2020/07/10 のログ
ご案内:「浜辺」に雨見風菜さんが現れました。
雨見風菜 > 海開きには少し早い海で、泳ぐ風菜が居た。

「泳ぐのはいいですね。
 気をつけないと日焼けしてしまうのが難点ですが」

以前と違い、今度は物体収納で衣服を収納できる。
本格的に、荷物を気にせず泳げるのだ。
無論、何かあったときのための命綱代わりの糸はしっかり準備している。

雨見風菜 > 「しかし、こうも人がいないと。
 まるでこのあたりの海を独り占めしているみたいですね」

のんびり、海に浮かびながらまったりしている。

豊満な胸に滴る水滴が眩しい。

雨見風菜 > 一人無防備に泳ぐ風菜の姿。
もしくは何かを期待しているのかもしれないが。

「まるで、この世界に私一人だけのよう」

のんびりゆったりまったりぷかぷか浮いている。

雨見風菜 > 「試験もまあ、なんとかなりそうですし。
 異能制御に魔術制御なんて私には簡単ですしねぇ」

糸の異能、液体収納に物体収納。
魔術は暴走することなんてなく。
異能は射出射程よりも操作射程が短いのはあるが、まあ破壊力もないのでさほど難儀するものではない。

雨見風菜 > 「……──ちゃんは大丈夫でしょうか」

ふと浮かんだのは友人の顔。
ここ数日、とても焦った顔で試験対策をしていたのは記憶に新しい。

雨見風菜 > 「とはいえ彼女の試験は彼女が受けるしか出来ないですし」

それにこんな心配をしていたら余計なお世話だと言われそうだ。

雨見風菜 > 気を取り直し、泳ぎ回り。
そうして浜辺に戻り、一旦休憩。
水滴を液体収納で取り去り、物体収納からパラソルとビニールシートを出して寝転がる。

雨見風菜 > 「……私の周りは平和ですね。
 喜ばしいことに」

まあ、危ないことが起きても逃げるだけなのだが。
なお風菜にとってはエロいことに関しては危ないことには含まれないのだが。

ご案内:「浜辺」に持流 童男さんが現れました。
雨見風菜 > 物体収納から中身の入ったペットボトルを出して一口。
中身はレモンフレーバーの無糖炭酸水だ。
炭酸水特有の苦味に顔をしかめる。

持流 童男 > 「さて、この世界で初めて水着を買ってきたのでござる。」
「ん?あれは・・・ッ!?」

顔を高速で、そらしつつ、目線を風菜さんの水着を見ないようにしつつも、鼻血が出かけた。

「(やべぇでござる!魅力的すぎるでござろう!!あの女性の方!!!)」

思いつつも頭を冷やすために、海にダイブして、頭を冷やしている
水しぶきが上がった。

雨見風菜 > 突如上がる水しぶき。

「え、何が??」

びっくりしつつ、物体収納で出したものを回収してすぐに糸で逃げれるように気を払う。

持流 童男 > そっと、風菜さんを水の中から見つつも、
「(・・・ってあの方って確か、学校から一緒に帰ったあの風紀委員の方でござったか・・にしては・・)」
ビキニを見つつ、たわわなものをみて鼻血が出る。

「(エロすぎるでござろう。鼻血が出たでござるよ)」
鼻血が出つつも、頭が冷えたのか。
「(いや待てよ・・?あの女性の方を見ずに、会話すればいいのでは・?!?)」
冷静になりつつも、水の中から出つつ
「あの・・風菜さん殿でござるか・・?」
と風菜さんに言いつつも、足元をガン見ながら。砂しか写ってねぇ!!

雨見風菜 > どうやら、危険なものではなさそうだ。
そう思ったところで、男が海から上がってくる。

「ええ、そうですよ」

たしか先日、下校時に会った男性。
名乗ってはいなかったはずだが、まあある意味有名だし名前が知られていても不思議ではない。

持流 童男 > 足元に意識を集中させろ・・!!肢体を見るな・・!!!

