2020/06/28 のログ
ご案内:「浜辺」にソフィア=リベルタスさんが現れました。
■ソフィア=リベルタス > 「ふん、ふふん、ふ~ん♪」
鼻歌を歌いながら、適当に手折ったらしき棒切れの先に、糸をつけて垂らしたような
おそらくは釣り竿をもって河原に座る少女が一人、もとい、怪異が一匹。
「なんだか随分な騒ぎがあったらしいけど、私にはあーんまり関係がないねぇ? え? あぁうん、興味はなくもないけど。
ほら、若者の間に年寄りが割って入っても無粋というものじゃない?」
と、何処かへ語り掛けながら水面を見つめている。
釣り……をしているのだろうか、座った隣には水の入ったバケツのみが置かれている。
■ソフィア=リベルタス > 「その割にはご機嫌そう見見えるって? ふふ、わかるかい?
学生たちが自分で行動を起こし、それが波紋となって学園中に広がってゆく。
この先に何かが起きるかもしれない、そんな期待をしているんだよ、私は。」
誰が聞くわけでもない質問に、怪異は答える。
老人が無邪気に質問する子供に答えを返すように。
「それと今しているそれが関係あるのか? うふふ、ない! これは趣味だよ趣味。
いいだろ? 釣り、良くないかなぁ?
この静かな浜辺が私は意外と好きなんだ。
さかな、おいしいしね。」
流れる雲と、柔らかに吹く風に、水面が揺れる
それを眺めている彼女の様は、どこかこの世の者とは離れたような
そう、浮世離れ、とでもいうべきものを感じる。
「釣り竿をを垂らしたところから、波紋が広がっているだろう? これを眺めているのが意外とね、楽しいものなのさ。」
大きなあくびをして、退屈そうにしながらも
「ま、私は見る専であって、石を投げ入れる側ではないけれどね。」
そう、どことも関連のないようなことを言う
不思議な雰囲気をあたりに広げていた。
■ソフィア=リベルタス > 「でもここはとても面白いよ。 何せ島に自浄作用があるんだ。」
どこに語り掛けるでもない独り言は続く
「例えばスラム街でのひと騒ぎも、一人の男子生徒の手によって収まったらしい。
これほどの超人社会だ、均衡は一気に崩れてどんな反乱がおきてもおかしくはない。
君もそう思うだろう?」
何処かにこやかに、怪異は振り返って誰かに言葉を繋ぐ。
■ソフィア=リベルタス > 「しかし君も好き者だねぇ、こんな退屈な風景も見ててもつまらないだろうに。」
ふと目を閉じて、引き上げた釣り竿にはしかし、餌も釣り針もついておらず
「喋ってくれるのが私ぐらいしかいない? あはは、まぁそりゃそうだろう。
だって君はほかに見える人が居ないからねぇ。」
空の方を見上げて、何かに話しかけながら、バケツを拾い帰り支度をする。
「あぁ、本当に楽しみだね。 これからこの島が如何にして物語を紡いでいくのか
うん、実に楽しみだ。」
その言葉を最後に、彼女は学園の方向へと歩みを向ける。
教師として、生徒を見届けるために。
ご案内:「浜辺」からソフィア=リベルタスさんが去りました。
ご案内:「浜辺」に戸田 燐さんが現れました。
■戸田 燐 >
日曜。昼。ならば……釣りでしょう。
本当なら朝から来たかったけど。
昨日は本を読んで夜ふかししてしまったので今頃。
今日はショアジギング(岸からルアーを投げるスタイル)で行く。
リールは3000番代のハイギア。
これを買うためにゲーセン通いをしばらく減らした自慢の一品。
中量級の魚を狙うのにこのパワー。
やはりパワー……パワーは全てを解決する………
クーラーボックスには陰陽社の定番魔術グッズ、殺生石片。
これを釣った魚と一緒に入れておくと魚の寄生虫が死ぬ。
つまり、刺し身で食べられるわけで。
それ以外の毒性なんて皆無なこの便利グッズ、名前は物騒だけど本物の殺生石とは無関係。
私は魔術スタイルの釣り人だからだ。
世界的には、釣りは魔術グッズを利用する魔術スタイルと、
高度に発達した機械式の釣具を使用する機械スタイルに二分されている。
私は魔術と異能を利用したスキルツリーというわけ。
■戸田 燐 >
防波堤でルアーをイジる。
餌をつけ直す必要がないので、何度でもキャスティングする。
何度でもしゃくる。何度でも回収する。
釣りとは根気が求められるものなのです。
根魚! 青魚! というかシイラが食べたい!!
