2022/01/20 のログ
セレネ > 楽な方を選んでしまいがちな己は、身の回りのものは英語表記のものを選んでいる。
というのも、己は朝に弱く寝起きは頭が回らない事もあって日本語だと読めない事も多々あるから。
…そんな情けない姿を見せているのは、この世界だと今の所一人しかいないのだけど。
しかし、彼女が英語も話せるなら己としては其方の方が楽。
時折英語で話すのも良いかな、なんて思いつつ。

「メロンソーダ、時々飲みたくなるのですよね。」

イマドキだからこそ昔のものも映えるというものだろうか。
いつか行ける日を楽しみにしつつ。

「嫌ならばこのままお話だけにしておきますけれど?」

彼女の言葉に意地悪そうに。
尤も、ピアスまで贈ったのは己の判断だ。だから無理にとは言えない。

イェリン >  
自分が英語を教わった者の人柄を知っているから、必要な時でも無ければ殆どは日本語で話すようにしている。
自分の日本語が正しくない場面がある事は働き始めて良く分かったのだけれど。

「メロンシロップと炭酸水と。
 ジャンクな物ほど時々無性に恋しくなる物よね」

こっちに来てから食べる機会が無くなった骨付き肉なんかも、
今となっては恋しい物で。
そもそも狩猟で取ってきた肉を食べるという文化がこの島にあまり無いといえばそれまでか。

『……いじわる』

ぼそりと囁く英単語。
悪戯っぽく言う彼女の耳元に踊る蒼に視線は釘付けにもなるという物で。

「いえ、わざわざ来てもらったんだもの。
 日和ってたらせっかく貰ったピアスが泣いちゃうわ」

それに、お揃いのピアスを速く付けて見たいのだもの。

孔を開けたその日にピアスを付けられるという物でも無いと知らないのだけれど。

セレネ > 日本語は独学、そして英語も大体周りから教えてもらったり
父から教えてもらったり、後は独学でどうにかしたり、
そんな感じの語学力。だからたまーに、父譲りの口の悪い言葉も飛び出たりはするのだけれど。
今の所他者に対しそういった言葉は出さないよう努めている。
そうじゃないと、己のイメージが崩れてしまうから。

「そうそう。…なんて言うと、私らしくはないのでしょうか。」

己は普段身に纏っているものや雰囲気も相まって
高貴に見られやすいから。
骨付き肉、食べにくいけど美味しいよね、分かる分かる。

『貴女が可愛らしいものだからつい。ごめんなさいね?』

だなんて、囁いた彼女の言葉に笑みを洩らしながら同じ言語で。

「…痛覚を麻痺させる魔術でもかければ怖くなくなりますかね。」

普通ならば開けた孔の傷が塞がるまで待たねばならないが、
今此処に居るのは元の世界で医者をしていた己。
傷だけ治すのは造作もない。

イェリン >  
「先輩が骨付き肉やハンバーガーにかぶりついている所は、
 あんまり想像できないわね」

高貴であったり、清楚であったり。
そう見えように彼女が振るまっているからだろうか、あまり結びつかない。
が、見て見たくもある。今度何かジャンクな物でも食べに誘おう。

頬を膨らませながら不貞腐れたように振舞ってみるが、
可愛らしいと言われれば態度に嬉しさがにじみ出る物。

「ん……いえ、麻酔とかは大丈夫。
 傷が付く時の感覚は、ちゃんと覚えておきたいから」

1つの信念のような物。
今でこそ彼女の前で手袋を付けて隠したりはしないけれど、
どのような傷であれ、それはしっかりと記憶に結び付けておくべきだと思っていた。

セレネ > 「…何方かというと、そういうのは父の方が似合っていますね。」

豪快な食べ方は、見目も相まって父の方が似合うし彼はそういう食べ方をよくしていた。
結果、己はその逆でカトラリーの使い方やテーブルマナーも独学だが覚えたりもしたのだが。
仮に己がナイフとフォーク無しで骨付き肉やハンバーガーにかぶりつく場合。
肉は少々、ハンバーガーはバンズを少し齧った程度になるだろう。