と思いつつも、うっかり風菜さんの水着を見て

「綺麗でござるなぁ。」
うっかり口から心からの本音が出ていた。

「あ、嫌!忘れてくだされ!!!」
「某、持流 童男でござる!胸を晴れるヒーローを目指してるものでござる!。」
あわあわしながらも自己紹介をしつつ、名乗る

雨見風菜 > 胸も大きければ普段の見た目だけは清楚なのだ、絶世の美女には及ばないが実際上玉である。

「ふふ、ありがとうございます。
 そんなに遠慮しなくていいのに」

果たして童男が風菜の本性を知ればどう思うのだろうか。

「持流童男さん。
 ふふ、わかりました」

持流 童男 > 「いや、お主のようなきれいな人を・・・」

ちらっとおっぱいに目が行く。だがしかし、そっと目を離しつつ。初心になりつつも

「そんなチラチラ見るなんて、こう、それもいい男ならまだしも、某のようなキモオタに見られるのは不快でござらんか?」

緊張で、ぎっちぎちになっているが、心底風菜さんを案じるように初心になりつつ、目線は足から外さない

雨見風菜 > 「いえいえ。
 見られるのは好きな方ですよ、私」

何を、とはあえて言わない。

持流 童男 > 「お、おう?それならば、見るでござるが・・!」
と風菜さんを見つつも、

「うおお、眼福でござる・・!清楚とビキニが一緒とは・・眼福でござる!!」

感激しながらも、

見とれて目が離せなくなって顔が赤くなっている。

雨見風菜 > 「ふふ、それはよかった」

見惚れる童男を前に。
ふと、軽い悪戯心が湧き上がる。

「さて、ちょっと身体が熱くなってきたので失礼しますね」

と、一度海に浸かり。
そうして、胸に水滴を滴らせて戻る。

持流 童男 > 「おお、っと失礼。見惚れてたでござる」

見惚れて顔が真っ赤になりつつ胸に水滴が滴っている風菜さんに対してあわあわしながらも。

「ちょちょチョット待ってほしいでござる・・む、胸に水滴が・したたって・・ここ心の準備が・・!」

と見惚れてキョドりつつも視線が釘付けになっている。
少し中腰になっている。

雨見風菜 > やはり効果はあるなと感じ。
クスリと笑って。

「童男さんは、どうしてこちらに?
 海開きにはまだ早いですよ」

言ってる自分こそ勝手に泳いでいるのだが。

持流 童男 > 「おお!?そうでござるな」
顔を依然として真っ赤にしつつ冷静になりながらも。

「某は水泳鍛錬のためにここに来たのでござるよ。」
目的を顔が真っ赤になりつつも

「丁度顔が火照ってきたでござるし、泳いで見るでござるか。」

「一緒に泳いでみるでござるか?一緒に泳げて、鍛錬もできると某はうれしいのでござるが。」
にっと笑いながらも顔が少しだけ顔の色が戻ってきた。

雨見風菜 > 「では一緒に泳ぎましょうか。
 私は単に泳ぐのが好きなだけですけど」

言ってまた海に入る。

「鍛錬にお付き合いできるかはわかりませんが」

持流 童男 > 「お!それは嬉しいでござる。是非とも!」

こちらもまた海に入りつつ

「よろしく頼むでござるよ!」
満面の笑みを浮かべつつも、風菜さんと一緒に泳ごうとする

内心、イヤッッホォォォオオォオウって感じである

雨見風菜 > 「ええ、こちらこそよろしくおねがいしますね」

言って、泳ぎだす。
競泳水着でもなければ、結構な抵抗の元があるというにもかかわらず、割と速い速度だ。
流石に熟練者にはかなわないが、それでも結構速い。

持流 童男 > 「(素早い・・!!まるで人魚のようでござる。)」
(負けてられないでござるな)

こちらも泳ぎだす。
海パン一丁の水着だが、体の脂肪をうまく使いつつも、クロールで泳ぐが、風菜さんに少し遅いくらいで、追いつきつつある。

雨見風菜 > (あら、童男さんも中々)

ジリジリと距離が詰まる。

(まあ、これは競争ではないですしね。
 このペースでいいでしょう)

風菜のペースは変わらない。
やはりジリジリと距離が詰まっていく。

持流 童男 > (一緒に泳ぐのは楽しいでござるなぁ)

と思いつつもジリジリと距離が詰まっていくが
風菜さんの胸の部分を見てしまい。

急ブレーキがかかりかけるが自我で抑える。あえて何とは言わない!!

