2022/05/17 のログ
ご案内:「堅磐寮 ロビー」に黛 薫さんが現れました。
黛 薫 >  
堅磐寮、ロビー。設置されたテーブルに突っ伏して
ピクリとも動かない女子生徒。テーブルの上には
飲み掛けの缶コーヒー。

別に毒殺事件とかではない。半寝落ち状態。

被害者もどき、もとい黛薫は復学訓練中の違反学生。
つい最近、訓練の甲斐あって一部講義の受講許可を
得ることが出来た。

とはいえ在学時代に深い心の傷を負い、精神的に
不安定な彼女が普通の学生に混じって登校するのは
まだ難易度が高いので、オンデマンド形式の授業を
受けて宿題やレポートだけ提出する形式。

しかし復学意欲が空回って気疲れしてしまったのか、
授業を終えて休憩の缶コーヒーを買いに来た所で
ぷっつりと電池が切れてしまいこの有様。

黛 薫 >  
黛薫は身体機能の大半を魔術で代替しているため、
集中力が切れると全く動けなくなる。比喩ではなく。
テーブルの上に散らばった髪も纏めずぐったりと
お休みモードな姿はやや心臓に悪い。

でも、実のところ気分はちょっと悪くない。

課題が山積みとはいえ少しずつ普通の学生らしい
生活が近付いている感覚。もしかしたら真人間に
戻れるかも、なんて期待もしてしまったり。

あまり期待しすぎると持ち前のネガティブ思考が
水を差しにくるのが予想できるので、ほどほどで
考えるのをやめて目を閉じる。

疲労混じりの『頑張った感』は心地良いものだ。
まるで開放感と微睡みを足して2で割ったような
ふわふわとした心持ち。

黛 薫 >  
休憩が終わったら、やるべきことはまだまだある。
さっき受けた数理論理学のレポート作成、少しでも
家計にお金を入れるための内職、身体操作の魔術に
頼りすぎて筋肉を落とさないためのリハビリ。

何より、魔術による電子機器の機能再現研究。
それを最適化するための自主的な勉強。

忙しいというには『やりたいこと』の内を占める
『やらなければならないこと』の割合は少ない。
本当に忙しい人の前で忙しいとは言い難いけれど、
やりたいことが沢山あって追いつかないのは事実。

だけど、今はもう少し、ほんの少しだけ休みたい。
もう少ししたら起きるから、ちょっとだけ──


テーブルの上に残された缶コーヒーが冷めていく。

黛 薫 >  
「……んぁ」

ふとした拍子に微睡んでいた意識が醒める。
気付かないうちに眠ってしまっていたようだ。

「痛って……」

不自然な姿勢で固まってしまった身体をほぐし、
飲み掛けの缶コーヒーを手元に引き寄せる。
完全に冷めてしまっている辺り、思ったよりも
長く時間が経っているらしい。

(今からレポート書いて……遅くなっかなぁ)

別に〆切が差し迫っている訳でもないのだし、
明日に回してしまっても特に問題はないのだが。
微睡んでいたお陰で今夜は寝付けない気がする。

それなら時間を有意義に使うべきだろう。

黛 薫 >  
微睡んでいる間にうっかり蹴飛ばしてしまった
松葉杖をどうにか足を使って引き寄せる。
少し行儀が悪いが、誰も見ていないだろうし。

そうして、黛薫は部屋に帰って行くのだった。

その後は予定通りレポートに着手したは良いものの、
凝り性が災いして眠気が来ても区切りを付けられず、
起床時刻が狂ってしまったのはまた別のお話。

ご案内:「堅磐寮 ロビー」から黛 薫さんが去りました。