2020/09/30 のログ
焔誼迦具楽 >  
「んー?」

 一休みと思いつつ、ドリンクボトルに口をつけていると。
 歩いてくるのはまた小さな女の子。
 どうも最近は、自分より小さな子に縁があるらしい。

「こんにちわ。
 こんなところにまでお散歩?
 浴場だったらもうちょっと向こうだよ」

 なんて、気安い感じで声を掛けてみるが。
 女の子が近づくにつれて、どことなく居心地の悪さを感じる。
 はて、何やら神格の気配を微かに感じるな、と、不思議そうに首を傾げた。

幣美奈穂 >  
もたもた歩いている間に浜に上がっている女の人。
そっちの方へと向かうのです。
砂地にはあまりなれていないので、足運びがちょっと慎重です。

「こんにちはです。
 いいえ、違いますわ?」

本人はお仕事のつもりですけど、ふわふわした雰囲気だと無理ないでしょう。
会話できるぐらい近づいたら、自分よりも少し上。
次姉より少ししたぐらいなお姉様に見えるのです。

「すごいしゅぴっとしてました!。
 あれですか、あれがえあーすいむとかいうのですか?」

ちょっと興奮気味。
感じる怪異の気配はあるのですが、邪を感じないので。
そういう存在と慣れている美奈穂は気にもせず、朗らかにお応えするのです。

焔誼迦具楽 >  
「あー、見てたのかあ。
 そうそう、エアースイムだよ。
 初めて見た?」

 やってくる女の子に少しはにかみつつ。
 興奮している様子を見ると、どうやら興味を持ってもらえたらしいのはわかる。
 自分の泳ぎで驚かせられたと思うと、やっぱり嬉しい。

「このあたりはあまり人も来ないし、浜も広いし、練習しやすいんだよね」

 と、ドリンクボトルを台車の上に放り投げ。
 女の子の前で、ふわりと10cmほど浮き上がって見せる。
 ブーツの踵からは、紅い小さな魔力の羽根が広がっている。

幣美奈穂 >  
こくんこくんっと素直そうに頷いて、きらきらしたお目めを向けるのです。

「はいっ。わたくし、あんまりスポーツとかは・・。
 あっ、でも。次姉様がやってるって言ってましたから。
 知ってました」

ちょっと申し訳なさそうにしながら、でもエアースイム自体は知っていたことをお伝えします。
言われて、周囲を見回すのですけど。
確かにあまり人気がない場所のようです。

「練習、大変なのですか?」

浮く足元を、しゃがんでみてしまいます。
恐る恐ると掌を伸ばして、さっと靴の下を通して。
びっくりしたお目めで女の人のお顔と見比べると、もう一度、次は楽し気に掌を足の下にくぐらせます。

焔誼迦具楽 >  
「へえ、お姉さんが?
 なんて名前かしら。
 もしかしたら知ってる選手かも」

 姉がやっていると聞けば、驚いたように目を丸くする。
 ただ、プロデビューしている選手だったら、大抵は知っているが。
 さすがに学生スポーツやアマチュアレベルの選手は、そこまで把握していなかった。

「んー、大変と言えば大変かな。
 明後日から大会が始まっちゃうからねー。
 どうしても勝ちたい相手がいるから、結構必死かも」

 足の下に手をくぐらせる様子を見て、思わず表情が和んでしまう。
 可愛らしい女の子だ。
 居心地の悪さは相変わらずだが、愛らしい様子に些細な事はどうでもよくなってしまう。

幣美奈穂 >  
「うん、次姉様。
 えあーすいむの時に旦那様を捕まえたって言ってました。
 みてぐらふたば(幣双葉)っていうんですけど・・。
 次姉様とお知り合いですか?」

地元の高校でエアースイムをしており、大学でもしているという。
仲がいいので、帰省した際には手ぶり身振りで楽しく説明してくれました。
ちなみに、実家でも美奈穂が随分と体質で壊してしまったので、
電化製品とかほとんどなかったりします。
朗らかに姉の名前などを伝えるのです。

「あっ、そうですね。
 わたくしも皆様のためにお仕事しなくちゃ・・。
 凄い方がこられますの?」

エアースイムの勝敗って、どうやるのかしら?
座って見上げた格好のまま、小首を傾げさせます。

焔誼迦具楽 >  
「あ、『みてぐら』って聞いた事あるかも。
 島のヒトじゃないよねー。
 もしかしたら会ったことあるかも」

 メディア露出こそしないが、スポンサーの意向で交流試合などに参加する事もある。
 総人口はあまり多くないスポーツなため、珍しい名前や特徴的なスタイルがあれば記憶に残るのだ。
 女の子の言う『みてぐら』という名前は、前者の理由で聞き覚えがあった。

