2021/12/26 のログ
セレネ > 「あら、まぁ。有難う御座います。」

褒められるとちょっと照れる。嬉し恥ずかし、少しばかり頬を赤らめては

「いえ、この子他の子より警戒心が強い子でして。
初めて見る人にはこういう反応するんです。
慣れてくれればそういう事もなくなるのですけれど。」

彼女は何も悪くないのだ。この子の警戒心が高いだけで。
青を夜色の彼女に向け、じっと見つめる。
そして徐に立ち上がれば、相手の傍へと歩いてくるだろう。

「明日は凄く冷えるみたいですね。
…うーん、いいえ。折角ですしゆっくりしていて下さいな。」

手伝おうかとの言葉は嬉しくも、相手は今回お客人。だから
ゆるりと過ごして欲しい。

「え?えぇ、そうですよ?
ストレートからフレーバーまで、ある程度は揃えております。」

ちょっとしたお店なら開けそうなくらい取り揃えている茶葉。
最近、増やし過ぎて置く場所に困っているのは小さな悩み事。

「何か飲みたい茶葉はありますか?」

あまりにマイナーなものは流石にないが、有名どころなら取り揃えているので。
何かあるかと尋ねてみた。

イェリン > 「……えへへ」

音符マークでも見えそうなくらいに上機嫌に。
照れる先輩の可愛らしい事。
赤らめた頬と白い肌のコントラストに目を引かれる。

「ん……おいで?」

膝下まであるニットのワンピース。
クッションよりも居心地が良いかは分からないけれど
歩み寄る姿に首を小さく傾げながらにゃー、とひと鳴きしてお誘い。

「もうすぐ今年も終わっちゃうし、冬本番って感じね。
 ふふっ、はーい」

ゆっくりしていてと言われたならば、通された部屋の隅に持ち込んだプレゼントの袋を置き、
ぺたりと座りこんでは猫と目線を合わせてコロコロと無邪気にじゃれあおう。

「種類が多すぎるとそれはそれで悩んじゃう……
 あ、カモミールはある?」

故郷で好んで飲んでいた物。
じんわりと身体の芯から温まるような、不思議なハーブティー。

セレネ > おいで、と誘われた白猫。
おずおずと夜色の彼女に鼻を近づけスンスンと匂いを嗅ぐ。
猫の鳴き真似をした彼女が可愛らしく、聞いていた己が内心可愛さに萌えたのは内緒。

「そうですね、一年が終わるのも結構あっという間でした。」

視界の端に映ったプレゼントの袋。中身は何だろうかと楽しみにしつつ、
猫とじゃれ合う相手を微笑まし気に眺め。
白猫はふわふわと尻尾を振り、みゃーと小さく鳴くだろう。

「カモミールですか?勿論ありますよ。」

ハーブティーも各種取り揃えておりますとも。
ならば今回はカモミールティーだな、と茶葉の入れ物を取り出して。
沸いた湯でティーポットとカップを温め、手慣れた手つきで茶を淹れる。
数分蒸らす為に砂時計を逆さにすれば、既定の時間まで待つ事と。

イェリン > 静かに鼻を近づけて来た白猫の姿を見ると、そっと手袋を外す。
ごわごわとした手袋の質感が嫌がられると思ったのが半分、その温もりと手触りに直に触れたいのが半分。
嫌がる事が無ければ、やわやわと背中側をさするように撫でる。

「私が来てからだと数か月。
 こっちに来てすぐに先輩に会えて本当に良かったわ」

右も左も分からない内、教わった事も多く。
自分の知らない季節のこの島を、彼女は知っているのだろう。
これから、訪れる春の季節。
私の知らない事はきっとまだまだ沢山あるだろう。

「ホント? 大好きなの、カモミール。
 ちょっと独特だけど、何というか落ち着くの」

沸いた湯の蒸気が少し部屋の湿度を上げて、ティータイムの訪れを感じる。
しばし手持無沙汰に白猫と遊びつつ。

「ねぇ先輩。この子なんて名前なのかしら」

鼻先に人差し指を差し出してふりふりと揺らしながら、キッチンの向こうの月色の友に問うてみる。

セレネ > 警戒が少しずつ解けてきたか、逆立てた毛も尻尾のみ。
彼女が白猫の背をそっと撫でるなら嫌がる事なく撫でられよう。
毛並みは白く艶やかで、柔らかな感触と温もりを伝える。

