2022/01/19 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」にイェリンさんが現れました。
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」にセレネさんが現れました。
イェリン >  
鼻歌交じりに夜を待つ。
暖房は付けず、外気温に冷やされた部屋の温度はそのままに。

「そろそろかしら……」

端末の受信メールと壁にかけた時計を交互に見やって、一人呟く。

机の上には二つの個包装。
一報はニードル、もう一方はピアッサーと呼ばれるもの。
分からないなりに考えた結果、両方揃えて詳しい者に頼る形となった。

「皆やってるし……大丈夫よね」

貰ったピアスを身に纏うためのピアッシング。
必要な事とは言え初めての事には不安が付きまとう。
――死んだりしないわよね。

セレネ > 小さなポーチを手に、後輩の部屋へと歩く月色。
ポーチの中身は脱脂綿と携帯用の消毒液。目的が目的なので
己が用意するのはそれくらい。

夜色の後輩が待つ部屋の前に立てば、白く細い指がインターホンを鳴らす。

部屋主が出てくるまでの間、己の身嗜みを改めて整える。
服に皴はないか、猫の毛はついてないか、髪は乱れていないか。
軽く手で払い、手櫛で月色を梳いて、小さな深呼吸。

同性故、見る所は異性より違うだろう。
――だからこそ、より念入りに。

イェリン >  
響いた電子音にぴょこりと肩が跳ね上がる。
電子窓に表示された姿をチラリと確認してすぐにドアの方へ。

「こんばんは! 先輩」

扉を開けば月の体現者とでも言えそうな白がそこに居た。
遠く、満月にほど近い形の月を背負って一人の女性が、そこに。

外風の吹き込むのに乗って、柔らかく香る彼女の香りに、
小さく頬を綻ばせ。

「待ってたわ。さ、入って」

セレネ > カチャリ、扉が開いた音と聞こえた聞き慣れた声。
夜色の長い髪を一つに纏めた彼女の、己より高い蒼を蒼が見つめる。

「えぇ、こんばんは。お待たせしてしまいましたね。」

ふわりと香るは甘いローズ。人を惑わし魅了する優美な香。
夜色の彼女にはもう嗅ぎ慣れたものかもしれない。

「お邪魔します。」

招かれた部屋は外気と殆ど変わらず、冷えたもの。
互いに雪国出身だから寒さには強いだろうけれど、つけていないのは何か理由があるのだろうか。

玄関で靴を脱ぎ、綺麗に揃えて置いた後用意されているであろう室内用のスリッパを履こう。

「お部屋、冷えますね…?」

各部屋には冷房暖房は設置されている筈。
付けない理由はあるのかしら、なんて首を傾げて問いかけてみた。
客人とはいえ図々しいかもしれない。

イェリン >  
蒼と蒼、二つの視線がぶつかってにへらとなぜだか笑みがこぼれる。
どうぞどうぞと先導し、甘い香りを奥へと誘う。

「先輩、暑いの嫌いかなって思ったら……加減が分からなくって」

少しばかりの肌寒さなら、彼女の快適さを優先したいという思いからではあった。
が、さすがに今から震える手指で耳に孔を開けてもらう訳にもいかないか。
お好みで、とリモコンを渡してしまおう。

先導するまま部屋に入れば、人をフニャフニャにすると悪名高いビーズクッションに吸い込まれる。
普段自分が使っている方を誰かに使って貰うのは、少しばかり気恥ずかしくて。
以前人が訪れた際に思い立ってもう1つ買ってきたのだった。

セレネ > にへ、と緩やかな笑みを浮かべる彼女。
その首元にはクリスマスに贈ったムーンストーンのペンダントが
淡い光を放っていた。

「…だからといって貴女が体調を崩したら大変ではないですか。」

ついこの間、似たようなやり取りを己の部屋でしたような。
…相手は夜色の彼女ではなく黄緑髪の彼だが。
成程、彼が抱いたかもしれない気持ちが分かった気がする。
片手に嵌めているシンプルなシルバーの指輪を無意識に軽く撫でた後
部屋主である彼女からリモコンを受け取り暖房をつける。

