2022/12/18 のログ
ご案内:「浜辺-桟橋-」に追影切人さんが現れました。
追影切人 > 夜の浜辺――の、一角にある海岸へと突き出した桟橋のその先端にて。
釣竿を片手に釣り糸を垂らしつつ、時々欠伸をかみ殺しながらだらだらと夜釣りをしている隻眼の男が一人。

「くぁ……寝不足かぁ?」

欠伸を噛み殺しつつ、何時もは鋭い刃のような隻眼の視線も微妙に緩いというか眠たげで。
海面に浮かぶ浮きは先程から小一時間ほど全く反応が無く、何とも長閑なものだ。

(…やる事がねぇっつぅのは、どうにもな…。)

世間はやれクリスマスだ何だと楽しげだが、ぶっちゃけそういうのはよく分からん。
クリスマスケーキとかは、まぁ少々興味が無い訳でもないが。

それより、大量に買い込んだ刀剣がこの前の戦闘で殆ど喪失してしまったので、また仕入れないといかん問題。

(…切れ味はこの際置いておいて、やっぱり簡単に折れねぇ頑強なのは欲しい所だわな…。)

追影切人 > 別に釣りが男の趣味、なんて事は断じて無い。ただ、暇を持て余すよりはマシかと思った次第だ。
そもそも、最後に釣りをしたのは――…あぁ、真琴の奴とばったり遭遇した時以来か。随分前だ。

「…つーか、そもそも俺に趣味らしい趣味なんてねぇけどな…。」

強いて言うなら何かを斬る事だが、流石に暇潰しで何かを気軽にぶった斬る訳にもいかない。
…と、こんな当たり前の倫理観もよくよく考えればこっち側に来て学んだものだったか。

「…ハッ、切れ味が鈍ったナマクラなんざに何の価値がある――と、言いたい所だが。」

ナマクラにも利用価値がある。そして、まだ俺自身はナマクラになりきっちゃあいない。
しかし、釣れるのを期待していた訳ではないが、こうも微かな当たりすら無いのはどうにもはや。

(…獲物を釣り上げるっつぅより、そこまでの過程を楽しむ感じなんかな、これは)

ご案内:「浜辺-桟橋-」にサティヤさんが現れました。
サティヤ > 落第街の住民として生きる中、ある程度の生活水準を確保するためには金銭は欠かせない。
その金銭を得るための依頼は多種多様であり、その中には稀に変な物も混ざっている。

「あれだけ部下を連れていても、釣りの出来る人が居るとは限らないのですね。
だからと言って依頼するのではなく歓楽街に出るとか、そう言う手は無かったのでしょうか…」

お得意様が出した依頼は、釣り。なんでも、新鮮な魚が食べたいそうで釣りをしてこいとのことだった。
幸いにも自分は旅をしていた頃に釣りはしていたこともあり釣りの技術は備わっているが、落第街の住民に釣りがまともに出来る人材が一体何人いるのやら。
多少わがままな人だとは思っていたが、ここまでとは。呆れたと肩を落としつつ桟橋の方へと歩みを進める。
正直、この時間に海に入りたくない。夜の冬の海に安易に入るのは愚かである。
出来る事なら桟橋や、小舟といった手段で魚を入手したい。

桟橋に誰かがいるのは、そこが見え始めた時点で気づいたいたが、ただ釣りをしに来ただけである以上特に気にしてはいなかった。
しかし徐々に近づくにつれ、その姿がはっきり見えてきた頃に妙な気配を感じ始めた。

「…あれは…人間…?」

少なくともただの人間ではないだろう。
なんとなく、気配程度でしかないしこう言った気配は落第街では全く珍しくない。
しかし、夜の浜辺の桟橋で釣りをしている誰かが妙な気配を放っているのは少々不思議で。
訝しみながらも歩みを遅らせるが、特に敵意は感じない。
別の桟橋が見つかる保証もなければ明確に人外といった容姿でもない。
表に出ない程度に警戒しつつ、桟橋までそのまま到達すれば男と人3人分ほど距離を置き持ってきた折り畳み椅子と魔道具の箱を起き、釣りの準備を始めるだろう。

追影切人 > 「――あン?」

ふと”気配”に気付いて胡乱げな声をぽそり、と漏らしつつちらり、と肩越しに軽く振り返る。
こんな時間帯に桟橋なんぞに来るのは、同じ釣りをしに来たか散歩の延長か…物好きには変わり無いが。