己の言葉に不貞腐れたか頬を膨らませる彼女が実に可愛らしく、
クスクスと笑いながらその夜色を撫でようと手を伸ばすだろう。

「…なら、しっかり耳を冷やして臨まないといけませんね。」

少しでも痛みを和らげるのなら。
とはいえ彼女が今まで受けてきた痛みより痛くはないかもしれないけれど。
己に傷だらけの両手を晒してくれる彼女は、己に対し随分心を許してくれているようだ。
ならば、己に出来る事は彼女の意思を尊重する、それくらいだろう。

イェリン >  
「ふふっ、豪快な方なのよね。
 先輩のお父さん」

豪快に肉を掴み食する男性と、その隣でシルバーを使って食事を取るセレネ。
少し遠い目をして、見たことの無い光景に思いを馳せる。
最も、自分はテーブルマナーもろくに無い酒場で捌いて貰った肉に齧りついていた側なので、
今となっては少しばかり恥ずかしくもある。

「えぇ、お願い」

コトリ、と飲み終えたカップをソーサーに置き。
買ってきたままの器具に視線を映す。

セレネ > 「えぇ。…写真があれば見せたいくらいですよ。
本当に、彼は豪快で大雑把な方が似合うくらいで。」

未だ忘れぬ、その姿。忘れてはいけない、顔と声。
細める蒼は懐かしく、けれども寂しそうに、悲しそうに。

「…貴女が今後、ピアスを複数つけるかどうかで少し穴を開ける位置も変わってくるのですが。
そういった思いはあります?」

少しは冷めただろう紅茶に口をつけ喉を潤しつつ問いかける。

イェリン >  
「……」

遠い日を見るような、懐かしむような瞳。
けれども、そこに物悲しく寂しい色を感じて声はかけられず。
こういう時に、クロロなる色男なら肩でも抱いてあげるのだろうか。

「ん……先輩に貰ったの以外はあまり考えていないから、
 一番綺麗に見える所にお願い」

今後何かの拍子でのめり込むような事が無ければ、
進んでピアスを買い漁るような事は無いだろう。

セレネ > 「あの人、また色んな人に迷惑かけていないと良いのですけれど…。」

零れる言葉はやや震えて。思い出せば、その分辛くなるし、寂しくなる。
黄緑髪の彼が傍に居たとして、何か言葉を掛けるか頭を撫でるかくらいかも。
少なくとも己が知る限り色男には程遠い、不器用な人だろうから。

「…ふむ、成程?なら、真ん中くらいに開けるようにしますね。」

ならばと彼女の形の良い耳へ蒼を向けつつそう言葉を投げかけて。

イェリン >  
震えた声を、受け止める。
ごめんなさい? 泣かないで?
そんな言葉をかけたところで、彼女の寂寞を埋める事などできず。
ただ、ただ動物的な感情でそっと身を寄せるばかり。

「……私どうしたらいいのかしら。
 寝転がるの? それとも座ってるだけで大丈夫なの?」

覚悟は決まった。
目の前の月色の女性の手腕に信頼を置かない自分では無い。
ならば後は、委ねるだけ。
身体はガチガチ。それこそ注射を前にした犬のよう。

セレネ > 人前で泣くのはみっともない、はしたない。
ぐっと唇を噛み震える喉を押し殺して、込み上げかける感情を殺す。
寄せられた身体に、手を伸ばして撫でるだけ。
…大丈夫、己の感情を殺すのは、慣れている。

「とりあえずそのまま座ったままで、リラックスして下さい。
大丈夫、すぐ終わりますよ。」

ポーチから脱脂綿と消毒液を取り出し、消毒液を綿に染み込ませて
彼女の耳朶とピアッサーを消毒する。
その間、氷属性の魔術で彼女の耳のみ冷やしながら
心身を落ち着かせるよう言葉を投げかけようか。

イェリン >  
スッと、握りつぶすように掻き消えた悲しみ。
撫でられる手から伝わる体温は、少し冷たく感じた。

(……泣きたい時には泣いてくれても構わないのに)

