2021/12/08 のログ
黛 薫 >  
「好意……好意、かぁ。うーん……」

難しそうに呟く黛薫の表情は戸惑いと嬉しさが
半々くらい。自分も彼女に対して好意的だから
好かれているなら嬉しいが……フィールの前で
それを言うのは変わらず不誠実な気がするし、
側から見て分かるほどの好意を彼女が露にする
姿もなかなか想像しにくい。

「いぁ、そこでフィールを連れてくのはダメ……
 だと思ぅ、多分。だって逆撫でしてるみたぃに
 なっちまぅだろ。あと、フィールとあーしは
 2人で話し合ったのに、向こうと話すときだけ
 フィールも交えてってなると何か……不公平な
 感じするから」

脈動する胎の成長は恐らく想定よりやや遅い。

すぐに産める環境が整っておらず、産む予定が
当分後で急ぐ必要がないのもあるが……何より
母体が弱すぎて負担をかけない速度の上限が
低すぎるのが大きな理由。

フィール > 「…私の前で悩む必要は無いですよ?
私自身が許してますし…何より怪異との付き合いですから。

人間の常識に当てはめちゃだめですよ」

薫の思い悩む姿を見て、助言する。
人間の常識にとらわれる必要はないと。そもそも人間との付き合いではないのだから。

「あー、言われてみれば確かに。でも、心配でもあるんですよね…喧嘩別れしてほしくはないですし。
でも、薫がそう決めたなら、私は従いますよ。人間社会にはまだ疎いですが、理にかなっているとは思いますから」

薫の発言に、薫の腹を撫でながらフィールが同意する。
慈しみの感情が、視線に混じる。

受け入れてもらった、自分の片割れ。長い月日を掛けて生まれるであろう、薫との子。

そんな曖昧な未来に、思いを馳せて。

黛 薫 >  
「あーしが気にしてんの。慣れたらダメだと思ぅし」

誠実でありたい気持ちは誠実である必要性と
必ずしも一致しない。不誠実に慣れて蔑ろに
してしまったら後悔では済まないだろうし。

「……もしフラれたら笑ってくれや」

口調こそ冗談めかしているが、視線を合わせずに
言っている辺り、黛薫の中にも不安はあるらしい。

「あーしが嫌われずに済んで、アイツとフィールが
 仲直り出来たら、フィールは商売につぃて教えを
 請うのもアリかもな。お店を営むコトに関しちゃ
 あっちが先輩なんだし」

未来の話になると、黛薫は浮かない顔をしがちだ。
最悪の想像ばかりして回避に奔走するのが今までの
人生だったから。

子を成す未来に関しては尚更だろう。
子供を産み育てるなんて、彼女のトラウマたる
『当たり前の幸せ』の象徴のようなものだ。

フィール > 「…その時は、一緒に泣いてあげますよ」

薫を想ってくれる人を失うのは、フィールにとっても心苦しい。
調香師は私に好感情を持っていなくても、こっちは持っている。

薫という繋がりがなければ、恐らく調香師と出会うことも無くて。
そう考えれば、たった一度の出会いでも、その繋がりが消えるのは、悲しく思えた。

「そうですね…その辺りの伝手があれば、商売も上手くいくかもしれませんね。勿論、こっちはこっちであちらの商売の手伝いをしたいですが」

不安そうにしている薫を見て、抱きしめる。

「大丈夫ですよ。今までが最悪だったんです。
これからは、良くなります。最悪を知っているのなら、その小さな幸運を知ることが出来るんですから」

これは、経験則だ。
全能感に溢れていた、産まれて間もない頃の感情と。
今持っている、不自由に溢れた中での感情とは程遠くて。

だからこそ、今ある幸せを噛み締め、守りたいと思う。

黛 薫 >  
「……ん」

短く答えて身体を預ける。とくん、とくんと
聞こえるのは鼓動の音。感じ取れるのは普段と
比べてかなり高い体温。

これまでが最悪だったから、これからはきっと
今までより良くなる。以前もフィールには同じ
言葉で励ましてもらった。

「……フィールはさ、以前よりかずっと不自由な
 生活になってると思ぅんだけぉ……」

「ちゃんと、幸せか?」

だけど、まだ自分で幸せを手繰れるほど強くは
なれていないから。縁として、導として貴女の
幸せを確かめようとする。

フィール > 「勿論、幸せですよ。自由に振る舞ってたときよりも、何倍も。

こうして、大切なものも、出来たんですから。」

他の人から見れば、歪かもしれない。

その関係は、脆いかもしれない。

それでも、互いが互いを求め合う限りは…繋いでいけると思うから。

「自分ではどうにも出来ない。自分だけでは思い通りにならない。
そんな事を薫はずっと前から知っていて…私はそれを教えてもらった。
薫がひたむきになりながらも、私のことを――――その時は、契約だけの関係だったのに。気にかけてくれて。
そんな薫の笑顔をみて。

