2020/08/29 のログ
ご案内:「常世神社【夏祭り期間】」に修世 光奈さんが現れました。
ご案内:「常世神社【夏祭り期間】」にジェレミア・メアリーさんが現れました。
■修世 光奈 > 夏祭りが連日連夜行われる常世神社。
丁度にぎわい始めた時間に、入り口の鳥居に背を預ける光奈が居た。
光奈が着る浴衣は…全体の色としては白、ひまわりが鮮やかに眼を奪う綺麗な仕立てのもの。
帯はオレンジに近い黄色。細かな差異が慣れを与えさせず。
歩き出せば、からころ音を立てるであろう下駄を履いている。
足袋は用意できなかったのか、素足ではあるが…鼻緒の部分が良い素材で光奈にも合っているため辛くなりにくい。
髪にも少し変化があり、ちょっと子供っぽいかな、と思いつつ…短い髪の側面の一部をゴムで纏めて非日常をアピールだ。
「えっと……うーん。これ以上はちょっと後かな。…楽しまないと!」
ぽちぽちと、何事か、考えながら端末を弄っていたが…約束の時間が近づいてくればそれを大きめの巾着袋にしまって。
今は…彼に夏祭りに行こうー!と誘いをかけ、待ち合わせとしてこうして待っている状態だ。
「…♪」
いつもは落とし物係として回っているこの神社だが。
いつもとは違って、酷く気持ちが跳ねる。
早く来ないかな。でも、待っている時間も楽しい、と。
彼は背が高いから、来ればすぐにわかるだろう。
その姿が入口に表れるのを緩く笑いながら、待っていよう。
■ジェレミア・メアリー >
常世神社付近。
何時もこの場所に来ることはほとんどない。
人種的にもあまり、日本的宗教に興味が無いからだ。
とは言え、本国の宗教にも興味があった方じゃない。
無神論者、とまでは言い切らないが、余り"都合のいい存在"に神様をしたくないからだ。
「……確か、この辺りに……人が多いな……」
咥え煙草、白い煙を吐きだしながら道行く人とすれ違う。
確か今は夏祭りシーズンだったか。
道理で人が多いはずだ。人込みはあまり得意じゃない方だ。
人間としては高身長たが、たまにすれ違う異邦人との身長差には驚くばかりだ。
さて、目はいい方である少年は、鳥居の前にいる彼女を見つければ煙草を潰し、携帯灰皿にいれた。
キャップの奥、碧眼に捉えた少女の姿に自然と口角が上がり
何処となく軽い足取りで光奈へと近づいていく。
「お待たせ。遅れちゃった、かな。綺麗だね、光奈。浴衣姿の光奈も、可愛いよ」
開口一回、爽やかにまず褒める。
少年は人を褒めるのに当然抵抗はなく、此の手の言葉には積極的だ。
■修世 光奈 > 宗教に興味があるかと言われれば、光奈もまたノーと答える。
結局、ここに来ているのはお祭りのためなのだから。
神様よりも、自分の脚を信じている節もあり。
それは、それとして。
「ジェー君!」
手首に着いた銀のブレスレットを揺らしつつ、彼の姿を見つければ下駄でゆっくりと近づこう。
浴衣のひまわりに負けないくらい、満面の笑顔で。
そのまま、勢いを殺さずにその腕を取り、抱き着こうとしていく。
「ううん。時間通りだよ。……ぅ。……。そっ、そーいうジェー君は、いつもの格好なんだ。…いつもどーり、カッコいいね」
褒められると、口が緩みそうになるのが止められない。ただ、やられっぱなしではない。反撃として、言葉を返そう
光奈も、褒め返せるくらいには歯の浮く様な言葉に強くなってきた。
しかし…不満というわけではないし、十分格好いいとは思うのだけど。
彼には甚平姿とか、似合いそうだなとも思わなくもない。
「ほら、いこー!最初は何する?花火も後で上がるみたいだし、色々見ようかなって思ってたんだけどー」
ぐいぐい、と元気に引っ張って、屋台が立ち並ぶ道を進んでいこう。
異邦人も居るためか、屋台があっても道幅はかなり広く取られており、所々に疲れた人たち用の休憩所のような場所まである。
道の左右にある屋台はこれまた種類豊富。
食べ物はもちろん、射的などの遊び系も異界のテイストが入ったものが所々に見られ、かなりの賑わいを見せている。
例え普通のお祭りに慣れていても、色々楽しめそうなラインナップたちだ。
■ジェレミア・メアリー >