(――妙な気配はするが、殺気や敵意の類はねぇな…。)

元々、そういう気配には敏感であるし、仮にその手の気配を完全に殺していたとしても”何となく”分かる。
この辺りは、経験側やら野生の勘やら色々と複合的な要素もあるのだが、それはさて置き。

隻眼を僅かに細めて見遣った先、灰色のコートに身を包んだ髪が短めの女?が居た。
パッと見た感じ中性的、という奴なのだろうが多分女だろう、何となくそう思った。
彼女と違い、警戒という程では無い。どのみち、襲われたなら”ぶった斬る”だけの事だ。得物は無いが。

…さて、そんな謎の女がこちらと一定の間隔を空けて釣りの準備を始めるのを一瞥する。
元々、愛想や人当たりが良いタイプではないので挨拶をするでもなく、ただ様子を眺めていたが…

(…ま、いいか。)

結論はシンプルで迅速だ、隻眼の視線を女から海面に漂う浮きへと戻す。
少なくとも、自身と同じように釣りをしに来ただけのように思える。
わざわざ、そこまで偽装してこっちを襲うメリットもクソも無いだろう。

サティヤ > (…やっぱり、ただの人間ではなさそうですが…人外という訳ではなさそうですね
にしても黒髪隻眼…どこかで聞いた特徴ですね…)

釣りの準備をしつつ、こちらを伺う視線と交差させるようにより濃厚となった気配を探る。
男が目を逸らす頃にはその探りも終えている程度には刹那の判断でこそあれど、男があからさまに危険な存在ではないという事を判断するのには十分である。
警戒のレベルをさらに下げつつ、餌のミミズのような虫を釣り針につける。

しかし、この容姿はどこかで聞き覚えがある。とはいえ、黒髪隻眼なんてそこまで珍しいモノでもないだろう。
たまたまだろうか、と他の情報は無かったかと記憶を掘り返しつつ、釣り針を海へと投げる。

浮きを見るべきなのだろうが、やはり隣の男が何者かが少々引っかかる。
少なくとも見たのは初めての筈だ。
視線を気取られないように、男から何か情報と結びつく特徴はないかと探し出そうと観察を続ける。
君子危うきに近寄らずという言葉がある反面、虎穴に入らずんばなんとやら。
折角釣りという平和的な舞台が用意されているのだ、少しぐらい冒険してもそう愚かではないだろう。

追影切人 > 少なくとも、生物学的に見れば男は紛れも無い人間であり、人外種族では無い。
まぁ、下手をすればそこらの人外より”アレ”なのだが、それはそれとして。

――例えば、もし”敵”として対峙したならばこの男の危険さを彼女も直感で気付くだろう。
だが、今のように平和な空間では近寄り難いチンピラ程度の雰囲気があるくらいで。

(…探られてんな。まぁこっちに仕掛けてくる素振りも見えねぇからいいか…。)

戦闘時は兎も角、平時はどちらかといえば怠惰、というより気だるい空気も纏っている。
お互い会話を交わさぬままの探り合い――と、いう程のものでもないかもしれないが。
勿論、黒髪に隻眼なんて島ではそこまで珍しいものでもないだろう。
露になっている右目は黄金瞳ではあるが、それも矢張り珍しいかと言われたらこの島に限れば否、だ。
他に特徴的といえば、左腕のみ何故か肘辺りから指先まで黒い革手袋で覆い隠しているくらい。
それ以外に、服装は特に奇抜でも特徴的でも無ければ、武器の類の持ち合わせも表向きは窺えないだろう。

「―――おい、さっきからこっちを”探る”のはいいが釣りをしに来たんじゃねぇの?」

あまり気乗りはしないが、こちらから声をぞんざいに投げ掛けてみる。
ただし、視線は女ではなく矢張り自分の釣竿から垂れ下がる釣り糸とその先の浮きに向けたままだ。

サティヤ > 「はい、少々新鮮な魚を釣る必要がありまして。
ですが、致命的な事にここで何が釣れるかはあまり把握出来ておらず…
良ければ教えていただけないかな、と」