「会えてなかったら、
もしかしたら一人でクリスマスを過ごす事になっていたかもしれませんね。
私も貴女に出会えて良かったと思いますよ。」

共通点もあってか仲良くなるのは早かった。
これからも色んなことを知り、学んでいくだろう彼女の
助けになれれば良いと思う。

「ハーブティー、独特なものも多くて苦手な方もいらっしゃいますけれど。
香りが良いのですよねー。」

カモミールやレモングラス、ミント、ラベンダー…などなど。
豊富な種類があって楽しい。
ふと彼女から愛猫の名を聞かれたなら

「あぁ、彼女はアルミナという名ですよ。」

揺れる人差し指に釣られて青を忙しなく揺らしながら、
告げられた名に応えるようまた小さく鳴いた白猫。

イェリン > 「アルミナ、アルミナね。
 おいで……」

みゃう、と小さく鳴く白猫。

「ふふ……びゃ」

くりくりとした青い眼を自分の蒼で見つめていたら、
不意に飛んできた猫パンチを顔に受ける。

「にへ……」

アルミナも痛くする気が無いのだろうか、爪を立てられるわけでも無くタシタシと指を差し出すとそちらと遊んでくれる。
あぁ、動物は本当に、本当に可愛らしい。

「一人で過ごすクリスマス、こっちに来たから耐えなきゃって思ってたんだけど、ダメね。
やっぱりパパに連絡したら人恋しくなっちゃって、早く先輩に会いたくてしょうがなくなっちゃった」

物珍しい物や目新しい物。
目まぐるしく過ぎていく日々の中で、共有できる物があり、
生活圏も近い彼女の存在がどれだけ頼りになったか。

「香りだけならラベンダーも素敵よね……」

牛乳を注ぐだけでまた香りも変わる。
ストレートのままでも、甘くしても、それぞれの味わいがあって。

「……でも一緒に合わせる物にもよるかしら」

セレネ > 『アルミナ、叩くのは駄目。顔は駄目よ?』

動物相手には英語で話しかけているので、
愛猫へと注意の声を飛ばす言語も流暢な英語。
爪は出さず、噛みつく事もなく、夜色の彼女と遊ぶ白猫はいつもより元気そうに見える。

「ご家族、お元気そうでした?
…一人はいつだって寂しいものですからね。」

写真だけで見た彼女の家族。どんな声をしているのだろう、どんな性格なのだろう。
気になってしまうのは、己自身家族に会えない寂しさもあるからだろうか。
過るのは父と、義理の娘。伏せた蒼は落ちていく砂時計の砂を眺めて。

「えぇ、ラベンダーの香りも素敵ですよね。」

味はなかなか独特だけれど。
彼女の言う通り、合わせる物によって美味しさも変わる。

さて、砂が全て落ち切ったなら、ポットを揺らして濃さを均一に。
二つのカップにハーブティーを注いでいく。
青と白に金の意匠の施された茶器。
一滴残らず注ぎ終えれば、ソーサーに乗せてローテーブルへ。

「お茶請けはどうしましょうか。
予め作っていたの、クッキーくらいしかないのですけれど。」

バターにチョコ、ジンジャークッキー。
後は手土産にしてほしいシュトーレン。
小皿にそれぞれ数枚乗せ、シュトーレンは手提げ紙袋に入れて持ってくる。

「これ、良ければお土産にして下さいな。」

洋酒は入れていないものを作っておいた。口に合えば良いけれど。

イェリン > 先輩はこの子には英語で話かけるのね……
それなら私もそうしよう、郷に入っては郷に従えというのだし。
スウェーデン語はあまり広く知られる言葉では無いから、
英語も必然的に身についていた。