「あぇ……?」

もっと大層な物だとばかりに身構えていただけに少しばかりの肩透かし。
冷たさに耳朶をくすぐられながら、言われるままに心を落ち着ける。
息を吸って、吐いて。
痛みに備えて、静かに瞳を閉じる。

セレネ > 彼女の想いは露知らず、優しく撫でる手はまだまだ冷たく。
それはまるで、己から他者への心の距離を示しているようで。

この世界で、自身の感情をそのまま伝えられる人は居ないのだ。
目の前の相手にせよ、己が愛しいと思っている人物にせよ。

だからこそ、それは己に返ってくるのかもしれない。
だからこそ、それは仕方ない事なのかもしれない。

「…いきますよ。」

まずは片方の耳。ピアッサーを彼女の耳に当て、そう言葉を掛ける。
彼女が是とするなら、己は躊躇いなくパチン、と針を押し込むだろう。

イェリン >  
冷たい手の温度。
友であろうと大切な人であろうと全てを語る事など、明かす事などできる物でも無く。

世界を跨いだがゆえの壁という物は、痛い程に自分も知っているはずだというのに。
軽率に触れてしまった不用意さを悔やみながら。
自分が憧れた者を、己が手で帰した果てを少女はまだ知らない。
その人の為を思った行為がどれだけ残酷な結末を呼ぶのかも。

「……んみ゛ぃ」

変な声は出たけど、あんまり痛くない。
異物感というか、何かが刺さった感覚はあるけれど。
ジクジクと少しずつ痛みを持ち始める耳に、触れたりはせず。
もう片側も、大人しくバチンと針が通るのを待つ。

セレネ > 目の前の彼女が幾度となく対峙したであろう、異界の者。
その点で言えばきっと、己もそれに値するのかもしれない。

この世界に馴染もうとしてはいれど、心の底では。
――己は結局異邦だと、馴染めないのだと。思っている、感じている。
あるいは思い込んでいる。

「――ふふ、」

押し潰すかの様、上げる声に思わず笑みを零しながら。
もう片方も魔術で冷やし、消毒を施してパチンと穴を開ける。

「さぁ、終わりましたよ。」

多少の出血、傷は塞いで、ピアスを通せるようにした。
普通なら時間がかかるものだが、魔術を使えばそれも一瞬。

イェリン >  
――怖かった。
故郷で幾度となく門の奥から襲い来る怪異を焼き、貫いた。

――怖い。
手にかけた中に言葉を発する者もいた。襲ってきたから、死に物狂いで戦った。
そんな相手にも、大切な人や物があったと気づいてしまう事が。

触れて、知って知られて。
そうする内に異邦より来た貴方に、怖がられてしまうかもしれない。
それが――何よりも怖い。
近くて遠いこの距離感。
普段は迷いの無い歩みが、彼女に向けてもう一歩踏み出せないのはそのせいだろうか。


――パチン。

「……終わったの?」

金属質な音が、澱んだ思考を押し流していった。
少し熱を持っているような感覚はあるけれど、続くような痛みもない。
テーブルの上の鏡を見ても、ごく小さな穴が開いているだけ。

「ねぇ、これってもう付けられるのかしら」

箱のまま、汚したくなくてケースのままドレッサーに置いたままのピアスを指さして問う。

セレネ > 人に育てられた身だが、己は神だ。
信仰はないにせよ、人では無い存在だ。

己自身、正直に言えばこの島の人間や他種族には然して興味はない。
穏やかに友好的に振舞うのも、そうする方が余計な諍いもなく平和に過ごせるからだ。
ただ、己の好奇心や知識欲が満たせればそれで良い。
それ以外なら、適当に友好的に接して穏やかに過ごせれば良い。

己は優しくなどない。どこまでも利己的だ。
だから、彼女が怖がっていると知れば、友好的な関係を築こうと言葉を投げかけるだろう。
己は怖くはないのだと、だから貴女も勇気を出してと。
耳障りの良い言葉を並べて。

