2021/11/26 のログ
園刃華霧 >  
そういえば、あのときはなんと答えたのだったか――
ああ

『ご忠告どーモ。よク言わレる。
 でモこっちをキメるのは、アタシさ。
 それこそ、無駄ダろーとサ。』

まったく、よくもまあ言い切ったものだ。
……いや、でも。
言い切ったのだ。それは、約束みたいなもので。

そして、それは――裏切りたくはない、ものだ。

だから。

『てめぇ自身の為に風紀してるって訳だろ』

それは、とても心地のいい言葉だった。
まだ、自分は曲げずにいられている、のだろうか。

「ひひ。給料ドロボー、なンて言う奴も居ルけどナ?
 まー……色ンなやツがいンのは確かダわな」

今まであってきた風紀委員の顔を思い浮かべる。
いやほんと、それだけで愉快になってくる。
本当、面白い奴らばっかだ

「幸せ、幸せ……ネぇ。
 そレこそ、ソのつモりもナいから、ピンとこナいけド。」

うーん
考えてはみたが、やはり、しっくりこない

「デも、ソーだネ。
 そレで、誰かガ幸せッテんなラ。
 ま、悪くナい」

不幸よりは、幸福のほうがいいだろう。
なんにしても、だ。

「ソっか。あンがトさん」

自分のせいで幸せになれない、なんてことはない。
それは全くありがたいことだ。

ただ、一つ

「わーッタ。たダ、アー……なンてーんダろな。
 うン。」

言うべきことを探ってみる
うまい言葉を考える。
そう、これだ

「アタシに遠慮シて、ヤりたイこと、逃スなヨ?
 幸せダろート、なンだろート。そレはナんか、違う」

園刃華霧 >  
「……マ、そンだケ。
 正直、幸せダなンだッテのはヨくわかンないカらさ。
 問題ナきゃ、良いンだ……うん。」

なんとなく、手持ち無沙汰で。
ついつい竿をぶらぶら動かしてしまう。

レイチェル >  
「はは、給料ドロボーね。まー、そういう風に言う奴が居るのも分かるけどな~」

愉快そうに笑う華霧。一緒に、こちらも冗談っぽく笑いながら、そう口にした。


「まー、幸せだのがピンと来ねぇのは当然だぜ。オレだって……そう、分かんねぇことあるし。
 分かんねぇから、華霧に島の外の話だってしちまったわけだからな。
 ったく、お互いに大切な筈なのに……馬鹿みてぇだよな。
 ……不安にさせたのはすまなかったよ、マジで。
  
 でも、少なくとも……
 オレや英治、そして真琴だって……感じてる筈だ。お前と居ることで、幸せをさ。
 きっと他にも、沢山の奴らが。だから、その分……胸張って我儘、言えばいいさ。
 一緒に居たいってんならそう言えばいいし、
 面白いことしてぇってんならそいつも言えばいい。みんなにな。
 もっともっと、『貰っていい』んだよお前は。それだけの価値があんだよ」

そこまで口にする。
これで、親友として伝えたいことは一つ、ここで終わり。

 
「へ~、言うじゃねぇか。じゃ……もう遠慮、しねーからな」

華霧の方へすっと、身を寄せる。
釣り糸が絡まないように、ちょっと背中合わせの形だ。

どうしてもぎこちなかった空気感。
気付けば、自分が……あるいは向こうも。
距離を空けていたみたいだ。

その間を、そっとあたたかさで埋めた。
暖かな陽の下に、横並びの影が2つ。

レイチェル >  
「せっかくだ、もうちょっとだけ話したいことがあってな――」

もう少しだけ、そう。話しておきたいんだ。


――
―――


先ほどよりも少しだけ暖かくなった浜辺。
緩やかな時が過ぎていく――。

ご案内:「浜辺」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「浜辺」から園刃華霧さんが去りました。