嘘はついてない。実際ここで何が釣れるかは実はよくわかっていないし、知っているなら聞きたい。
とはいえ、こちら側の”探り”が悟られているなら少々厳しい言い訳かもしれない。
とはいえ、相手がその確信を持てる能力を持っている可能性は高くないとみた。

こちらも特に振り返ったりする事もなく、小さく首を横に振る程度のアクションに済ませる。
海風と遥か遠くから僅かに聞こえる街の音以外、音がない海辺に二人の声はよく通る。

追影切人 > 「…悪ぃが、俺はここで釣りをするのは今回で3度目くらいで、具体的に何が釣れるかまでは正直知らねーよ。
まぁ、普通の魚と一部やべーのが居るってのは聞いた事はあるがよ。」

と、無愛想でぶっきらぼうな口調ながらきちんと応答を返す。
取っ付き難い見た目や喋り方だが普通にコミュニケーションはどうやら取れる男らしい。
しかし、それはそれとして残念ながら彼女の質問に満足のいく答えは生憎と返せそうにもなく。

互いに視線を向ける事も無く、ぽつぽつとした会話と、漣の音が静かに響く夜更けの時間帯。

「…まぁ、釣れるかどうかは別として新鮮な魚って意味ならハズレはそうそうねーだろ、多分な。」

無責任な言葉かもしれないが、具体的に何が釣れるかは男も把握して無いのでそう答えるのも無理は無いのである。

サティヤ > 「そう、ですか…それは失礼しました。てっきり釣り人の方か何かかと思いまして
なんだかただ人ならぬ気配でしたので、それこそやばい魚というのを専門とでもされているのかな、と」

本気で思っている訳ではない、これは冗談。
冗談は得意な方ではない為冗談というには少々厳しいかもしれない、などと思いつつ、浮きを見つめる。
もし、やばい魚とやらが釣れたら、どうしようかと少々考えており。
まあ釣れないだろうと安直に結論を出しておく。
正直、このミミズ擬きで釣れる程度の獲物だとは思えない訳で…

「死んだ魚が釣れる事はそうないでしょうからね。この島でなら有り得なくもない話ですが
ゾンビフィッシュ、なんて釣れたらどうしましょうか。釣りたてでも腐ってるでしょうから」

本気で釣れそうだな、この島でなら。なんてそんなことが脳裏をよぎるが、流石にこんなただの海辺にそんな危険そうな魚が泳いでる訳がないかと思考を追い払う。

「そちらは、何か釣りにいらしたのですか?」

気取られないように探っても気取られるのであれば、会話からでも引き出してみようかなんて、なんでもない質問を投げかけてみるだろう。

追影切人 > 「…単に暇潰しの一環で来てるだけで流石に常連とかの釣り人じゃねーわな…。」

なので、趣味でも何でもなく本当にただ時間を潰す為にやっているという感じで。
何か釣れればまぁいいが、仮に釣れなくてもそれはそれで別に落胆もしない。
本当に、ただの暇潰しの延長として夜釣りにふらりと訪れただけなのだから。

「…いや、釣りに来て腐った魚なんぞ釣りたくもねぇわ…別に食う目的でもねぇが。」

まぁ、そういう魚も居てもおかしくない島とその周囲の海の環境であるかもしれないが。
僅かに嫌そうに顔を顰めつつも、相変わらず全く釣れる気配がしないが、それはそれで構わないという振る舞い。

「…さっきも言ったが単なる暇潰し。別に釣れる事を期待しちゃいねーよ。
そもそも、今回で3度目のド素人だ。ラッキーヒットがあれば御の字ってやつだろうよ。」

そう口にする男は、気だるそうに釣竿を片手に浮きを眺めているままで。
本当に、釣れても釣れなくてもどっちでもいい、という感じではある。
まぁ、こんな調子なので会話から引き出せる有益な情報、というのはあまり望めないかもしれない。

サティヤ > 「暇つぶしでしたか。
仮に常連名乗ってもなんとか通じるぐらいの威圧感はあると思いますよ」

嘘ではないが、この場合常連と言っても釣りの常連というよりゲテモノ釣りハンターと言ったところか
中々に意味が分からない。

「さて、ここであったも何かの縁ですし軽く自己紹介だけでも…」

と言いつつ、振り向くわけでもなく。所詮、仕事人としての売り込みといった程度な訳で、顔や細かな容姿を対面で見せる必要性は薄いと考えた。信頼を得るという面では対面をとらないというのは少々失礼な可能性はあるが、タイミング悪く魚が釣れそうで体の向きを変えたり立ち上がる余裕はない。