きっと、その頃から、恋してたんだろうな、って。今なら思えます」

思い出すように、話し始める。

「今思えば…随分と高慢ちきだったんですねぇ、私。いや、今でもそうかも知れないですが」

黛 薫 >  
「……改めて聞くと、何か、照れ臭ぃな?
 いぁ、惚れられてるコト自体わありがたぃし、
 悪ぃキモチもしねーけぉ、さぁ……」

黛薫は恥じらうとパーカーのフードや手で顔を
隠そうとする癖がある。今は身体が自由でなく、
それも思うようにいかないが。

密着した距離、普段なら羞恥に熱を持つ肌の感触も
感じ取れたのだろうけれど、今日に限っては元から
熱を出していて体温が高いので分からない。

「ま、本来ヒトと交わらなぃ怪異としちゃ
 そーゆー態度が当たり前だったのかもな。

 しかし、自分を振り返って高慢だなんて、
 人間でも……っっーと人間を持ち上げ過ぎか。
 とにかく、心がある生き物でも認めんのは
 中々難しぃモノなんだよな。

 それを思ぅと、フィールは成長早いんだろな。
 あーしだって難しぃもん、そんなの」

フィール > 「…薫は、どうなんですか?
思い返して、いつから私が大切になったんですか?

ちょっと、気になります」

自分で話していて、気になった。
自分は、いつ、どう思われていたのだろうか。

小さい体で、包み込むように抱きしめる。
人間は身体を温めたほうが早く治ると聞いた。

不思議と、情欲は出てこない。
薫に種を植え付ける事が出来たからだろうか。

先日は醜態を晒すほどだったというのに。

「それだけの変化があった、ということですよ。
まだ数年しか生きていませんが…薫と会ってからは濃密な日常でしたから。

スライムの生育が早いというのは、否定しませんが。」

黛 薫 >  
「いつから」 「……いつから?」

黙り込んで考え始める。深く考えたどころか
今まで意識すらしていなかった問いだった。

「……しょーじきなトコ、フィールについては
 悪感情抱ぃてた時期の方が長かった気ぃする。
 嫉妬してたのもあるけぉ、何より利用し合う
 関係だって、ずっと思ってたから。

 あ、いぁ。でも……多分途中からそーゆー
 関係だって、利用し合うだけの関係だって
 自分に言い聞かせてた……と、思ぅ。

 てコトは、その頃には心のどっかで利害関係じゃ
 測れない関係になってるって分かってたのかな?

 ……あー、うん。でも、ちょっと分かったかも。
 あーし、きっと『自分個人を大切にしてくれる』
 視線を感じたコト……殆どなかったんだわ。

 『好きでいてもらえたから大切になった』。

 多分……そゆコト、なんだと思ぅ」

フィール > 「最初は本当に喰おうとしてましたからねぇ。今思えば懐かしいです。
……思えば、長い間、自分の気持ちに気付いていませんでしたから。
お互い、長い間解ってなかったのかもしれませんね。」

似た者同士、とでも言いたいのだろうか。
お互い同じような状態であったことを分かち合いたくて。

「…思ったのですが。えぇと…『Wings Tickle』の…店長さん?には、そういう感情を向けられた事はあるのですか?」

薫が、そういう感情に気付けたのなら。
向こうの感情にも、気付いているはずだ。

黛 薫 >  
「あーしは分かってなかったっつーか……きっと
 受け入れる自信がなくて、否定しようと躍起に
 なってたんだと思ぅ。もしフィールがはっきり
 言葉にしてなかったら、気の迷いだってコトに
 して、ずっと蓋してたのかも」

自分が大切に思われるはずなんてない、という
思考に凝り固まっていたのもあるけれど……
それ以上に認めるのが怖かったのは否定できない。

認めてしまえば裏切るのも裏切られるのも怖くて
耐えられなくなってしまっただろうから。

「アイツはなー、接客中は『視線』からも殆ど
 感情が読めなぃんだわ。機械とか人形みたぃで
 淡々とし過ぎてる、っつーのかな。

 でも、感情が生きてないワケじゃなくて。
 望んでも得られないモノがあって……何だろ、
 正反対の似た者同士?って言ったら変か……。
 とにかく知っちまったらもぅ知らん振りなんか
 出来なぃモノがあったから」

「だから、アイツに向けてるキモチとフィールに
 向けてるキモチは、全く同じでは無ぃっぽい。

 分からないなりに埋めあった結果噛み合ったのか、
 お互いの欠けてるトコを埋められる何かが互いの
 中にあるって気付いたか、みたぃな差なのかな」

はぁ、と少し長く息を吐く。

物言いが素直なのは心を許したからでもあるが、
黛薫の思考がうまく回っていないからでもある。
考えれば考えるほど思考は熱に侵されるようで、
どんどん鈍っていくのが実感できる。

フィール > 「私の告白も、無駄ではなかったんですね」

言っていて、思い出して。恥ずかしくなって、頬が赤くなる。

気付いてしまって、気持ちが膨れ上がって。

吐き出してしまわねば収まらなくて。

そんな思いでした告白が、薫を変えていたとは、思っていなかった。

「…ふむ、感情が読めない、ですか。確かに表情とかは機械みたいにぎこちなかったですが…確かに感情が無いわけではないですよね。それは私も感じ取りました」
でなければ、私を追い出すなんていうことは、しなかっただろう。