『……にゃー』

とはいえあまり変わる事も無く。

「うん、皆元気だって。
 先輩のお陰で、今日も私は寂しくないわ」

目の前の友は家族に会う事はおろか、その声を聴くこともこちらでは叶わないという。
いつか自分の魔術が万全の状態と成った時になら、彼女の力になれるだろうか。

「えぇ、でもクッキーに合わせるにはちょっと主張が強いから、今日は残念だけどお預けかしら」

小さく揺れる水面の鮮やかな薄い緑に近い色のハーブティー。
青と白のクラシカルな色あいに金の差し色が綺麗な茶器は見ている調度品のような美しさで。
月色の彼女に、良く似合っていると思えた。

「先輩の用意してくれた物ならなんだって嬉しいわ。
 ……あ、でもチョコレートも合いそう?」

小皿に乗せられた色とりどりのお茶請けに目を泳がせつつ、
渡された紙袋を満面の笑みで受け取る。

「ありがと、先輩」

――が、自分が返せるものを用意していない事を思い出すと
部屋の隅に置いたラッピングされた袋に視線が行く。
少し申し訳なく思う心はあったけれど、頂いた物への感謝の言葉は忘れる事も無く。

セレネ > 聞き慣れた言語で話しかけられた白猫は、ピクリと耳を傍立てて。
叩いてしまった事を謝るかの様、頭を彼女へ寄せて擦りつけようとした。

「そうですか。体調も崩していないようなら安心ですね。
…ふふ、そう言ってくれるなら呼んだ甲斐もありました。
今後も気軽に遊びに来て下さいな。」

彼女の想いは露知らず、己は取り繕うように笑みを浮かべて。

「なら、もし良ければ後で此方も一緒にお土産にして下さい。」

タッパーに入れてしまおうか、と考えつつ。
すぐに腐るようなものでもないし、美味しく食べてもらいたいから。

「ふふ、私も同じ気持ちですよ?
――どう致しまして。」

述べられた礼には微笑みを返し。
そして彼女の蒼が向けられた先は先程置いた袋。
そう、お茶も淹れた事だし、そろそろ本題にいかなければ。

自分のカップをテーブルに置き、机の引き出しにしまっておいたプレゼント二つ。
綺麗にラッピングされたそれを背に隠しながら元の位置へと。

イェリン > 「……くぅ、私も飼いたくなる……」

英語を口にするや否や、よそ者に対するキツイ態度の片鱗は溶け去り、
すりすりと頭を擦りつけてくるアルミナを前に悔し気に零しながら。
ただ、父母にキツク一人で面倒を見れる物では無いのでやめておくようにも言われているのでここは我慢。

「――良いの?」

 甘いお菓子に美味しいお茶。
 優しい先輩に可愛い猫までいる素敵な場所。
 頻繁に訪れるのはさすがにマズイとは思うけれど、
 ふさぎこむような事があったらお邪魔してしまうかもしれない。

「ありがとう。あと、良かったら少しだけ茶葉も分けて欲しいわ。
 今日は私の好みを淹れて貰ったから、先輩のおすすめをいくつか」

良いかしら? と無意識に上目遣いに。
持ち帰ったお菓子とよく合う物は、先輩の方が良く知っているだろう。

「……?」

そろそろと立ち上がると離れていく先輩の背を見やり首を傾げ。
背に回して何かを隠す手を、膝に乗せたアルミナと一緒に揺れながら目で追う。

セレネ > 「…この子、元々捨て猫だったんです。
他にも4匹の子がおりましたが、全員幸せそうに健やかに育っているみたいですよ。」

犬や猫、鳥も可愛い。悔しそうな声にクスクスと笑いつつ。
愛猫と出会った時の話を少しだけ。

「えぇ、勿論。」

拒む理由などどこにもない。
彼女が来たい時に、居場所になれればと。
ただそれだけのこと。

「んー。そうですね…分かりました。構いませんよ?」

上目遣いに問うてくる蒼。そういった所も可愛らしい。
頭の中でいくつか候補を上げながら、彼女の前へと二つのプレゼントを差し出そう。

「クリスマスといえばプレゼントですよね?
ということで、私からの贈り物です。」

小さな袋は己と同じサファイアのスタッドピアス。
細長い箱型の包みは、小さなティアドロップの形をした
ムーンストーンのペンダントがそれぞれ入っている。

イェリン > 「捨て猫?」

そう聞くと怪訝な顔をして、腕の中に抱いたアルミナを見る。
毛並みは綺麗で、ツヤもある。しっかりと食事を与えられて、世話をされている証拠。
皆、今は幸せそうにしていると聞くとそうみたいと笑ってアルミナの頬をくすぐる。

