2020/06/13 のログ
ご案内:「浜辺」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
日ノ岡 あかね > 「ごめんなさいね、ライターは持参してないわ」

足音もなく、当然といった様子でそう隣に腰掛けてくる女が一人。
セミロングのウェーブ。黒いチョーカー。いつも顔に張り付いたニヤケ面。

「カナちゃん、喫煙所なさすぎて……こんなところまで来ちゃったの? だったら私の部屋で吸えばいいのに」

クスクス笑うその女。
日ノ岡あかねは、紫煙を燻らせる華奈の横顔を見ながら、猫のように目を細めた。

鞘師華奈 > 「――君さぁ、神出鬼没とか言われたりしないかい?」

足音も無く、いつの間にか隣に腰を下ろしている見知った姿と声。僅かにそちらに覇気の無い赤眼を向けて一言。
内心流石に少し驚きはしたが、感情の起伏が人より小さいので平坦な声色。

この前の初対面の時と変わらぬ姿を一瞥しながら、紫煙をゆっくりと燻らせる。
今更、この同級生の前で取り繕うのも馬鹿馬鹿しいし面倒なだけだ。

「…必要になったら寄らせて貰うけどね。そう頻繁に利用するのも失礼だろう?」

と、そこはあくまで一定の距離を保つような言動。面倒臭がりに加えてぼっち気質。
相変わらずのにやけ面と笑顔にやれやれ、と溜息代わりに盛大に紫煙を一度吐き出して。

「――で、あかねは何でこんな場所に?」

日ノ岡 あかね > 「ふふ、頻繁に来たっていいのに……あら、私はカナちゃんとお喋りしたくて来ただけよ? あとはまぁそうね、ちょっと海が見たかったから。それだけよ」

そんなことを言いながらも、海なんてこれっぽっちも見ないで華奈の顔ばかりをみて、あかねは楽しそうに笑った。
日が落ち始めた紅の夕日が、二人の横顔を朱に彩った。

「カナちゃんだって似たようなものじゃないの? それとも、これからスキューバダイビングの予定とかでもあるのかしら?」

そう、軽い冗談を言いながら、あかねはいつも通りに笑う。
華奈の燻らせる紫煙も、まったく気にしていない。

鞘師華奈 > 「――私みたいなのとお喋り?…君は物好きというか、もうちょっと女子力高いのと交友を深めたらどうだい?」

こちらの顔ばかりを見てくるあかねの言葉に、海が見たかったから、とか説得力が無いだろう、と肩を竦めてみせる。
少なくとも、自分より全然女らしいのは確かだ…私?私は女っぽい事は苦手なんだ、昔から。

「――いや、ダイビングとか面倒臭いし。…それに、私は然程海に興味は無いよ。」

紫煙を燻らせていれば、時々海風でそちらにも煙の一部が流れていくかもしれないが…。
ちらり、と横目に彼女をまた見るが特に気にしていないようだ。なら、こちらも気にしない事にする。

「――と、いうより何で私の居る場所が分かったのやら。そういう異能でもあるのかい?」

日ノ岡 あかね > 「女の勘ってところかしらね」

意味深にそう嘯いて、にやぁと笑う。
紫煙も風に流れたところで、あかねを含めて誰も何も気にしない。
シーズン外れの海辺に人気はない。潮騒以外の音も少ない。
副流煙の心配をすることはなさそうだ。

「まぁ、種明かしをしちゃえば……たまたま海を身に来たらカナちゃんがいただけのことよ。でも、友達と喋る理由なんてそれだけで十分じゃない? カナちゃんはそれとも、理由がないと喋るのは嫌? それなら、次からは口実くらいは持参してこようとおもうけど」

鞘師華奈 > 「…はいはい、言いたくないって事だね…なら無理には聞かないよ。根掘り葉掘り尋ねるのは趣味じゃないし…面倒なんだ」

意味深に答えて笑う彼女に、今度は露骨にジト目を向けるが…こういうタイプの女性だとは初対面で察している。
なので、怒るでも不機嫌になるでもなく…まぁ、お喋りも暇潰しにはなるか、と思い直し。

「…そりゃまた、凄い偶然だね。…いいや、理由どうこう持ち出されたらむしろ面倒だね。
別に理由が無くても、それはそれで構わないよ。煙草に関しては文句なしなら尚更に有難いね」