そうなりつつも風菜さんと一緒に、風菜さんの後ろの方を泳いでいる。

雨見風菜 > そうして、しばらく泳ぎ。
徐々にペースを落としていって、立ち泳ぎで休憩する形になる。

「ぷはっ……童男さん、思ったより速いですね」

胸が海に浮いて、少し海面から覗いている。

持流 童男 > 「そ、そうでござるな!風菜さんも綺麗で素早かったでござったよ。
・・・って胸が・・!浮いてる・・!」
とこちらも立ち泳ぎで休憩しつつ

少し中腰でもじもじしつつも立ち泳ぎを継続しつつ、胸を見ている。
色々と反応しているようだ。仕方ないじゃない!男なんだもの!

雨見風菜 > 「ふふ、泳ぎには自信があるんですよ」

と、童男の視線に気づき。

「あら、気になります?」

クスクスと笑って。

持流 童男 > 「うおお、す、すまぬでござる。つい見てしまうでござる・・!」

風菜さんの胸に視線が行きつつも。

「うう、蠱惑的な笑顔でござる。」

と自分の不甲斐なさに少しだけ困り顔をしつつ、中腰になって立ち泳ぎを続けつつ。

雨見風菜 > 「いいんですよ、見てもらって」

なお本性は痴女である。

「さて、それじゃあ戻りましょうか」

そう言って、また泳ぎだす。

持流 童男 > 「見てもら・・!?」

と慌てつつも、あわあわしつつ

「そうでござるな。冷えてくるでござるし」

言いつつも風菜さんと一緒に泳ぎだす。少し遅れつつも
(見ていい・・!?)
「見てもらって」というのを反芻しながら陸に戻ろうとする

雨見風菜 > そうして、浜辺付近まで戻りながら。
そろそろ足をついても大丈夫そうな深さのところで。

一瞬、風菜の水着が消えた。

無論、次の瞬間には戻っている。
物体収納を悪用したイタズラである。

持流 童男 > 「よし、ここなら足が・・・!?!?」

と言いつつも、水着が一瞬消えたことに気づいた

顔をめちゃくちゃ赤面させつつ、何かが熱くなるのを感じつつ
自我で抑える。凄まじく反応を見せている。何とは言わない!!

「あぁ!!ちょっとそれがしもうちょっと泳ぐでござる!!」

頭を冷やそうとするためにもうちょっと海で泳ごうとするだろう

雨見風菜 > 「くす。
 ええ、行ってらっしゃい童男さん」

効果抜群だったなと思いつつ。
物体収納、とても便利である。

持流 童男 > 頭が冷えたらしく、凄まじく泳いだ後に陸に戻り

ぐったりと横に仰向けになる。

「ふぅ・・・頭が冷えて、色々と落ち着いたでござる。
流石に刺激的でござるよ」

と風菜さんにぐったりと疲れたようにいいつつも
体力休憩のために、横になっている。どうやら色々落ちつたようだが体力が尽きたようで。まだまだだなと自分で感じつつ。

雨見風菜 > 凄まじく泳いだあと仰向けになる童男にくすくすと笑い。

「もっと、刺激的なこと。
 します?」

今のビキニでも結構刺激的だとは思うのだが

持流 童男 > 「いや!!いやいやいや!!!!それはお主の好きな人に取っておいてくだされ!!某、でもっと刺激的なことは駄目でござるよ!」

今でも結構刺激的なのに、これ以上刺激的なことされたら理性が持たない。

と言いつつも仰向けになりつつウゴウゴ、ささやかな抵抗しつつ移動している。

「そ、某は童貞ゆえ!!キモオタゆえ、お主にそういうことをするのはこう、もっといい男がいるでござるよ!」
もっとも理性を自我で押さえつけてでも、風菜さんが傷つくことはしたくないと思っている。

