2020/12/14 のログ
ご案内:「堅磐寮 斬鬼丸の部屋」に妃淵さんが現れました。
ご案内:「堅磐寮 斬鬼丸の部屋」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
妃淵 > 「あ゛あ~…ただいま」

がちゃり、バタン

気だるそうな声を部屋の中に投げかけながら帰宅する制服姿の少女
ところどころ着崩した様子は、スラム育ちの粗野っぽさを感じさせる
…というのは置いといて、なんだかお疲れの様子で帰宅である

ブーツを脱ぎ捨ててもこもこのスリッパに履き替えて部屋の中へ

水無月 斬鬼丸 > 「ただいまー…」

フェイの隣。同時に靴を脱ぎ、二人の靴を揃えてから
エアコンのスイッチを入れる。
ここ最近とても寒い。最近まで暑かった気がするのに、もう冬だ。
季節が流れるのははやい…。
ローテーブルの代わりに置かれたこたつは、もはや欠かせない。
だが、そこにはすぐには入らず、二人分のココアをいれ始める。

妃淵 >  
「さむさむ…」

ぱたぱた、足早にこたつに到着すればスリッパを脱いで早速電源ON、入り込んだ

スクールバッグは適当に横に転がして、
制服は皺になるのも気にせずそのまま、とりあえず暖を取る
それともう一つ、コンビニ袋をこたつの上に置く
中には帰り道で買ってきたホットメニューやスイーツがもりもりさんである

「スラムより全然いいけど、やっぱ冬は寒いヨなこの島…」

水無月 斬鬼丸 > 「そうだね。俺、寒いの嫌いで…エアコンあってよかった
ってかブレザーだけでも脱いどきなって」

マグカップを2つもってこたつへ。
一つをフェイの前に置けば、自分はフェイの対面へ。
ホットスナックを袋から取り出して分配作業に入る。
自分はいつもどおりスポーツウェアなのでいいのだが
フェイの制服はとなると、流石にシワを伸ばすのは面倒だ。

妃淵 >  
「もーちょっとぬくくなったら」

こたつの天板につっぷすようにしてタレている
そうこうしていると温かいココアが到着した
冷えた手を温めるように両手でマグカップを包み込む

「オレも部屋で着れる上着か何か買おっかな…」

ココアを口に運ぶ、仄かに甘苦い暖かさが体に広がっていく、びみ

水無月 斬鬼丸 > 「パーカーとか?」

フェイと言えばパーカー。
はじめてあったときから着てたものなので、印象が強い。
とはいえ、別の衣装を着た姿も見たい。もちろん。
パジャマとか。
フェイがココアを飲んでいる最中、自分は唐揚げを一つもぐもぐ。
フェイにもドウゾと差し出して

「寒いうちになんか買ってもいいかもね。
キルモーフとか」

妃淵 >  
「冬用のヤツ?それもいいかなー…」

温かいし、とようやく身体も温まってきてブレザーを脱ぐ
シャツ姿になると妙に身体のラインが浮き出るのは色々と着けていないわけで、寒そうさに拍車をかけている

「別に人に見せるわけでもないし、暖かけりゃそれでいんだけどなあ。
 なんだっけ、どてらとか……」

一口サイズの唐揚げを手でつまんでひょいっと口へ
指についた油をぺろりと舐めつつ、はじめて学生街で迎える冬のことを考える

人に見せる姿と見せない姿、此処に来る以前では気にしなかったことを気にするようになったようだ

水無月 斬鬼丸 > エアコンも効いてるのでさほどでもないとは思うのだが
見た目は寒そうだ。
というか、下着くらいはつけてくれないと色々と心配だし
なによりあれだ。いろいろと、こまる。
いつも見て入るが、見慣れてなお目を奪われてしまうのだから…
どれだけ自分が彼女にやられてしまっているかわかろうものだ。
そう思うと、なんだか気恥ずかしい。