「わっ、と。随分と積極的だね……?」
飛びつくように抱き着いた光奈を堅く逞しい体が受け止める。
何時もならもう少しよそよそしかった気もするけど
ジェレミアは彼女の積極性は嫌いではなく
ジェレミア自身も彼女と引っ付くのは好きだった。
そう、落ち着く。ジョークを抜いても、彼女と一緒にいる間は
くっついている間は、『ジェレミア』でいられるから。
少し気恥ずかしそうに頬を掻いて、柔いはにかみ笑顔を光奈へと向ける。
「ん、本当なら男の僕が待ってようと思ったけど……あー、えっと……。
結構、忙しかったからさ、風紀の仕事。それに、"ジンベエ"とか、ああ言うのは疎くて……」
お祭り騒ぎと言えば別に母国にも幾らでもあった。
ただ、彼等のような衣服を着る文化はない。
口には出さなかったが、ああいう薄い服はちょっと"ハレンチ"で
着るのをためらっている理由もあった。
少しだけ帽子を目深にかぶろとしたら、ぐいぐいと引っ張られてちょっと上半身が傾く。
「とと、慌てなくても何処にもいかないよ、光奈。
射的……は、後にしようか。光奈、どこ行きたい?」
レディーファースト精神。
少年は紳士だ。穏やかな笑顔を絶やさず、彼女に引っ張られるままに歩調を女性に合わせている。
■修世 光奈 > 「まー、あの日のジェー君に比べれば、これくらい普通でしょ。…大変だったんだからねー?」
積極的だと言われれば、少し頬を膨らませて。
積極性というか、彼のあれは暴走だったような気がしないでもないけれど。
それでもあんなに求められれば、躊躇いも薄くなるというもの。
「また、忙しいのに来てくれて嬉しい。…来年は、一緒に選ぼっか」
そういえばこの前も、忙しいことはわかっていたのに、誘って。
彼は予定を空けてくれたのだった。
風紀委員には人手を減らしてごめんなさい、と思うものの…
何度味わっても、自分を優先してくれるという気持ちはうれしいもの。
あっさりと来年のことも口にしながら、歩いていこう。
「……射的、全部景品取っちゃいそうだもんね、ジェー君…持つの大変そう…。
それなら、甘いものでも食べようよ。風紀委員って頭も使うんでしょ?」
彼の眼と…風紀として活動してきたであろう銃の腕なら、普通の射的でも異界テイストが混じっていても凄く簡単に景品を取れそうだ。
それは彼の言う通り後回しにして。
丁度目についた屋台に進路を変えよう。
【いかいちょこあいす】
と書かれた屋台は、その名の通り異界テイストの入った棒チョコアイスを販売している屋台だ。
屋台には、『不思議なアイス!』とか『手で直接持っても何故か溶けない!?』などと書かれており。
価格はやはり、お祭り価格ではあるがうだる暑さには丁度良さそうだ。
「すいませーん!これの普通サイズ1つと…ジェー君はどれがいい?先輩が奢ってあげよう~」
早速、サイズが小中大に別れているから、自分の分を注文してから彼に…非常に上機嫌に聞いてみよう。お祭りテンションだ。
小は子供用らしく一口二口サイズ。
中は誰もがイメージする棒アイスサイズ。
大は異邦人用なのか中よりもかなり大きく、ボリューミーサイズである。
■ジェレミア・メアリー >
あの日、一体何のことかと一瞬思ったが何となく察しがついた。
間違いなく、"あの日"だ。ちょっと頬が紅潮し、申し訳なさそうに軽く首を振った。
「いや、その……ごめん。光奈のが"良かった"から……」
今でもちょっと覚えているというか、名残惜しいというか。
いや、これを考えるのは良そう。今はデートだ、デート。
軽く咳払いをして気を取り直した。
「僕にとっては、光奈が一番だから。……うん、来年も一緒だと嬉しいな」
来年。今の事がいっぱいいっぱいで、考えもしなかった。
勿論、彼女が許すなら何処までもこの二人三脚を続けたい気持ちはある。
よく考えれば、自分はまだ一年生。この先、普通にしていても今を含めて四年。
……そう考えると、途方も無い感じがしてきた。
自然と、彼女の体の方に体が傾いた。寂しさを埋めるように。
「まぁね、止まってる的くらいなら見なくても……」
それだけに"銃"の扱いには自信があった。