雨見風菜 > 童男の発言に目を丸くして。

「私の、好きな人。
 ふふ、私が誰かを好きになる資格なんてないですよ」

仰向けで移動するのを眺めながら、続ける。

「私にとってのいい男性は、童男さんの思ってる方向性とは別なんですよね」

持流 童男 > 仰向けになりつつ

「某が思う方向性とは別・・?というと?不躾だけど教えてもらえるでござるか?」

今までとは明らかに雰囲気が違うので、しっかりと目を見つつ。
仰向けから起き上がり

「お主のことを、もっと知りたいでござる。こうして会えたのも何かの縁、だからしっかりと受け止めるでござるよ」

英雄らしく、先程までの童貞の顔ではなく、英雄らしく堂々として勇ましくも真摯に顔を見つめつつ座りながらも。

雨見風菜 > 「……そんな真剣な目で見られると困りますね。
 簡単なことです、私は一種の破滅願望持ちではあるのですよ」

す、と先程やった物体収納でビキニを収納する。
今度は戻さない。

「私は痴女です。
 犯されたい汚されたいと考えてるんですよ。
 ですので、誰かを好きになるのは、その人を裏切るようなものですので」

持流 童男 > 「・・・・お主は優しいのでござるな。その好きになった誰かに対して、その人を裏切ってしまうのが怖いから、でござるか」

その肢体をしっかり見て顔を見つつ。今度は真剣に見つつも
近づいていき。
思いっきり抱きしめてやる。その手はかすかに震えていた。

「よく打ち明けてくれたでござる。それでも。それでも某はこういうでござる」

噛みしめるようにそして、かすかに涙を流しつつ。
暖かく本当に優しく、抱きしめつつ。体温を感じるしかし、そんなモン関係あるか!!といった具合で。

「痴女だろうがなんだろうが、人が誰かに恋するのに資格なんてないでござる!!アタリマエのことでござる!。ましてやお主ほどの優しい女の子が・・・・
「よく頑張ったでござる。恋をしてもいいんでござるよ。お主自身の未来はお主自身にあるのでござるから、だから、変わる気があるのであれば、某がお主を支えるでござる」

「だから!!!友だちになってくれでござる!!!!」

熱く真摯に英雄らしく真正面から風菜さんに言い切った

持流 童男 > 「変わらない気が会っても支えたいし友だちになりたいでござる!」
優しく言いつつも

雨見風菜 > 「うーん、やっぱり私はこういう人に弱いんですね」

まるで、思いもしなかった発見をしたような言い方で。

「まあそうなんでしょうね、理屈の上では。
 ……いえ、これ以上はやめておきましょう。
 単なる言い争いにしかならなさそうですし」

感極まったか、目尻から涙が一筋。
だがそれは風菜の液体収納で回収されてしまい、童男は知る由もなく。

「まあそうですね、認めてくれてありがたい話ではあるのですが。
 やはり私は私なので、変わる気は有りません」

そうして、真正面から言われて。

「友人って、なるものではなく気づいたらなっているものではないでしょうか。
 言われて嫌な気はしませんが」

晴れやかな笑顔で答えた。

持流 童男 > 「そうでござるか・・変わる気がないならそれもまたお主の色でござるよ」
柔和に言いつつ。

「ヨッシャ!!友達が増えたでござる!!!嬉しいでござる!!!」
と言いつつも、抱きしめるつつガッツポーズをしつつ

「お主はお主なんでござるから、そのまま恋をすればいいでござるよ。それもお主の色でござるから。だから支えるでござるよ。お主をしっかりと、それがヒーローのできることでござるから」

温厚に笑いながらも快活に風菜さんに対して、認めつつ

雨見風菜 > 「あはは、そんな大げさなことではないでしょう」

まあ言ってる本人は友人関係は狭いのだが。

「まあ、そうなんですけどね。
 やはり私が嫌なので。
 誰かを私なんかのために縛るのは」

それこそ、飼い主様でなければ。
そう心の中で付け加える。

「支えが必要なときは、頼らせてもらいますね」

持流 童男 > 「おう!!!勿論でござる!任せるでござる!!風菜殿!」

ニット笑いながらも、

「その時は、勿論、お主を支えるでござるよ風菜殿」

頭を優しくぽんぽんとなでて、優しい笑みを浮かべつつ。

雨見風菜 > 「そんなことがないほうがいいのですけども。
 そうとばかりは言っていられないですしね」

その心地よさを堪能して。

持流 童男 > 「ってすまぬ。思わず抱きしめてしまったでござるが、大丈夫だったでござるか?」

と言いつつ風菜さんから抱きしめる体制から離れる前に
「一つ覚えておいてくれでござる、風菜殿、お主が、なんであろうと、いつ、いかなる時であろうとも」
耳元でそっと言う
「俺は、お主の友人でお主を支えるヒーローであるということを。(友人として)愛していることを忘れないでくだされ」

