2023/07/17 のログ
杉本久遠 >  
「いやっ、次はない、ないからな?
 いやその、うっかりなにか聞く事はないとは言えんが」

 まあ、一緒に過ごす時間が出来れば、その時間が増えるほど、偶然の確率だってあがるだろう。
 とはいえ、今回盗み聞きをしたのは事実のため、苦笑いを浮かべるしかないのだが。

「――言いたくもなるさ。
 君は本当に素敵な女性だと、思っているからな」

 女性として意識するのがどういう事なのか、少しずつわかってきたとも言えるのだろうか。
 ただ、自分が想うだけでなく、自分の事も想ってほしい、とまで強欲にならないのは、まだまだ恋愛に未熟な証拠かもしれない。

「ん?
 ああ――」

 小さな、零れ出た言葉。

「――変わるさ。
 君と一緒に居たいからな」

 そう、はっきりと言葉にして。

「成長のない人間に、君は興味を持ってはくれないだろう?」

 なんて、どこか確信がありそうに訊き返した。
 

シャンティ > 「あ、らぁ……遠慮、しな、くて、も……いい、の、よぉ……? ひょっと、した、ら……す、ごぉ、い……もの、聞け、ちゃう、か、も……?」

顔をわずか寄せ、元々大きくはない声を潜め囁くように唆すように言葉を紡ぐ。その対象が自分であろうとも、気にしないかのように。

「す、てき――そ、う」

男の飾らない素直な言葉に、ほんのすこし言葉を飲む。まるで意外なものを聞いたかのように。やや、思案するように動きを止め……


「……そ、う。私、に……興味、を……持って、ほしい、か、ら……?」


続いた言葉を、反芻するように繰り返す。


「そ、う……そう、いう……」

頃合い、なのだろうか。女の頭に、そんな言葉がよぎる。自分が思い描いた、ある種の企み。それを紐解くときは――

「……いい、ぇ……」

ぽつ、と言葉が漏れ。何事もなかったかのように男に向き直る。


「……ふふ。そう、ね……たし、か……に。興味、深い……人、は……好き、よ。」

眼の前の男の抱く、”それ”は。一時的に噴き上げる火山のような激情とは異なるが。確かに存在感のある気持ち。読んでいて、女がどこか不思議な面白さを感じるのは確かであった。


「で、も……空、を……泳ぐ、のは……かわら、ず……ね?」

くすり、と笑った

杉本久遠 >  
「いやいやいや」

 一体何が聞けてしまうのかと、気にならないわけではないが。
 そんな、想う相手のプライバシーにまで干渉しようとまでは考えられない。
 出来てしまう異能があるからこそ、余計にだ。

「――たはは、その『好き』に愛情を持ってもらえるように頑張らないとだなあ」

 彼女の口から零れる、思案するような声を聴き流しつつ。
 そんな、ちょっとした目標を持って答える。

「それは、な。
 ――けど、今日はこれくらいだな」

 よ、っと立ち上がり、彼女に手を差し出す。

「さすがにここは日差しが強い。
 どこかで、ティータイムにでもしないか?」

 そういって、何気なく、一緒に過ごす時間に誘うのだった。
 

シャンティ > 「ふふ……聞く、より……見る、方が……お好み、だった、り……? なん、て」


女はくすくすと笑いながら本気で思ってはいなさそうに、言葉を継いだ。仮に、本当にされたとして……別段、気にすることもないのだが。


「ふふ――がん、ばって……ね?」


愛情
男はそういった。その感情は……

「The uncertain glory of an April Day。ふふ……さき、は……長い、かも……しれ、ない……わ、ねぇ……」

それを口にして――ほんの一瞬、同じものを語った別の言葉が浮かび……小さく首を振った。


「そう、ねぇ……私、は……暑さ、は……平気、だけ、れど……で、も……時間、とし、ては……頃合い、かも……しれ、ない、わ……ね?」

差し出された手を取る。

「さ、て……どこ、へ……エスコート、して……もら、える、の……かし、らぁ……?」

女性を誘うようなお店なのか、それともファミリー向けの当たり障りのないお店か。はたまた別の選択か。何をどう選ばれるのか。あえて、聞かず、読まず。引かれるままに行くのも面白いだろう。何を選ぶにしても、過程や意図を考えるだけで楽しめそうだ。


「……求め、ず……して、えられ、る……ね。さて、どう、かし……ら」

小さく呟き引かれるままに女は歩みを進めた

ご案内:「浜辺」から杉本久遠さんが去りました。
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