2022/10/18 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」にセレネさんが現れました。
■セレネ > ――あぁ、熱い。痛い。苦しい。誰か、誰か――。
幾重にも重なる声。
幼い子、若い者、老いた者。
様々な声が、何度も何度も耳に、頭に響いてくる。
まるで己を恨むような。憎むような。縋るような。
そんな声が、苦しむ様々な人々の様相が、蒼に広がる。
酷い怪我や毒で苦しんでいる。傍らに居る人々は親兄弟、恋人を助けてくれと望み、願っている。
それなのに、己は何も出来ない。動く事も、声を掛けてやる事すら。
■セレネ > この手が、声が、届いたなら。
如何様にも楽にさせる事が出来ただろう。
傷を癒す事も、毒を治す事も、安らかな永遠の眠りを齎す事でさえ。
その者が。近しい者が、望むのならば。
…しかし、それは出来ない。
己が幼く、未熟だから。自身が神族だと自覚をしていなかったから。
ただただ、死にゆく人々を看取る事も出来ず――。
はた、と蒼を開けた。
蒼に映るのは暗い自室。
じわりと、嫌な汗を掻いていた。
部屋に満ちるローズの香りも、普段より強まっているかもしれない。
■セレネ > ドクドクと、心臓が早鐘を打っている。
それは、何より自身が生きている証。
”此処に存在している”という証左。
煩いくらいに鳴っている心臓の音に合わせ、乱れている息を少しずつ整えていく。
――あれは夢だ。
何も出来なかった、何も知らなかった、自身が見せた夢。
しかし、確かにあった事実だ。
強く強く、刻まれたトラウマ。
何度も見た、辛い夢。
半身を起こし、乾いた喉を潤そうと立ち上がる。
軽くふらついたが、大丈夫だ。
…大丈夫だ。暗がりに慣れた蒼は、ミネラルウォーターを冷蔵庫から出し
数時間前に洗っていたカップを水切りラックから取って
キャップを取りそれに注ぐ。
注ぎ終えたカップを一息に呷れば、深く息を吐いた。
■セレネ > 落ちる蒼は暗いシンクに。
ふと、空いている片手が魔術回線を開こうと無意識に動いた。
繋ぐ相手は――
選ぶ名前は一つだけ。
けれど、選ぼうとした直前で手が止まった。
このまま、繋いでしまえば。
それはきっと”甘え”になってしまうだろう。
――薄紅色の唇を、噛み締めた。
■セレネ > こんな時間に繋げば、驚かれるかもしれない。
迷惑になる事もあるかもしれない。
ならば。己が出来る事は。
彼になるべく迷惑を掛けない事、だろう。
…いや、充分今まで彼に手間や面倒をかけてもらっている以上、
これ以上の負担は許されまい。
彼自身がどう思っているかは分からないが、
少なくとも己はそう思っている。
たかが『精神が不安になった程度』で、軽々しく連絡して
声を聞いて安心したかったなどと。
…己には、甘えが過ぎる。
■セレネ > 震える呼吸、指先。
そのままにカップを軽く洗って元に戻せばベッドに横になる。
眠れなくとも、横になるだけでも良い。
器がある以上疲労もする。だから、勉学や日常に支障が出ない程度には
体力はなければならない。
”いつも通り”に振舞うなら、気力も体力も必要だ。
――そうして、いつも通りを演じる為に淡い眠りに就くとしよう。
ご案内:「常世寮/女子寮 一人部屋」からセレネさんが去りました。