と言いつつ離れて、顔をにっと太陽の様に笑わせながらも。
「今日の水泳楽しかったでござるよ。風菜殿!歓楽街にいるのでその時はぜひ!」
と言いつつ自分の連絡先と住所を教えつつも

雨見風菜 > 「いえいえ、お気になさらず」

離れたところで、話は終わったとビキニを着直し。

「ええ、こちらも楽しかったです」

と童男を見送り。
そして離れたところで、囁かれた言葉を反芻し。

「……少々、キザだとは思いますが。
 主語も抜かして、勘違いさせるつもりなんでしょうか」

くすくすと、そんなことはないかと取り直し。

「さて、私も帰りましょうか」

そう言って、風菜も帰路へつくのであった。

ご案内:「浜辺」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「浜辺」から雨見風菜さんが去りました。
ご案内:「浜辺」に園刃 華霧さんが現れました。
ご案内:「浜辺」にレイチェルさんが現れました。
園刃 華霧 >  
「アー……」

ちょっと早めに約束の場に座り込む。
相手のことを考えれば、これくらいしておかないと油断ならない。

「ゥー……ャ、しゃーナいな……ウん」

座り込んだまま、ブツブツとつぶやいた。
時間はそろそろ――

レイチェル > 「よう、華霧」

風紀委員の制服に、次元外套《ディメンジョンクローク》を
靡かせながら、現れたのはレイチェル・ラムレイだ。

一体こうしてここに来るのは、何年ぶりだろうか。
前に来た時は、『五代先輩』と一緒だったか。
そして、最初に来た時は、『佐伯貴子』、そして
目の前の少女――『園刃華霧』と一緒だった。


「なーに、ブツブツ呟いてんだよ」

呆れたように、そう口にして腰をちょいと曲げて覗き込むように
華霧の方を見やるレイチェル。
旧友に語りかけるその声はどこまでも穏やかで。

かつて此処で、ビーチボールをぶつけ合っていた時の
激しくも愉快な応酬の名残は、最早感じられない。
それくらいに、時が経ったのだ。経ってしまったのだ。

園刃 華霧 >  
「アっは……来たカー」

顔を向けた先には、見知った顔
来ちゃったか……なんて、流石にそれは言葉にしない
いや、呼んだんだから来るに決まってるんだけれど
決まっているんだけれど

「ひひ、マーちょっトね。
 いヤしかシ……仕事以外デ会うノ、おっそロしく久しブりじゃン?
 ひょっトして貴子チャン以来……?」

もはや、此処を出てしまい今や居ない
そんな二人の友人を思い出しながら……
おどけたように口にする

レイチェル > 「そうだな、貴子と華霧とオレ。
3人で、浜辺で遊んで以来かもな。
 まー、あれから色々忙しくなっちまったからな……」

珍しく、くすくすと笑う。まるで少女のように。
しかしてその瞳は、遠い過去の『あの日』を見ている。
ここ数年は、じっくりと過去を懐かしむ暇もなかった。
だから、今だけは。

「ほれ、ずっと部屋に飾ってた写真。
 懐かしがるだろうと思って、持ってきてやったぜ」

ほらよ、と華霧の前にその1枚の写真を取り出す。
その写真は、風紀の3人で笑い合っている、『あの日』の
写真だ。

園刃 華霧 >  
「……………」

くすくすと少女のように笑う相手
穏やかな声
見つめる先は、遠い『過去』

………ああ
………やっぱりだ

「う、ワ……」

そして、目の前に差し出された『過去』
今でも、ありありと思い出せる「ソレ」
一瞬だけ、『何か』が……揺れる

「ァー……確かニ、なっつカしーナー。
 貴子チャンがくっソ真面目しテさ。生活をシメてサ。
 レイチェルちゃんが無茶ニ突っ込んデって、アホをシメて……
 んデ、アタシは"ドブさらい"、ト。
 意外と分担でキてたヨねー」

へらへらと、薄い笑いを浮かべる

レイチェル > ふっと笑えば写真を次元外套へしまい込む。
『あの日』は、暗闇の中へ吸い込まれていった。

「ドブさらいなんかじゃねーだろ。
 確かにオレの知ってる華霧って奴は、適当な奴だ。
 めちゃくちゃ適当だぜ。
 サボりがちで真面目に働かねぇこともあったし、
 面白けりゃなんでもいいってあちこち走り回ってたし、
 どうしようもねぇ奴だけどさ――」