異能の事を抜きにしても、自分の異能を生かすには、銃を極めなければいけない。
だから、特訓した。自在に、手足の様に操れるように。
それこそ普通の射的なら百発百中の自信はある。
さて、とりあえずやってきたのは【いかいちょこあいす】なるもの。
「いかいちょこ……異界チョコってこと?異邦技術のアイスかな……。
まぁ、確かに先輩の書類仕事を引き継ぎばかりだったから、ちょっと嬉しいかな」
謳い文句はかくも、やはり暑い季節にアイスは嬉しい。
学園配布の冷符こみにしても、アイスが美味しい季節だ。
光奈の言葉に小さく首を振って、ポンポンと頭を撫でた。
「僕も男ですよ。寧ろ、僕が奢る側でしょう?僕も普通サイズでお願いします」
そんなわけで屋台から棒アイスを受け取りはい、と片方を光奈へと渡す。
確かに丁度いいサイズの棒アイスだ。
どれ、味はと一口上から男らしくかじりついていく。
■修世 光奈 > 顔を赤くしつつ…ばーか、と甘い罵倒を返す。それが嫌だったら、関係は終わっていたことだろう。
こうして、引っ付いているのがそうでないという証明、というのは伝わっているかどうか。
不安から、傾いてきた体に応えるように光奈も頭を彼の腕に当てて。
見なくても当てられるんだ…なんて感心した声を漏らしてから、屋台へ
「え、ちょ、っと。もー!そういうの古いんだよ、多分!」
注文を聞いたのに、あっさりと支払いまで済まされてしまった。
ただ、頭を優しく触られるのにはどうも弱い。
不満そうな声をあげながらも、大人しく棒アイスを受け取って。
彼の前だから、というのもあるが…まずは小さく舌を出してぺろりとそれを舐め。
不思議なことに、舌や口内に触れた部分はすぐにアイスらしく柔らかくなるものの、普通に指で突いたりするとしばらく触っていても溶けず、硬い。
ただ、保存方面に技術を裂いているのか味は普通だ。
しかし、チョコの塊ではあるから甘さは十分にある。
「おぉ…すごーい。どうなってるんだろーね。味はふつーだけど…。んー♪おいしー」
興味深そうにそれを撫でてから小さく齧り幸せそうな声を漏らして。
彼の服を汚してもいけないから…一時、彼の腕からは離れているものの、寄り添う、という言葉がぴったりの距離には居る状態だ。
「んー。じゃあ、次ジェー君の番。ジェー君は、どこ行きたい―?」
アイスの冷たさに癒されながらも。
お祭り自体が…前に聞いた彼の好みからは少し外れているだろうから、楽しんでもらいたいな、と思いつつ。
自分ばかりでは…と思うのは光奈も同じだ。並んで歩きながら、彼を見上げて聞いてみよう。
それに、彼の選ぶ屋台を知れば、もっと彼の好みを知れそうな気がした。
■ジェレミア・メアリー >
「僕だって、可愛い彼女の前ではカッコつけたいからさ」
男の子だから当然だ。
ちょっと悪戯っぽく笑みを浮かべながらチョコアイスを堪能する。
確かにまぁ甘いアイスだ。何処まで行ってもチョコ。
そりゃまぁ、チョコの塊だから当然。
冷たさと硬さを維持する分これはゆっくり食べたくなってしまう。
まぁ男の子、そう言うのじれったいから適当になめたりかじったり食べ進む一方……。
「…………」
棒アイスを触ったりなめたりする光奈。
ちょっと"意識"してしまった。
ほんのり頬が熱くなってしまう。いけないいけない…。
さっと目を逸らして、帽子を目深にかぶった。
こういう時にこのキャップ、オシャレの為に持ってるけど便利だなぁ。
「魔術なのか、それともそう言う材質?棒に秘密が…あったら、一口とかないよね。
うーん、何だろう。チョコ事態に何か混ぜたり……?」
実はまぁまぁオタク体質。
一時になると結構興味を持って色々思考を巡らせてしまう。
特にこの世界は不思議がいっぱいだ。
うーん、と考えながらチョコアイスをかじって視線を右往左往。
「んー、そうだなぁ……。あ、あれとかどうかな?」
指差した先の屋台の名は…【エクストリーム輪投げ】
何とも自然な輪投げの様に見えるが
なんかこう、輪投げの棒が異様にでかいというか、輪もでかいというか。
あれどうやって投げるんだ?いや、指差しといてなんだけどコレミスチョイスでは?