と、肩を再び緩く竦めながら…女子ならぬニヤリ、とした皮肉げな笑みを僅かに浮かべてみせる。
面倒臭がりでぼっち気質だが、周囲との交流を絶っている訳じゃあない。

日ノ岡 あかね > 「なら良かった。私もいちいち口実探しはちょっとだけ面倒だし。それに煙草は私も好きな方だしね」

とはいえ、あかねは基本的に喫煙しない。
少なくとも部屋に灰皿はあるが、それは華奈の為に準備しているようなものだ。
あかねから紫煙の欠片は微塵もしない。
華奈のジト目もどこか楽しそうに受け流しながら、あかねはコロコロと笑った。

「とはいえ……私は面倒って結構好きな方だけどね。カナちゃんは面倒な事ってそんなに嫌い?」

鞘師華奈 > 「…そうは言うけどさ。一度、君の部屋にお邪魔した時に灰皿はあったけど煙草の匂いがしなかったんだけど?」

ジト目でぼそり。まぁ、それも短時間でメールで連絡する程でもないものだった。
押し掛けになってしまったけれど、それでもあかねは大して気にしてなかった気がする。
結局、その時は一本だけ吸ってから、彼女と適当に会話を交わして直ぐに部屋を辞した記憶があるが。

「――嫌いというか苦手というか。疲れる事はあまりしたくないんだよ私は。」

怠惰とか怠け者扱いでも構わないが、自分にとって”疲労”の概念はそのまま能力に直結する。
うっかり暴発や余計な事をしない為にも疲労しやすい事はなるべく避けている。
…で、面倒な事は肉体か精神か、たいていの場合はどちらかを消耗する訳だ。
少なくとも、あかねのように面倒を楽しむ気質ではないから、疲労感にしかならない訳で。

日ノ岡 あかね > 「だから、カナちゃんはいつも一人なのね」

華奈の目を見ながら、そう呟く。
あかねの黒い瞳が、華奈の紅い瞳を覗き込む。
あかねは目を逸らさない。いつも、喋る時は顔を見る。
今日もいつも通りにそうして、楽しそうにただただ笑う。

「ふふ、『苦手』だけど『嫌じゃない』なら、疲れない範囲で面倒な事もしてみるといいと思うわ。そう悪いものでもないわよ? ゲームとかだって、簡単すぎるより……ちょっと難しいくらいが面白いでしょ?」

華奈の内心を察してか。それとも、ただ好き勝手言っているだけなのか。
あかねはいつもの調子でそう呟く。
遠くで他人事のように、海鳥が鳴いていた。

「そう思えば、面倒も少しは愛おしく……『楽しく』なると思わない?」

鞘師華奈 > 「――そーいう事。女子寮を出たのは、まぁ周囲の女子力に圧倒されたからだけどね。」

それなりに気の合いそうな子も居た気がするが、寮を出た以上は会うのも何か気まずい。
彼女の黒い瞳を、赤い瞳が見返す。覇気が無いというかやる気や熱情が殆ど無い視線だ。
例えるなら、燻った火種のようであり、同時に燃え尽きた残りかすのようでもある。

「……疲れない範囲、ねぇ?じゃあ、例えばどんな面倒事があると思う?
あかねは楽しむ気質みたいだから良いと思うけれど、私は疲労は最小限に抑えたいんだよ。」

疲れるのは単純に嫌だし、己の意志に関わらず力を増幅させてしまうから。
うっかり最大威力で暴発なんてさせたら目も当てられない結果になりそうで。
遠くで鳴く海鳥の声はやかましいが、となりの飄々とした同級生ほど気にはならない。

「……君は、何と言うか面倒ごとを楽しむというか愛してるようにも聞こえるぞ、あかね。」

日ノ岡 あかね > 「ふふ、何かやりたいこと、達成したいこと、成し遂げたいことの為の『面倒』なら……私は割と何でも楽しめるからね?」

慈しむようにそう呟いて、あかねは笑う。
潮騒と共に、潮風の香りが吹き抜けていく。
気付けば、一面は夕日で真っ赤に染まっている。
水平線に沈む夕日が、妖しく一面を照らしていた。