「ん、ま、部屋にいるならそうだ…それこそジャージとか…」

人に見せるわけでもない。
自分にだけ見せる姿。
冬は寒いのだが、なんだか、温かい気持ちになった。
ココアも飲めば、体もあたたまるというものだ。

妃淵 >  
「ジャージにどてら?いいじゃんいかにもって感じで」

もにゅもにゅ、唐揚げを頬張りながら微笑む
コンビニの唐揚げ、胸肉を柔らかく仕上げている不思議な美味しさ
以前はドライな態度が目立っていたが、自然に笑うことも多くなったかもしれない
環境への慣れと…まあ、端的に同じ空間で過ごす相手への慣れ…なのだろう

「そういえば冬休みなんてのもあるんだっけ…どっか遊び行く?」

バイトとかありそうだけど、と付け加えつつ、ココアを再び口に運ぶ

水無月 斬鬼丸 > 「俺も冬にこれ一枚じゃ流石に寒いだろうし
なんか買おうかな…フェイがなんか買うついでに」

彼女と暮らし始めてからしばらく経って
表情も空気も、どこか柔らかくなったようにおもえる。
とはいえ、あったときから、あまり激しいところは見ていないのだが。
むしろ一緒にいるときは、彼女が押さえ役のようなところすらある。
だが、この生活に馴染んでくれたことに関しては、嬉しくある。
この学園は多くの問題が起き、平和とは言えないが
今ここにある彼女との生活は、紛れもなく、自分が望んだ日常だ。

「どっか?フェイはどっか行きたいトコとかある?」

バイトは、もちろんあるが、予定さえ決めてしまえば休みをねじ込む。
それに、年末はちゃんと休むし。
ポテトをもぐもぐしつつフェイの要望を聞く。

妃淵 >  
「ん。セールとかもやってるだろうし。バイト代入ったらかな」

随分所帯じみたというか、落ち着いた会話である
最近はフェイエン自身も…まあ性格が災いし長続きしないことも多いが、
あちこち転々としつつバイトをしていた
奪う生活から、対価をもらう生活へ
スラムで生きてきた少女は、環境に適応しなければ生きていけないという部分を本能的に悟ったのだろう

「いきたいとこナー…。なんだろ、冬ってあんま遊びに出歩いてなかったしナ…」

ンー?と首を捻る
クリスマス、年末年始、冬といえばどれもこれも貧しいスラム街にはほとほと縁がない行事だった

水無月 斬鬼丸 > 「年末とかクリスマスに結構使いそうだから、無駄にはできないけどね」

共に生活しているからこその会話…といえるだろう。
フェイのバイトはあまり長続きしないが
自分も一応、フェイと一緒に働けそうな場所を探してはいる。
いつか、料理も勉強したいといっていたし
ある程度できるようになったら、ファミレスとかいいかもしれない。
フェイには馴染みのない行事だっただろうが
恋人とそれらの日を過ごすというのは、男子学生の悲願でもある。
少しくらい贅沢しても罰は当たるまい。

「まぁ、このへんで行けるとこって言ったら、渋谷とか百貨店くらいだろうけど
それでも、なんか行事に合わせてイルミネーションだとか…」

果たしてフェイがそういうものを見て喜ぶかどうかは不明だが。

妃淵 >  
「年末って金使うンだなー」

すっかり飲みきったココアのマグカップを置いて一息、すっかり部屋も温まったようで

「イルミネーション?ってなんか電飾とかでキラキラさせるやつ。へー…」

確かにスラム育ちの少女がそんなものを見て喜ぶかは微妙かもしえない、が

「斬と一緒にいったら大体楽しい感じになるし、それもいいと思うヨ」

元々縁のなかった行事…とはいえこちらに来てはじめて迎える年の瀬は特別感もある
特別な相手と特別な時間を過ごすことを自然と愉しんでいるようだった

水無月 斬鬼丸 > 「そっか、フェイがそう言ってくれるなら安心して誘える」

目の前の彼女と同じように表情を緩めて
ココアを飲みきってしまう。
楽しめるかどうか…以上に、彼女と一緒にいてそういうものを見る。
初めてのことなんだから、きっと楽しい。思い出にもなる。
変に考える必要はなかったと、安堵しつつ、マグカップを2つ、回収すれば流しに置きに行く。
部屋は温まっているし。

