2022/01/16 のログ
ジーン・L・J > 「それは……まあ、追々、かな…。というか、私も節操なしみたいな口ぶりだね?
 私の記憶が確かなら、君の"お誘い"の方が多かったように思うけど?」
マグカップ片手に、心外だとばかりにもう片手を振ってみせる。
微笑みは浮かべたままで、じゃれ合うような言葉の応酬。

「あー、もう、ほら、すぐそうやって。
 実際のところはよくよく知ってるから、私の我慢の続くうちにそのポーズをやめてくれないかな。
 節操を覚えないといけないんだろう、抱きしめてしまうよ?」
油断をするとすぐにからかってくるのがこの愛しい恋人の悪い癖である。

「他にも私の前でファッションショーするためだけに揃えてくれるってのも、とっても喜ばしいものがあるね。
 そうだなあ、今君の服装がゆったりとした、男女兼用なデザインが多いよね。それに類するものだとそのままファッションにできそう。
 ジェンダーレス、っていうんだっけ、そういう系統。それなら部屋着にも外出着にも使えるんじゃないかな。」
一度マグカップを置いて、くるくると宙で指をふる。現れるのは本物そっくりの手のひらサイズの葵の幻像、ただ服装は暗い色のスキニーパンツとTシャツに青灰色のテーラードジャケットを身につけている。
「こんなのとか?」

日下 葵 > 「えへへ、いやぁだってジーンはからかい甲斐があるものですから」

ついついからかいたくなるんですよ。
なんて言って見せる。

「そういう意味で、わたしはラフな格好がいいのかなぁと。
 ――武器も隠しやすいですし?」

抱きしめてしまう、なんて言われれば、
ちょっと悪ふざけでそのままジーンに抱き着いてしまおうか。
決して性的な意味のない、純粋な抱擁。
こたつの足が邪魔で、ジーンのおなかの辺りに腕を回す。

「ですねえ。
 髪も短いのでキャップなんかを被ると男に見えなくもないですし。
 おお、魔術って本当に何でもできますね

ジーンが幻像で私のファッションをあれこれ変えて、
ジャケットやスキニーを着せているのを感心して見やる。
―――それにしても、やけに完成度が高くないだろうか。この私(幻像)>

ジーン・L・J > 「最近はあまり君をからかえなくなってきたなあ、からかわれるばっかりだ。」
愛を囁やけば顔を赤くしていた頃が懐かしい、などと言いながら、葵を抱きとめて髪に指を通しながら撫でていく。

「幻像は戦闘でもよく使うからね、じっくり観察されると見破れるけど、一瞬で判断しないといけない局面だと引っかかるものさ。
そうだねえ、あんまり体の線が出るのは良くないか。武器も隠しづらい。
ああ、でもこういうのは?」
幻像の服装が首元と肩を露出したタイトなロングドレスになり、太もものスリットからちらりとレッグホルスターに収まったナイフと銃が覗く。
その体型も葵自身から見ても本当にそっくりで、ジーンがどれほど各所のサイズを把握しているかを伺わせる。

日下 葵 > 「そうは言っても、”話し合い”では五分五分ですからねえ」

からかえなくなってきた、というのはむしろお互い様だろう。
私だってジーンと出会うまではからかってばかりだったのに。
髪に指を通されると、まるで猫が甘えるようにジーンのおなかに顔をうずめる。
細い指が通る感覚はくすぐったいような、それでも心地良いような、
とても不思議な感覚だ。

「こういう囮は実践では効果的ですよねえ。
 私も何度かやられて苦戦しました」

苦い思い出だ。
格闘能力だけがアドバンテージなのに、それが通用しない相手というのはやっかいだ。
それこそ、ジーンみたいな相手が敵だとか、そんなシーンは考えたくない。

「えっ――と、これはさすがにちょっとセクシー過ぎません??」

さっきまでと言っていることが違うじゃないか。
肌の露出が少ない普段の格好とは対極な、
極端な服装に慌てて幻像を消そうと手をあたふたと振り回す。>

ジーン・L・J > 「そうだったかなあ、そっちは君に負け通しのように思うんだけど。」
何をもって勝敗がつくのかも曖昧な話は、ゆるゆるとした印象論。

「視覚情報を騙せるのはやはり強いね。ヒトは目で見る生き物だから。私には通用しないから一緒にいる時は安心していいよ。
 いやー、人前でしてほしい格好と私の前だけでしてほしい格好はやっぱり違うからさ、ハハハハ。」
幻像はどう手で払ってもすり抜けるだけで、代わりにジーンが幻像を載せていた手のひらを軽く閉じることで消え失せた。