「なんだって捉えようよ。この潮風の素敵な香りだって、実際は海で死んだ生物の腐臭も混じっている。真っ赤な夕日もこんなに綺麗なのに、実際はただ恒星が放射線を撒き散らしてるだけ。そんな世界をどう捉えるかは……その人次第よ」

心底楽しそうにそう告げてから、あかねが立ち上がる。
呼応するように、浜辺の海鳥たちも飛び去って行く。

「まぁ、カナちゃんが世界をどう捉えても……私はカナちゃんの友達だけどね? またね、カナちゃん」

気安く笑って、そのまま国道の方に歩いて行ってしまう。
いつものように、振り返ることはなかった。

ご案内:「浜辺」から日ノ岡 あかねさんが去りました。
鞘師華奈 > 「――成る程。いいんじゃないか?私はそこまで前向きに楽しめる陽キャラじゃあないけどさ。」

彼女のように前向きに物事を捉えるには、自分は少々卑屈と諦めが過ぎる。
別に何か辛い事があっただとか、トラウマがある訳でもない。こういう気質としか言えない。
水平線に沈む赤い夕日をぼんやりと眺めながら、短くなってきた煙草を咥えたままで。

「……その個人の視点と考え次第、ね。成る程、参考になるよ――まぁ、私は馬鹿だけどね?」

潮風の香り、赤い夕日。綺麗だ何だと思いはするがそこで止まる。根本的に思い入れが無いのだろう。
飽き性、というか面倒臭がりのせいで興味を抱く事に無意識に諦観が出てしまっている。

心底楽しそうなダブり仲間が立ち上がる姿に、そちらへと再び視線を向ける。
同時に、海鳥達が鳴きながら浜辺から飛び去っていき。

「――世界をどう捉えるか、なんて私には大袈裟すぎる問い掛けだよそんなのは。」

ぽつり、と呟くように口にしながら、視線はあかねの後姿を見届けて――その姿が見えなくなれば、一度緩く目を閉じて。
最後に、煙草の吸殻を懐から取り出した携帯灰皿に捻じ込んでおく。

「―――友達、か。…じゃあ、私が君に感じている得体の知れない感覚は何なんだろうね?」

嫌いではないが、好きか、と言われると難しい。ただ、こんなぼっちの面倒臭がりに声を掛けてくれるのは有り難い、のだろう。

「―――やれやれ、私も存外拗らせてるもんだ」

ぽつり、と呟いて潮風に靡く黒髪を面倒そうに掻き揚げれば。気だるそうに踵を返して女もここを後にしよう。

ご案内:「浜辺」から鞘師華奈さんが去りました。
ご案内:「浜辺」に雨見風菜さんが現れました。
雨見風菜 > 「──ぷはっ!あー、やっぱり泳ぐのは楽しいですねぇ」

海から姿を表した少女は楽しそうにひとりごちる。
今まで泳いでいたようだ。

ご案内:「浜辺」にエリク・スタンさんが現れました。
エリク・スタン > 「うぉぉぉ、すげえ…海ってのは冷たいんだな。」

仕事の関係で浜辺に来ていたエリク。
序でに泳いでくればと提案され、急遽水着を用意してきた。

元の世界でも、今の世界でも海には行ったことが無かった為に驚く事が多い。
塩の香りがするし、触ってみると冷たいのは一緒だが、水と違って微妙にべたつく。

そして、一番の違いは。

(…皆あんな無防備な格好で泳いでるんだよなあ。
水着だから良いって言うんだけど、凄いよなあ。)

浜辺で海水を掬って遊んでいると、豪快に泳いできたと思われる女性の姿。
布面積が多い水着を着ているが、それでも傍目に分かるほどに豊満なボディが伺える。

雨見風菜 > 「さーちょっと休憩して……あら?」

視線に気づく。
どこから送られてきてるかを見てみれば、可愛らしい獣耳少年。
ふふっと笑顔を見せてみる。

エリク・スタン > (…うわぁ、目があってしまった。)

