2020/06/28 のログ
ご案内:「常世神社」に緋嗣紅映さんが現れました。
緋嗣紅映 > 時刻は朝方―――。
すっかり夜の明けたものの、まだ明けたばかりの空は白んで空気は冷たい。
神社の本殿の屋根の上に立ち、我が物顔で朝の体操をしている狐娘が一匹居る。こんな時間だから彼女を咎める者は未だ居らず、然し時間の問題のようにも思えるが、既に来たばかりの頃にご神体と伝えられる岩の上に昇っているのだから今更冒涜も何もないだろう。

「おいっちニー、さんっシー、ごーろクっ、しっちはッチ……」

毛量の異様に多い踵迄ある長ったるい髪は、重力に反してふわふわと冷たい風の中で揺蕩って、右へ左へ前へ後ろへと捻ったり傾けたりする体の動きに合わせて靡く。

緋嗣紅映 > 「よーシ、準備運動オッケー!次ハ……」

辺りを見渡して、ハトやスズメが留まっているのを見つけると、バタバタと足音を立てながら近寄って追い払った。

「よシ!いっくヨー!」

「―――……狐火!!」

だぼだぼの袖から両手を出して、人差し指と小指を立てて狐に見立てた形にすると同時に、両腕を大きく持ち上げてピョンと屋根の上で高く跳躍した。その瞬間周りから次々に小さな火の玉が何処からともなく現れて、朝の煌めきを炎の灯でさらに彩っていく。
持ち上げていた両手をぱっと広げれば、さらに狐火は踊るように舞い散り、広がっていく。

「……よしよシ!今日も紅映は絶好調だネ!」

満足げに笑うとそのまま屋根にストンと着地し、袖に手を仕舞うと同時に狐火も消える。

緋嗣紅映 > 改めて屋根の上に腰を下ろすと、肩から斜め掛けにした鞄を開けて中からリンゴを取り出して両手の袖で挟むように持ち、勢いよく齧りつく。
シャグッ、と心地良い音がして、口いっぱいにリンゴの果汁と果肉が広がる。頬を膨らませるくらいの大きな一口を、何度も咀嚼して飲み込む。

「ぷハッ……。やっぱヒトの身になってモ、果物が美味しいナー……」

一番好きなのはやはり肉なのだが、この姿で捕食すると色々と絵面的にまずい事になるのは理解している。かと言って加工された肉は、食べれなくはないけれど胃に重たい。
シャグシャグとリンゴを頬張っていると、スズメやハトが物珍し気に顔を向けてくるが、正体に気付いているのだろうか警戒して近付いてくる様子は無い。何せ彼らが捕食対象である。

「……あんまり呑気してるト、食べちゃうんだかラ。」

今はリンゴがあるから無暗に食べる気は無いが、揶揄うように脅しながらリンゴの種をぽいっと鳥の方に投げた。
鳥が種を食べるかは知らないけど……

緋嗣紅映 > リンゴを食べ終えると袖を叩き合わせて払い、芯の部分は瞬間移動でゴミ箱へ捨てるついでに自分も屋根の上から降りる。一瞬でゴミ箱前まで来れば、ぽいっとリンゴの芯を捨てた。

「さってト、このままお散歩しますカー。」

大きく背伸びをすると、瞬間移動は使わずに徒歩で神社の境内を散策、そのまま神社を出ると今度は適当に気の向くままに、気が済むまで、散歩を楽しむのだった。

ご案内:「常世神社」から緋嗣紅映さんが去りました。