2020/07/22 のログ
ご案内:「堅磐寮 友の部屋」に鞘師華奈さんが現れました。
鞘師華奈 > 「さて――と、まぁこんなものかな…」

パンパン、と軽く手を叩きながらその部屋をぐるりと見渡す。
つい先日まで大事な友達が過ごしていた部屋――そして、今日から私の部屋だ。

同じ寮内なのもあって手続きはそれほど手間も無く、荷物の運び出し・運び入れも一人で充分な程度――元々私物はあまり多く持たないタイプだ。

幾つか残っていた物はそのまま引き継ぎつつ、改めて自分の部屋となった室内を見渡す。

(――うん、まぁ間取りとかほぼ同じだから特別に何か変わった訳でもないんだけど)

――それでも、”この部屋”に自分が住む事にはささやかながらも大きな意味があると、鞘師華奈は信じている。

鞘師華奈 > 取り合えず、冷蔵庫の中身はお察しだったので色々食材を買い込んで補充。
調味料も一通り必要なのは買い足した。これで食事面は安心だ――こう見えて自炊派である。

「さて、これでささやかな引越しは完了――おっと、いけない」

忘れてはいけない大事な物。取り出したのは一枚の写真――自分と大事な友達とのツーショット。
――おそらく、最初で最後の一枚となるであろうそれを、目を細めてジッと見つめていたが。
そのまま、その写真を大事そうに買ったばかりの写真立てに入れて。
――少し迷った末に、ベッドサイドへと写真立てを置いておこう。

「――よし、これで完全に引越し完了。…一服しようかな…。」

何時ものように煙草とライターを懐から取り出して、何時ものように窓際へと。
窓を開ければ、片手に携帯灰皿を持ちながら1本、煙草を咥えてライターで火を点ける。

――ゆっくりと紫煙を外へと吐き出しながら、静かに一度目を閉じて。

鞘師華奈 > 「――面倒臭いけど、もっと料理の腕前も上げておかないとね」

また彼女がひょっこりと笑って帰ってきた時に出迎える為にも。あと、同僚とその庇護下の少女が料理が致命的なのもある。

(…取り合えず、今度料理本とか簡単なレシピメモでも渡しておいたほうがいいかなぁ)

等と考えながら一服中。この寮は性別種族問わず色々な住人が居るが、正直あまり他の住人を見掛けない。
空き部屋が多いのか、それともタイミングの問題なのかは分からないけれど。

(まぁ、常世寮の方が普通に人も多いだろうしね)

人付き合いはどちらかというと下手ではあるが、まぁ同じ寮の住人とはある程度は交流もしてみたい気持ちくらいはある。
――面倒臭がりの傍観者気取り。3年も被ってきた皮も少しずつ剥がれてはきているのだろうか?まだ自分では分からないけれど。

ご案内:「堅磐寮 友の部屋」に紫陽花 剱菊さんが現れました。
紫陽花 剱菊 >  
急ぐ。急ぐ。
何ゆえに急ぐのか。
急がねばならぬ使命が、其処には在る。
だからこそ、人は急ぐ。
稲玉が迸る。紫紺の稲光が、空を駆け抜ける。
刹那……。

「……あ……。」

自分でも馬鹿みたいに間抜けな声が漏れた。
空いてた窓に、紫電が飛び込んだ。
縊れたコートに稲妻が迸り、少女の前に一人の男が現れた。
そう、圧倒的不法侵入者。
何時もの仏頂面も流石に此れには「やっべぇ」みたいな顔になっている。

「…………。」

「……済まん、"道を間違えた"。」

────素直に謝ってしまう作戦☆

鞘師華奈 > 「――――…。」

気が付いたら、空いていた窓から飛び込んでくる影――そして紫電の煌き。
窓際で煙草を咥えたまま一服していたので、その姿勢のままにそちらに赤い瞳を向ける。

「……一応、ここは私の部屋なんだけど…通報していいかい?」

すちゃっとスマホを取り出せばピッポッパ。…あーもしもし風紀メン?ちょっと新手のダイナミック不法侵入の被害を受けたのですが。

何処と無く「やべぇ」という表情を謎の男が浮かべているが、こっちも別の意味で「やべぇ」という表情である。
一応、まぁ何と言うか性別的に女性だから身の危険を感じないでもない。

「――あのね。そちらが何処の誰かは知らないけどここはそもそも”道”じゃなくて”部屋”なんだけど」

と、至極当たり前な返答。というか突っ込みをしていく構えで。
あと、通話ボタンは押してないけど何時でも押せる姿勢なのである。不信感全開だ。

紫陽花 剱菊 >  
「待て、通報は拙い。今は拙い。いみじくもと思うが、非常に拙い。」

正直に言えば完全に此方が悪いので文句は何も言えない。
だが、今こんな間抜けな事で足止めされる訳にはいかない。
しかし、如何言い訳したらいいものか。不法侵入には違いないし
道を間違えたのも嘘ではない。"跳ぶくらい己には容易い事"。

……誰もがそんな超人的考えを持つわけないだろ。普通の人間は電気出さないし跳ばないんだよ。

頭武人だから当然そういう常識も欠如してるから微妙に相違している認識……!
だが、流石に少女が取り出した携帯端末には目を見開いた。
あれは拙いぞ、ボタン一つで風紀メンがやってくる優れものだ!
因みに己には未だ使い方が分からない。
何故画面をスライドしたら、画面が大きくなるのか……コレガワカラナイ。