「あれ、お仕事があるの?
 そんな小さいのにえらいなぁ。
 そうそう、世界一の選手が来るよー。
 なにせ世界大会だからね」

 小首をかしげる様子が愛らしい。
 つい頬を緩めながら、目の前で左右に滑る様にステップを踏んで見せる。
 地味に難しい技術だったりするのだが、そうは見えないだろう。

幣美奈穂 >  
「うん、地元におりますもの」

高校の競技会なので、アマチュアなのでしょう。
身体の動かし方がうまく、舞うように乗る繊手なのです。

「ここって、大会がある場所ですから。
 海におられます怪異とかが近づかないように、
 怪異払いの結界はることになっております。
 世界大会・・外人さんもおられますの?」

ちょっと英語は苦手な美奈穂、外人はちょっと苦手気味。
左右に滑るようなステップに、お顔ごとそれを追いかけます。
すいすい~すいすい~、という感じに気軽に見えるのです。
わぁ、気持ちよさそう!、と思います。
動作にあふれて零れる魔道の力が、美奈穂の感性には揺れる波のように見えているのです。

焔誼迦具楽 >  
「そっかそっか、印象に残ってるし、きっといい選手なんだろうなあ」

 アマチュアでも大会の動画などは見れたりもするし、後で見て見ようか、など。
 アマもプロも関係なく、多くの選手の動きを見るのはそれだけで学びになる。

「なるほど――それでかあ。
 立派な仕事じゃない、えらいわね」

 この居心地の悪さは女の子の持つ力の関係なのだろう。
 しかしなるほど、たしかに人が集まるなら怪異払いは必要だ。
 ――当日は早めに来て、結界に『慣れて』おかないとまずそうだ。

「外人って、外国の人間よね。
 いるわよー、黒いのも白いのも黄色いのも。
 この島は翻訳があって助かるわよねー」

 外に行くと、稀に魔術や機器の用意がされていない事もある。
 この島は普段から多国籍かつ、異邦人も多いため、言語の壁が取り払われているのがありがたい。
 動けば嬉しそうにしてもらえると、甲斐があってしかたない。
 くるりと、滑らかに後方宙返りもしてみたり、ついサービスをしてしまう。

幣美奈穂 >  
「そうしておかないと、がばぁって海からぱっくんしようとする子もいるそうですし。
 張り切って結界張っておきませんと!」

褒められてしまって、ちょっと照れてしまい。
やる気を出してしまうのです。
ここから離れたところ――遺跡の方――では、海を深く潜ったところに、
たいそう力を持つ怪異の存在を感じられます。

「黒いのとか、白いのとか・・!
 うわぁ~!、凄いです!。まるで鳥みたい!」

ぶるっと、外人さんに警戒してしまうのですけど。
軽やかに動く様子に、立ち上がって胸の前でちっちゃく拍手をお送りします。
どこまでも飛んでいけそうな、そんな感じがするのです。

焔誼迦具楽 >  
「うんうん、貴女のおかげで安心して大会が開けるわけだね。
 ありがとう、小さな頑張り屋さん」

 照れる姿も可愛らしい。
 なるほど、愛玩動物を見る気持ちって言うのはこんなものなのだろうか、と。

「鳥かぁ。
 じゃあ、鳥じゃあできない事見せちゃおっかなー?」

 拍手に気分を良くしてか、少し女の子から離れると最初のように緩やかに左右へステップ。
 そして、急に右足を斜め下に蹴りだすと、バチっと音がして体が跳ねる。
 今度は左足を蹴りだして、同じように音を出しながらさらに身体を押し上げる。

 それを交互に繰り返すと、緩やかに連続した音を立てながら、上に向かってジグザクに上昇していく。
 空中を蹴りながらリズムよく飛び上がって、高く昇ると真下を向いて一気に急降下。
 地面すれすれで急減速しくるっと回ると、ふわりとした動きで砂浜の上にさっと着地。

幣美奈穂 >  
頑張り屋さん、と言われて嬉しいのですけど。
小さい、と言われたのはちょっと不満。
まだ大きくなりますわ、といつもなら反応してしまいますけど。
褒められてしまったので反論できないのです。

