2022/08/27 のログ
セレネ > ピクリ、膝に乗っていた愛猫の三角耳が立った。
それに数秒遅れて聞こえたノック音と幼い声に
また細めた蒼は違った感情を湛えてはいたが。

『…今夜は少し騒がしくなりそうね。』

愛猫の両耳を緩く押さえ、ポンポンと軽く叩いて合図。
しなやかに降りる彼女と立ち上がる己。
いつもと同じようにローズの香りを室内に漂わせながら小さな娘を部屋に招くだろう。

「はーい。今開けますよ。」

神樹椎苗 >  
 扉が開けば、我が物顔で躊躇なく入り込んでいく。
 少し鼻を鳴らして、奥まで行けば、自分をじっと観察してくる猫と目を合わせて微笑む。

「相変わらずいい匂いの部屋ですね。
 発情しちまいそうです」

 微笑みながら言う事じゃなかった。

「世話になってる知人から、漢方茶を貰ったのですが。
 折角だからお前にもわけてやろうかと思いまして。
 よく眠れるようになるものみてーですよ」

 そう言って、片手にもった魔法瓶のポットを見せた。
 

セレネ > 「……ここではやめて下さいね?」

ずいずいと遠慮なく入る小さな姿を蒼が収めながら、
微笑む彼女に苦笑しながら告げる己。
己はそんな趣味はないし、そうされても困ってしまうので。

「――あら、わざわざその為に?」

彼女からの言葉に膝をつき、視線を合わせては嬉しそうにも、
申し訳なさそうにも見える微笑みを。
目元のクマも、体調不良も。
他者に気取られないよう気をつけていたつもりだが。
…無論、ただの偶然の可能性もある。
彼女の小さな頭へと片手を伸ばし、優しく撫でようとするだろう。

神樹椎苗 >  
 
「まあ、お前が発情させてーのはしいじゃねーですしね」

 椎苗としては男女どっちが相手でも楽しめないわけじゃないので、構わなかったりするが。
 とりあえず、なし崩し的にでも同意がなければなにかするつもりはないのだ。

「ええ、まあ、疲れてそうでしたからね。
 疲労回復にいいらしいですよ」

 頭を撫でられながら、少しだけ気恥ずかしそうに視線を逸らす。
 然り、仲良くなった相手に気を払ってしまうのは椎苗にとっては自然としてしまう事なのだ。

「なのでまあ。
 一緒に飲んで、添い寝でもしてやろうかという、しいの優しい気遣いです。
 感謝しやがるといいですよ」

 ふん、と小さく鼻を鳴らして、偉そうに顎をあげる。
 それでも小さいので、撫でられるサイズなのに変わりはないのだが。
 

セレネ > 「……。」

その発言についてはあの、何とも言えないので苦笑を浮かべるしかなく。
いや、まぁ。正直に言えば彼女の言う通りではあるのだが
それを素直に口に出来る程豪胆な訳ではない。

「そんなに気を遣わずとも良いのですよ?
こう見えて身体は丈夫なのです。」

尤も、”丈夫”なのは病気や怪我をしても
元通りに出来る術を持っているからだが。
彼女を撫でる手付きは優しく、柔らかく。

「…抱き枕になってくれるという訳ですね?
ふふ、それは…とても嬉しい事です。
丁度、もう少ししたら眠るつもりでしたから。」

低血圧で月の女神な己は朝に弱い。
起こしてくれるのが愛猫や、
時折部屋に泊まってくれる黄緑髪の彼以外に増えるのは有難い事。

神樹椎苗 >  
 
「無言は肯定という事にしておきます」

 本人にその気があるのだから、案外そのうち、本当に子供でも出来たら面白そうだと思いながら。

「お前の大丈夫は、壊れても直すから
大丈夫、っていうタイプの大丈夫ですから。
 まったくもって信用ならねーんです」

 はぁ、とため息を一つ。
 撫でられながら、ポットを差し出した。

「でしょうね。
 それじゃあ、軽くお茶して寝るとしましょう。
 しいの抱き心地は保証してやりますよ」

 ふふん、と無駄に自信ありげに胸を張って言うのでした。
 

セレネ > 「うっ…。」

いつか家庭が築けたら。実子に恵まれれば、とは思うものの。
それが難しい体質なのは己自身がよく知っている。
無論、実子だけが全てではないとは思っている。
例えば、そう。目の前の彼女が娘になれば――。
なんて、思ってしまうのは良くない事だろう。

「……大丈夫なものは大丈夫なのです。」

結果、他者に見せる己が大丈夫ならばそれは問題ない筈なのだ。
差し出されたポットを受け取り、カップを二人分取り出して
中身を注ぎ一つを彼女へと。

「少しだけ待ってて下さいな。
まだやらなければいけない事がありますので。」

残ったアイスティーと、新たなホットティー。
飲んだ後母国語で書く日記を認めては、彼女と一緒に床に就くとしよう。

神樹椎苗 >  
 
「はぁ。
 おねえちゃんとは別の意味でほっとけねーやつですね、お前は」

 やれやれ、と肩を竦める。

「ええ。
 ああ、結構苦いので、はちみつを多めに混ぜるといいみてーですよ」

 そう言いながら、彼女が日記を書くのを眺めて。
 彼女の腕に抱かれながら、穏やかな眠りに就くのだった。
 

ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」からセレネさんが去りました。
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」から神樹椎苗さんが去りました。