普通に買ってもいいけど、この際だから引きが強くて美味しい魚が釣りたい!!
家で彩子が待っている……ボウズ(釣果なし)では帰りたくない…
まずは適当にキャスティング。
錘に氷を少しだけ付与して重さを増し、着水寸前で水に変えてデメリットを受けない。
戸田燐流釣り殺法『コキュートス・フルランディングスタイル』。
これで大物を狙う!!
私の釣り竿、カイーナ(名前)はミディアム。程々の硬さ。
この程度で折れたりするものかー!!
■戸田 燐 >
一回転分、リールを巻いてしゃくる。
一回転分、リールを巻いてしゃくる。
基本はこの繰り返し。
早速ヒット! このアタリは青魚ではない……弱い。
けど、美味しい魚ならいいなぁ!!
食欲に任せてリールを引く。
釣れたのは、なんともブサイクなお魚さんだった。
コチ……それもマゴチ。
高級魚として食べられている、美味しい魚だ。
やたー! 彩子喜んでくれるかしら。
マゴチは2歳までみーんなオス。
ところが、それ以上になって40cmを超える個体になるとメスになる。
不思議な生態をしているこの魚は、刺し身で食べれば不思議な甘みがある。
でもこれじゃ足りない………晩のおかずが一品増える程度…
釣り人としてのサガ………本能…っ!
どうしても大きな魚が釣りたいのです。
■戸田 燐 >
30分経過。
たまーに釣り針に引っかかる藻屑を放り捨てて再リリースの繰り返し。
今日はマゴチ一匹か……寂しい…
もっと強い引きがほしい。
もっと強い魚を釣りたい。
私はマゴチ一匹を釣るために超強力日焼け止めクリームを買ったわけじゃない。
闘志……闘う、志(こころざし)…………
燃え上がれ、私の釣魂(フィッシング・スピリッツ)。
■戸田 燐 >
釣れない時に壊れた長靴や空き缶が釣れるのは漫画だけなのだなぁ。
今、多くの釣り人の心を折っているのは。
藻屑。それなのです。
常世の海はキレイだから。
藻があるのは健全でいいとは思うけど。
それはそれ。これはこれ。
おっと、そんなことを考えている間に手応えあり。
この手応えは……まぁまぁ!!
どんな魚かなー、どんな魚かなー。
海面の魚をタモで引き上げる。
なんということでしょう。なんということをしてくれたのでしょう。
フグでした。
こいつ嫌いなんだってヴぁー!!
ペンチみたいな歯で仕掛けも何もかも噛み潰すし!!
針引き抜くの怖いし!! 変な声で鳴くし!! 膨らむし!!
ご案内:「浜辺」にアルフリートさんが現れました。
■アルフリート > 母なる海、とこの世界の人間は呼ぶらしい。
なるほど故郷の荒々しく全てを飲み込む暗い海とは違い明るく穏やかな海というのはそれを納得させる美しさだった。
鍛錬がしたいので泳げる川は無いだろうか?と知人に尋ねたところ、海行けば?と言われ来て見たのだが塩辛い以外は素晴らしい場所だった。
潜水を楽しみ海の精霊に頼み呼吸を長く長く引き伸ばしゆったりと泳いでいたところ、クンっと水着を何かに引かれる感覚があった。
さては精霊が悪戯をしているな?とさらに水を蹴り加速する。
引き伸ばされるライン、滑走を始めるルアー
ファイトの開始である。
■戸田 燐 >
とはいえ、今回はフィッシュグリップを持っているので難なく針を外してフグをリリース。
ふはは。文明の力に恐れおののけ。
そしてキャスティング。
釣れた魚は……でかい!!
何かがかかっている!! 巨大な……巨大な何かが!!
我が竿、カイーナが血に飢えておるわ。
これはきっとシイラに違いない!!
全力での戦いが始まる!!