というか、なんであんな屋台あるんだ?
「やっぱやめとこうか……」
少年ジェレミアは大層聡明で冷静な少年だが、当の光奈は果たして…!?
■修世 光奈 > 「そーいうの、ずるいとおもうなー……。……?」
カッコつけたい、なんて言われればそれ以上何も言えない。
口の大きさの違いもあるが、彼に比べればちまちまと食べていく光奈。
けれど、急に帽子の位置を直して視線を逸らす彼に首を傾げ。
アドバイスを受け、『見られる』ことには気づく可能性が高くなったものの、目を逸らす理由については今は思い至らず。
「いかいちょこあいすだもんね…。聞いても教えてくれないだろーし
ん?あれ…、………って、あれ?」
名前から、異邦の技術を使っているのは確実だ。
どんな技術が使われているのかは、流石にこの場では光奈にもわからない。
ゆったりと、歩調を合わせてくれる彼と一緒に祭りの喧騒を楽しんでいると、彼からの提案。
釣られて目をやってみれば。なんだろう、あれは。
あきらかに人間1人では投げられない輪と、棒というか柱とでも言うべき輪投げの目標。
大型の異邦人向けだろうか。
流石に、二度聞きしてしまうほど、その光景は衝撃的だった。
ただ…
「あはははは、何あれ!絶対投げれないー!、ね、あれ二人でやっていいかどうか聞いてみようよ
頑張ったら、二人なら投げられそうじゃないかな?せっかくお祭りなんだし、面白そうなことはやらないと損だよ!ジェー君!」
ぶっ飛んだ光景に、笑いが刺激されたのか空いた手で指を差して笑う。
食べ物の屋台も多いからか、一時的に棒モノの食べ物を刺して置ける穴が空いた台も設置されており。
興味を大変そそられたのか…聡明で冷静な判断に対抗して、二人で投げてみようと提案する。
よくよく見れば異邦人専用、というわけではなく一応複数人で投げるパーティーモノ的な側面もある屋台のようだ。
■ジェレミア・メアリー >
「気になるな……後で調べようかな……」
こう言う所は刑事体質だ。
さて、あんな胡乱な屋台は早く視界から外し……
「えぇ……光奈?」
思ったよりウケてる。
ああいうとんでもないもの好きなのかな。
いや、そもそも投げれるのか、あれ?
二人で……どうにかすれば持てるかな。しょうがない。
やれやれ、と首を振って気を取り直した。
「しょうがないなぁ、確かに楽しまないと損だけどさ。
あれ、本当に大丈夫かなぁ……?」
とりあえず屋台の店主に会釈してお金を払っておく。
やたらガタいがいいし歯茎が光る。やたらムカつくな。
そんなわけで出てきたものは
\デェェェェェェェェェェェェェェェェェェェン!!/
と、直系30cmほどのわっか。わっかっていうかこれなんなんだ。
円盤みたいな感じになってるぞ。そもそも、屋台のどこに収納してたんだこれ?謎だ……。
「どれ……あ、意外と軽いな。光奈、そっちもって。
折角だし、一等賞の真ん中狙ってみようよ」
せっかくなら高いのを狙っていこう。
思ったより材質は軽く、その気になれば一人で投げれそうな張りぼて的軽さだ。
■修世 光奈 > 想像の埒外のモノを見た時、それが日常の場面なら笑いを誘われるものだろう。
少なくとも、怖いものではないのも大きい
「だってあんなのお祭りの時ぐらいしかできないでしょ、って、また!」
せっかく巾着袋の中に小さなお財布を入れてきたのに。
さっきから先手を取られてあっさりと支払いを済まされてしまう。
もしかしたら、金欠のこと、まだ気にしてくれてるのかな…と思い…怒りながらもじんわりと嬉しくなる。
さて、それはそれとして…彼が選んだ奇妙な屋台を楽しもう。
「お。やる気だね、ジェー君。私も2等とか3等とかより1等がいい!」
やるぞ、と意気込んだ光奈が反対側を持つ。
確かに軽く…二人なら余裕で投げれそうだ。
一人でも投げれないことはないだろうが…言い出した通り、二人で投げてみたい。
「じゃあ、1、2、3!で投げよ!行くよーーー…!」
ほほえましく歯茎を光らせながら店主が見守る中。息を合わせようとカウントを提案。
ぐぐ、と力を溜めて―――
「…1、2、3!」
カウントを開始し、えーいっ、と気持ちを込めて投げるが、果たして――!?