「まぁ、その感情は…似たようなものを映画で見ましたね。恋愛と友情というものを天秤にかける描写だったんですが…もしかしてそれに似てます?」
恋愛よりも友情を優先する人間もいるし、友情よりも恋愛を優先する人間も居る。
自分こそが大事という人間が居ることも知っている。

自分にはないものを店員さんが持っているのなら、大事に思うのは無理はない、と感じた。

「そう言えば、その店員さんなんですが…名前、伺ってもいいですか?その、呼称に困るというか。」

そう話しながら、息を深く吐く薫の額に触れる。
熱が高いのなら、一度話を切り上げて寝させたほうが良いと思ったからだ。

黛 薫 >  
「……あーしから言ぅのは無理だったろーな」

吐き出さなければどうしようもない状況にまで
追い込まれた貴女とは逆に、黛薫は口にしたら
引き返せない立場にあったのかもしれない。

だから逃げ道を塞がないために何も言えなくて、
言われなければずっと押し込めたままだった。

「あーしも感情の正しぃカタチなんか分かんなぃ。
 でも、分かんなぃなりに向き合わなぃともっと
 後悔するくらぃ大事になっちまったんだなって、
 それだけは分かるよーになっちまったんだわ。

 ……そーゆーキモチが『好き』なのかなぁ」

『好き』も範囲が広過ぎて難しい言葉だ。
広いから無難な方へと逃げたくなってしまう。

「名前、無ぃって言ってた。あの子は『調香師』で
 『今はそれ以外じゃなぃ』ってさ。もしかしたら
 『それ以外』になったら名乗れるのかもだけぉ。
 それとも、そのときは別の名前が要るのかな」

触れた額はやはり熱を持っていて。
仮に体温計で測れば39度よりやや低いくらいか。

「……カタチは違ぅけぉ、大事なんだ、やっぱ。
 だから、あーしも良しって言われるまでは
 別の名前じゃ呼ばなぃ」

フィール > 「んー…成程。じゃあ私も『調香師さん』って呼ぶことにします」
そう言いながら、薫を寝かせに掛かる。

「感情はそれを感じる人にしかわからないものですよ。所作なんかで読み取れる部分はあるにはありますが…それを決定づけるのは最終的に自分以外にいませんから。

一つの学問にもなる分野なんです。そう、簡単なものではないのでしょう」

寝かせて、布団を被せて。

「知恵熱かは分かりませんが、熱が上がってるみたいです。今日は、もう休みましょう」
自分も布団の中へ入って。
できるだけ暖かくなるよう、薫を抱きしめようとする。

黛 薫 >  
「ホント、感情って難しぃよなぁ」

そんなぼやきも、自分ごと騙して誤魔化し続けて
心の傷から目を逸らしていた黛薫からすれば進歩と
言えるのかもしれない。

誤魔化せないくらい大事なモノが出来てしまった。
どうしようもなく『大切』だと自覚してしまった。
しかもその『大切』は『好き』かもしれなくて。

今更自分の気持ちに嘘ばかりついていたのが祟って
戸惑いを隠せなくなっている。それさえもが嬉しく
思えてしまうのが、ほんの少し後ろめたい。

……黛薫は、寝かしつけられるとあっさり眠りに
落ちてしまった。それだけ疲れていたのだろう。
何せ熱があるのに、誘導やら商用やらの術式まで
考えていたのだから。

しかし単に体力を回復するためでない休息としての
睡眠にも慣れつつあるのは、良い変化だと言える。

フィール > 「………」
安らかに眠る薫を見て、思う。
落第街では、まともに寝ている薫を見たことがなかった。
それだけ薫には安心というものが無くて…今、自分がそれに値する者になっているのが嬉しくて。

大切なものを守るように、ギュッと抱きしめながら。
フィールも眠りにつくのだった。

ご案内:「堅磐寮 部屋」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「堅磐寮 部屋」からフィールさんが去りました。
ご案内:「堅磐寮 部屋」に霧島 孝介さんが現れました。
ご案内:「堅磐寮 部屋」に高梨美子さんが現れました。
高梨美子 > 放課後、孝介の教室に突入してさっさと
連れ去って自分の部屋までやってきた。

部屋につくなり、リビングに案内してコップと
パックのりんごジュースを出して、孝介が座るまで待って。

「今日は俺の手料理を食べて帰って欲しい!」

腕を組んで、ふんすと気合を入れながら言い放った後は
ちょっと強引過ぎたかな、とか弱気な部分が出てきて目をウロウロさせつつ。

「えーと、今更聞くのもあれなんだけど
 味は濃い目のほうが好き?」

最初の勢いはどこへやら、今はくんでいた腕を解いて
指をツンツンとさせていて。

霧島 孝介 > 授業も終わり、今日も図書室で勉強しようと考えていたら
彼女に拉致されるように連れていかれ、気付いたら堅磐寮の部屋に!

