2020/07/18 のログ
ご案内:「堅磐寮 部屋」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
日ノ岡 あかね > 「……」

目覚まし時計を手に取る。
凄い時間だった。

「……寝過ごしたわね、完全に」

適当な時間に外に出るつもりだったが、もうそんな時間でもない。
計画まで残り日数も少ない。
なるべく毎日出歩くつもりだったのだが。

「……」

ベッドからのそりと起き上がり、鏡越しの自分の顔を見る。
セミロングのウェーブはぼっさぼさ。
目は半目でとても目つきが悪い。
普段はきっちり着込んでいる制服も今は着てない。
普通の部屋着。

「……今日はいっか」

あかねはサボりを決め込んだ。

日ノ岡 あかね > 「……」

そうと決まれば、やる事は決まっている。
二度寝である。
甘美なる二度寝。
誰もが抗えない幸福の園。
そこにあかねも埋没していく。

「……」

しかし。

「……おなかへった」

空腹にはもっと抗えなかった。

日ノ岡 あかね > ゆっくりとベッドから起き上がり、適当に櫛で髪を梳かしてから、ヘアゴムで簡単に括る。
面倒なので適当なポニーテール。前髪はヘアピンでとめる。
一身上の都合であかねは自室など以外ではポニーテールは控えていた。
モロ被りの知人……しかも男がいるため。

「……流石にねー、髪型まで御揃いはちょっとねー」

独り言を呟きながらほくそ笑み、冷蔵庫を開く。
小さいサイズのペットボトルの烏龍茶を取り出し、ついでに冷凍のパスタを取り出す。
食べきりサイズ。どうせ部屋で一人なので遠慮なしの大盛りナポリタン400グラム。
あかねは実は割と食べる。
食べた分あとで動いたり食べなかったりで帳尻合わせているだけである。
多すぎるパンケーキを男子に押し付けてみたりしたこともある。
スタイル維持は女子の永遠の課題なのだ。
電子レンジに放り込んで、プラスチックのフォークを準備する。
すぐ捨てられて便利。

「よっこいせー」

テレビをつける。
放り込みっぱなしのプレイヤーの中身は適当な海外ドラマ。
あかねは字幕が好き。

日ノ岡 あかね > 出来上がったパスタをフォークだけで啜りながら、ぼさっとドラマを見る。
もう一回全部見たドラマなのだが、好きなのでまた見ていた。
字幕を目で追いながら、パスタをずるずる食べる。

「……」

すぐ食べ終わる。
烏龍茶をチビチビ飲みながら、テレビの明かりだけの部屋で一人照らされ続ける。
大昔、深夜のドラマを見たくて両親に黙ってリビングで毛布にくるまってテレビを見た時を思い出す。
まぁ、その両親とも連絡を取らなくなって久しい。
こんな島に放り込んだことを向こうも多分気に病んでいるのだろう。
家族仲は普通だった。

「……別にいいのに」

親の気持ちは子は知らないので、あかねはそれしかいえない。

日ノ岡 あかね > ドラマを一話分だけ見てから、ゴミをまとめて片付ける。
全部プラスチック容器なので洗い物が出ない。すばらしい。
食後の歯磨きをしながら、鏡越しに普段より不景気な自分の顔を見る。
寝起きはまぁこんなもんだ。
それに今一人だし。
誰もいないし。

「……」

歯磨きをすましてから、口の両端を両手の人差し指で軽く上げてみる。
そうそう、こんな感じ。

「……スマイル、スマイル」

表情筋もトレーニングしないと弛む。
あかねはそれを知っていた。

日ノ岡 あかね > 部屋着でも付けっぱなしのチョーカーを軽く直す。
流石委員会謹製だけあって汚れたり蒸れたりとはまるで無縁。
それでもまぁ、気にはなるのでアルコールティッシュで今日も手入れする。
こう言う事する必要はないと委員会から散々いわれているのだが、あかねが個人的に嫌だった。

「よし、と」

一通り手入れを終えて、使い終わったアルコールティッシュをゴミ箱に放り込む。
シャワーでも浴びようかと思うが、流石にそこまでは面倒臭い。
どうせまた寝るし。

日ノ岡 あかね > 食べてすぐ寝るのは気が引けるが、満腹感でいい感じに眠くなってきた。
髪をほどき、ヘアピンをテーブルに並べて、また布団に潜り込む。
エアコンの温度設定を少し下げる。
少し寒めくらいの温度設定にして、毛布にくるまって寝るのがあかねは好きだ。

「……この部屋もあと一週間多分いられないのよね」

気付けば、割と長く使っている部屋。
友人の喫煙所になっていることもあるが、それも含めてあかねはこの部屋が好きだった。
まぁ、それでも。

「……片付け、そろそろ始めないとね」

時間はもう、残されていない。

ご案内:「堅磐寮 部屋」から日ノ岡 あかねさんが去りました。