「ふふ、ちょっとやりすぎちゃったかな。ごめんね。」
なだめるように、髪を撫でる手をそのままに、幻像を載せていた手を葵の手を握ろうと。

日下 葵 > 「えぇ~?そうですか?
 ―――まぁ、そうかも知れないですねえ……」

どっちが勝ち越しているのか、そんな話になると、自信がない。
いや、吹っ掛けるのは確かにこちらが多い気がする。

「一応、暗闇で動く訓練はしてるんですけどね。
 見える環境では目に頼ってしまうのはしょうがないです」

下手に格闘技ができる相手よりも、そういう相手のほうが厄介かもしれない。
傷の直りが早い以外は人間と大して変わりはないのだから。

「……今日、泊まっていきます?」

なだめるように手を握られると、キュッと手を握り返す。
お互いの指を絡めながら、体重を完全にジーンに預けて。

幻像は消えたが、もともと幻像があったあたりをぼーっとみつめて、問う>

ジーン・L・J > 「今度から記録でもとってみる?実際のところ、どれぐらいの頻度なのかもわからないし、数字にしたら節度を覚えるにもいいかも。」
ゆるゆると撫でる手は止まらず、動きと連動するようにぼんやりと浮かんだ思考を大して意味を考えずそのまま口に出す。

「見なくても動けるのと、欺瞞を無視して動くのは別の技術だからねえ。
 魔術の補佐なしで対処するとしたら、目を閉じてしまうのが早いかもしれない。
 でももし相手がそうするなら、私は音を使うだろうね。像を結ぶより簡単だから、欺瞞情報の切り替える隙を突くのが……おっと、私も大概物騒なことを考えてしまうね。」
饒舌になるのは戦術のことばかり、意識して歯の浮くようなセリフを選ばないとこうなってしまう。
いけないな、と軽く頭を振ると、握った手の指が絡まり、熱に浮かされたような声。

「……私が君の頼みを断ったことがあるかな?でも、いいのかい、節操を覚えなくても。」
じっと膝の上の葵の顔を見下ろす、厚く巻かれた包帯越しでも瞳を見つめているのが感じられるだろう。髪を撫でる手は頬を添えられて。

日下 葵 > 「どうします?意外と私のほうが勝ち越していたり、
 ジーンのほうから吹っ掛けてたりしたら」

たぶん、そんなことはないとは思うけど。
きっと出てくる数字は私たちが感じている頻度や雰囲気とそう違わないもののはず。

「音ですか。そうなったらやっぱり騙しあいになりますね。いたちごっこ。
 っと、いけないいけない。私も物騒な話ばっかり」

これはもう、お互いにどうしようもない癖だろう。
ここまでくるといっそ笑えて来るものだ。

「いや、別に吹っ掛けてるわけじゃないですよ?
 ただほら、暖かいなぁって思ったので」

ジーンに抱き着いたまま、そんなことを言って見せる。
挑発する意図はない。ただ、一緒にいたいだけ。
ジーンの手が頬に触れると、まるで甘えるように擦って見せる。
まるで猫のようなしぐさは、どことなくあざとい。
本人が狙っているかは――わからないが。>

ジーン・L・J > 「どうしようか、均等になるようにしてみるとか?
 まあ、出てきてから考えようか、急ぐ話じゃない。」
そう、急ぐ話は何もない。これから一緒に永い永い時間を生きて、数え切れないほど日常を繰り返すのだ。

「正月に、恋人の部屋で、膝枕して撫でながら、欺瞞作戦について話し合うとか、私達ぐらいしかいないんじゃないかな。」
闘争に人生を傾けてきた二人は、話題がどうしてもそちらに向かってしまう。
そんなことに考えが及べば、そういえば出会いも血なまぐさいものだったと思い出し、小さく笑う。
自分たちにしみついた硝煙と血の臭いは永遠に消えることはないのかもしれない。

「なるほど、ね。確かに今日は冷える、私も暖かくして寝たいと思っていたところだよ。」
浮かべた薄い笑みは柔らかく慈しみを帯びたものへ。
指は深く絡まったまま、もう片手は頬を撫でる。

二人だけの、静かで優しい時間が過ぎていった。

ご案内:「常世寮/女子寮 葵の部屋」から日下 葵さんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 葵の部屋」からジーン・L・Jさんが去りました。