2020/08/30 のログ
修世 光奈 > 「………………」

彼の言葉を、遮ることはできない。
少しうつむいて、視線を固定したまま聞き続ける。
ああ、もっと。
びし、とすぐに…彼の悩みを解決できるような力が自分にあればよかったのに。

そんなどうしようもない思いを抱えながら。
抱き寄せられるままに体を預ける。
ただ…ある意味、それは裏切られる

「……ぁ………」

小さく、声が漏れ。
…どこかで光奈は…自分が彼を支える想像をし続けていた。
けれど彼は…彼自身で立ち上がろうとしている。
それを偉そうに何を言っていたのか、と縮こまり。

「う、自惚れなんかじゃ、ない。
私も……もう、ジェレミア…とは、離れたく、ないって、思うよ」

ただ、そこだけは肯定する。
オトナからしてみれば、一時の恋だのすぐ冷めるだの言われそうな言葉だが。
今、この場に居る光奈にとっては何よりも強い真実だ。

「……うん。…何、かな」

情けなさや恥ずかしさに縮こまったままでも…少しでも彼が前を向いてくれたのなら、それは嬉しい。
声に明るい調子が戻り。
ようやく顔をあげ、彼の碧眼を見つめ返そう。
何を言われるのか、という…少し先への未来への色々な感情が混ざった目で。

ジェレミア・メアリー >  
周囲の声が気にならない位に、彼女に吸い込まれていく。
視線が、意識が、光奈に集中する。
……僕は、彼女と出会えてよかった。
彼女が隣にいてくれて、本当に良かった。
幸せ、なんだろう。だから、この幸せを享受するために、口を開く。

「……僕は、俺<キッド>のままで終わる未来をこのままだと望んでしまう。だけど
 今更かもしれないけど、僕は僕<ジェレミア>のままの未来を望んでる。
 僕自身がどういうものか、わからない。不確定なんだ。今更、生き方を変えられない」

風紀委員、秩序を治めるものの生き方。
もうこればかりは変えられない。
今更他の生き方を、少年の身で言うべきではないだろうが
何も思いつく事ではない。
自らの掌を見つめ、強く握りしめた。

「だからこそ、僕<ジェレミア>僕自身の未来を一緒に作ってほしい。
 僕が、僕自身を許せるようになったら、光奈と一緒に未来を変えていきたい」

真っ直ぐな碧眼が、光奈を見据える。

ジェレミア・メアリー >  
 
      「──────一緒に無事卒業でしたら、結婚しよう。一緒にくらそう」
 
 

ジェレミア・メアリー >  
夜空を照らす輝き、破裂音さえ今は聞こえない。
彩る光が、少年の表情を照らす。
穏やかに、気恥ずかしそうな、紅潮した微笑みだ。

修世 光奈 > 生き方を変えられない、不確定。
そんな単語で少し、落ち込む。
ううん、それならまだ一緒に居続けるだけ――――


「……………え、……っと…………」


光の華が空に咲くのと同時。
彼の、その言葉を聞く。
確かに聞いたはずなのに、頭で理解するまで酷く時間がかかった。
さっき、ぼかした言葉。
誰か、なんて逃げたのに。はっきり伝えられる
その言葉を聞くのは…例えそんな機会があったとしても、もっと後だと思っていた。

「――――――――――!」

ぼん、と。
理解した瞬間、花火の光に照らされた光奈の顔は…真っ赤に。
口は半開き、目は見開かれて。
理解は出来たが、言葉がしばらく出てこず。
花火なんて、目にも耳にも入ってこない。

「――――――――ぁ………」

修世 光奈 >           「……よ、……よろこん、で」
修世 光奈 > 何か、もっと良い返事の仕方もあったろうに。
震え声で、か細く。答えるので精一杯だった。

ジェレミア・メアリー >  
「……良かった」

照れる光奈をしり目に、心底ジェレミアは安心した。
良かった。本当に彼女が隣で、よかった。
彼女だから安心してられる。
彼女がいてくれて、よかった。

「光奈……僕の光……」

固まってるのをいいことに、その体を抱き寄せた。
きっともう慣れてしまった堅い体で包むように光奈の小さな体を抱きしめ

「──────愛してる」

口に愛を精一杯に込めて、言った。
これ以上の言葉を知らない。
ちょっと卑怯かもしれないけど、光の華に照らされながら
互いの愛を祝福するように、唇をそっと重ねた。

修世 光奈 > 本当にズルい、と思う。
一緒に探そう、なんて言われて。
隠していたこともあっさり見破られて。

それで、愛してるなんて言われたら、もう動けない。
何とも言えない、幸福感に全身が浸ってしまったまま硬い…逞しい体に包まれ。

「………ん………」

柔らかく、優しく唇を重ねる。
唇から…自分がどれだけ幸せか伝えたいと…
一度唇を離してから、もう一度、今度は光奈から唇を合わせて。

「……わたし、も。……愛、してる。…ジェレミア」

言葉にすると、…自分の好き、も愛に思える。
だから光奈も誓おう。彼を愛する、と。

ジェレミア・メアリー >  
「光奈……──────」

それが許されるかどうか、この幸せを享受していいかはまだわからない。
だけど、彼女がいてくれるから自分はまだ、僕<ジェレミア>は此処にいれる。
また夜が明ければ夢を見てしまうだろう。
まだ夢から覚める気配はないけど、いつか必ず夢から覚めて、君を迎えに行く。
だから今は、此の常世の世界で君の光に溺れていたい。
夏の夜空を照らす数々の華に見守られ
少年少女、愛の一夜を──────。


後は彼女の求めるままに何処へなりともいこう。
今だけは、彼女の為の時間だから。

修世 光奈 > 言った、言った。
それだけがぐるぐると周り。
ようやく、薄く花火の音が聞こえる。

「――――――…うぅ……」

何とか、しばらくして立ち上がれたものの。
愛を伝え合った直後では、しっかりとお祭りを回れたかどうか――

ご案内:「常世神社【夏祭り期間】」から修世 光奈さんが去りました。
ご案内:「常世神社【夏祭り期間】」からジェレミア・メアリーさんが去りました。