「まーね、せっかくフェイがいるんだし
フェイがしたこと無いことや見たこと無いもの見るのがいいかなーって。
餅とか食ったことある?」

洗うのは後でいい。
戻ってくれば今度はフェイの隣にもぐりこんで。

妃淵 >  
「まー、今まで大体斬とドコ行っても楽しかったし?」

大体どこに行こうが、楽しくしてくれるんだろうという淡い期待感
漠然としたそういうものを持っているのかもしれなかった

「餅は、知ってるヨ。売ってるし食ったこともある。
 何、冬に食う餅は何か違うのか?」

わざわざ聞くということはあれは冬の食べ物なのだろうか
年中売ってるような気もするが、と不思議そう視線を真横にいる斬鬼丸へと向ける
コタツに隣通し、相応に密着することにはなるけれど、とっくに慣れた距離感だった

水無月 斬鬼丸 > 「あ、あー、う、うん、次も頑張る…」

そう言われると、嬉しいやら恥ずかしいやら。
思わず顔を赤くして言葉にも詰まってしまう。
しばらく一緒に暮らしているが、やはりどうしても慣れない。
大好きな女の子がこう言ってくれるのは照れてしまう。
気を取り直すように小さく咳をして。

「売ってる…まぁ、そっか。もうすぐ時期だし。
このあたりだと正月に食べるのが定番で
雑煮とかそんなかんじに…」

密着する。
お互いに慣れたと言うか…いつもの距離。
安心すると同時にどきどきもする。

妃淵 >  
「うむ、がんばれ」

上から目線の気取った口調で返しつつ、微笑む
顔を赤くする様子は、変わらないヤツだななんて思いながらも
それはこの斬鬼丸というヤツの可愛いところである
誂うようについでにカラダを寄せて

「ゾウニは食ったことないな…。
 いいネ。楽しみが増えたヨ」

水無月 斬鬼丸 > 「あ、えぇっと…練習、しとく…」

美味しい雑煮をご馳走したくなる微笑み。
なんか、フェイと一緒に暮らし始めて、料理の腕が上がったような気がする。
そこらの主婦くらいには。
何度も重ねた…というか、毎日重ねてる体ではあるが
寄せられればまるで初めてあったときのように胸が高鳴ってしまう。
こればかりは慣れない。
彼女に対しての恋心だけだけは。

「クリスマスにはー、えーっと、あれ
ケーキ。フェイもバイトで売ってるみたいな…
あれも一緒に、食べ、よう?」

妃淵 >  
「特別な日にケーキってのはそういえば食べたことナイや。
 いいヨ。甘いモンもけっこーいける口になったしネ」

くすくす笑いながら更に身体を寄せる
まるでドキドキさせていることをわかっているかのように
というか、間違いなくわかっていてやっているのでタチが悪い

「こー寒くなって来ると、二人っていいもんだナー」

部屋の暖房やコタツのおかげもあるが、やっぱり体温は温かい

水無月 斬鬼丸 > 「それは…よかった。
その、俺も甘いもんとか好きだし…」

言葉があまりうまく出なくなってくる。
フェイはフェイでそれを知っててからかってくるのだから…
少し恨みがましく見るが、お互いの体温が感じられるほどに体が近いのを思えば
おそるおそる、肩を抱くように手を伸ばし。