「ふふ、良いですよねーそのクッション。
私も欲しいのですけど、アルミナが居るので買えなくって。」

テーブルの上にリモコンを置けば、人も神も駄目にするビーズクッションに吸い込まれていく相手を見て小さな笑みを。
見渡した室内に、気付いたものはもう一つ。

「――あら、可愛らしい子が増えているみたいですね。」

蒼が捉えた一匹の羊。基、ふわもこなぬいぐるみ。

イェリン >  
確かに、それで自分が風邪でも引いた方が目の前の月を悲しませてしまいかねない。

「……それもそうね」

むぅと唸るように納得するばかり。

「アルミナの温もりの為なら……我慢ね」

ふふっ、と以前戯れた白い子猫を思い返す。
と、彼女の瞳が羊に向けられたならご機嫌に。

「そう! 先輩のプレゼントを探してる時に……
 最初はこの子を贈ろうと思ってたのだけど」

最近、夜毎抱きしめているというのに損なわれる事の無いふわもこクッション材のメリーさん。
本来ならば月色の彼女の部屋に居たはずなのだけれど、ワケあって選ばれたのはハスキーの子だった。

「なんだか、お会計の前につい目に入っちゃって。
 結局贈るのはあの子になったの」

そう昔の事ではないけれど、懐かしそうに遠い目をして。
頬を綻ばせながらキッチンへと足を向けて湯を沸かし始める。

「あ、そうだ先輩。
 先輩はコーヒー、好みはあるかしら」

セレネ > 「父もよく言っておりましたが、身体は資本ですよ。
貴女の部屋に泊まる訳でもないのですし、
過ごしやすいようにして下さいな。」

苦笑しつつ彼女へそう言いながら、告げた言葉はブーメラン。
己も気をつけねばなるまい。

「定期的に爪は切っているのですけど、うっかり爪で破けた時が悲惨ですので…。」

魅惑の感触を持つビーズクッションも、中身が暴かれれば阿鼻叫喚となる。
だから買わないのだと泣く泣く。

「へぇ?…この子もこの子で可愛い子ですね。
まぁでも私の部屋にはあの子の方が似合っては居るのでしょうか。」

己の本質は月だけでなく狩猟でもあるから。
可愛い羊だともしかしたら物足りなかったかもしれない。
そう考えれば、彼女の勘は素晴らしいものだと思う。例え偶然だとしても。

「だったらそれは運命だったのかもしれませんね?」

運命の女神は随分悪戯好きで気紛れだから、もしかしたら。

「コーヒー…実はあまり飲まなくって、偶に飲むとしてもカフェオレくらいなのです。」

自室に並ぶ茶葉コレクションが良い例。

イェリン >  
「……私を自由にさせたら、先輩きっと溶けちゃうわ」

寒いのは苦手で無いけれど、快適な温度となると存外高く設定しがちなもの。
怠惰に過ごしているわけでは無いが、文化圏と技術レベルが変わると絆されてしまう。
薪ストーブが恋しくなる程に寒くは無いからこそ、エアコンの手軽さには助けられてしまう。

「悪気は無くても、気になって引っ搔きでもしたら……そうよね」

そうそう破れるような作りはしていなくとも、引っ掛けてしまったら大惨事。
であればこちらの部屋にいる間にどうぞ堪能して頂こう。

「何となく、だったんだけど気に入って貰えたなら嬉しいわ」

言いつつ、コーヒーはあまり飲まないと聞けば意外そうに。
が、あの茶葉のコレクションを思えば頷けるという物か。

「ん、それなら紅茶を淹れるわ。
 先輩の部屋のラインナップには負けるけど」

あれには敵わないと言いながら、カフェエプロンを身に付けて。
空のカップに湯を入れて温めて、茶葉の好みを伺おう。

セレネ > 『溶けるのは…夏場だけで良いかな…。』

あと半年ほど待てばきっと見られるだろう己の溶ける姿。
ふと洩れた呟きは英語。己が保てない程暖かく室温が高くなるなら、
もういっそ己の周りだけでも氷の魔術でやや冷やすしかあるまい。

「大人しい子ではありますけど、気になるものは結構…。」

そこも飼い主に似てしまったか、好奇心が意外と旺盛というか。
以前彼女に軽い猫パンチを食らわせてしまったのもそれが原因。

「すみません、有難う御座います。」

わざわざ紅茶を淹れてくれるらしい彼女に申し訳なさそうに。
ラインナップについては己が異常だろうから気にしていない。
エプロンをつける相手に似合うなと思いつつ、今回はアールグレイを所望してみよう。

イェリン >  
『……暑いのはヤ』

洩れ聞こえた呟きに髪の毛がへにゃり。
秋頃に越してきた自分はまだこの島の夏を知らない。
知らないが、釣られて出たのはこちらも英語。
あまり綺麗な言葉選びでは無いが、こればかりは教えた人間の性格のせい。