■ジェレミア・メアリー >
「それもそうだけど、っと…でしょ?カッコいい所、光奈に見せたいからさ」
遊びでも何でも、好きな人の前なら格好をつけるのが男というものだ。
二人で支えた大きなわっか。いわれるままに頷いて
グググ、と力を籠める。思えばこれ、共同作業になるんだろうか。
なんだかちょっと恥ずかしくなってきた気もした。妙に体が力む。
<1、2、3!>
「っと…!?それッ!」
二人同時に力を込めて、投げ飛ばし…… [1d6→5=5]
■ジェレミア・メアリー > \5等/
おめでとう!なんかよくわからないペアルックのなんか巾着を手に入れた!
思ったよりも力んだせいで、飛ばなかったようだ。
これには思わず、苦笑い。光奈の隣で肩を竦めた。
「ごめん、ちょっと上手くいかなかったかな……」
■修世 光奈 > ふわー、と軽い材質故に飛んだ輪っかは、5と書かれた棒にひっかかった
「ごめんごめん、私もちょっと変なとこ投げちゃったかもー。あ、でも可愛くない?これ」
1等は取れなかったが、それでも可愛いペアルック巾着を手渡される。
可愛いキャラクターが描かれたものだ。
「2つあるしさ、良かったらジェー君も使おうよー」
情けないとは思わない。
だって、二人で投げた輪なのだから。
どこに入っても、二人の成果だ。
「さってと、じゃあどうしよっか。本命の射的に行くか、ちょっと休む?」
だから、情けないなんて思わない。
巾着を大事そうに持ちながら、小首をかしげて。
■ジェレミア・メアリー >
「か、可愛いかなぁ……」
アメリカ人から見れがこれ、正直よくわからない。
不出来なヨーヨーに見えなくもないのだが、どうやって使うのだろう。
ともあれ、これが成果なら受け取らざるを得ない。
彼女と同じ、お揃いのペアルック巾着。
うーん、と難しい顔をしていたが、思わずそれを考えると
口元が自然と緩んでいく。
「ん、少しだけ休憩しようよ。二人で座りながら…ほら、花火とかも見れるかもしれないし」
■修世 光奈 > 巾着だから、それほど使う機会は無さそう。
けれど、二人お揃いのもの、というのはとても嬉しい
「おっけー♪…、あ、そっか。そういえばそろそろだね花火」
端末を取り出して、時間を確認すると予定されていた時間が近い。
歩きながらでもいいが、ゆっくり座って見た方が楽しめるだろう。
道の所々にある休憩所へ、歩いていこうか。
特に建物、というわけではない。ベンチがいくつか置かれているだけだ
周りにも何組か…カップルが見えるものの、ベンチ同士がそこそこに離れているため…周りはあまり気にならない作り。
これも学生が多いこの島ならではの作りか。
「あそこ空いてるー!座ろ座ろ、ジェー君」
そして、空いた席を『探す』のは光奈にとってはお手の物だ。
ささ、と…少し端のほうのベンチを見つければ彼を誘導して先に腰を落ち着けよう。
「はぁ…何回か、依頼で神社には来てたけど。…やっぱり、好きな人と来るのは違うね」
座れば、ぽつりと。
ほんのり紅い顔でそう言って。
このデートがとても楽しいものだと伝えよう。
■ジェレミア・メアリー >
「慌てなくても、ベンチは逃げないよ。光奈」
一緒に歩いて辿り着いたのは休憩所。
祭り事とは言え、やはり疲れる。
こうやって適度に休む必要はあるだろう。
そんなわけで光奈に引っ張られるままにベンチに誘導され
空いているベンチにゆっくり腰を掛ける。
祭りの喧騒から外れたちょっとした静けさ。
夜の空気の静けさとちょっとした涼やかさ。
彼女の体温を直に感じる事が出来る。
それがとても、嬉しい。
それは無意識に、光奈の肩に手を回し、抱き寄せる形になった。
「僕は神社に来るのは初めてかな。けど、うん、凄く楽しい。
……今でも夢みたいだなって思ってる。光奈と一緒に、いれるのが」
日常への憧れ、光の兆し。
初めは本当に適当な感じに出会ったはずなのに
こうして惹かれて、好き合って、隣にいて。
本当に、自分にはもったいないと思う位の幸福だ。
これを受け取る事が許される身分なのかと言われれば違うだろう。
けど何時か、それをちゃんと受けいれられるようにはなりたいとは思っている。
何時になるかは、わからない。
花火はまだ上がらない夜空を、キャップの奥で見上げている。
「元気で、明るくて、気さくでさ。可愛い光奈が好き。
……何を言っても全部好き、になっちゃう、かな……ハハ……
光奈と何時までも僕はいたいって、思ってるよ。ねぇ、光奈」
「光奈は、どうして学園に来たの?」
■修世 光奈 > 慌てているというより、いつもより更に陽気で…言ってしまえば、はしゃいでいる。
自然に気持ちが湧き上がるまま、我慢せずに。
だから、肩に手が回ってきても…そのまま彼の腕に頭を預けよう。
「…よかった。もう、あっちこっち、なんて分けないでよね?