相変わらず、銃とぬいぐるみの温度差が凄いリビングに来て
ちょこんとカーペットの上に座る。

「あ、うん…いいよ…?」

腕を組んで気合い十分の彼女に首を傾げながらも快諾する。
よく美子の手料理は食べているが、新メニューにでも挑戦するのだろうか
目をうろうろしている様子に(かわいい)と考えながら口角を上げる

「ん、そうだね!味は濃い方が好きかも?」

ツンツンとする様子に「かわいい」と思考したつもりが
つい口に出てしまって

高梨美子 > 「あ、気が利かなくてゴメン。これ座布団です」

ちょこんと座っている孝介に息を荒げながら
それでも落ち着いてベッドの下から取り出したるは
最近買った座布団、ちょっと高めのそれを、すすっと差し出して。

「オラァよっしゃ! 
 ごほん、ありがとなー?」

ここまで連れてきておいて快諾してくれて滅茶苦茶喜ぶ。
割と勢いだけで行動する時があるから、了承してくれてよかったと
胸に手をおいてホッと一息。

「そっか!んじゃあ濃い目で作るな?
 あ、今日は、きっとご飯がすすむ肉じゃが!で行こうと思う
 
 か、かわ……不意打ち!だめ!」

好きな人に可愛いなんて言ってもらえたら
嬉しくて顔が少し赤くなってしまって。
今日はテンション高めだなぁ、とか自分で自覚しつつ。
早速とキッチンへと向かって。

「あ、手伝ってもいいからな?」

ひょっこり、顔を出してそう言ったら再びキッチンへと
ピンクのエプロンを取り出して装着、具材から諸々の素材を取り出し。

霧島 孝介 > 「あ、ありがとうございます。美子さん」

何故か息が荒くなっている彼女にちょっとびっくりするも
ベッドの下から座布団が出て来て、感謝しつつそれに座る。
新品フカフカ、というか触り心地が凄い良い。もしかして高級な奴なのか?と目を細めて

「めっちゃ喜ぶじゃん…!
 いやいや、こっちも連れて来てくれてありがとうな」

凄い勢いで喜ぶ彼女に、ついつい笑いが漏れてしまう。
勢いだとしても、恋人が勇気を出して自分の部屋に連れてきてくれて
しかも手料理を振舞ってくれるのだから、断る理由はなく、寧ろこちらも嬉しくて、笑顔になる

「おぉ、いいね~肉じゃが!
 一人暮らし初めてから食べたことないかも…
 
 ん、はは、ごめんごめん」

肉じゃがというチョイスに感嘆の声を上げて
最後に食べたのはいつだろうと顎に手を添えて考える。
そして、顔が赤くなる様子にますます可愛いと感じるが、これ以上意地悪はせずに
笑顔で謝って、キッチンへ向かう彼女を見送る、が

「お、それなら俺も手伝おうかな
 っと言っても、肉じゃがの作り方わからんから皮むきくらいしか出来んかも」

立ち上がって、キッチンの方へ向かう
そこには制服姿にエプロンを付けている美子の姿がっ!
この光景…いいな。エプロン姿の美子をまじまじと眺めながら、しんみりをとして

高梨美子 > 「いえいえ、いつもお世話になってるので」

ちょこんと座っている孝介が可愛かったからしょうがない
そんな事を考えながら、垂れそうなよだれを拭いていく。
そうして、そんな少し堅苦しい会話をした後は。

「うふふ、喜んでしまうのですよ
 なんせ愛しの彼なもので……

 あ、孝介なら無断で上がってもいいからな?
 何なら合鍵持ってく?作ったんだけど」

ご機嫌な笑いをこぼしてウィンクまでして。
そして、いつの間にやら作っていた合鍵の
存在を明らかにしながらそう告げる重い女。

「ふへへ、そう?
 んじゃあこっち来てから食べてないんだ?」

妻の手料理と言えば肉じゃがだろうという
まだ妻でもなんでもないのにそういう思考の元思いついた。

赤くなった顔を手で扇いで赤みを取ったらキッチンへと。
でも、手伝ってくれるということなので嬉しそうに笑みを浮かべて。

「それでもいいよ。二人でやるっていうのが重要だし?
 あ、料理なら何できる?」

キッチンへとやってきた孝介
具材を取り出して並べたら、調味料も準備。
していたら、まじまじとこっちを眺める孝介を発見。
イエイ!とピースを向けて、作業に取り掛かる。

「あ、豚肉派?牛肉派?」

霧島 孝介 > どうやら、ちょこんと座る姿が美子に刺さってしまったらしい。
口元を拭う動作に首を傾げ、疑問符を浮かべるが
深くは突っ込まずに。

「ふふっ、なんで敬語?
 愛してくれてありがとうな

 ん、合鍵か~…ま、断る理由ないし、貰っておこうかな?」

ご機嫌な笑いとウインクを飛ばし、敬語を使う美子に可笑しくて笑ってしまい。
合鍵の存在を明かされれば、サラッと受け取ることを告げる。
美子と一緒にいることが長かったからか重い女ムーブは慣れてしまって
合鍵を渡してもらう程度では驚かなくなってしまった。

こちらの寮の部屋の合鍵を持っているとかは驚くだろうけど。

「うん、そうなんだよー
 二人で美味い肉じゃが作ろうな?」

これはアレか。
所謂、胃袋を掴む、という奴だろうか?
そんなことしなくとも美子から離れたりはしないのに、と考えるが
今日は美子の努力を買って、二人で頑張ろうと笑顔を向ける

