2021/11/05 のログ
ノア > 冷たい風の中で嘆息する。

「違反部活側のコンテナの回収はわりと絶望的か」

後悔が残るとすれば一両、資材運搬用の車が燃えたであろう事か。
兆候が見えた時点で乗り捨てて退避したのだから、覚悟はしていたが、
長年転がした車が無くなるとなかなか手痛い。

「コイツが売れてくれりゃ助かるんだが……
今時ヴァイオリンなんざ買う奴がこの島にいるかね」

どうせ拾い物だ。
言い値で売れるとは思っていないし、
捨て値でも売れれば儲けと言ったところ。
鳴り続けるスマートフォンの電源を落として、砂浜に横になる。

空に昇る冬の星々を見上げる。
もうじき本格的に冷えてくる頃だ。
暖房もケチる違反部活の連中も、
今頃温かくして過ごしている事だろう。

「……ここで寝るのはねぇな」

風に乗ってくる潮の香と一際強く吹いた風に不意に感じた悪寒に一つくしゃみをして、男は呟くと帰路につく。

ご案内:「浜辺」からノアさんが去りました。