2021/11/22 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 とある部屋」に深見 透悟さんが現れました。
■深見 透悟 > ――転移荒野での出来事の直後
≪転移≫の術式を用いて転移荒野から脱した透悟だったが、
その実『どこに転移するか』までは術者本人も与り知らぬ処だった
ただ前提として『術者と少なからず縁のある人物の許へ飛ぶ』という効果は発動するので、
既知の相手が居ない転移荒野からの離脱に使うのは効果的だったと言える……かもしれない
そして透悟が転移した先は、女子寮の一室だった
「お、わ……みぎゃんっ!!」
突然部屋の中、床から2mほどの高さに出現し、そのまま自由落下
五体満足であれば難なく着地が出来たものの、
右腕(というより右胸半分から先)と左足を失っていた透悟はまあ見事に着地に失敗
情けなくも尻餅をつくように床へと転げてしまった
「あいててて……と、ここは……部屋の中か」
自分がどこに転移したのかをすぐに察する
とはいえこの学園内で既知の相手がそれほど多くない透悟、数限りある転移先を予測するのは然程難しくもなく
ひとまず、この部屋の主が居ないか辺りを見回して
ご案内:「常世寮/女子寮 とある部屋」にイェリンさんが現れました。
■イェリン > 陽の落ち始めた時分、故郷には無かった"湯を張る"という贅沢を堪能しきった頃。
髪にドライヤーを通している最中に聞こえた騒音にビクリと体が跳ねる。
拭き切れていない雫もある程度断念しながら寝間着に腕を通し、
長い黒髪をタオルに巻き込んで纏めてしまう。
比較的セキュリティのしっかりしている寮だけあって盗人等の話を聞く事が無かった。
それだけに、脱衣所を出る姿は強く周りを警戒する。
念には念を、さも当然のように壁の張り紙から槍を取り出しリビングに向かうが――
そこにはほぼ半身を失った友人の姿があった。
■深見 透悟 > 「むー……?」
どうやら今いる部屋には誰も居ないようで、ひとまず安堵して胸を撫で下ろす
相手方の目の前に突然現れたとあれば不要な驚きを与えてしまう事になったろうから、まずその心配は杞憂に終わったと
しかし、まあ、結果的に驚かせることにはなっているのだが
人工の灯りが照らす室内、リビングである事を確認すれば、次いで自分の身体の状況を確認
腕もない、脚もない、体や顔にはヒビが入っている
こんな状況で知り合いと顔を合わせれば、どんな表情をされたものか――
「まあ、大方事情は察してくれる気はするけど、も……あ
ど、どーもイェリンさん……お、お邪魔シテマス……」
リビングから続く廊下の先、こちらを窺い見る姿と目が合った
半ば予想していたその顔に、思わず笑みが零れる透悟
ついさっきまで緊張の最中にあった故に、その安心感は途轍もなかった
■イェリン > 一瞬の戦慄、右半身のおおよそと左足を失った透悟の姿。
しかし相手が誰であるかを確認するや否や、視界に映るモノよりもそこに居るモノの近くに集中する。
額を、頬を流れるのは拭き損ねた雫か、汗か。
ぼんやりと部屋の中央に感じる魔力の塊のような存在に気付いた頃、
ひび割れた顔から声が聞こえた。
てっきり既に身体から離れていた物と思っていたばかりに、強張った身体がまた小さく跳ねる。
「……驚かせるのが趣味なのかしら。
死んじゃったのかと思ってびっくりするじゃない」
今自分はどんな顔をしているのだろう。
怒るに怒れず泣きそうになった所に普段と変わらぬ笑顔を向けられては困った顔しかできない。
一周回って冷静にでもなったのか、口をついて出たのは普段通りの口調。
「……せっかくの身体だけど、治せるかしらコレ。
専門外なのよね」
ひび割れた頬に触れ、欠けた身体に触れ、悲し気に言葉を漏らす。
変わらぬ無機質な土製の感触に、強張っていた力が身体から抜け、
無事で良かったいう独り言と共に槍を虚空に還す。
「でも無茶はしないで、って。
私、約束した気がしたのだけれど――」
責めるように言うが、そこに透悟への怒りは無い。
数少ない友人に牙を向けた存在に対しての憎悪に近い感情が、言葉を重くする。
■深見 透悟 > 「まあ一応幽霊だし?驚かせるのは一家言あるというか、ないというか……