■アルフリート > 全身の筋肉を鍛錬するために両足を揃え全身をくねらせるように水を蹴りぐんぐんと加速する。
この世界の水は素直でいい、水着を引っ張るという悪戯も可愛げがあって微笑ましいくらいだ。
故郷の精霊ならいきなり大渦を作ってきてもおかしくはない。
しかし泳ぐたびに負荷は重くなっていく気がする。
ここは万全を期すために息継ぎをしておくべきだろう。
水面が弾け一瞬だけ陽の光を浴びる巨大なシルエットが映る。
細部までは見えないだろうがサイズを認識させるには十分な一瞬。
■戸田 燐 >
これは……でかい!!
2メートルはなかった、それでも大物!!
彩子、待っててね!! 食べきれない量のお魚をあげるわ!!
「うおー!!」
全くカワイくない雄叫びを上げて獲物と格闘する。
これを釣り上げれば生涯レコード更新。(クジラザメはカウントしないものとする)
心が叫びだす。
これに勝て、と。闘争本能の赴くままに!!
ギリギリとリールが凶暴に叫びだす!!
■アルフリート > 「ぬぅ!?」
海中で思わずうめき声が漏れる。
今までの戯れはこちらの力をうかがっていたのか?そう思うほどの激しい引き。
まるでこちらの力をいなすような巧みな引きに先ほどの感想は謝罪しようと静かに唸る。
大人しいのではなく巧みなのだと。
時に引く力に抗い、時に逃がすようにターンを切り熱い闘いが繰り広げられる。
しかしブーメランパンツがどんどん鋭角になってきているのだが変形機能でも付いてたのだろうか。
可変翼のごとく変形した水着が勝負の激しさを物語っていた。
■戸田 燐 >
魚は、生きていることを雄弁に語っていた。
そう……相手の生命との戦い。
それが釣り。勝てば、相手の命をいただくという覚悟をしなければならない。
引く力が強くなったと思えば、逆に振られることもある!!
戸田燐流釣り殺法───テンションキープ、レッスン1!!
無論、手をこまねいているわけではない。
相手のスタミナが切れるまで不毛な戦いを続ける気もない。
全てで相手を上回り、その上で──食べる!!
■アルフリート > 「この力、この駆け引きの巧みさ……よもや大精霊か?」
精霊は支配領域が広ければ広いほどに力を増していく。
ならばこれほど広い海に住まう精霊の力はいかほどか。
彼らの支配する火や風を操る力では人間は叶うべくもないが物質的な強さや技の研鑽では遅れをとらない。
そう思っていた、今この瞬間までは。
なるほどだから異世界というのは面白い。
故郷の川に棲んでいた物知り鮭のマスヲさんの言葉を思い出す。
『水の流れと喧嘩しちゃいけねぇ、水と共に流れその中で己を表現する、それが水を支配するって事だ』
海中を流れる波の動きを利用しジグザグに蛇行を始め、容易にテンションを維持させないよう力の方向をあちこちへ受け流そうと暴れ始める。
■戸田 燐 >
「この力、そして駆け引きの巧みさ……まさか海の主!?」
クイーンフィッシュ。
その味、天上の佳味なれば。
海に君臨するも自然なり。
彩子、見てて………あなたに一生忘れられないプレゼントをしてあげる!!
釣り糸のテンションが保てない!!
ならば、こうだ!!
戸田燐流釣り殺法───攻める時はワガママに、レッスン2!!
ジグザグに動くのであれば、こちらから断続的に強く引く。
容易に相手の思惑に乗らないこと、それもまた駆け引きの一部!!
■アルフリート > 「!?」
自分が人の強さを見せ付ければ相手は人の弱さを突いて来る。
断続的に繰り返される強い引きは耐えようとしても一瞬反応が遅れ、その一瞬だけは相手の支配下へと置かれてしまう。
すなわち水着がどんどん引っ張られ、先ほどまで2時50分だった角度が今は1時55分まで来ていた。
これが正午を差した瞬間構造材の弾性限界を超えて男性限界を晒してしまう。
となれば訪れるのは社会的な死。
強く抵抗し切る事が出来ず、じわじわとだが海岸方面へとバトルフィールドが移っていく。
■戸田 燐 >
どんな戦いにも終わりは来る。
ならば、勝利で終わらせるも礼儀ッ! 自然への礼節ッ!!
喉が乾く。どれほど相手と戦ってきた?