「料理は何だろう、オムライスとか、生姜焼き。
 唐揚げとかハンバーグとか…
 
 ………あ、俺は何すればいいんだ?」

家では専ら男飯。
焼いたり揚げたりが多く、野菜も摂っているが肉に比重が傾いているかもしれない
そして、具材や調味料を見ようとしたら、美子がイエイ!と元気にピースしてきて
不意打ちの可愛い動作に顔を真っ赤にしながら、誤魔化すように手を洗いつつ聞いて

「ん、牛肉かな?肉じゃがといえば牛肉でしょう」

肉の派閥を聞かれればそう答える。
適材適所ではあるが、肉じゃがの肉は牛がベストだろう。

高梨美子 > サラッと言ったことがサラッと返ってきて
カウンターをもらって目元を朱に染めて撃沈。

「う、うん……幾らでも愛しますよそりゃ
 敬語は、なんとなく?

 マジで?やった!」

笑っている孝介に首を傾げつつも
その笑っている顔もいいな、とか考えつつ
受け取ってくれる様子には勿論喜んで。

流石に孝介の寮の鍵は持っていない
そこらへんは弁えているらしい。

「二人で、ふへ、ふひひ。美味いの作ろうな」

ご機嫌に笑っていたのだけれど、よしと気合を入れて
今日はいつもより腕によりをかけて料理を完成させようと
頷きながらに。孝介の笑顔に見惚れた後は、調味料も準備完了。

「え゛、めっちゃ作れるじゃん。
 正直孝介のこと舐めてた……
 えっと、じゃがいもの皮剥いて?」

肉じゃがと、後で出すきゅうりの浅漬で
乗り切ろうと思っているので具材は多くて、少し大変かもしれない
そうして、顔を真赤にしている孝介に首を傾げつつ
孝介が手を洗ったらこっちも手を洗って。

「おっけー、んじゃ出したやつでいいかな」

出していた牛肉のパックから牛肉を出しつつ。
鍋をクッキングヒーターに置いて。電源オン。
鍋を温めつつ。

霧島 孝介 > 「へへ、嬉しい…
 おうよ。何かあった時に来れるように、な
 あとで渡してくれよ?」

ニコニコと笑顔を向ける。
こっちも美子が笑ったり、喜んでいる姿が好きで
いつまでも笑顔になってしまう。

「おう、がんばろー!」

御機嫌に笑った後に気合いを入れる美子に
こちらも腕を上げて気合いを入れる。
とはいえ、美子がメインの調理をするだろうけども

「そんなことないよ~…
 な、舐めてた?料理出来ないって思ってた…?
 ん、わかった」

美子のその発言に突っ込んで、首を傾げながらそう聞く
料理は出来る、とはいえ自身の母親や美子の技術には到底及んではいないだろう。
美子から指示があれば、ピーラーでじゃがいもの皮をむいていく。

「そういえば、得意料理が肉じゃがなの?」

慣れた手つきで準備をする美子にそう聞いてみる。

高梨美子 > 「いつでも来てくれていいからなー?
勿論、後で渡す!」

孝介のこの笑顔が好きで、何回見ても飽きはしない
それは恥ずかしくて言えはしないのだけれど
それでも、ニパッと笑って孝介と笑い合う。

「いえーい、頑張ろうぜー?
 ご飯もたいてあるから好きなだけ食ってな?」

気合を入れる様子を見れば笑いあったままに
それでも、料理となれば少し真剣な表情をして。

「……えーと、コンビニ弁当かなって思ってた
 ほら、バイト先がコンビニだし……ごめん」

バカにしてたわけではないのだけど
なんとなしのイメージでそう考えていた
今度作ってもらおうかな、とか続けて言いながら。

「ん?うん、得意料理は肉じゃがかな
 肉じゃが好き?」

問いかけながら温まった鍋に胡麻油を投入して
その後に牛肉を、そのまま炒めて。

霧島 孝介 > 「ふふ、何なら毎日行こうか?」

いつでも来て良いという言葉に、クスクスと笑いながら
そんな冗談を言ってみる。
ああ、やっぱり、美子と笑い合うのは最高だ。
自分にこんな瞬間が来るなんて半年前は思っても見ずに

「おぉー!米炊いてあるのはデカいなぁ~
 流石出来る女よ」

料理でダレる瞬間が米を炊き忘れている時だ
美子はそんなミスをしておらず、料理に対する真剣さが余計伝わって
顎に手を添えて、ニヤリと笑いながら褒めてみて

「…いや、まぁ、最初はコンビニ飯が多かったんだけどさ
 保体でそれはダメって聞いたから、自炊してみた、的な?
 
