2019/02/28 のログ
ご案内:「常世神社」にツクヨミさんが現れました。
ツクヨミ > 夕刻、閑静な神社には人気が無く、一人少年……いや、少女だろうか
女子学生服を纏ったその人物は石段をゆっくりと上がっていた。
やがて鳥居にたどり着けばその下をくぐり、境内へ足を踏み入れる。

今日は組織で何人もの相手の異能を目覚めさせた。
異能を使うのに疲労はないけれど、肉体的な疲労はまぁ結構なもので。
だからこうして誰も居ない場所に来ては、一人ぼんやりと疲労を癒すために過ごす必要があった。

賽銭箱の前に来たものの、小銭はあいにく持ち合わせていない。
結局それを無視して、隅っこのベンチに一人体育座りでうずくまった。

「……疲れた」

ぽつりと漏らす声は誰にも聞こえない。
ついでに短いスカートの中身が見えようと、気にしていない。
下着は一応履いていたが、女物だった。

ご案内:「常世神社」にアキラさんが現れました。
アキラ > (女は今日何か用事があって神社に来た訳では無かった。ただ今日無事に何とか春休みに生徒を送り出して肩の荷がおりたのは確かであり、ぷらっと散歩のついでに脚を運んだ先が神社だったというだけの話だ。金属製の杖が石段を突付く音を立てながら女はゆっくりと石段を登ってきて、ふと視線に入ったのは隅っこのベンチで座ってる人の姿だった。うちの学生服のようだが__)

あー…お前さん、どうしたんだいこんな所で。何か悩み事か?
(視線に入った所で迷う事なく関わりに行くという行動に移したのは自分が勤める学園の制服を着ていたから…というかうちに学生服があったのかどうかも正直な所記憶が曖昧だったりするのだが。とにかく歳の頃は若そうに見えたし、疲れてる様子なら放って置くのも何だと考えた女は素通りする気にはなれなかった。特に邪魔する事象がなければ歩み寄り、ある程度の距離まで接近した所で声をかけようとして。)

ツクヨミ > 石段を突く、コツコツとした音にふと顔を上げてみれば
そこにはロングコートを羽織った女性がいた。
こちらに声をかけてくるのにびっくりして、目をぱちぱちと瞬きしたが
問いかけにはふるふると首を振った。
別段、悩み事などは無い。ただ疲れているだけで。

「……別に、何も……」

念押しするように声でも返事をする。
どうにも男性的なスーツに物言いは女性性を感じないものだから
なんだかどっちの人だろうと、ツクヨミは自分のことを棚上げして考える。
じっと相手を見つめる視線は、アキラのてっぺんから爪先までをじろじろと眺め回すだろう。

アキラ > そうかい、なら良いんだけどなァ。こんな所で一人で思い悩んでるように見えたもんでちと気になってな。
(その声に少しだけ安心したような表情を浮かべる。まぁこんな見ず知らずの人間に言えないような話題でもあるだろうと思った所もあり深くは考えずコートのポケットから煙草の箱を取り出す。駱駝の銘柄の煙草の箱から左手で器用に一本煙草を取り出すと口に咥えた所で手を止めて)

あッ…学生の前で煙草吸うのはあんま良くねェよな。
(何かを思い出したかのように呟いては煙草を咥えたままで火は付けなかった。未練がましい言葉を呟いたまま、まじまじとした視線を感じては女は不思議そうな表情を浮かべた筈だ。)

どうしたんだい?お嬢ちゃんにゃ珍しいモンでもあったか?
(女は疑う事無く彼の事を女だと考えている。それは多分学生服が女子生徒の物だったからという事もあるのだが、見た目も可愛らしかったしそういう風に感じ取ったからという所もある。)

ツクヨミ > 「吸ってもいいよ。……煙草」

取り出された駱駝の銘柄の箱を見て、一本咥えた女性にぽつんとそう言う。
副流煙がどうので気を遣われたことはないし、
落第街では結構な割合で二級学生がスパスパ吸うものだから
今更煙草の害についてどうのと言うつもりはない。

「……あなたは、男?女?」

不躾にも聞こえるような言葉をアキラに投げかける。
とはいえ、からかいとかいたずらでそういった事を言ったのでは無く
純粋に興味本位であるのは意志の薄い瞳からでも何となく察せるだろう。
かくん、と首を傾げてアキラを見つめる。

