2022/01/01 のログ
ご案内:「堅磐寮 ロビー」に鞘師華奈さんが現れました。
■鞘師華奈 > 「―――疲れた…。」
そう呟きを漏らすのも正直億劫な程度には体が重い。
クリスマスも年の瀬も新年を迎えても、公安の仕事に休みは無い。
――そもそも、まだ上司から受けた極秘の任務も達成出来ていない体たらく。
(…自分の事もいい加減に進めたい所だけど、中々上手くはいかない、か)
部屋まですぐそこだが、正直そこまでの短い距離すら移動するのがもう面倒臭い。
最近は少しマシになってきた怠惰な面が、ここに来てまた顔を覗かせている。
疲れた体を引き摺るようにしつつ、暖房が効いた寮内に入れば、コートだけ脱いでフラフラとソファーへ。
…そのまま、倒れ込むようにソファーに座り込んでゆっくりと息を吐き出す。
(今すぐにでも寝たいくらいだけど…。)
誰かに寝顔を見られるのを女はあまり好まない。
”死人のように生気が無い”と評される寝顔なら尚更だ。
「…眠らないように…ちょっとだけここで一息ついてから…部屋に戻ろう…。」
思考や判断力の鈍りを殊更に感じる。ほぼ休み無しで動いていればそうもなるか。
睡眠や食事は取っているが…そういえば、最近は自炊もあまり出来ていないなぁ、と思い至り。
■鞘師華奈 > ロビーにある壁掛け時計をぼんやりと見上げる。
帰省している生徒や外出している生徒が多いのか…ロビーは静かだ。
ポツンと一人、僅かに響く時計の針の音を聞いていたが、次第にうつらうつらと――…
「……っ!…いけない、うっかり居眠りする所だった…。」
仮に人気が無くても、誰かが通り掛かる可能性が極小でも。
うっかり誰かに寝顔を見せるのはなるべく避けたいのが女の本音だ。
眠気を誤魔化すように、パチンッ、と両手で頬を軽く叩いて少しでも眠気を飛ばそうとする。
「…あぁ、そういえばもう新年か……初詣…おせち…籤引き…。」
疲れているせいか、とりとめなくそんな新年の光景が断片的に浮かび上がる。
…が、考えてみたら殆どまともに参拝したり正月料理を食べた事も無かった。
「…やっぱり三が日くらいは休みを申請するべきだったかな…とはいえ、かなり遅れてるし。」
公安の業務そのものはちゃんとやっているが、自身の所属する部署の極秘指令については、思ったより手間取っている。
いっそ見切りを付けてくれた方がいいかもしれないが、幸いまだ任務を外されたりという事は無い。
ご案内:「堅磐寮 ロビー」に黛 薫さんが現れました。
■黛 薫 >
新年、正月、三ヶ日。1週間前クリスマス一色に
染まっていた街並みは慌ただしく片付けられて、
サンタクロースをイメージした赤地に白の綿の
装飾がめでたい紅白飾りに置き換わる今日この頃。
「あぁもぅ……新年ってどこも店開いてねーのな。
くそ、ちょっと考ぇりゃ分かったハズなのに」
とはいえ、特別感からは縁遠い学生も少なからず
存在する。例えばいつもの感覚で晩御飯を買いに
出かけて、どこの店も閉まっていて狼狽えていた
堅磐寮在住の少女とか。
年末年始といえば世間一般では祝日休み。
当然働き手がいなければお店も閉まっている筈で。
営業しているコンビニを見つけるのに随分時間が
かかってしまった。お陰で車椅子に腰掛けた膝の
上にしっかり雪が積もってしまった。
それだけなら問題なかったのに不精して軽くしか
雪を払わなかったのが大失敗。暖房の効いた寮の
ロビーで雪が溶けて、タイツとハーフパンツを
ぐっしょりと濡らす羽目に。
自業自得とはいえちょっと気持ちが落ち込んだので、
外出を頑張った自分へのご褒美の為、ロビーにある
自販機に向かう。その際、近くのソファに座っている
先客に気付いた。
「……こんばん、わ?」
無言で目の前を横切るのも気が引けて、
おっかなびっくり挨拶をしてみる。
■鞘師華奈 > 「……ん…?」
最初、自分以外の誰かが出入り口から寮のロビーへと入ってきた事に気付かなかった。
矢張り拭い難い眠気がどうにも思考だけでなく五感もちょっと鈍らせているらしい。
挨拶をされて初めて気付いたのか、ややぼんやりとした面持ちでそちらを眺め――…
「…あ、あぁ…失礼。どうもこんばんわ。」