「あの、光ってるので囲われた場所でいいのかしら?
 えっ?、どんなの?」

動きをお顔を動かして、ばちっという音にびくっとするのです。
そしてどんどん高く・・はらはらします。
ぎゅっと握った両手が胸の前で。

「あ、危ないですわ!。
 ――きゃあっ!?」

落ちていくのに、思わず両掌でお顔を隠します。
けど、人が落ちた音はせず・・恐る恐ると、指の間を開いてみますと。
砂浜に降りてます姿。
ほぉ、と両手を重ねて胸の上において、安堵の息をこぼします。

「もう、びっくりしましたわ」

ぱたぱた近づいて、少しほっぺを膨らませまして。
それでも、お怪我とかしてないかその身体を上から下に、下から上にと確かめるのです。

焔誼迦具楽 >  
「――あはは、ごめんごめん、ちょっと驚かせちゃったかな?」

 ほっぺたを膨らませる女の子に笑い返して。
 なんともないよ、と示すように両手をひらひらと。

「これが私の得意技なんだ。
 他の人にはできないんだよ?」

 すごいでしょ、と自慢げに。

「あ、大会だとそうだなー。
 そこの囲われてるところよりもう少し沖の方まで必要かな。
 沢山人が来るから、大きくやらないとダメかも」

 と、指をさして。
 あのへんから、このへんまで、と会場に使われるだろう範囲をざっくりとつたえる。

幣美奈穂 >  
「お空から落ちちゃったと思いましたもの・・」

ぷんすかしてみせます。
子猫が怒るほどの迫力しかありませんけど。

「お姉様は、鳥になれますわね。
 えと、あそこらへんまで・・」

すごいでしょ、と言われますと。
素直に尊敬する視線をお送りいたします。
示された範囲、ちょっと背伸びもしながら確認するのです。
本当なら幣帛などでくぎりをつけれますと、より確かなのですけど・・、
常にするものでもなく、大会中のみを護れたらいい結界です。
それほど根を張るように強固にする必要はありません。

確認しますと、背中のカバンを降ろして中から箱を取り出します。

焔誼迦具楽 >  
「ごめんごめん。
 ふふ、褒めてくれてありがと」

 尊敬の眼差しを受けて、くすぐったくなりながら後頭部を掻いて。
 なかなか照れ臭いものだった。

「ほほー、それはなにかしら。
 結界を創るのに使うの?」

 と、今度は女の子の手元を迦具楽がのぞき込む。
 こちらもこちらで、興味津々といった様子だ。

幣美奈穂 >  
「これですか?。これは――」

と、砂浜に正座して箱を空けて、まず取り出すのは絵本の様な薄いA5程度の本。
それをぱかっと開きますと、木製の神棚が立体的に立ち上がります。
飛び出る絵本式の簡易神棚なのです。
箱の中に、薄い赤の丸い物が中にある四角いクリスタルなど他にも入っていましたが、
今回はこれは使わないようです。
じゃじゃーんと言う感じで、両腕を広げて神棚を見せます美奈穂。

「神事するので、そのお道具です!
 これで、ここに穢れ払いの結界をはっちゃいます」

と、袖の中に手を引っ込めまして。
棒状のものが2つ、片方には鈴が付いており、ちりりんっと軽やかな鈴の音がこぼれます。
音だけで、破邪の効果はちょっとあったりしますが。

「今から、ぱぱっと結界はっちゃいますね!」

と、朗らかな笑顔で言うのです。

焔誼迦具楽 >  
 神棚が出来上がると、今度はコチラが拍手。
 面白そうに、じっくり眺めます。

「おおー、すごいすごい!
 へえ、私、神事ってやつ見るの初めてかも」

 なんて興味をもって見ているも。
 鈴の音が鳴ると、くらっと眩暈がした。
 あ、意外とやばいかもしれない。

「お、おー。
 じゃあ私は少し離れてみてるね」

 とはいえ、見て見たい好奇心には勝てない。
 まあうん、多少具合が悪くなることはあっても、流石に死んだりはしないだろう。
 朗らかな笑顔にちょっとだけ苦笑を返しつつ、数歩下がって見学の構えに。

幣美奈穂 >  
神事を見られる事はめったにないので、やっぱり照れてしまいます。
ちょっとほっぺたが熱くなった気がしますので、
両掌でほっぺを抑えてむにむにっとさせます。