アキラ > あー…そうか?すまねェな、気を使わせて。
(そう言われると嬉しそうに、そして遠慮する様子もなく煙草の箱を一度コートのポケットにしまうと人差し指を立てて煙草へ近づける。立てた指の先からライター程度の火が唐突につくと煙草に火を移し、紫煙を燻らせるだろう。一息付くように息を吐くと続く質問へと言葉を返す。)

あたいか?あたいは女だよ。こんなナリだからまァ性別の前に職業を聞かれたりするもんだが…一応娑婆で生活を送れる仕事もしてんのさ。
(隻眼の女は一度煙草を指で挟んでから彼の方へと視線を向けた。朱色の瞳が首を傾けた彼の桃色の瞳と視線があったような気がすると女は軽く笑みを浮かべてから言葉を紡ぐだろう。女にとっては失礼だとは思わなかったし、むしろ興味を持たれる事自体に対して悪いような気はしなかった。)

ツクヨミ > アキラがライターも無しにタバコに火をつける様を物珍しく見る。
異能だろうか、魔術だろうか。
どちらにしても美味そうに煙草で一息つくアキラに、漂う紫煙を見上げて

「それ、美味しい……?」

などと聞いてみたりもする。
吸ったことはなかったが、どの大人も煙草を吸う時は実にホッとしたような表情をするものだから
それがどれくらい美味いのか気になりはした。

気を悪くした様子もなく答えてくれる相手にまた瞬きをして、
こんな女性もいるのだなぁと自分を納得させる。

「しゃばでせいかつ……、何している人……?」

娑婆の意味は分からなかったが、何となく後ろ暗い人物では無いのだなということは伝わる。
となると、次はその職業について気になってしまう。
普段ならどうでもいいと捨て置いてしまうことなのに、どうしてか今日は疑問が尽きなかった。

アキラ > あん?未成年っぽいお前さんにうめェかどうかって言われると言葉にこまるな。中にゃうめェって言うヤツも居るが…あたいは別にうまいって思った事は無いな。ただニコチンの依存症になってて、無いと落ち着かねェから吸ってるだけさ。
(煙草の灰を指で煙草を叩いて落としながら女は彼を見ながらも少し困ったような表情を浮かべた筈だ。未成年に煙草を薦めたなんて言った日にはクビになってしまうかもしれない、だが女は自分の感じた感想を素直に言ってからまた煙草を口に咥えるだろう。また微かにだが独特なナッツ系の香りがする煙を吐いてから「ま、悪い事は言わねェから煙草はやめとけ。金は掛かるし健康にも悪いしな。」と言葉を続けるだろう。)

あー…シャバってのはな?普通の人間が暮らす世界って感じの意味だ。一応お前さんが着てる制服の学園の教師をやってるのさ、こう見えてな。
(煙草を咥えてはいるが疑問には向き合って一個一個答えていく。恐らく言葉の感じから自分の言った言葉の意味を理解できなかったのだろうと思った女は一応"娑婆"という言葉の意味を教えて、それから自分の職業を述べた。学園とは言えども広いから、多分お互い知らない相手が居ても不思議では無いだろうと疑問に思う事もなく、質問の言葉を返してからまた煙を吸って吐きだす煙はなるべく彼のかからない方へと向いてから吐き出すようにするだろう。)

ツクヨミ > 「ふーん……ニコチンいぞんしょう……」

美味しくもないのに吸い続けるのはそのニコチンとやらが悪さをしているのだろうか。
微かに香るナッツの匂いに似た煙に、どこかで嗅いだことがあるのか目を細めた。

「大人って……変。お金、かかるし体に悪いのに……煙草吸う、から」

頬杖を付きながらそんな事を呟いた。
娑婆の説明を受けながら、普通の人間が暮らす世界ってどういうものだろうかとかそんな事を考えていたが
相手が学園の教師だと分かると少しだけ瞳が丸く驚いたようになった。

「教師……、せんせい……」

反射的にまずい、と体がビクついていた。
変に何かを聞かれたらうまくごまかせる自信がなかったし
二級学生とバレたら風紀委員に突き出されてしまうかもしれない。
挙動不審に陥りながら、今すぐこの場を去ったほうが良いのだろうか考える。