時間にして数分、消耗だと体感はもっと長い!!
戸田燐流、釣り殺法………レッスン3!!
トドメを刺す時は魂を込める!!
あとは気力だ!! 精緻に指を動かせ!!
魂熱く、頭はクールに、持てるありったけの全力で!!
この魚を釣り上げろ!!
■アルフリート > こちらが相手の力を受け流せば向こうはこちらの力を利用しようとしてくる。
闘いが長引けば長引くほど相手に手の内を学習され対応されてしまっている気がする。
自然の力が強い故郷の精霊は野生的で、技術で自然を利用しているこの世界の精霊は理性的という事だろうか
もはや左右への揺さぶりは通用せず、深くもぐろうとしても力の方向が一直線になり最終防衛ラインが破れてしまうだろう。
負けを認めるしかないのか?負けるは恥ではない。だが全力を出さないまま諦めるのは恥でしかない。
全力を出し過ぎれば恥丸出しになるのが悩ましい。
ふと天啓が降りてくる。まだ一つだけ試していない方向があるじゃないか……。
瞬間、張り詰めていたラインが一気にたわみ、水面が弾ける。
「噴!」
真っ直ぐ背筋を伸ばし天へと向かい足先は水面を蹴りだす。
テイルウォークであった。
■戸田 燐 >
バ、バカな!?
あり得ない!! 勝ったはず!!
確かに相手の魂を折り砕いたはず!!
なのに、相手は強気に来る!!
何がこの魚をそうさせる!?
どのような荒海を生き抜けば、このような精神が養われる!?
相手が来るのは、真上!!
海面へ来るなら、いいわ。
真の決着といきましょう!!
私は……ぜぇったいに負けなァいッ!!
■アルフリート > 全力は出し切った。相手の意表は突いたはず、支配領域から脱したはず。
だと言うのに未だ気を抜けば戦意まで引きずり倒されかねない引きは自分を捉えたままだ。
全力を出し切った先にあるのはただ死力あるのみ。
もはや思考は意味を為さず本能のあるがままに抗い。
しかしそれは技巧の頂には指が届かない。
もう少しだけ、もう少しだけ戦わせてくれ!
そう願うもじわじわと相手の支配領域へと引き寄せられ……決着の期は相手へと訪れる。
「やれよ」
言葉は届かない、しかし戦いを通じて百の言葉を交わしたとすら思える相手にはきっと伝わったはずだと確信していた。
■戸田 燐 >
『やれよ』そう相手が言った気がした。
目を固く瞑る。これほどの相手を打ち負かすことの後悔だ。
ただ、この自然に勝つことが罪なら……私はどんな重責でも背負う。
「フィィィィィィィィィィィィッシュ!!!」
釣り上げ────オイ待ておかしいだろ!!
肌色だろォ!! 魚じゃねーだろォ!!!
何がフィーッシュだよ馬鹿馬鹿しい!!!!
「え………何?」
「え…………本当、何…?」
ナマ足黒パン大男。
■アルフリート > ずしゃああああ!と気をつけの姿勢で砂浜を滑ってくる大物。
すなわち身の丈172センチの引き締まった体躯の青年であった。
よほど強い衝撃がかからない限り外れないはずの眼鏡がずれていた事に気付きくいっと指で引き上げる。
そしてどうやら自分を制したのは精霊ではなく少女であった。
だが今はもうそれすら些事でしかない。
大切なのは熱い戦いとその決着、それだけ。
夏が胸を刺激する。
「ナイスファイト」
爽やかな笑みを浮かべ、ぐっと親指を立てる。
■戸田 燐 >
「いやなんでファイトしてたの!?」
ツッコミを入れてから顎に指を当てて沈思黙考する。
「いやなんでファイトしてたの!?」
再度ツッコミ。もう何がなにかわからない。
これは魚拓にも食事にもならない。彩子も多分喜ばない。
確かにスポーツのような健全な一体感はあったけど。
それは相手が魚だった場合を想定したケースだァ!!!