実際死んじゃってはいるんだけどね、元から!あはは…」
ほらやっぱり驚かせてしまった。しかも想像以上に相手は肝を冷やしたらしい
無残にもボロボロの様相を呈した身体の中には、まだしっかりと透悟の霊魂が宿っている
その為まだこうして喋れるし、笑える、冗談もいつも通りに
「そりゃあ完全自給自足のオーダーメイドだもの
まあゴーレム関係に長けた人なら直せるかもだけど……自力で直せるよ、手足は時間、要るけど」
心配そうに、身体に触れて確かめる友人の姿に少しだけ胸が痛む
緊急の転移先として一応は無作為に選ばれてはいるものの、この人ならと思っていた節もあった
沈痛な面持ちのイェリンを見て、小さく、ごめんねと呟いて
しかし続く言葉には流石に失笑を禁じ得ず
「あはは……、……ホントすいませんっした
無茶をする気なんて更々無かったんだけどね、実際妖物魔物の類に対する準備は怠らなかったし
今回はその、ちょっと相手が悪かった、と言いますか……」
え、ちょっと、怖い怖いとふつふつと昏い感情を湧き立たせるイェリンを見て焦る透悟
既に身体に傷を負わせた輩は透悟によって送還されている
だから怒りの矛先を向ける相手は居ないのだ
■イェリン > 「ふふっ、いつも通りね。
ジョークが言えるくらいに元気なら、安心していいのかしら」
いつまでも暗い顔をするのは性には合わない。
透悟が無事だというのであれば、困ったように肩を落としこそすれど、いつもの調子で応じる。
「転移荒野からここに転移して来たのでしょう?
それだけの事ができる魔術師が用意をしてもボロボロになる相手なら、ホントに厄介なのにぶつかったのは分かるわ。
私の大切なモノを傷つけたんだもの、生きてたら二度と土を踏めなくしなくちゃ…」
二度も傷つけられたら我慢ならないわ、と笑いながら言う。
島に来てから自身に芽生えた強欲さ。
宝物を傷つけられた子供の怒りのように純粋な、想い。
「っと、今は貴方が無事な事の方が重要ね。
元よりそのゴーレムの調子を良くするために由来の物を探しに行ったはずだけれど、成果はあったの?」
■深見 透悟 > 「俺は端っからいつも通りでしてよ?あ、嘘。魔力が底尽きそう
まあそれくらいだから、安心してよ。突然来ちゃったのはホントごめん」
残っている左腕だけでガッツポーズを作ってみるも、意外としんどいのですぐに腕を下ろした
転移荒野での立て続けの魔術行使、そしてここへの転移
いくら幾つかの幸運があったとはいえそろそろ空元気も出なくなりそうだと透悟は自覚していた
「まあ、その転移も色々なラッキーの上でどうにか出来たって感じだけど……
ちょっと、怖い怖いイェリンさん。美人が凄むと迫力がパネェんだって!
……あ、でもちょっと今の何かキュンと来たぁ。」
うっ、と思わず胸を押さえる透悟
この友人が他者を大切にする人物であることは重々把握していたが
改めて自分がその中に居ると思うとなんだか浮ついた気持ちになってしまう
「あー、うん、そうそう。そうなの
そっちも勿論上手く行ってさ、ほら見てこれじゃじゃーん!
俺が、元の世界で使ってた杖!こいつは腕と足を犠牲にしてもかなり御釣りが来ますぜ!」
転移荒野で窮地に陥った中、半ば偶然に手にした一振りの杖
長さ30cmほどのそれを、得意満面で翳して見せる
■イェリン > 「魔力、ね。分けれる物ならそうしたいのは山々なのだけど。
元より性質も何も別物だから、身体に毒かも知れないわね。
突然だったからおかまいもできなくって、ごめんなさいね」
言って突然、という言葉に改めて自分の姿を省みる。
本当に突然だったのだ。下着も着けていない。
目の前で惨状としか言いようのない姿をした友人に外に出てくれとも言えず、毛布を引っ張り出して羽織って誤魔化す。
冷えちゃうなどと嘯きながら、やや眼を逸らすようにして。
「はじめにあった時、渡しておいて良かったわね、ソレ。
本当は私が目印にするために渡したのだけど、役にたったなら良いのよ。
皆のお陰で今の自分があるんだもの。
その一部を失いでもしたら、耐えられないわよ」
耐えるくらいなら元凶を滅するとでも言わんばかりの言いぐさ。
極めて自然な感情として、人との縁を人並み以上に大切にする。
村民全員皆家族といったような村社会の中で育ったがゆえの価値観でもあった。
「杖……杖!