「ふふっ、先輩の部屋って香りを嗅いでるだけでも幸せな気分になれるし、
 それはありがたいわね」

香水にして手元に置きたいとすら思ったローズの香り。
それがルームフレグランスでも置いたかのように部屋中に広がっているのだ。
どこか心がふわふわと落ち着きなく、だけれども安心する香り。

「ふふっ、ありがとう先輩」

無邪気に笑顔を向けていると差し出される二つのプレゼント。

「わぁ、ありがとう先輩!」

開けてみても良い? とそのまま言いかけて、慌ててとりなす。

「ちょ、ちょっと待ってね先輩。私も持ってきてるからっ。
 これ、私から先輩へプレゼント」

貰った袋とはサイズが見るからに異なる大きな袋を抱えるようにして部屋の隅から持ってきて手渡す。
中には常世渋谷で出会った黒毛に蒼眼の犬のぬいぐるみが一匹。

「……開けてみても良い?」

セレネ > 「えぇ。生まれたての小さな子達が5匹、
段ボール箱に纏められて茂みの中に置かれていたんです。」

頬を擽られる白猫は、ゆるりと尻尾を振って。
大人しく彼女に抱き抱えられている。警戒心はもうどこかに行ってしまったようだ。

「私自身は鼻が麻痺しているのか分かりませんけど、
他の人曰くそうみたいですね?」

部屋に泊まる彼も己の香りについて言及していた。
しかし彼も今居る彼女も、どちらも嫌ってはいないようだから
今の所は放置気味。別段特に問題も起こってないし。

「どう致しまして。
――あら、貴女が選んできてくれた子はどのような子なのか、
楽しみにしてたんですよ。」

抱えられる大きな袋を受け取りながら、

「えぇ、どうぞ。一緒にプレゼント、開けてみましょうか。」

彼女が頷くなら、共にお互いの贈り物を開けるだろう。

イェリン > 『……優しい人に見つけて貰えて幸運ね』

ゆるゆると揺れる尻尾が腕に巻きつくように動いたり、
指先を立ててマッサージするように撫でても逃げたり怒ったりする様子も無く。
手の中で微睡む白猫に微笑みを向ける。

「なんだか、表現しづらいのだけど。
 ほわほわするの、お酒でも飲んだみたいな感じ」

あまり嗜む事は無いが、地元では自分の歳なら飲まされるものでもあったその酒気を思い返す。

「ふふっ、他にも可愛い子が沢山いたのだけど。
 一番気に入った子を連れて来たわ」

猫派だったかな? と今になって少し心配する思いはあるけれど、
気に入ってくれると思って選んだ物だ。
――行っておいで。

こくりと頷き、丁寧に包装された袋のリボンを解き贈り物を開く。

セレネ > うとうとと、彼女の温もりに安心したのか眠そうに青を瞬かせる白猫。
ついには彼女の膝の上で丸くなり眠り始めた。

「…あぁ。だからか。」

夜色の友人の言葉を聞いて納得する。
成程、彼の様子がおかしかったのもそういうことかと。
風邪を引いた時の熱のような、酒を飲んだ後の酔いのような。
尤も、普段と違う状態だったからこそああなったのだろうし、
その状況を己が利用したのもあったのだけど。
成程、と一人合点する。

「あれこれ悩ませてしまったかしら。
だとしたら、少し申し訳ない気持ちもありますね。」

頷いた相手を見ると、袋のリボンを解き中を覗いた。
見えたのは黒と白の毛並み。

「……あら、まぁ。可愛らしい子。」

ゴソリと取り出すと、出てきた子は夜色の友人と似た蒼を持ったシベリアンハスキーのぬいぐるみだった。

「ふふ、まるで貴女がぬいぐるみになったみたい。
…有難う御座います、大切にしますね?」

イェリン > 「……?」

きょとんとした顔で、セレネの納得したような様子を見やる。
ぼーっとするような程では無いにせよ、熱に浮かされたような感覚。
此処に入ってから、振る舞いが外でのそれよりも些か幼い感情を見せているのはその成果も知れない。
ただ懐いた人にはこうなってしまうだけなのかもしれないけれど。