「はい、終わりましたよ。」

夜色の彼女よりきっと、暗く醜い想いを心に。
微笑む表情は柔らかく。

「術式は完璧でしょうし、痛みもないのなら問題なく付けられると思います。」

指差されたサファイアのピアス、蒼を落としてそう答え。

イェリン >  
彼女の正体を、半ば感じ取りながら敢えて踏み切らない。
神殺しの、異界討ちの家系の血筋がゆえに。
愛しい愛しい女神様。
黒く濁った思いの色は貴女には似合わない。

分かっている。
これは、酷く傲慢で強欲な思いの押し付けなのだと。
それでも、ぬるま湯のように心地よいだけの時間が、無駄だとは思わない。

「……付けて見ても良いかしら」

返事も待たずに、ドレッサーの前でケースに手をかけて。
手こずりながらも耳に空いたばかりの穴にピアスを通す。
同じ形、同じ石。
――同じ蒼。

小さく二つの煌めきが、鏡の中に煌めいていた。

セレネ > 己にはきっと純粋な色が似合う。
そのように見目を整え、振舞って来たのだから。
夜色の彼女もきっとそう言うのだろう。
まさか、彼女が感覚で己の本質を、正体を感じているとは思わず。

「どうぞ。きっと貴女にも似合う筈ですよ。」

何せ己と同じ色だ。似合わない物をわざわざ買う事は無い。
そうして不慣れながらもつけた彼女の耳に輝く深い青の色。
…シンプルながら、やはり似合う。

「うん、私の見立て通り。とてもお似合いですよ。」

イェリン >  
いつか、彼女に伝えた事がある。
貴方を傷つける者が現れたら、私が許さないと。
星でも神でも、殺して見せると己の槍に誓った。

(……私が悲しませるような事をしたら、どうしたらいいのかしらね)

夜に蒼は良く映えて。
月色の上で光るソレとは少しだけ違って見える。

「ありがとう、先輩。
 ……大事にするわ」

セレネ > こんな醜く利己的な想いを持つ己でも、彼女は
変わらぬ思いを持ってくれるのだろうか。
…なんて、告げる気のない想いを浮かべて蒼を細める。

己が悲しむ事など、それこそ――。

「いいえ、無事にピアスを開けられて良かったです。」

歪んだりしていないかな、と改めて左右を確認しつつ、
無事に終えられたことに安堵と満足そうな表情を。

イェリン >  
槍は己の肋骨から。
槍への契りは己への誓約。
知れど変われど違う事は無く。
元より傲慢な自分は、彼女の本質がどうであれ些事と捉えていた。

重要なのは、己にとっての彼女なのだ。
例えそれが彼女の取り繕った仮初の姿としても。
セレネというただの女性、結果として彼女が女神に類する物であったとしても。
過去に、異界に何を抱えていたとしても、彼女の見せた彼女が自分にとっての全て。
――本当に、傲慢。

「……毎日付けるわ」

真っ直ぐに貫かれたピアスは歪んだりしておらず。
鏡越しに映る安堵の表情に振り返り笑顔を向ける。
これは、心からの純粋な喜び。

感謝を述べて、それから他愛無い話をしよう。
時期に日を跨ぐ。
夜が更けきるよりも先に、彼女を部屋まで見送ろう。

セレネ > 他者から良く見られようと、取り繕って、本心を隠して、魅了の香りで惑わせて。
いつからだったか、それが当たり前になっていて。
本当の自分がなんだったか、どうであったか、忘れた。
いや、多分、忘れようとしているのかもしれない。

ともあれ、目の前の夜色の彼女には。せめて良い女神であろうと。
これからも優しく穏やかに接するつもりだ。
彼女は気に入っている人間だから。

「あら、それはとても嬉しいですね。
…ピアスにペンダント、これでお揃いになりました。」

己が普段肌身離さず付けているアクセサリー。
夜色の彼女とお揃いなのは、嬉しい事。彼女の笑顔につられて己も笑みを。

紅茶とパンケーキ、そして穏やかな話をしながら、ゆっくり時間は流れていく。

時期に時間が来たなら、軽く手を振って己は自室へと戻るだろう。

ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」からセレネさんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」からイェリンさんが去りました。