良いじゃない! 魔術師にとっての象徴みたいな物でしょう?」
馴染む馴染まないといった話のレベルではないだろう。
自分にとっての槍のように、魔術を行使する際に使用していた物ならば、彼との相性といった点では抜群の効力を見せるだろう。
ご案内:「常世寮/女子寮 とある部屋」からイェリンさんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 とある部屋」にイェリンさんが現れました。
■深見 透悟 > 「それがそうでも無いんだなー?
確かに魔力の譲渡は相性の壁はあるけどさ
俺の魂がどうにか魔力を生成するのを補助してもらう事は出来る
まあ、だからある意味ここに来ることをワンチャン賭けて転移したんだけど」
おかまいなんてそんなそんな、もう充分ですと朗らかな笑顔
イェリンの扱う魔力が身体に毒かはともかく、既に目の方は福福している状態だった
美人の湯上り姿なんてそうそう見られるものでもなし
「ホントに、これ持ってて良かったよ
もし無かったら知ってる人の所に完全にランダムジャンプしてたし……まあそれでもだいぶランダムでここに来たんだけど
ああなるほど、そういう考えか……まあそれも良いなあ
ま、イェリンさんにとって為になる様な事した覚えはないけどね、俺!」
これまで縁のあった人のお陰で自分が居る
その発想は意外にも透悟の中には無かった物だった
少しだけ羨む様に目を細めてから、手の中の杖に視線を戻す
「そうなんだよ!やっぱり俺の魂がこっち来た時に一緒に流れ着いてたのかなあ……
それとも後から漂着したのか。まあいずれにせよ、核としては値千金な超掘り出し物ってわけ!」
誇らしげに軽く杖を振ってはいるが、悲惨な肉体には変化が無い
即座に修復できるだけの魔力が無いからだった。術式発動の切っ掛けとなる、透悟自身のオドが
■イェリン > 「というと、何か手立てでもあるのかしら。
前みたいに抱っこでもしてみる――にはあんまりな状態ね……
変に抱き上げたら余計に崩れちゃいそうだし」
ミノムシのように茶色の毛布の中から顔だけを出して言う。
以前は意味があるかどうかも知らずにぬいぐるみに温もりを与えるように腕の中に抱いていたが。
「それ、ウイルドっていうルーン文字なのよ。
何も刻んでいないんだけど、それに意味があるの――運命っていうね。
為になったかどうかを決めるのは私だもの、覚えが無くても縁は繋がるモノよ」
数多くあるルーンの中からそれを選んだのは、偶然だった。
身体を持たぬ彼が、過酷な運命に巻き込まれぬようにと願っての事でもあったが。
「核にするのにはうってつけの物が手に入ったけど、今度は魔力が空っぽ……って訳ね。
ホント、何を相手にしたのよ」
興味深そうに目の前で振られる杖を視線で追う。
元より何もない土くれからあれだけの身体を作り上げるのだ。
実力は十分に足りているのだろう透悟が、無邪気に杖を振る姿に唇を尖らせる。
■深見 透悟 > 「そう、それ――!
美人の抱っこは何よりの活力ってね―――というのはまあ、冗談でも無いんだけど
魂だけの俺がどうして存続してるのか、ゴーレムの改良ついでに考えたんだけどさ
どうにもこの精神だけの存在ってのは、感情の起伏にかなり影響されるみたいでさ
………まあ、何だ、その
―――大事な友人との触れ合いほど、気力の湧くものは無いじゃん!」
概ね真実を口にはする物の、要所要所は省いたり言葉を変えたり
感情もさることながら、実のところ現在の透悟は生者同様に三大欲を満たす事によっても自身を構築する魔力の生成――つまりは存在の確立を行っていた
しかしながら本来の肉体は既に異世界の彼方、食欲と睡眠欲を満たすには器が役不足
であれば必然として―――である
「へえ、ルーンか
ルーン魔術自体は知ってはいたけど、これが現物なわけか
なるほど、運命ね……あらやだぁ、意外と熱烈な物だったわけね?え、違う?そんなぁ~」
ケラケラと笑いながら、友人から贈られた小石を取り出し眺め、大切にポケットへと戻す
何はともあれ運命という言葉通りに透悟の人生は進んでいるのだから
「そういうわけっ!
あー……えっと……ワイルドハント……の一員?」
ぽそり、目を逸らしながら呟く。別に咎められたというわけではないけれど
以前聞いたところによれば、イェリンは北欧の出身らしい
であれば、死を伴う狩りの軍勢を知らないという可能性は低く思えたから