…私は、ジェー君の隣にいるって決めたんだから」
あの時本当にショックだったし、と呟く。
夢じゃないと示すようにわずかに頭を揺らして擦りつこう。
彼が未だ、悩んでいることはわかっている。
けれど悩んで、彼がくじけそうになっても…怒って、支えていこうと決めたから。
「ちょ、ちょっと…。…ぅー。…それは…だって…
…すきに、なってもらえるように。すきでいつづけてもらえるよーに、…がんばってるもん」
今に始まった事ではないが…
彼とこうなってからは…より一層肌のケアをしたり、格好を選んだり。
好き、が薄れないように…色々考えてはいるのだ。
「ん?、んー…そんなに大した理由じゃないよ。いくつの時だったかなあ…暗いところをもっと探したい!って思ったら…
この異能が使えるようになって…
こっちに来たら、色々選択肢も広がるーって…調べたら、色々宣伝してたからさ
あはは、ぴかぴか光るだけなんだけどねー」
弱く、白い光の球を1つ生み出してふよふよと漂わせる。
本当に、この島に来たのは…その程度の理由でしかない。
重い理由も、仕方のない理由も特には無い。
けれど…
「でも、そのおかげでジェー君と会えたから。それはーー…とっても、よかった、よ?」
彼の腕の中から、じ、と見つめて、小さく笑う。
大したことのない理由からここで学んだり活動しているけれど。
彼と会えたことは、とても嬉しいことだ。
■ジェレミア・メアリー >
わかってる、はしゃいでくれているって。
多分、自分と一緒にいるから、はしゃいでくれて
こんな自分と一緒にいろいろ分かち合おうとして、健気で
本当に勿体ないって思ってしまう。
「…………」
"夢<あっち>"と"日常<こっち>"。
確かにあの告白は彼女への決別のつもりだった。
それでも彼女はあきらめなかった。
こんな自分を好きだと、言ってくれた。
もう今更放さない。離れられない。離れたくない。
だけど、彼女も知っている通り、未だ自分はまだ、許せないものがある。
「……僕も光奈に、好きになってもらいたいから、頑張りたい。
けど、まだ僕は許せないんだ。犯罪者を、自分を。
だから僕はまだ、『傍にいて欲しい』って、強く言えない」
未だに殺人者<じぶん>を少年は許していない。
多くの人間の言葉を、支えを得て、漸く彼女の隣に立つことが出来た。
だが、それを自分自身が許せる行為だとは到底思ってない。
もしかしたら、彼女さえいつかこの"目"が殺してしまうかもしれない。
そんな考えが、たまに過ってしまう。
身を寄せているからわかってしまう。僅かに震える、少年の手が。
未だに己を許せず、異能に苦悩し、向き合うべきに立ち向かおうとするか細い勇気が。
「……そうなんだ……でも、光奈は凄いじゃないか。色んな人の役に立ってさ。
うん、とてもすごい事だと思う。案外、探偵とか向いてるかもしれないし……」
「……僕はさ、そんなに光奈にとって、魅力的かな?」
■修世 光奈 > 時間が経っていく。
二人で話していると、喧騒も更に遠く。
お互いの体温や吐息、言葉の音だけがやけに大きい
「…。…うん」
いつもどこか彼から感じる、遠慮というべきもの。
だから、光奈も殊更にはしゃいだり頑張ることで…それを薄めようとしていた。
彼が何を考えているのか、全てを知ることなんてできないが…。
「探偵…そういえば、この前探偵もどきって言われたね。…ジェー君が、魅力的かどうか?」
穏やかに笑ってから。
んー、と考える。
「それは、もちろん魅力的だよ?…そうじゃなかったら、あんなこと、ぜーったい嫌だって言うし」
何度も言ってはいるが、そこは変わらない。