「二つも貰ってしまって良いのかしら……」

恐る恐る、袋の中から箱を取り出す。
数瞬悩んで小さな箱から開ければ、中からはお揃いのピアス。

「綺麗……。
 ふふっ、先輩とお揃いね」

似合うかしら、とうなじをかき上げて耳に当ててみる。
普段使わないせいで、すぐに身に付けられないのがもどかしいけれど、
大好きな先輩と同じ物というだけで気分は高揚するというもの。

「……私がぬいぐるみに?
 えぇ、アルミナも仲良くしてくれると良いのだけど」

犬っぽさに自覚は無く、喉を鳴らしながら眠るもう一人の居住者のご機嫌を損ねないかを気にかける。

「こっちが……
 これがムーンストーン?」

次いで開けた細長い箱。
中から出てきたのは光の当たり具合で様々な煌めきを見せる石を携えたペンダント。
息を飲むような美しさに、しばし手の中でじっくりと観察してしまう。

セレネ > 「あぁ、いえ。気にしないで下さい。」

不思議そうに己を見た蒼に、己は首を横に振って。
何でもないのよ、と優しく彼女の頭を撫でようと手を伸ばした。

「私があげたいと思っただけなので気になさらず。」

二つもだなんて言葉を耳にすると、申し訳ないと思わなくても良いと告げ。
彼女の喜ぶ顔が見たかっただけだ。だから、己にはそれだけで充分お釣りがくる。

「えぇ、そう。私とお揃いです。」

試しにと髪を掻き分け耳に宛がう彼女。
深い青が夜色の髪と白い肌に映え、煌めいている。
己の見立ては悪くなかったようだ。安心と共、似合うと褒め。

「黒と白の毛並みとか、この蒼い目とか。貴女にそっくりだなって。
そうですね…あまり可愛がり過ぎると拗ねてしまいそうですし。」

飼い主に似たか、嫉妬深い子だから。
この間も拗ねさせてしまって宥めるのに苦労したことを思い出す。

「そう。それがムーンストーン。
服の下に隠しやすいようにとか、あまり目立つものもどうかと思って控えめなものにしたのですけれど。」

小さな月色は光の角度により蒼い光を放って、柔らかく煌めく。
じっくりと観察する彼女に、気に入ってくれたかしらとやや不安げ。

イェリン > 気にしないで、と言われると気になる物だけれども。
手を伸ばされたならご機嫌に自ら撫でられに行く。
分かりやすく誤魔化された事には気づいていたけれど、
何でもないというのであれば、それでいいと言わんばかり。

「それなら、大事に使わせてもらうわ」

好意でくれた物なのだから、それを無下にしたりしない為にも。
普段使いしやすいようにと気を使って選んでくれた物だ。
よっぽど大暴れでもしない限りは落として無くすような事も無いだろう。

「ふふっ、ありがと。先輩」

白の中でこそ煌めく蒼であると憧れにも似た思いで見ていた宝珠のような輝き。
それが自分にも似合うと見立ててくれた事に、胸がいっぱいになってしまう。

「羊とか、猫とか。色々迷ったけれど、その子が一番先輩の家に行きたそうだったから。
私に似ているなら……アルミナもちょっとは手心を加えてくれるかしら」

ぬいぐるみが、というよりも無意識に似通った物を選んでしまったのかもしれない。
よく拗ねる白猫の嫉妬深さは、飼い主への愛情の裏返し。
本当に可愛らしい子猫ね。

「これ、すっごく気に入ったわ」

まるで万華鏡のよう。
派手派手しく無く、今日の装いのような物や普段の物にも違和感なく飾り立ててくれるさりげなさと、
先に収められたムーンストーンの輝きに目を奪われて。
蒼い光にうっとりと。
いつからか、己は月の虜になっていたのかもしれない。

セレネ > 彼女がどうしても気になるのなら、やや言い難そうに話すだろうが。
問われないのならそのまま彼女の髪を優しく撫でて。
ご機嫌な表情の彼女に、微笑む笑みは少しばかり母性が滲んでしまったかも。