 謝る事ないよ!気にしないで」

実際、コンビニ飯ばっかりの時期はあったのだが
胸やけはするわ、体育の時に調子が悪いわ、授業も集中力が続かないわで散々であった。
今の成績が修められているのは一重に、自炊のお陰だろう。
申し訳なさそうにする美子に笑顔を向けて、何作って欲しい?などと付け加えて

「大好物です。
 というか美子の作る料理なら全部好きかも」

一個ずつじゃがいもの皮をむき、芽を抜いて洗えば
全部の処理が終わって、次は?と聞いてみる

高梨美子 > 「いいの!?来ていいよ!」

孝介からの冗談はとても嬉しいもので
冗談と分かっていてもつい反応してしまう。
こっちも、ぼっちの頃からは考えられないくらいに
充実していて、幸せで。

「だろー?出来る女は違うんですわー
 かー、出来る女で辛いわー」

褒めてくれたなら調子に乗ってそんな事を
ニマニマしながら言って。
実際、この時にかけていた情熱は凄まじく
何度もチェックしていた。

「成程?確かにビニ飯だけだと色々とあれだしな
 それで自炊できる孝介はすげぇよ。
 俺なんて最初面倒だったし」

それでもここまで料理の腕が上がったのは
昔から料理をしていたからだろうか、と思うものの
孝介という愛しい人が出来てからは更に腕を高めようと
努力していて。
そうして、笑顔の後に付け加えてくれた言葉にオムライス!と

「ふへ、ふへへ、そういう事言うの卑怯
 ていうか嫌いな食べ物とかあんの?
 あ、俺は椎茸な」

全部の処理をするのを肉を炒めながら見ていたのだけど
次いだ言葉に、好きな大きさに切って、と。

霧島 孝介 > 「お、おぉ…なら、まぁ、明日も来ようかな…」

まさかそこまで食いついてくるとは思わずビックリした表情を浮かべて
冗談で言ったが美子の家に来ることは悪い気はせず、寧ろ心地よくて
明日も来ようか考えて

「ふふっ、なんだよそれ」

出来る女をアピールする美子に笑いが零れて
こういう調子に乗るところも可愛いと惚気モードになってしまう。
周りの評価はどうあれ、美子の女子力は実際高い。
というか乙女力が高い、というべきだろうか?

「いや、俺も最初めんどくさかったよ…
 親に色々と教えて貰ってやっと出来たって感じ…」

最初は米の炊き方も親やネットに頼ってでしか炊けず
肉を味付けしないで焼いて食ってた。
正直食えなくはない。というレベルだったが、調味料という概念を理解し、
今では立派に美味しい飯を作れるようになったわけである。

オムライスと返答が来れば、頷いて。
美子に最高のオムライスを食べさせるために研究せねばと神妙な顔をする。

「んへへ、卑怯でーす。
 椎茸!?何で…?
 ちなみに俺はパクチー」

美子の指示が来れば、腕まくりをする。
男らしいちょっと血管の浮いた前腕を露にすれば、包丁を持って
危なげなくじゃがいもを乱切りにしていく

高梨美子 > 「うん、また違う料理ごちそうするな?」

びっくりした表情は中々新鮮で、小さく笑いながら
孝介をキラキラとした目で眺める。
明日も来てくれたら別の料理を作るはず。

「えー?出来る女アピール
 出来る女のほうがときめくだろー?

そう孝介に言ったものの自分ができる女とは
思ってはいなくて。一応家事全般はこなせる。
そして、こうなった原因は少女漫画だ。
本棚には少女漫画がぎっしりと詰まっていたりする。

「なれてくれば惰性で出来るよな
 あーね?本とか見なかった?」

まさか調味料の概念が落っこちていたとは露知らず
それを知ればある意味過酷な環境で生きていたのだと
涙を流したかも知れない。
そうして、孝介の言葉には、分かる分かる、と何度も頷き。

神妙な顔になった様子に首を傾げたけど。

「格好いいの概念って感じで卑怯
 椎茸は味と匂いがもうだめ…吐く。
 おっけ、パクチーな。匂いが駄目な感じ?」

聞きながらも、腕まくりをした孝介の男らしい腕に
目を奪われて危うく焦げそうになったので火を止めて。
危なげなく乱切りしていく様子を眺め。

霧島 孝介 > 「おう、次は何作ってもらおうかなぁ~」

キラキラして目で見られれば、こちらも美子の料理が楽しみで
何を作ってもらおうか考えつつ、にやけてしまって。

「んー確かに、俺あんまりドジっ子とか得意じゃないからな
 美子みたいなしっかりした女の方が好きかも」

家事全般をこなせるだけでも上出来だ。
初めて部屋に来たときに確認したが、本棚には少女漫画がぎっしり。
美子の乙女脳はあそこから来てるのか…とジト目で本棚を見て。

「ねっ!本は見てないなー
 何だっけ、クックパッド、だけ?
 あとは動画とか見て知ったって感じ?」

手元にスマートフォンがあるのだから活用しない手はない。
電子機器を使って料理をしていたようで、美子とは少し上達方法が違うかも知れずに
それでも、他人に振舞う程度には鍛え上げられた孝介だったのだ。