ただ…光奈がそう思っていても、彼が受け入れられない…気持ちを返せないのが、問題となっているのだろう。
…震える手を感じながら、ゆっくり…独白に返答しよう。
「…そういうのはさ、私としてはー…今すぐ、言ってもらえなくてもいいんだよ、ジェー君。
まだ、ってことはいつかは言ってくれるんでしょ?」
卑怯な揚げ足取りだとは思うが、独白の一部を捉えて返す。
「前にも言ったけど…私が許したって言っても、言い続けても。
…ジェー君はすぐには自分を許せないと思う
だけど…私は、ジェー君の恋人だよ。
犯罪者でも…マフィアの息子でも、親を…ぅ、撃ち殺した、としても。
それは、私がジェー君を好きな事には関係ない」
撃つ、殺す。そんな言葉を吐く光奈の唇も震える。
けれど、声を振り絞って強く伝えよう。
何度でも、繰り返して、怒ろう。前を向いて、と。
「それでも、その。
…許せないっていうなら…もう、殺さずに。
えっと…誰か、…そう、誰かをーー、その、幸せにするって誓って…償っていくとか、どう、かな
例え、ジェー君が死んだって、その人たちが…許すって言えるわけないしさ
だから…悪い人たちを相手にしても、捕まえるだけにして…償わせていって
『誰か』を幸せにして…それを続けていくって、十分、罰になる、って私は思うんだけど…」
罪には罰。
けれど、失われた命は取り戻せない。
例え、彼が死んだとしても…その罪は償えないと光奈は考える。
だったら。
今いる人を大事にしてほしい、と。
ただ、ちらちらと見てしまうのは止められない。
いつもは、もっとはっきり言えるのに。
彼から、言葉を引き出そうとしてしまう、ずるさに…目がうまく、会わせられない
彼の返答を聞こうと、耳に神経を集中させてたまま、固まってしまう。
彼を、もっと弱くする言葉だと、わかっていても…それくらいしか、思い浮かばなかったから。
■ジェレミア・メアリー >
「……そっか……」
少なくとも好きな人には、魅力的に思ってもらえてる。
それだけは確かに嬉しかった。
この嬉しさを享受する事が許されるとも思ってない。
彼女がせっかく勇気を出して伝えてくれる言葉も
それをまともに受け止めて、そうだろうか、とは言えない。
「僕はさ、ずっと俺<キッド>のままで生涯を終えると思っていたんだ。
風紀委員で、多くの犯罪者を裁いて、自分の国に戻って、さ。
賞金稼ぎみたいな、犯罪者を裁く職業について、ずっと孤独で終えるんだと、思ってた」
「今でも多分、それは理想像<バツ>だ。僕はそれを欲してる」
キッドのままで、あらゆる犯罪者を裁き
何れ自らも野垂れ死ぬ。
殺人者に、両親を殺してしまった自分に相応しい末路だ。
多くの人間に望まれた偶像の末路。
今でも自分は、望んでいる。だけど……。
「けど今は、そうじゃない自分もいる。
光奈を一人にしたくない、って、自惚れじゃなければね……」
今は自分を支える言葉がある。
支えてくれる人がいる。
繋ぎとめてくれる人がいる。
抱き寄せた体を離さない様に、自然と腕に力がこもった。
憂いを帯び、眉を下げた表情のまま、光奈を見下ろす。
静かな碧眼が、光奈を見下ろし……。
「きっと、光奈の言う事も正解だとは思う。
だけど、まだ迷ってる。僕は、僕自身をどうするべきか
ずっと……だから、話したい人がいる、支えたい人がいる、助けたい人がいる。
多分、この島でやる事が多くなったんだ。思い込みかも知れないけど、僕は……」
「僕に関わってくれた皆に、関わり抜いて、自分なりに答えを探したいんだ」
「光奈みたいに、探すのは得意じゃないけど、これは自分の手で見つけたいんだ。光奈。」
「だから、さ……聞いてほしい事があるんだ。いい?」