それはそれとして、待て、と言わんばかりに右掌を相手へと向ける。

「失礼……急務故に、文字通り雷と成りて罷り越して候……否、本当にうっかり、そう、入ってしまった……。」

雷って尖ったものに入りたがるからなぁ~~~。
其れは其れとして本当に申し訳なさそうだし
穏やかなで静かな声音に表裏は無い。
事実、男が生真面目故に、しっかり、深々と頭を下げた。
寧ろ此処で下げなかったら逮捕エンドだぞ、しっかりしろ。
そして、ゆっくりと頭を上げる。

「……誰かと問われれば……公安委員会所属、紫陽花 剱菊(あじばな こんぎく)……個人的命の下、空を駆けていた。」

素直に自己紹介した。
マジで素直だ。

鞘師華奈 > 「うん、拙いのはむしろ私の方なんだけどね…ダイナミック不法侵入、刀持ってる、しかも女の部屋に男とか…むしろ悲鳴を上げた方がいいのかな?」

赤い瞳をジト目にしつつ。流石にこんな登場をされたら、少しでも真っ当な感覚があれば風紀メンに通報しようとするだろう。
まだ、悲鳴を挙げたり即通報しないだけこの女はマシ?と言えるかもしれない。

(あと、感覚で分かる――普通にこの距離じゃあちらの間合いで私なんて一刀で終わるね、これ)

スマホをそちらに見せながら一定の距離を保ちつつも冷静に観察しつつ、何やら戦闘に似た緊張感!
――そりゃ、謎の不審者とかなり近い距離で対峙していたらそういう空気にもなるだろう。
と、彼が右手を突き出して「ちょっと待て」というジェスチャー…仕方ない、3分だけ待つとしよう。

「――文字通りに雷になられても困るんだけど…まぁ、窓が割られなかっただけマシかな…」

友人から部屋を受け継いだ翌日に窓ガラスをぶち破られたら洒落にならない。
何か、友達が思わず笑っている顔がふと浮かんだが多分気のせいだろう。

まぁ、それはそれとして!不法侵入に変わりは無い…しかも、一応は女子の一人部屋だ。
通報されたらマズいというか凄いマズいだろう。彼の言い分を聞く程度の時間は与えるが。

(…不審者に変わりは無いけど、所作は生真面目そうだなぁ。…ふむ)

と、こちらも警戒は保ちつつも彼の言葉を聞いていたのだが…自己紹介に「え?」という顔。

「…いや、まさか同僚とは思わなかったよ…同僚が不法侵入者、というのも予想外だけどさ。
――公安委員会直轄第四特別教室に所属してる、新人の鞘師華奈…えーと紫陽花さん、だっけ?
個人で動くのはいいんだけど、もうちょっと周囲に気を配った方がいいと私は思うんだよね」

と、スマホを持つ手を軽く一振りすれば忽然と手の中からそれが消える。別にただの”手品”だ。

紫陽花 剱菊 >  
「…………。」

「……返す言葉も無い。」

じとりと睨む赤目。
間違いなく彼女の方が正しいので申し訳ない。
がっくしと肩と頭を落とした。

……とまぁ、随分と落胆しているが、華奈の分析は強ち間違いではない。
行住坐臥。剱菊の生きる場所は戦場で在り、彼の居場所は其処。
今はただの刃に非ずとも、其の構えに隙は無く
一刀で終わるかはともかく、何か打ちこめば即座に対処できるだろう。

「……其れに関しては、急いでいたが故に……。」

言葉通りである。
致し方ない。(致し方ない訳では無い。)

「……否、返す言葉も無いが……左様か、其方もまた、同じ志を共にした同胞、か……。」

「……はい。」

はい。過ちには素直に返事をします。
ともかく、少女の寛大な気持ちに深く感謝をし、もう一度深く頭を下げておいた。
さて、漸く落ち着いたところで、彼女に迷惑をかけてはいられない。
急ぎの身故に、そろそろこれにて、とベランダに差し掛かろうとした矢先
偶然にも、或いは其れは戦人との癖か
周囲の把握のために、辺りを一瞥した。

「…………。」

目に入ったのは、写真立て。
正確には、中の写真。
満面の笑みを浮かべた、少女二人のツーショット。

「……あかね……。」

思わず、其の名を零した。

鞘師華奈 > 「――まぁ、ちょっとした事故だと思っておくよ…その方がお互い良さそうだし。
ただ、まぁ他の女の子部屋にこんなダイナミックな不法侵入したら普通に案件だからね?」

或る意味で自分で良かったのかも知れない、というのは少し自惚れに過ぎるかもしれないが。
スマホはもう仕舞ったので、やれやれと吐息をひとつ零せば改めて男を観察する。

――刃。真っ先に浮かんだのはその単語だ。印象、空気、見た目、そのどれでもなく直感みたいなもの。
公安という調査を主体とした組織に入ったのもあるが、元々それなりに観察眼はある方だ。
もう少し見極めれば詳細な分析も出来るかもしれないが…今は止めておこう。野暮に過ぎる。

「急いでいるのは仕方ないとしても、焦っていたら大事な物を見落としたりしかねないよ?
――まぁ、紫陽花さんが只者じゃないのは直ぐに分かったから、そこは私みたいな若輩者がどうこう言うものでもないけどさ?
あと、私は志って程じゃないよ。思う所は確かにあったけど、元々は友人の勧めで入ったみたいなものでね」

と、肩を竦めてみせる。まだ”自分の物語”を見つけていないのに、志も何もあったもんじゃない。
ともあれ、彼が急いでいるのは本当らしく、再び深々と一礼してから周囲を一瞥して立ち去ろうとする様子を見送り――おや?

「――紫陽花さんもあかねとは知り合い?私は彼女の友達なんだけど…」

その、思わずといった感じで口から出た名前に首を緩く傾げて尋ねようか。
まぁ、あかねの事だから顔も広いだろうしなぁ、と小さく笑ってしまう。

――彼女は今頃、きっと”挑んでいる”頃合だろうか?