「人様の前でしますと、ちょっと恥ずかしいですわね」

とはにかみながら、手元はてきぱき。
某の片方の先っぽを伸ばせば、左右に緑が広がる榊になります。

「はい、どうぞ見ていってくださいませ」

と。
鈴の付いた方を砂浜において、榊を両手で持ちましたら。
軽く目をつむり、りんっとした雰囲気が広がります。
深い森の中に入ったような、そんな空気です。

祝詞を唱え、榊を振り。
今からここの穢れ払いすることを神様に報告しましてから。
榊を置くと次は鈴の付いた方を片手に撮り、すぅっと柔らかく流れるように立ち上がります。

「あまつのりとのふとのりとごとをのれ――」

と、ゆっくりと舞います。
りりん、りりんと鈴の音と共に、ぶわりと神性な気配が濃く溢れようとするのです。

焔誼迦具楽 >  
 手際のいい準備に感心した。
 とても手慣れた様子が、年齢に似合わない経験があることが読み取れる。
 しかし、神聖な空気が広がれば、眩暈が強まり、こめかみを押さえた。

「なるほど、これは――大したものね」

 鈴の音と共に溢れる神気は、浜辺へ、海へ広がっていく。
 紡がれる祝詞もまた、迦具楽の頭の中でガンガンと響く。
 自分が神聖な存在だとは思っていなかったが――思ったよりもずっと、相反する存在のようだ。

「――でも、綺麗ね」

 女の子の舞う姿、そして鈴の音と祝詞を捧げる声。
 どれも美しく、愛らしく――何よりも清らかだ。
 自分を蝕まれる――いや、祓い清められる不快感は拭えないが、それでも見入ってしまえるほどに。

幣美奈穂 >  
ゆっくりと神楽舞を舞い、湧き出るように周囲にあふれた神意が泉のように湧き出ます。
それが、波の音さえも止まったような海の方へゆっくりと動いていき。

「――――」

美奈穂の遺志に沿って海へと流れます。
それが、海の表面を覆い・・ゆっくりと海に染み込んでいくように消えていくのです。
来ている千早や白衣の袖がひろがりふわりふわり。

すうっと、舞が止まりますと。
静寂が一瞬、周囲を漂いますが。
ふぅっと一息を履くと音を取り戻します。

「はい、これでお仕事終了です。
 要を置いておりませんので、ひと月ほどしかもちませんけど」

ふりかえって、へにょりと柔らかい無邪気な笑顔を見せます。
あれほど漂っていた神意は、ぴたりと消えています。
欠片も、表に出ておらず。そして大気も元のまま。
結界によってなにが前と変わったのか分からないほど、元のままです。

焔誼迦具楽 >  
「――お見事。
 素敵な舞だったわ」

 神事を終えたのが分かれば、拍手で迎える。
 溢れる神の気は収まったモノの、迦具楽の身体は不調を訴えている。
 けれど、それだけの甲斐はあったと思えた。

「へえ、これでひと月も持つんだ。
 私からすれば、それだけでも十分すごい事だと思うけどなあ」

 おそらくもっと本格的にやれば、より強固にしたり、持続させたりが出来るのだろう。
 この子が本気を出したら、もしかしたら自分も祓われてしまうのかもしれない。
 そう思うと少しだけ怖くもあるが。

「ごめんね、貴女の事見くびってたかも。
 小さいなんて言えないわ。
 とても立派な神職さんね」

 そう、心からの賛辞があふれ出た。
 

幣美奈穂 >  
「そう?。わたくし、踊るのとか大好きです」

えへへ、と照れ笑いを浮かべながら、ゆっくりですがくるりとひと回転。
頼りない体付きですけど、体幹はしっかりしているのか、ぶれがない舞です。

なんか、ちょっとお姉様の中が揺らいでいる感じがするのです。
ちょっと心配げなお顔を見せてしまいますけど。

「本当はあそことかあそこに幣帛を捧げましたり。
 もっと長くこの砂浜を護るのでしたら、鳥居とか海の中に作ったらいいのです」

と、少し沖合を指さします。
そして、しっかりとお片付け。
某も畳んで袖の中に。
折り畳み神棚も畳んで箱に仕舞い、鞄に収めて背負いなおしです。

「そう?
 だってわたくし、もうオトナですもの!」

えっへん。
大人扱いされたと思った美奈穂は、ちょっと胸を張って見せるのです。

焔誼迦具楽 >  
 迦具楽の力は膨大であっても、強固ではない。
 とはいえ、少々不安定になっただけで、致命的なものはないのだが。

「ふぅん、そっかそうやって基点を作るのね。
 ちょっと『参考』になるかも」

 話を聞きながら頷く。
 参考と言うのは、自分がいつか敵対することになった場合や、邪神の友人を祀るときを考えての事。
 もし自分が同じことをやったらどうなるのだろうとか、興味は尽きない。