「無くさない事を願っておきますね。」

この島でなら、余程の事がない限り大丈夫だとは思うが。
まぁ、失くしてしまったらそれはそれ、また買えば良い。

「いえいえ、此方こそ。」

礼には礼を返し、反応を見ている限りなら良さげな感じだと思った。
人に贈り物をするのは好きだが、毎回ドキドキしてしまうのはどうにかせねばなるまい。

「貴女の勘ですね?ふふ、ならその勘は大正解です。
…そう、ね…多分慣れれば大丈夫…かな?」

どうにも合わない時には、この子は就寝時以外仕舞っておいた方が良さそうだ。
折角のプレゼントをボロボロにされるのは悲しいから。

「あぁ…良かった。その言葉を聞いて安心しました。」

己の髪にも似た月色。その輝きを気に入ってくれたらしい。
魅了されたかのような蒼は、己の纏う香りのせいか。それとも宝石の輝きのせいか。
月に魅了されるのは、どの世界も、どの人種も、変わらないらしい。

イェリン > コースケの言っていた"クロロ"なる人のお話は、未だ知らぬ事。
口に出せばだれが怒られるかは知っているから。
悟るような事があったとしても、紹介されるその時を待ちながら。

「えぇ、絶対に無くしたりしないわ」

撫でられる感触に目を細めながらも大切に、大切に。
この場で付けられないピアスを名残惜し気に箱にしまいながら、
おぼろげにしか知らぬ知識でニードルを仕入れねばなどと思いを馳せる。

「先輩のセンスが間違いないのと一緒ね」

勘とセンスを一緒にするのもどうかとは思うけれど、
フィーリングで決めなければそれこそ当日まで悩む羽目にもなっていただろう。
今でこそ大人しく眼を閉じているアルミナも、
目覚めたら大きなぬいぐるみが増えているとなると
何をするかは分からない。動物は気まぐれだから。
だからこそ可愛いのだけれども。

「えぇ、こっちは着けていっても良いかしら」

了承を得られたなら、束ねながらも自由きままにたなびく自分の髪を手で避け、
ペンダントを身に付けようとするだろう。

セレネ > 彼の事を思い起こしていた時、そうだ、とふと声を上げる。

「そうそう。貴女に紹介したい友人が居るのですけど、
お話してくれたりします?」

まさか、共通の友人から名を伝えられているとは知らず。
黄緑色の彼の話を持ち掛ける。無論、あくまで”友人”として、だ。

「ピアッサー、あればこの場で開けられるのですけれどね…。
一人で開けるのが難しかったりしたら、持ってきてくれれば開けますから。」

そういう作業も慣れているので、と。
うっかり失敗でもしたら嫌だし。一人でも大丈夫と言うならそれでも構わないし。
思う存分彼女の艶やかな夜色を撫でればそっと手を離して。

「そこまで褒めてくれるのです?褒めても出てくるのは紅茶くらいですよ。」

なんて冗談めかして言いながら。
愛猫も、見知らぬぬいぐるみが増えているとなると驚くに違いないけれど…仲良くしてくれれば良いな。

「勿論です。貴女に似合うかしら…。」

付けてもらえるのなら、それは凄く嬉しい事。
微笑んで了承し、彼女の首にかかるペンダントを蒼が見つめた。

イェリン > 「お友達? どんな人かしら。
 勿論、先輩の紹介なら断ったりしないわ」

同じ寮の子だろうか、それとも学校の人?
いずれにせよ、良い出会いであるだろうとタカを括る。
よもや姿も知らぬ彼のお話とは露知らず。

「……買ってくるから、そうしたらお願いしても良いかしら」

戦闘の結果、付いた傷は多くあるけれど
自分で穴を開けるというのは未知の領域で。
恐らく手慣れているのであろう先輩にやって貰えるなら百人力だ。

「自分にできない事だもの。
 人に似合う物を見繕えるのって、きっと才能だと思うの」

いくらでも褒めようという物。
ハーブティーとお茶請けにしばしば手を付けながら、アルミナを撫でる。

髪を挟まぬように、そっと。
首からかけたペンダントはワンピースの白の上で小さく光を受けて輝く。

「ふふっ、綺麗なの物をもらったのは勿論嬉しいけれど、
 先輩から貰った物を身に付けていられるのがもっと嬉しいわ」

すぐには着けられないけれど、いつかお揃いのピアスを付けてお出かけでもしよう。

セレネ > 「あー。その、見た目は凄く…その、ガラが悪い人なのですけど。
貴女や私と同じく彼も魔術師なので、お話でも出来たらお互い良い刺激になるかなぁと。
貴女なら見た目で人を判断するだなんてこと、しないと思って。
…なら、今度彼にもお話伺ってみますね。」