「そっ↑そう、だね。えーっと、フェイあー、その…
まだ、寒かったり?」

声が上ずる。
こうなってしまうともう、意識せざるを得ない。
というか、それすらもわかっているだろう。フェイは。

妃淵 >  
吃ったり、上擦ったり…
狼狽しているのが大変よくわかる
きっと日常的に誂われているのだろう、と
誰かが見ていればすぐにわかってしまうくらいにわかりやすい

「ンー、別に?寒くはないヨ。
 ただくっつきたいからくっついてるだけ」

肩を抱かれれば頭をこてんと預けて来る

「斬は寒い?」

水無月 斬鬼丸 > 「ぁ、えと…ぇーー…」

傍から見ればわかりやすい
もちろん、自分だってわかってる。
まったくもって情けないというか、浅ましいというか…
でも仕方ないじゃん、高校生なんだもの。

「寒い、デス…」

妃淵 >  
「暖房もコタツもついてるのに?寒がりだナー」

身体を押し付けるようにして、更に隙間を消してゆく
互いの体温も鼓動も伝わる密着感…

「帰ってきたばっかりだシ、汗くさくても文句言うなヨ?」

ぎゅっとしがみつくように手をまわして、抱き込む
斬鬼丸と比べても頭一つ分くらい小さな体格
子供がくっついてくるような感覚かもしれないが、体温はぽかぽかと温かい

水無月 斬鬼丸 > 「だ、大丈夫!ちゃんといい匂いだから!」

密着する。
あったかい。やわらかい。フェイの匂いがする。
いつものことながら、こうなるとどうしても駄目だ。
フェイは小柄だが…しっかり女の子だ。
高めの体温は、こたつやエアコンのおかげだろうか。
むしろ自分の匂いが気になるが…
それでも離れるのは嫌だ。

「えーと、フェイ、まだ夕方だけど、その…いい、かな?」

なんか冬になってから色々と密着してる時間が多いような。

妃淵 >  
まだ15歳の少女、確かにその汗も不快な匂いではないかもしれない
それにしてもいい匂いと評するのは、面白いヤツだと思わざるをえなかった

「いいカナって、何する気?」

少女の笑みが深まる
あっ、これはわかってて言わせようとしてるやつだぞ
この二人が毎日のように耽っているのならば、
こういった悪戯心が湧いて出るのも自然なことかもしれない
ちょっとしたスパイスのようなもの、なのだろうが

かたや男子高校生、好きな相手が毎日となりにいる…という条件ならば、そうそう抑えは効かないだろう

水無月 斬鬼丸 > 「何って!?え、あー…それは…ぁー」

ニヤニヤと可愛らしい笑みを浮かべるフェイ。
絶対わかってる。
むしろさっきまでの流れでそれがわからないほど
フェイは無知ではないし初心でもない。
とは言え、こうやってからかわれるのも嫌いではない。
むしろ、フェイにからかわれるをどこか楽しんでいるフシがある。
おもえば、付き合う前はいつもこんな感じに主導権を握られていたような。

つまり、彼女を好きになった理由にそういうところが含まれているのも
否定はできない。

「えぇ…えーと、だね…えっ、ち…したい…です」

がんばった。

妃淵 >  
「よし」

頑張って言葉にしてくれた斬鬼丸
満足気に笑って、身体を密着させたままその顎先に左手をするりと伸ばして、這わせる
本当に面白いやつ。素直だし、人を傷つける嘘とか絶対につけないタイプだと常々思う