ハッ!?と、ぼんやりした目元から眠気が飛んで、軽くこちらも挨拶と会釈を。
改めて顔を上げれば、車椅子に乗った一人の少女の姿。ぱちぱち、と僅かに瞬きをして。
――ふと、何気なく視線の先が彼女の微妙な具合に濡れたタイツやハーフパンツに気付く。
「……それ、濡れているみたいだけど大丈夫かい?」
軽くハーフパンツとタイツの方を指先で控えめに示してそう尋ねようか。
彼女もおそらく、自分と同じこの寮の住人なのだろうが――生憎、”仕事”が最近忙しく寮内に居ない事が多い。
(…寝惚けて記憶違いでなければ、多分初対面かな…。)
相手も、何処かおっかなびっくり声を掛けてきたように思えたので、一先ずそう結論付ける。
そして、彼女と車椅子の向きから――自販機に向かっているのだろうと気付いた。
「…あ、ごめん飲み物を買うのを邪魔したみたいで。私の事は気にせずどうぞ。」
と、自販機の方を緩く手で示して。この場合、うとうとしていた自分が悪いだろう。
おそらく、気まずいから一声挨拶してくれたのだろうな、とは察するけれど。
■黛 薫 >
「あー、はぃ。別に問題はねーです、多分。
ロビーも暖房効ぃてますし、ちょっと休めば
乾くんじゃねーかなって。ま、あったかくて
居心地イィから、うっかりしてるとそのまま
寝ちまぅかも?だから気ぃ付けねーとですが」
挨拶への返答が鈍かったのは眠気の所為だろうか。
問いへの答えを兼ねて、ロビーのこの暖かさでは
眠くなるのも已むなしと迂遠なフォローを混ぜる。
あまり不躾に観察するつもりは無かったのだが
落第街暮らしの癖が抜けず、かつ同じ寮住まい
(だと思われる)ご近所さんとあまり会ったことが
なかった為、思わずじっと見つめ返すような形に。
他人行儀な視線から、お互いに初対面だと分かる。
「えぁ、邪魔とかじゃねーです、だいじょぶっす。
んでも疲れてるみてーだったから、気になって」
この時節、この時間に疲労が見えるのは年末でも
休まず働いていた証拠。丁度年末休みに翻弄され、
通常営業のお店に助けられたばかりの黛薫からは
頭が下がるような心持ち。
鏡に映したような反対側、揺れるポイントカラーの
髪は浅いシアンブルー。赤い貴女とは対照的な色。
■鞘師華奈 > 「ああ、うん…フォローありがとう。
まぁ、外に比べたら天国みたいな暖かさだからね…。」
彼女のフォローに、淡い苦笑を浮かべて頭を小さく下げた。
初対面の少女にちょっと恥ずかしい所を見られてしまった。
ただ一つ、救いだったのは完全に居眠りをしていなかった事だろうか。
あまり人に自分の寝顔を見られる事は避けたい――死人みたいな寝顔なんて。
じっと見つめ返されれば…ブランクありとはいえ、こちらも同じ落第街暮らしの経験者。
そして、今は公安委員会の所属という事もあり、観察される事には鋭いし慣れている。
こちらも、落ち着いた赤い双眸でゆっくりと少女を見詰め返しつつ。
「そうかい…悪いね、気を使わせてしまったかもしれない。
…あぁ、うん。ちょっと仕事疲れというか何と言うか、ね。
お陰で、まぁクリスマスも年の瀬も通り過ぎて気付いたら元旦だよ…。」
公安委員会の所属は流石にぼかしはするが仕事疲れなのは本当だ。
勿論、クリスマスも年の瀬も…元旦も全く関係なくお仕事だ。
ふと、己の赤とは何処か対照的なシアンブルーの髪の一部の色彩に気付けば。
僅かに微笑む――含みも打算もお世辞も無い、静かだがそんな笑顔。
「――綺麗な髪の色だね。私みたいな派手な赤色とは対照的かもしれない。」
こちらの前髪の一部だけがメッシュの如く赤いソレを己の指先で軽く示しつつ。
赤色が嫌いという訳ではないのだけれど…色彩としては彼女のシアンブルーの方が落ち着いて好みだ。
ふと、ソファーから一度立ち上がれば…ゆっくりと一足先に自販機へと向かう。
そのまま、財布を取り出せば小銭を取り出して投入しつつ――…
「折角だし奢るよ。初対面だけど同じ寮内の住人って事でお近付きに。」
そのまま、何がいい?と、自販機の正面から一歩ズレてそちらへと顔を向ける。
別にこれも他意は特に無い。単なる気分と…彼女が声を掛けてくれたお陰で少し眠気が飛んだ。だからささやかなお礼だ。