彼のデリカシーのなさやその他諸々が不安ではあるけど、
魔術師としては良い腕を持っていると判断したから。
了承してくれたなら、良かったと安堵し。
予定の擦り合わせは、彼から了承を得た後ゆっくり合わせていければと思う。
勿論、紹介するのだから己も共にだ。

「えぇ、良いですよ。」

穴を開ける事自体はものの数分でもあれば出来るので、
いつでも来てくれと告げよう。

「まぁ…それはそうですね。
その人の事をよく見てないと、合う物を見つけるのも大変ですし。」

己もクッキーを手につけつつ、ハーブティーは冷めたかしらとちびちび口にしながら。
白猫は彼女の膝をお気に召したか、未だ動かず撫でられ続け。

「そこまで喜んでもらえるなんて。私も嬉しいですよ、
可愛いぬいぐるみも頂きましたし、何より可愛らしい貴女も見られて。」

人が喜ぶ顔や姿を見るのは良いものだ。
それだけで、頑張った甲斐もあるというもの。
彼女とお揃いのアクセサリーをつけて出かける日が来たなら、
それは殊更楽しいかもしれない。

イェリン > 「えぇ、見た目で人の事を決めつけたりしないわ。
 魔術師なら多かれ少なかれ変わったところがある人が多いもの」

自分の魔術の中でも正常に機能していない異界を繋ぐ魔術。
他者と関わる事で刺激を受けて、何か新しい方向へと転がるかも知れないし、
そういった事なら大歓迎だ。

「ふふっ、また来る時はアルミナにもお土産がいるかしら」

自分でやって不揃いになるような事は避けたいので、その時には必ず頼るようにしよう。

「欲しがりそうな物か似合う物か。その塩梅が難しくって。
 毎回悩みに悩んで、最後は結局勘だより」

外れなくて良かったと笑い、飲み終えた茶器をテーブルへ。

「ふふっ私も嬉しいわ。
 素敵なクリスマスをありがとう、先輩」

心のこもったプレゼントの何と嬉しい事。
共有できるというのは、他では得難い幸福だと感じられる。

腕の中で眠っているのか休んでいるのか、喉を鳴らすアルミナを暫く撫で続け。
気が付けば外はすっかり陽が落ちていて。

「名残惜しいけど、そろそろ時間かしら……
 シュトーレンありがとう、先輩。
 また、近い内にピアスを開けてもらいに来るわ」

その時はケーキでも手土産に持ってこよう。

セレネ > 「良かった。まぁ、彼も結構変わり者ではありますけれど。
良い人ではありますので、そこは安心して頂ければ。」

彼女の扱う魔術も特殊だが、彼の扱う魔術もかなり特殊だ。
だからこそ、何か得られる物もあるかもしれないと。
…来年はいつか、彼女と手合わせ出来れば良いなと思いつつ。

「そうですね…おやつでも持ってきてくれるなら、彼女も喜ぶと思います。」

その時は白猫ももっと懐くに違いないだろう。

「ふふ、確かにそこは一番悩むところですよね。
でもその勘も、素晴らしいものです。」

己にはない才能だと改めて感じた。
置かれた茶器は、綺麗に飲み終えて中身は空で。

「此方こそ、素敵なクリスマスとプレゼント、有難う御座いました。」

また別のイベントでも、そうでなくとも。
こうしてゆっくりお話出来る機会があれば良い。

「ん、そうですね。冬場は陽が落ちるのも早いですから。
えぇ、その時を待っておりますね。」

時刻を確認すれば、もうそろそろ良い時間。
彼女が自室へと戻るなら、いくつかの茶葉とクッキーも持たせて見送るとしよう。

ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」からイェリンさんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」からセレネさんが去りました。