出来る限り力になろうと思う。

「貴女が今の貴女のままで居られるよう、私も力になりますよ。」

夜の色を持つ彼女らしく、澄んだ色のままで居て欲しい。
受け止めてくれた彼女に緩やかに微笑みを。

「戦神…。
色々な世界から来るのでしょうし、
術式が不安定になるのも仕方ない事なのかもしれませんね。
――ふふ、好きな人なら、もう一度だけでも会いたいものですよね。」

その気持ちはとてもよく分かる。
どういう人だったの?と、少しだけ踏み込んだ事も聞いてしまおう。
その表情は非常に楽しそうなものだった。

イェリン > 「ふふっ、貴方がそう言ってくれるなら頼もしいわ」

澄んだ色こそ澱みやすい。
清濁入り混じる夜色の水面は、月の色に照らされて凪いでいた。
女神の微笑みに護られて。今は、まだ。

「もともとこっち側の出口自体がそう多く無かったからかしら、
それがそこら中に出てくるまではもう少し安定していたそうなのだけど。
――好きだって、そうだったんだって。
還して、別れて、一人になってから気づいたの。
心残りよ、想いも告げていないのだもの」

思い返すように、無邪気に術式の成功を喜び、
彼の感謝に胸を一敗にした日を思い返す。

「私と同じ、槍を武器に戦う人だったわ。
英雄譚の一つ、農民の出から女神の祝福を受けた一人の戦士。
空を駆ける邪龍を倒したとか、東の山を荒らす三つ目の巨人を鎮めたとか、色んな武勇伝で飾られた武人だったとか。
娘がいるって、家族がいるって。
彼の載っている英雄譚にはそんなこと書いてなかったけれど、
その世界の話もたくさんしてくれたわ」

ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」からイェリンさんが去りました。
セレネ > 【PL:一時中断致します。後日再開予定。】
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」からセレネさんが去りました。