「初めて見る物には警戒するけど、突っ突いてみたくなるってものかしら」

飼い主の性格に似ると聞く事もあるけれど、あまり彼女が好奇心旺盛に厄介ごとに首を突っ込む姿を見ない。
知らないだけで、あるのかもしれないけれど。

「最近喫茶店で働き始めたから、前よりもちょっと腕は上達したかも知れないわ」

言いながらエプロンを広げる。見える文字は純喫茶『和』。
自宅用にエプロンは別で持っているのだけれど、何となく見せたくて身に纏う黒。
要望を受けて取り出した茶葉とお湯をポットに注ぎ。
チン、とレンジが鳴いたら取り出して皿に盛りつける。

「……当店名物、パンケーキよ」

レイトウダケド。

セレネ > 『あら、ふふ。暑いのはお互い嫌よね。』

彼女の夜色が元気なく下がった気がした。
日本語とは違い英語がフランクな言葉遣いなのは、使い慣れた言葉なのもあるかもしれない。

「そうかもしれませんね。怖いもの見たさというか…好奇心旺盛というか。」

彼女の想像通り、己はこう見えて気になるものには危険度関係なく首を突っ込む傾向がある。
とはいえ、それをわざわざ言う事は無い。
余計な心配はかけないのが吉だ。口を噤んでおいた方が良い事もある。

「へぇ、どのような喫茶店なのです?」

エプロンに刺繍された文字に蒼を走らせる。
…調べれば出てくる筈だし、今度機会があれば行ってみようかしら、なんて。
音を立てて温められたパンケーキと芳しい香りを放つ紅茶に蒼を細めて。

「有難う御座います」

イェリン >  
英語の響きは少し特殊だ。
母国語ではないけれど、こちらの言葉でも無く。
それでも母国語だけでは学べることも少ないからと、村の人から教わった物。
母国語でもないのに、懐かしいというのも変なものだけど。

「学生通りにあるサンドイッチの美味しい普通の喫茶店よ。
 ちょっと、その……新しい服が欲しくて求人募集を見てたら、
 店主の方に拾われたの」

文字通り猫でも捕まえるみたいに。
接客業など初めてで、そもそも村にそんな洒落た物など無かったので、
言葉遣いは未だその道の人からすれば抱腹絶倒ものだと厨房から言われるけれど。
それでも覚えた事もある。
いらっしゃい、じゃなくていらっしゃいませ……!

「お昼過ぎだと生クリームを使ったフルーツサンドなんかもあるから、
 機会があれば食べて見て」

好みがあるかも知れないとベリーソースは別の小皿に取り分けて。
爽やかな香りの広がるアールグレイにはティーカップとミルク、砂糖を添えて召し上がれ。

セレネ > 日本語より英語、英語よりロシア語が使いやすい順の己。
そう思えば、己も彼女もトリリンガルになるのか。
機会あればもっと別の言語も学びたいとは思えどなかなかその時間も割けない日々。

「へぇ、サンドイッチ。それなら今度お店に寄ってみようかしら。
店主の方直々にスカウトだなんて幸運ではないですか。」

生活するにはお金が必要不可欠。
己もバイトはしている身、語学の堪能さ故論文の翻訳をしているのだけど。
ついこの間、高い報酬と気になる情報に釣られて危険地帯にまで足を運んだのは秘密。

「お昼過ぎ…人が賑わう時間帯ですね…。
えぇ、機会あれば是非。」

目の前に置かれた諸々に蒼を綻ばせると、冷えた手を温めるようカップを両手で包んだ。
悴む程ではないにせよ、手元を狂わす訳にはいかないのでしっかりと温めておこう。

イェリン >  
語学という物にはかなり愛着がある。
身に付けた物であり、己の魔術の礎にした物でもある。
自分には魔術の為に作った独自の言語と呼べる物がある。
母国語を含めて、3つ。英語と日本語以外の外国語習得への理解を対価に創造した物。
ルーン魔術で事足りるたから、人を相手に使う事は滅多に見せる事はないけれど。
そんな自分にとって、第二の母国語と呼べる英語をチラリとでも交わせる機会は、偶の物であってもやはり楽しい。

「どこにするかずっと迷っていたから、助かったのは本当ね。
 コーヒーがメインだけど甘い物も、それこそメロンソーダなんかも人気よ」

バニラアイスとサクランボを乗せた昔ながらの物。
銅板で焼いたホットケーキやパンケーキと言った、らしい物が今でも人気なのは良い事だと店主は良くカラカラと笑っていた。

「ふふっ、お仕事中の楽しみが増えるわね」

待ってるわと囁くようにして、カップに息を吹きかける。
柑橘系の香り、自分の纏うシトラスの香よりも少し甘いそれ。
穏やかな心地になる……のだけど。

「……これを飲み終わったら、するのね」

痛いのを今更怖がるという物でも無いけれど、初めての物はやはり怖く無いと言えば嘘になる。
だけどこれは必要な事……