「あ、いえ、その……釣り針を引っ掛けてしまい申し訳な…? い…?」
「私、燐です……常世学園の、戸田燐………」
「───どうしてこんなことにッ!?」
半泣きで説明を求めた。
さっきまで闘志だったカケラが辺り一面に散らばる。オウイエー(ヤケ)。
■アルフリート > 「いや、挑まれたからつい……」
何故にと問われれば故にと応えるしかない。
それが戦士の運命(さだめ)だから。
「負けるものかと」
何かおかしな事があっただろうかと首を捻る。
水着の角度がおかしかったなと指でくいっと持ち上げセーフティラインに戻すと安堵の息を吐く。
これできっと大丈夫。
「あ、これはご丁寧にどーも。アルフリート・フィン・アステリオです」
両手を胸の前で合わせてぺこりと礼をする。
これも同級生に教わった事だ、本当にありがたい。
「海で鍛錬していたら急に引っ張られ、抵抗したら力強く巧みな引きだったから……つい。その、デュエルスタンバイを」
一体何が彼女を泣かせてしまったのか、判らない、本当に判らないんだ。
おろおろと手を上げたり下げたりしながら必死に宥めようと。
■戸田 燐 >
あっすげぇいい人だこれ!?
負けん気で私の釣りに付き合ってくれたんだ!?
あと水着の角度を気にしてるけどそれ引っ張ったの私だよごめんね!!
「どうも」
デッド・フィッシュ・アイ───死んだ魚の眼でペコリと一礼した。
私の目は殺められたんじゃない。勝手に死んだんだ。
「………そうね………………」
「あなたの引きは、強く、正しかった…………」
海を前に自己憐憫を処理できない者など釣り人に一人たりともいない。
正気に戻れ。
「大丈夫、ちょっと魚だと思って釣っていたから混乱しただけ…」
クーラーボックスの中からよく冷えたスポーツドリンクを取って差し出した。詫びドリンク。
■アルフリート > 「君の戦いも、炎のような闘志と氷のように冷静な技巧、目を見張るものがあった」
光を跳ね返さない不死人のような瞳に一瞬びくっと背筋が跳ねるが、賞賛の言葉を貰えば身体に残る疲労感を心地よく感じ笑みを返して力強く頷きながら賞賛の言葉を返す。
これでトモとなれただろうか?いや言葉にするのは無粋だろう。
「なるほど……それはこちらも悪いことをした。
てっきり海の精霊のイタズラか何かかと……。
ああ!大きな魚なら沖合いでちらりと見たけど、背びれが大きくてつぶらな瞳の奴が!」
スポドリを受け取ると親指でぱしゅ!と蓋を飛ばして一息で半分ほど飲み干す。やはり相当な体力を使ったらしい。
釣りが目的だったという彼女になんとか報いようと沖合いで見かけた大物の姿を身振り手振りを交えて伝えようとする。
どう見てもシャークです。
■戸田 燐 >
「サラマット・カパティッド………ありがとう、キョウダイ…」
何故かタガログ語で感謝しつつ。
相手も悪気があったわけじゃないし。
釣り人が人に迷惑をかけたなら、謝る必要があった。
ゆえに詫びドリンク。
「それサメだから!! トコヨクジラザメだから!!」
自分も残ったスポーツドリンクを飲んで。
「ま……いっか、楽しかったし」
釣り竿を畳んでロッドケースに入れる。
別に釣って、魚を食べることだけが釣りじゃない。
こういう釣りも、あっていい……はずがないでしょ!!!!
自転車にクーラーボックスを固定して。
「今日は楽しかったわ、またねアルフリート」
そう言って自転車で堤防を後にしていった。
■アルフリート > 「? あ、はい」
さすがに翻訳術式が対応してくれずに意味は判らなかったがなんとなく意味は伝わった。
だって俺たちは力を尽くして戦ったトモだから。
根本的な部分でズレが生じているがそれには気付かず、もう一度ぐっと親指を立てて。
「サメ? 食べられない魚だったか…」
しょんぼりと肩を落とす。
一応食べられる魚ではある。
食べられるのかかる対象がちょっと違うだけで。
「ああ、ありがとうリン。また学校で会ったらよろしく」
手を振りその背を見送る。
ところで畳んで砂浜に置いた服はどこに行っただろうか……。
後日知人にサメのことを尋ね、嵐の中空を泳ぐサメの映画を見せられおののく事になるのだが、それはまた別のお話。
ご案内:「浜辺」からアルフリートさんが去りました。
ご案内:「浜辺」から戸田 燐さんが去りました。