「(もしかしてマゾじゃないよな…)」

なんてことを思いながら鼻先を突き合せて

「今日はダメな日だから、ちゃんと使えヨ…?」

そのまま眼を薄め、深く唇を重ねにゆく──

水無月 斬鬼丸 > 「あ、…フェイ……」

こうなったらおあずけを解かれた犬状態。
フェイの体を強く抱きしめる。
フェイの指先が触れれば導かれるように顔を寄せて…
の前に、釘を差される。

「ハイ」

駄目な日はちゃんとつける。
これは大事。
駄目じゃない日は?うん。それはそれ。

唇を重ねれば、そのままベッドに行くよりも先に体を重ね合うことだろう
冬は寒く、こたつのぬくもりには抗いがたいのだから。

妃淵 >  
コタツの温もりも、若さにも抗えないもの
いくらも身体を重ねていたいと思いながらも時間は過ぎて……

「──あっつ…」

いつのまにかベッドの上
毛布に包まったフェイエンが同じく寝そべる斬鬼丸の隣にいる

「…晩飯どうする?」

何か作る?と、色気もない会話
それも当然。すでにこういった触れ合いも含めて二人の生活という形になっているのだから

水無月 斬鬼丸 > 気だるい疲れと心地よさに身を任せて
気がつけば窓の外は暗い。
もう夜もいいところだ。

「あー…」

なんか前もこんな事あったような。
ずっと一緒に暮らしてるのだ。
交わっているうちによるだなんてこともしばしばあっただろう。
それはそれとして、寝転んだまま…

「えーと…そうだな。なんかあったっけ…」

秋口くらいなら、なんか買いに行くという選択肢もあっただろうが
もう寒い。
外に出たくはない。
ならば何かデリバリーか作るかになるわけだが…
のそりと体を起こせば、そのまま台所へと向かう。
冷蔵庫になにか残っているのであれば、着替えた後に料理でもするだろう。
フェイにも手伝ってもらいつつ。

妃淵 >  
暖房ですっかり暖かくなった部屋で、汗を拭いて部屋着に着替えれば
冷蔵庫の中を二人で漁り、適当な冷凍食品と簡単なサラダ、ついでにパスタでも茹でようと言った感じに

「………」

再びコタツの上に食事が並べば、ややぽやっとしたような面持ち

「こうやって一緒に暮らしてるヤツと色々決めながら生活するのが"フツーの暮らし"なんだナ」

はむ、とようやく器用に扱えるようになった箸でサラダを摘んで口へ
二人で決めて、二人で作って、二人で食べる、二人で熟す
これが3人、4人となるのがおそらく"正しい家族"なのだろう

「半分、親に見捨てられてたからなかなかわかんなかったヨ」

水無月 斬鬼丸 > 二人でつくった夕食。
これもまたいつものこと。だけど、その日常が自分にとっては何よりもかえがたいもので。
洗い物が面倒だからと箸でパスタをすすりつつ
感慨深げに言葉を紡ぐフェイを見つめていた。

「そっか」

自分にはそういう記憶はある。
記憶はあったが、それがすべて偽りであったと聞かされた。
フェイとは真逆。
そんな二人が、一緒に暮らし、フツーの暮らしをおくっている。
二人で続けていくこの暮らしが、二人にとって真の意味で日常となるのだろう。
それが実感できると、なんだか、フェイを抱きしめたくなった。

「じゃ、卒業したら…ほんとに家族になってみるのもいいかも…
俺も、家族とかもうないからさ」

妃淵 >  
「ん。いいかもナ、それも…」

家族になってみる
それはつまり、深く考えなくともわかるコト
柵も色々と多いンだろうな、なんて思いもするが…
今の日常が続けられるなら…当然悪くない

「異能のせーでおかしくなった家庭や家族って多いんだろーナ」

自分もまた、異能の力を恐れた家族から向けられた視線は忘れない
兄が出ていった時に心から安堵していた両親の顔も

「その点オレらはどっちも異能者だから問題ないナ!」

笑う。異能を巡る迫害なんかとはとりあえず無縁だ

水無月 斬鬼丸 > フェイの返事に言い出しっぺの自分が目を丸くする。
確かにふたりとも異能持ち。
二人に子供ができたとして、異能者であったとしても問題はまぁ無い。
いつものように笑い話、食卓での雑談の一つ
とも思っていたから不意をつかれはしたが、パスタと一緒に自体を飲み込めば
かくかくかくとものすごい勢いで首を縦に振る。