浜辺で遊んでいると、なんだか綺麗な女性に笑顔を向けられてしまう。
どうしようと一瞬頭の中がグルグルとするが、他に誰も居ない。

エリクは意を決し、浜辺遊びを中断しては笑顔が素敵な女性の元へ。

「こんにちは、いい天気だな。」

初対面の相手に有効な天気デッキを用いるエリク。
口下手で、綺麗なお姉さん相手だと語彙力が低下してしまうのであった。

雨見風菜 > 「こんにちは。いい天気過ぎて暑いですよね、まだ6月なのに」

近づいてきた相手が緊張していることを察し話を合わせる。
豊満な胸や尻を始めとした、身体についた水滴が日光を反射して輝く。

エリク・スタン > 「だよな~。雨の時もそうだけど。
今日みたいな晴れの時はホントに暑いわ。」

獣耳をパタパタと動かし、熱を放出している。
隣に座ると、メリハリの利いたボディもさることながら、整った顔を眺めて。

「俺、二年のエリク・スタン。
君は? 学園の生徒だよね。」

どっかで見たことあるような気がした。
と言っても、学内ですれ違ったか、遠目で見かけた程度だろうし、
こうしてまともに会話をするのは初めてだろうが。

雨見風菜 > パタパタと動く獣耳に可愛いと感想を抱く。

「あら、先輩でしたか。一年の雨見風菜です」

自分を見知っているのだろうか。
とはいえ正直なところ心当たりが多すぎるのだけれども。

エリク・スタン > 「う~ん、学内でたまに顔を見た程度か?
まともにお話したことないから、学園は違うだろうと思っていたけど。」

エリクは彼女の事を学内で見たことのある他学年の子、としか認識していなかった。
ひょっとしたら、派手な活動をしているのかも知れないが、学内にはあまり着ていない為そこまでは耳に入っておらず。

「さっき見てたけど、泳ぎ方上手いよね。
俺なんて今まで海とか入ったことないからまともに泳げなくてさ。」

雨見風菜 > 「確かに、他学年の人とお話する機会はあまりないですよね」

とはいえ、普段から縄下着で糸をつかい跳び回ってるので割とそういう話をされていたりはするのだが。
まあそれでも広い学園だ、見てない人もいるだろう。

「泳ぐのは好きでして。
 まあ、泳ぐのにも練習が必要ですしね。
 私は教えるのはあまり得意ではないとは思いますけど、練習してみます?」

エリク・スタン > 「だよなあ…。」

エリクにとって、彼女の普段の姿を知らずに出会えたのは良かったのかもしれない。
そんな状態を見てしまえば、こうして和やかに会話などできないだろう。
ちなみに、この少年は友達も少ない。

「え、いいのか?」

思わぬところで親切な人に出会えた。
エリクは瞳を輝かす。尻尾が生えているのならパタパタと振っていたことだろう。

「悪いな、今度何かお礼するよ。」

上がってきたばかりで未だ身体が濡れている雨見と海へと入っていく。
腰の辺りまで海水の中に浸かって。

「えっと、どうすればいい?」

両手を所内無さげに伸ばし、彼女の指示を仰ぐ。

雨見風菜 > 「ええ、いいですよ」

目を輝かせる獣耳の少年はとても可愛い。
尻尾がないのが惜しいところか。

「お礼ですか。楽しみにしてますね」

ちょっとしたものでもいいし、何なら……おっと、今は泳ぎに来ているんだった。
そう邪な考えを振り払いつつ海に入っていく。

「息継ぎは大丈夫ですか?
 できなかったり自信がなければそこからやっていきましょう」

そう言って、エリクの手を取る

エリク・スタン > 「…ん?」

包容力のある相手から可愛がられることには慣れているが。
一瞬感じた不穏な空気にドキマギする。
この空気は何度か感じたことがあるのだが、今はそれほど恐怖感がない。

「息継ぎは出来るんだけど、手の動かし方がなあ。
犬かきしかできなくて…雨見はさっきクロールしてたよな?
手の動かし方を教えてくれるか?」

両手を水のなかで掴まれる。
教えて貰いながら失礼なのだが、柔らかくて気持ちいい。

雨見風菜 > 「手、ですか。
 クロールなら……」

昔教わった学校の授業を思い出しながら、クロールの手の形を自分でもやって見せながら説明する。

「さあ、ではやってみましょうか」

エリク・スタン > 「お~~。」

海の中で二人きりで後輩に泳ぎ方を教えて貰う。
とっても先輩とは言えない行動なのだが。
エリクは雨見に腕を誘導してもらいながら腕全体を使って水を掻く仕草を覚えていく。
犬かきとは違い、頭の上から足に向かって水を掻きだし。