「え、えっと…流石に、ほめ過ぎ。
 わかった。他のキノコはどうなん?エリンギとかエノキとか?
 あーれは…味が…ちょっと苦すぎるかな~…」

お世辞とはわかってはいるが、過剰に褒められて顔を赤くする。
慌てて火を止める様子にはてなを浮かべつつも
乱切りを終えれば、次はにんじん?と聞いてみて

高梨美子 > 「なんでもいいぜ?だいたい作れるから」

和洋中だいたい作れるので、何でもリクエストして欲しいと
そう付け加えながら、ニヤける孝介の顔をジロジロと。

「そうなん?俺は可愛いと思うけどな
 す、好き…ふひひ、これからもしっかりしてくな?」

そう言えばドジをしたことはあまりなく
どちらかと言えばしっかりしている方かな?
とか考えながらジト目の先の本棚に目をやって。
どした?と首を傾げ。

「本見てないんだ…あー、スマホ使うの孝介っぽい
 俺も今度見てみようかな。料理動画」

昔からの癖で料理は本で、なんて
古臭い考えを持っていたりしたが
今日でそれもおしまいになりそうだ。
今度振る舞われる料理を楽しみにしつつ。

「…え、俺はそう思ってるけど。
 えーと、他のきのこは大丈夫。椎茸のみ駄目
 気持ちはわからなくないなー、俺もあんま食べねえし」

お世辞ではなく本気で思っているからたちが悪かったりする。
乱切りをしてくれた孝介に「ありがとう」とお礼を告げつつ
人参、のことばに首を振って、これで終わり、とも。
そうして、炒めた牛肉を皿を取り出してそれに移して
じゃがいもを再び火にかけた鍋に入れて焦げ目が出るまで炒める。
そうしたら更に移していた牛肉を戻して、調味料を入れて落し蓋。

「牛肉とじゃがいもだけ これが美味いんだ」

霧島 孝介 > 「…強いな」

何でも作れる。何故その単語をサラッと言えるのか。
流石出来る女。なんで今まで恋人が居なかったのか不思議でしょうがない。
ジロジロと見られたら何だか恥ずかしくて、少し赤くなりながら顔を逸らす

「んー…俺が抜けている所あるから、フォローしきれないのじゃよ。
 可愛いとは思うけどね。
 うん。よろしく頼むぜ。愛しの美子さん?」

まぁ、ドジっ子の彼女なんて居た事ないけど、と付け加えながら
ゲーセンの時もボクシングの時もしっかり者の美子に笑顔を向けて
どした?と聞かれれば、何でもない!と料理に集中して

「勉強になるよ
 材料さえ打ち込めばおすすめの料理教えてくれるし
 作り方も結構詳しく書いてあるし」

本も趣深いが、現代っ子の料理方法をしていて
色々と利点を教えてみる。しかし、美子の読んでいる料理本も気になっていたので
今度読ませてもらおうと思案する。

「…ありがとう、な
 なるほど。椎茸ね。気を付けるよ。
 アレはねー…唯一食えなかった食材だわ…」

こういうことをサラッというから、美子は油断ならない。
顔を赤くしながら、息を吐いて落ち着いて。
美子に振舞う料理には椎茸を使わないようにしようと決める

そしてじゃがいもと牛肉だけのシンプルな肉じゃがに目を丸くする
ウチの親はここからニンジンやいんげんを入れていたが…
炒めて調味料を入れて落し蓋をする様子を眺めて

「シンプルだねぇ、でも美味そう。良い匂いして来た」

食器用意する?と聞きつつ、空いた時間でまな板や包丁を洗っていって

高梨美子 > 「ふっ、料理とゲームに関しては任せろよ」

ゲームに関しては孝介と比べてどっこいどっこいだけど
不思議に思われているとはしらずに、多分性格と目付きのせいだろうけど。
ジロジロと見ていたら、少し赤くなった様子にこ
っちまで恥ずかしくなってしまって、てれてれと顔をそらして。

(え、じゃよってめっちゃ可愛い)

「……そうかー?しっかりしてると思うけどなー
 …っ!し、しっかりする」

付け加えられた言葉に、優越感を抱いて、ふっふっふ、と
笑顔を向けられながら、顔を赤くしてこくこくと頷く。
油断してるとストレートが飛んでくるから油断ならない。

「ほへぇー、めっちゃ便利やん?
 今度困ったら使ってみる。ありがとな?」

確かにスマホならいつでも手元にあるし
具材を忘れたときもチェックできる。
今度使ってみようと決心。

本はきっと、使い込まれていて、嬉しそうに差し出すはずで。

「いいえー?
 だからコンビニの肉まんとか食えねぇの俺
 ん、パクチーね、俺も気をつけるな?」

入れたらきっと食べられないだろうから
こっちもこっちで椎茸を入れられたらもう食べられない。
顔を赤くしている孝介を横目に料理を進めて。

「ん?うん、俺の所だとこれが普通だった
 人参は好きだけど肉じゃがにはちょっとね」

そうして、落し蓋をしたら中火にして15分ほど煮て。
落し蓋を外したら再び調味料を入れて強火にし再度の味付け。
汁気を飛ばすためにまた10分、そうして完成。

霧島 孝介 > 「料理は兎も角…ゲームの方は何でも言う事聞く勝負で未だ勝ててねぇからな…
 次は負けねぇぞ」

目付きも性格も、美子は自分だけには甘いので、未だに疑問で
普通に対戦する分には一進一退だが、肝心要の大勝負では負け越しているので
次は負けないと闘志を燃やしていたら照れている美子を可愛いと思ってしまい、肩の力が抜ける。
何だこのバカップルは!と自分でも思う。