アキラ > 難しい話はよくわかんねェが、煙草の中にゃ快感を生じさせる物質が頭ん中で出るらしい。それでホッとしたり落ち着いたような気がするんだとよ。
(また手で持つと灰を再び落としながら女は言葉を返した。頬杖を付きながら変と言われては少し苦味を含んだ笑みを浮かべてから)

まァ、それがちょっとの間すると無くなっちまって…そうなるとイライラしたり落ち着かなくなったりする症状が出てくる。そうするとまた吸って落ち着こうとするっていう連鎖がどんどん続いていくし、量もどんどん増えていくって訳だ。つまる所麻薬とかそういうもんと仕組み自体は変わんねェし、辞める難易度もまた然りだ。
(長々と説明をしながら一応依存症に陥るメカニズムを説明した女だったが言葉の節々や時々首を傾げたりする事から説明に自信が無いのは明らかだろう。「ま、もうちょっと大人になりゃお前さんにもあたい達喫煙者の気持ちがわかるさ。こんなしょうもない物でも逃れないとやってられないワケってもんが。」なんて問われた事に大して誤魔化すような言葉を返す筈で。)

どうした?そんなに心配しなくても別に神社で座って黄昏れてるヤツを取って食いやしねェし、そもそもコッチはすでに勤務外だしな。
(ふとその挙動不審な所作に注意が行ったが、手の灰を落としてるうちに煙草は殆ど燃え尽きてしまったのを見るとすぐにそちらへと意識は移行するだろう。言葉を続けながらもフィルターの手前まで燃え尽きた煙草を一度咥えて、またコートのポケットへと手を伸ばす。手に取り出したのは携帯灰皿で、特に何も無かった場合は片手で灰皿を開き咥えた口を近づくと灰皿の中へと煙草を落とすだろう。)

ツクヨミ > 丁寧に一つ一つ教えてくれるさまはまさに教師なのだろう。
度々首を傾げながらも物を知らないツクヨミに説明するアキラの講義で
一応納得したようにツクヨミは頷いた。

「……大人って、大変だね」

何が大変なのか、麻薬に似たものをなぜ摂取し続け無くてはいけないのかなど
細かい所はわからないけれども、それもそのうち分かるだろうか。
膝頭に頭をこてんと乗せて、わかったような口を聞いては、薄く笑みを浮かべた。

煙草に意識を移したアキラに、ツクヨミはしどろもどろになりながら言葉を紡ぐ。

「…………、そろそろ、帰る……」

特に何かを深く聞かれることは無かったから、それ以上自分から何かを伝えることはしなかった。
スカートを翻し、ベンチから立ち上がると振り返りもせず鳥居を目指す。
と、鳥居の真下まで来た瞬間、ふっとアキラを一瞥した。

「……心配してくれて、ありがと、……ばいばい」

先生に対して敬語も使えやしなかったけれど、一応ツクヨミなりの精一杯の謝意だったらしい。
それだけを告げると、とんとんと石段を降りて、その姿はすぐ見えなくなった。

ご案内:「常世神社」からツクヨミさんが去りました。
アキラ > …ま、大人とは言うけど同じ人間だからな。どうしようもなくしんどい時っつーのは存在するもんさ。
(そんな適当な事を言いながらも首を傾げたりする様子を見ながら女は説明を終えた。とは言うが多分説明してた女自身も然程理解はしていないから殆ど受け売りのようなものだし、理解していたからと言ってもやめれるものではない。返すように女は薄く笑みを浮かべただろうか。)

あァ、あんまり遅くなるといけねェからな。夜に女子が一人じゃあぶねぇだろうし…。
(女はふと沈みかける陽の光の方へ視界を一度向けてから、歩いて鳥居の所は歩いていく彼の方へと視線を移した。止める事はなく、また"普通の学生"なら家に帰らなければならない時間だろうと。見送るように眺めていた女だったが一瞥され、そして礼の言葉を述べられると隻眼の女は笑顔を浮かべて)

あァ、またな。
(と、口を閉めた灰皿を持った左手を軽く振って見送った。石段を降りる音が聞こえると女は改めて神社の拝殿の方を見るが首を傾げてから一言)

___あたい、何しにここに来たんだっけ?
(お参りに来た筈なのだが完全に失念している女は忘れるならきっと大した事では無いだろうと判断した。それから杖をつきながら彼がおりていった石段を女もゆっくりと、慎重に降りて家路へと着くのであった。)

ご案内:「常世神社」からアキラさんが去りました。