返すレイチェルは、散々悪態をつく。
その声はどこまでも穏やかで、

「――だからこそ、一緒に同僚《ふうき》やれてんだよ。
 オレも、似たようなもんだからさ」

そう口にして、レイチェルは華霧から視線を外し、海の向こうを見やる。
遠くを見ているようで、どこまでも近くを見ているその瞳は、どこまでも遠くへ
飛んでいくカモメに目を細めた。

 「レイチェルって奴は、乱暴な奴さ。
 書類仕事を嫌って特訓に走ってサボったこともあったし、
 気に食わなけりゃぶん殴るってあちこち走り回ってたし、
 どうしようもねぇ奴さ」

薄い笑いを浮かべる華霧に、両腰に手をやり、そう答える
レイチェル。
ま、お前は似てるって言っても認めねーだろうがな、と付け加え
て、小さく笑い飛ばす。

それは初めての、友人「華霧」への告白だった。

華霧だけではない。背中を、前線を預ける同僚《ふうき》は
いつだって。誰だって。大好きで仕方ないのだ。
そして目の前の華霧は付き合いが長い分、また特別だった。

園刃 華霧 >  
「……」

『過去』はあっさりと、暗闇に消えていった
なら、これからは……

「ひひ、そーハ言うケどサー、レイチェルちゃん。
 確かニ、アウトローってンだっケ?
 そーユー意味じゃ、似てンのかもだケド。
 ヤ、そう考えット貴子ちゃん異質すギっけドさ……」

だからこそ、彼女と、彼女たちは友人となれたのだろう、とも思う
似た者同士と――似てない者同士

「でもやッパ、アタシとレイチェルちゃん、似てないヨ。
 ほラ、レイチェルちゃん最近丸クなッテなイ?」

じっと、一点を見つめる
冗談めかせて
皮肉めかせて

笑う

レイチェル > 「……同性間でもセクシャルハラスメントは成立するんだぜ、ぶっ飛ばされてーか?」

右手を腰にやり、軽く頭を左右に振れば、じとっとした目をするレイチェル。
その顔色もすぐに拭い去られ、穏やかな笑みを浮かべる。
いや、浮かべてしまう。この相手が、この場所が。

「ま、そういうこと……言いたいんじゃ、ねーんだろうよ」

そう口にすれば、華霧の右隣に座る。
右膝を立てて、左足を海へ向けてぐっと伸ばして、リラックスした姿勢だ。

「確かに……お前の言う通りだ、華霧。
 オレは随分と変わっちまったよ。
 オレにとっての『あの日』は文字通りの――」

手元の砂をぎゅっと掬って、海へ勢いよく投げるレイチェル。
放たれた砂は空を落ち、一面に広がる青へと落ちれば何処かへと溶けて消え去ってしまう。
押して返す波に、幾度も揺れながら。
それでも砂粒が同じ場所へと帰ってくることは無い。

二度とは。

園刃 華霧 > 「ひひ、セクハラは昔っかラだロー」

けけけ、と笑う
昔から意外とそういう発言は多かったりした
怒られないのは人徳なのかなんなのか

「……ソうダね。
 でも『あの日』は、帰ってコない。
 二度と、ダ」

流れて 消えていく砂粒をしばし見つめる
…………
そう、『あの日』がアタシの

「で。結局、だ。
 貴子ちゃんは卒業してサ。
 レイチェルちゃんハ、ちょっと引いテ事務仕事。
 ンでもサ。」

そう

「アタシは、結局、ドブさらいのマまだッタ」

変わらないままいたのは
変われないままいたのは
自分だけ

それは――

「よースるに、アタシだケが『どうしようもねぇ奴』のまま、ナのさ。
 ネぇ、レイチェルちゃん?」

そういって、虚空から腕章を取り出す。
風紀の中ではもう、噂は鳴り響いているであろう
『林檎に噛み付いた蛇が絡みついているエンブレム』の―ー

園刃 華霧 > 「だから、こんなこともしちまう」
レイチェル >  
「ああ、『あの日』は帰ってこねぇさ。
 二度と、な」

水底で流され続ける砂粒。
共に眺めて、眺め続けて。
そして、華霧の言葉にはっとさせられるレイチェル。
彼女は静かに、華霧の方へと向き直る。

そうして、目にするのは林檎に噛み付いた蛇。
トゥルーバイツの腕章。
レイチェルとて風紀委員だ。
寧ろ、前線に出ている時よりも裏方に回った分、
その手の情報は逐一、そして素早く手元に届くようになっている。
だからこそ、その腕章を見た時、レイチェルは目を見開いた。