「うんうん、立派にお仕事もこなしてるものね。
 それじゃあ、私たちのために頑張ってくれた貴女に、ささやかなお礼でもしちゃおうかしら」

 そう言いながら、台車の上に放り投げていた荷物から、一枚の封筒を引っ張り出す。

「折角準備をしてくれたのだし、良かったら見においで。
 これ、大会のゲスト席の招待券だから」

 と、空色の封筒を女の子に差し出す。
 

幣美奈穂 >  
「はい。『場』をしっかりとした方が、根付きやすいです。
 普段だと四方を要としまして・・・」

と、素直にいつもしている、四隅に岩塩を封じたクリスタルを置く方法もお話しするのです。
美奈穂の所だと神道流なので、そこがお伝えしている場所の範囲です、と
神様に判り易くするためなのです。

「風紀委員ですから!
 怪異さんとかが変なことしないように予防してます。
 ――なんですの?」

朗らかに答えました美奈穂、台車の方にぱたぱたっ。
お姉様のお手元を覗き込むように、興味津々。
・・けっして、台車には触りません。
電子的な機械があると、触ったらだいたい壊れちゃうからです。

「わぁ~。あっ、ありがとうございます!」

封筒を両手で受け取りますと、それを上にあげてくるりとひと回り。
実際に見れるのは初めて、と。
封筒を胸元に抱えますと、嬉しそうにちょっと跳ねるのです。

焔誼迦具楽 >  
「ふふ、喜んでくれたならよかった。
 当日は私も出場するから、よろしくね?」

 と、唇に人差し指を立てて。

「――内緒なんだけどね」

 と、悪戯っぽくウィンク。

「私の事がわかったら、こっそり応援してね。
 えーっと――私はかぐら。
 貴女のお名前は?」

 

幣美奈穂 >  
お目めをぱちぱちっとさせまして。
そして、目をちょっと細めて悪戯っぽくしまして。

「――内緒ですのね?」

と、ほっそりとした人差し指を桜色の唇の前でたてます。

「わたくしですか?
 わたくし、みなほっていいます。
 応援しますね、かぐらお姉様」

くすくすっと楽し気な表情を浮かべる美奈穂なのでした。

焔誼迦具楽 >  
「そうそう、内緒」

 こちらも一緒にくすくす笑って。

「うん、ありがとうねミナホ!
 ――私はまだしばらく練習してから帰るんだけど。
 ミナホはこの後どうするの?」

 と、愛らしい友人にたずねて。

幣美奈穂 >  
「えと、このあと。
 委員会に戻って、お仕事のご報告して・・。
 あとは帰ってお夕食です」

少し首を傾げさせて、ほっぺに人差し指を這わせます。
委員会の報告を忘れてはいけません・・この前、裏常世渋谷に行って叱られたところですし。
あとは、お夕食。
今日は朝に用意して干しておいた一夜干しにしようと思っているのです。

「練習、頑張ってくださいませ」

ふんすっ。
自分がやるわけではないのですが、軽く握った両手を胸の横に。
気合のポーズなのです。

焔誼迦具楽 >  
「おおそっか、報告ってのも大事だもんね。
 うん、ミナホもね。
 気を付けて帰るんだよ」

 と、気合のポーズには親指を立てて応えた。
 

幣美奈穂 >  
「今日はありがとうございました」

と、封筒を白衣の合わせ目にいれまして、ぺこりと両手を前に。
丁寧に頭を下げるのです。

そうして、ゆっくりと歩みながら。
後をちょこちょこ振り返って手を振るのです。
きちんと帰るまでがお仕事なのです。

焔誼迦具楽 >  
「こちらこそありがとー!
 大会楽しみにしててねっ」

 そう細かく振り返る女の子を、見えなくなるまで何度も手を振りながら見送って。
 一人になれば、女の子がしていたように気合のポーズ。

「よっし、私ももうひと頑張りっと!
 新技、何とか使えるレベルには仕上げないとね」

 そう言って、また空へと飛びあがるのでした。

ご案内:「浜辺」から焔誼迦具楽さんが去りました。
ご案内:「浜辺」から幣美奈穂さんが去りました。