「うん!問題ないし!それがいい!そうしたい!!」

気が早い。
もちろん
すぐにそうなるわけでもないし、それまでに何かがあるかもしれない。
だが、そんな不安は彼女には見せない。
彼女の安心なのだから、自分は。
だからこそ、少し楽天的になったっていいだろう。

妃淵 >  
「ま、ふつーにすげー大変だとは思うけど」

頬杖をつきつつ、高速で頷く斬鬼丸を見る
異能の有無関係なしにしても、まあ大変な話のはずだ

でもどのみち大変なことがわかっているなら、別に大したことはないのかもしれない
それを吹っ飛ばせる勢いがあれば乗り越えるだろう、多分
甘く見ているわけでもないが、ネガティブになるようなこともない

「じゃあ浮気ぐらいは許すけどそれでフりフられはナシな」

オレはしないけどー、とつけくわえて笑っている
それは意外な言葉だったかもしれないし、らしいと思わせる言葉だったかもしれない

水無月 斬鬼丸 > 大変かどうかと言われれば、たしかにそうだ。
ここまで来るのだって、学生の身分としてはわりと必死に走ってきた。
二人とは言え、そこにたどり着くのは苦労するはず。

だが、二人だ。

「浮気とかできるわけ無いっす。俺モテナイほうなんで…
そんで、フェイ以上に、俺がフるなんてありえないんで」

ここまで一緒に来てくれたフェイだ。何も疑いはしない。
ふたりでつくったサラダを口にする。
この味がきっと、自分の家庭の味になるんだと信じて。

妃淵 >  
「ふゥ~ん…?」

にやけるフェイエン

「いいのかナー、言いきっちゃって」

自分もまだまだ15歳の小娘だが、斬鬼丸だってまだ普通の男子高校生と変わらない年齢である
迷ったり、フラついたりするのが当たり前ではなかろうか

「おっぱいでっけー年上のおねーさん何かがアタックしにきてくれるかもしれねーのに♪」

勿体なくねー?なんて、けらけらと笑う
なんとなく、すっかり落ち着く空気感だ

自分がこんなに笑うキャラだなんて思ってもいなかった

「…あ、今日『よい知れ』の特番の日じゃん。さっさと食っちゃお」

元々そんなにないお淑やかさ?を捨ててパスタをもりもり食べ始めるフェイエン
日常、というものの楽しさと優しさ、そして尊さが当たり前になってくる
それが本当の日常なのだと、なんとなく理解し始めていた

水無月 斬鬼丸 > 「む…ないってぇ…」

からかうように、ありえないことを言うフェイ。
自分は見てのとおり、パッとしない男子学生。
フェイが自分と一緒にいてくれるだけでも、普通に考えればありえない。
フェイの言うような女性が自分になにかちょっかいを掛けてくるようなときは
それこそ美人局やらぼったくりやら恐喝の類になるだろう。

なにより、自分の隣には彼女だ。
フェイの隣がいい。隣はフェイがいい。
楽しげに笑う彼女のそばが良いのだ。

「風呂も沸かしといたんでついでにはいってきちゃってよ。
俺洗い物しとくから」

代わりに明日の風呂掃除は彼女に任せよう。
そうやって一緒に家族を続けていく、それが一緒に暮らすということなのだから。

妃淵 >  
「じゃあもし誰かに唆されたら盛大に笑ってケツ蹴っ飛ばしてやるから」

ごちそーさま、と言って立ち上がり、鼻歌まじりに先にバスルームへと向かう少女

「斬」

振り向き気味に声をかけ、視線を向ける

「洗い物とか後でいいじゃん。一緒に入ろ」

悪戯な笑み、誂うような声でもなく、ふわっとした微笑み

「そのほうが水道代かかんねーし」

直後にやや現実的な言葉が吐かれた
こうやって凸凹なやりとりが紡がれながら、二人の新生活は幕開けから今日この日まで続いているのかもしれない…