「ドブさらいかどうかは知らねーけどさ、華霧。
 オレも、そしてきっと島を出た貴子も、変わっちまった。
 『変わるしか』なかったんだ」


変わらないままでいたのは
変わらないままでいられたのは
華霧《かのじょ》だけ


「変わらないままで居られるのは。
 自分らしいままで居られるのは。
 それは、一つの強さだろうよ、華霧。
 お前は強かった。少なくとも、オレよりずっと。
 オレは、そうなれなかった」

砂を放り投げた手を、もう一度ぎゅっと握りしめる。
そうして顔の横へと持ってくれば、少しばかり指を離し、
拳を緩める。
砂は零れ落ちて、僅かな白だけがレイチェルの指に残される。
島の情勢は変わる。年月は経つ。
そんな中で、変わるしかない。変わらざるを得ない。
流れに呑まれざるを得ない。重力には抗えない。
時の法則を破壊せしめる彼女ですら、例外ではないのだ。

「なれなかったんだ」

立ち上がるレイチェル。
金色の髪が、潮風に靡いて、透明な青に沿って輝く。

「お前まで、そんな風に変わっちまってどうするよ、華霧……」

海は見ない。『あの日』も見ない。腕章も見ない。
今、この瞬間を生きる2つの輝きに、レイチェルは己の視線を真正面から合わせる。

園刃 華霧 >  
「違うんだなぁ、レイチェルちゃん。
 アタシは『どうしようもねぇ奴』だったから。
 『真理』なんてモンを掴むのも面白かろう、と思っちゃったのさ。
 『他にやることもない』からね。
 強いとか、強くないとか、そういうのでもない。」

へらり、と笑う。
いつもの笑い
いつもどおりの笑い

「変わっちゃいないんだよ、あの頃と。
 アタシは『面白けりゃなんでもいいってあちこち走り回ってた』。
 そういうやつだったろ?」

面白いことは、綺麗な宝石のようで――
だから、走り回っていた。
けれど

結局、スタート地点に戻っただけなのだ
無いものを手に入れようとしていた日々に

「何も言わなかったのは悪かったよ。
 けど、どうにも止めらんなかったんだ。」

『どうしようもねぇ奴』だからさ

レイチェル > 「……なーんだ――」

風に靡く金髪が、彼女の瞳を、表情を、覆って隠す。
しかしそれも一瞬のことで。

「――そういうことかよ」

レイチェルは再び笑う。
口の端を上げて、かつて同僚だった彼女へと、
笑顔を送ってみせる。
それは先のような『あの日』を見た穏やかな笑みではない。
今を生きる彼女へ向けた、彼女なりの笑みだ。
精一杯の、笑みだ。

「珍しく『らしくねぇ呼び出し』をして、
 会って早々『らしくねぇ顔』見せて、
『似合ってねぇ腕章』なんか見せだすから、
 心配したじゃねぇか。なんだよ、いつも通りかよ」

ああ、この少女は変わっていない。
属する組織が変わっても、レイチェルとの関係が変わっても、
何も変わっていない。
ただ面白い、という理由だけで真理を掴もうとしているのだ。
本当に、ただそんな理由で、この少女は。

「同僚として、言いたいことは山程あるさ。
 沢山あるぜ。忠告だってしてぇさ。その『真理』についても、色々とな。
 けど、お前がお前らしく、その道走るってんなら、止められねぇよ。
 止めたいけど、止められねぇ。だって、それがお前の選択なら、
 お前のしたいことなら……」

静かに笑うレイチェル。
その表情は、彼女の背中をそっと押すような、柔らかさを持った笑みだ。

「オレは誰かの人生にケチつけるほど、偉い奴じゃねーからよ」

次元外套を翻して。
レイチェルは、華霧の横を通り過ぎる。