「自分は、サティヤと申します。落第街の方でいわゆる何でも屋というモノをやっています。
ペット探しから暗殺まで、護衛、もの探し、仲介人、運び人。もし宜しければ適当な情報屋にでも取り次いでいただければお仕事、お受けいたします」

初対面ではあるものの、どこか落第街の住民に近い気配を持つ男。
自身を売り込んでおいて損はないと考えた。
釣りあげた何の変哲もない魚(品種は不明)の尻尾をつかんで「釣りもできます」なんてふざけてみせて。

「よろしければ、そちらの名前もうかがってもよろしいでしょうか?
お仕事のご依頼の際は名前が分かるほうが都合がよいので」

教えてもらえる可能性は低いとは思うが、聞いてみる。
知っている名か、そうでないかだけでも、この機会に知っておきたい。

追影切人 > 「…いや、釣り人に威圧感はいらねーだろ…つーか、下手に威圧感あったら魚どもも感じ取るんじゃねーの?」

と、何となく隻眼でちらり、と女を一瞥する。もしやこいつは天然なのだろうか?
まぁ、この島は個性的な連中のバーゲンセールだから、別におかしくはない。

「…”縁”ねぇ…?…あー、落第街の…何でも屋?ふぅん…。」

成程、と曖昧に頷きつつ一応、彼女の名前と顔と肩書きは覚えておく事にする。
ちなみに、特に対面であろうがなかろうが気にしない男なのでそこらの心配は杞憂だろう。

ともあれ、魚を釣り上げた女――サティヤを一瞥して「お見事」と、一応は言っておく。
男は相変わらず欠片も釣れる気配が無いのだが、矢張り大して気にもしていない。

「…追影だ。追影切人。一応、常世学園の3年。落第街は昔暮らしてたからそこそこは分かってる。」

監視対象とかその辺りは伏せておく。別に隠してはいないが大っぴらに言い触らすことでもない。
一瞬、何でも屋なら刀剣の調達をついでに頼むのもいいか、と思ったが今は止めておこう。

そして、釣果が無いままに先に切り上げるつもりか、釣竿をさっさと回収して気だるそうなまま立ち上がる。

「…んじゃ、俺はぼちぼちこの辺りで引き上げるわ。・・・あー、サティヤっつったか?
ま、いずれまた会う事がある…かどうかはわからんが、あばよ。」

一応、ぶっきらぼうだが彼なりに挨拶はしてから軽く右手を挙げて一足先に桟橋を後にしようと。

サティヤ > 「追影切人さん、ですね。覚えました。落第街に暮らされていたのですね」

追影切人。その名は落第街において、知る人ぞ知る…何ならそれ以上の名だ。
そうだ、黒髪隻眼の”風紀の犬”だと吐き捨てていた依頼者が居たのだ。
情報として、追影切人という人物については多少知っている。
曰く、斬撃を操る人斬り。曰く、風紀の首輪付き。曰く、盾が意味を成さない最強の矛etc
いまいち確実性に欠ける情報が多い反面、どれも嘘と言い切るにしては現実味のある話ばかり。
てっきり、敵意むき出しの超危険人物だと思っていたのだが、存外そうでもないらしい。

手が震える、ということはないが、少々驚く様子があからさまに見てとれるだろう。

「その時は筆記用具から武器までご用意いたしますので、是非ご依頼ください。
それでは、良き夜を」

”何でも屋”というワードを再度口にしている様子に当たりを感じて、アピールしておく。
予想が当たっているかは分からないが…。

去る男、もとい追影切人の背中を見届け、一礼。
ある程度見送れば、もう1匹ほど魚を釣ったあと、その場を去った。

余談だが、”新鮮な魚”を食べた依頼者は腹を壊したという。
ゾンビだからでも、やばい魚だからでもなく、正しく調理できる部下がいなかったのにもかかわらず刺身で食ったからである。
愚かだ、と何でも屋は肩をすくめた。

ご案内:「浜辺-桟橋-」から追影切人さんが去りました。
ご案内:「浜辺-桟橋-」からサティヤさんが去りました。