「お、なんだかいけてるような気がする。
出来てそうか?」

息継ぎと足の動かし方は雨見の泳ぐ姿を遠くからみて覚えていた。
そして、泳ぎの最中に雨見の顔を見上げる。
その際に、大きな胸が目の前に。
なんだか凄い迫力に思わず目が丸くなってしまう。

雨見風菜 > 「ええ、いい感じですよ」

飲み込みが早いなと感じる。
自分はもっと時間がかかったなと振り返り……胸に視線が来ていることに気づく。
ふふ、と笑い

「では、次は足の動きを練習します?」

多分、要らないような気はする。
でも勘違いかもしれないし、一応教える心積もりにしておく。

エリク・スタン > 「足は、こうだろう?」

胸にどうしても視線を向けてしまいつつも、雨見の顔を見上げて。
見せつけるようにバシャンバシャンと、足全体を使って水面を蹴っている。

「雨見が泳いでいるのを見て覚えたんだ。
合ってるだろう?」

海水の中なのだが、声だけで得意そうにしているのが伺えるだろう。

雨見風菜 > 「あら、お見事。
 大丈夫ですね、それじゃあ少し泳いでみましょう」

そう言って、深さが変わらないように距離を取り。

「ここまで泳いでみましょう、きっと大丈夫ですよ」

エリク・スタン > 「お~~~。」

いよいよ、手が離れる。
まずは力を抜いてその場に浮かんで。

雨見が足を止めた時点でクロールでの接近を開始する。
教え方が良かっただけあり、意外にもクロール泳ぎは綺麗にできて。
体力があるだけに思ったよりも推進力が増してしまう。
つまり、思ったよりも一掻きで近づく距離が長く。

…気づけば、クロールの為に出した右手が雨見の水着に触れてしまったかもしれない。

雨見風菜 > 思ったよりも速い。
あっという間に距離が詰まり、水着に触れる。
慌てて手を取って抱き寄せて。

「すごいですね!?
 あっという間だったじゃないですか」

頭を撫でて褒めてあげる。
やりたかった、やっちゃった。

エリク・スタン > 「うへぇ!?」

後輩に抱きしめられ、豊満な胸の中に顔が埋もれてしまう。
互いに濡れているので、ぴったりと顔が張り付いて。

「雨見のおかげだぜ。
今度は俺がお礼をしないとな。
何が良い?」

頭を撫でられると、獣耳がピンと立ち上がる。
嬉しいのと、興奮が合わさった感情が沸き上がり。
体の一部が微妙に熱くなってきてしまう。

雨見風菜 > 「お礼なんていいですよ。ほとんどできてたじゃないですか」

とは言いつつも、股間の熱いものが元気になってる感触はあった。
どうしても、というのなら……選択肢はある。あるのだ。

エリク・スタン > 抱きしめられたまま、胸の隙間から見上げている。
今日は晴れ渡っており、海の透明度も高い。

エリクは出来る限り隠しているつもりでも、その気になれば気づかれてしまうだろう。
そして、相手がそちらに意識が向いていることにまで気づいていなかった。

「泳げたのは雨見の教え方が上手いからなんだし。
何かお礼しないと。 後で食事でもどうだ?」

雨見風菜 > 「後で、食事……ですか、ふふ。
 それはちょっと恐縮しますね」

自分でもそんな礼をされるようなことをしたつもりはない。
だから。

「それよりも、私は……あなたが我慢してることを、遠慮なくしてくれる方が嬉しいですね」

エリク・スタン > 「えぇ、えぇぇぇ!?」

雨見の胸の中で叫んでしまうエリク。
胸と顔の間を視線が行ったり来たり。
言っていることが信じられない様子で。

「…そんなんでいいのか?
えっと、場所変えるか?」

雨見風菜 > 「ええ、それが良いんですよ。
 あそこの、岩陰が良さそうですね。
 すこし、掴まっててくださいね」

手頃な岩陰を見つけた風菜はその岩に糸を射出。
巻きつけた糸を巻き上げればもちろん自分がそちらに引っ張られる。
その勢いを使い、抱きしめたエリクごとそちらに飛んでいく。

ご案内:「浜辺」からエリク・スタンさんが去りました。
ご案内:「浜辺」から雨見風菜さんが去りました。