「?そ、そうか?そう言われると嬉しいよ
 ふっふっふ…照れた?」

じゃよが可愛いと思われているとは知らずきょとん顔で
優越感に浸る美子にストレートを飛ばして、更に追撃をする。
しかし、美子を追撃している時の顔は赤く、体温も高くなっていて、自分もダメージを食らっているようだ。

「おうよ。
 代わりに本見せてくれよ」

うんうんと頷いて、代わりに本を見せてもらおうと告げる
何か自分でも作れるものがあれば御の字だ

「あ、そーか!肉まんにも入ってるよな…
 おうよ。ありがとうね」

あんなに小さく刻んでもダメなのかと小さく呟き
一瞬だけ、苦手を克服させようとも考えたが、野暮は辞めようと決心する。

「へぇ~、お、出来た!?」

ぐつぐつと音を立てながら湯気を漂わせる鍋
むわっと調味料の香りが漂ってきて、そちらに顔を近づける
自然と美子と肩が触れるまで近づくだろうか

高梨美子 > 「んひひ、そっちでもまだ負けるわけにはいかねえな」

未だに疑問に思っているであろう孝介に
笑みを浮かべながら首を傾げ。
今度の大勝負にも勝つ気でいるのだが、どうなるかはわからない。
こっちも負けないぞと闘志を燃やしたのだけれど
照れてしまうとその闘志も消えてしまって。

バカップルと自覚しているのか、ニコニコだ。

「俺の前だとしっかりするのかな?
 ……そりゃもう、照れるって…!
 もー、追撃するの止めてもろて」

キョトン顔も可愛くて内心悶絶しつつ
更に追撃までされてしまえば顔は赤くなってしまって。
それでも、ちらりと孝介の顔を見たら顔が赤いから
自分にもダメージを負っていそうで。

「ん、いいよー
 和洋中どれがいい?」

今度本を見せようと決めて
和洋中度の本を見せようかと悩む。

「もう、出汁が入ってるだけで無理
 ん、いいよ…苦手なもんは食べなくていいし」

小さな呟きを聞きつけて、何度も頷く。本当に駄目らしい。
出されたら、涙目になって一生懸命食べるだろうけど。

「できたぜー?味見してないからどうかわかんないけど」

ご飯にはきっと合うはずだ。
ふっふっふ、と不敵な笑みを見せながら
顔が近づいてくるのが分かって、肩が自然と触れたなら
とす、と軽く体を寄せて肩を更に触れさせて。

「…ふひ…あ、しょ、食器お願いな?」

言えば、箸と茶碗を用意して。

霧島 孝介 > 「んだと~?それじゃ、飯食ったら闘(や)るか?」

力が抜けるが、何とか闘志を燃やして
飯を食ったら戦おうと提案する。
何お願いしよーかなー、なんて、もう既に勝ちが確定しているような口ぶりで

「いや…寧ろ美子の前の方が抜けてる気がするが
 ぷ、はは!止めてもろて!いいな!」

追撃した結果、顔が赤くなる美子にこちらもダメージを追うが
止めてもろてという言葉が美子の口から出るとは思わず
大声で笑ってしまう

「あーどしよ、中華はちょっとハードル高いし、和食は自力で出来そうだから
 洋食の本お借りしよーかな?」

そんな風に考えて、洋食手を出してみよう。
オムライスも洋食だしね。

「そうだな…苦手なものを克服するのは小学生までで良いわ…
 っと、もう匂いだけで美味いってわかるわ」

嫌いなものの話になり、神妙な顔をする。
正直、野菜がダメとかそういう広範囲で無ければ大丈夫だろう。
そして、肩が触れれば相手から寄ってきて、これ以上は料理が冷めるくらいに絡み合ってしまいそうで

「あっ……うん…」

箸と茶碗を持ち、米を茶碗に盛る。
美子に、どれくらいがいい?と視線を合わせずに聞く
顔は、真っ赤だ。

高梨美子 > 「お?良いぜ別に、やってやろうじゃねえの」

提案に勿論と頷いて
こっちも闘志を再び燃やした所で
勝ちが確定したような口ぶりに闘志に火がつく。

「えー?しっかりしてると思うけどなー
 ふへへ、またなんか仕入れとく」

孝介の影響か最近はネットを見るようになって
こういう言葉を仕入れていたりする。
大声で笑う孝介を嬉しげに眺めて。

「おう、じゃあ帰りに貸すな?」

本にはきっと注意点とか色々書き込まれてる
こっちも濃い目が好きなのでそれに関しても。

「そうそう、年齢重ねたらピーマンも食べれるようになるし
 ダメなものはダメだし

 ふひひ、そう?んじゃあ食べよっか」

こっちも神妙な顔になって同意を示す。
野菜が嫌いとか広範囲は困るかも知れないが
どちらもピンポイントなので困ることもなくて。

そうして、肩を触れ合わせたら、これ以上は欲が出てしまうと、離れて。

「あ、そのくらいでいい……孝介は大盛り?」

並盛くらいで止めておいて、孝介にそう聞いて
こっちもこっちで顔を薄く赤くして、深皿に肉じゃがをよそって
そそくさとリビングのテーブルへと。