2020/09/03 のログ
ご案内:「常世神社【夏祭り期間】」に山本 英治さんが現れました。
ご案内:「常世神社【夏祭り期間】」に園刃 華霧さんが現れました。
山本 英治 >  
「大したことのない悩みなんて、ありませんよ」

それから続く言葉は、彼女の言葉。
彼女らしい言葉。
彼女の悩みに直結する、言の葉。

「……そうですか、苦しかったですね…」

自分のことを好きだと言ってくれた人がいなくなる。
そのことがどんな意味を持つだろう。

「でも俺はあなたが疫病神だなんて思いません」
「園刃先輩に愛を呟いた人は、きっと事情と思惑があって姿を消した…」

「同じ人を愛したんだ、それくらいに思うロマンティズムくらいは許されるはず」

「それに、俺は園刃先輩が仮に疫病神だったとしても」
「絶対に先輩から答えを聞くまでいなくなったりしませんよ……約束だってできます」

 
彼女がもらってくれると聞けば、目を輝かせて。

「いや、そうなんですか」
「こんなこともあろうかと射的スキルを磨いておいてよかった」

笑顔で袋に入れてもらったぬいぐるみを持つ。

「そろそろ、夏休み最後の花火ですよ」
「とっておきのスポットを知っているので、行きませんか」

目を細めて、ダメでしょうか……と相手の返事を待つ。

園刃 華霧 >  
言葉をひとしきり聞く。
静かにしかし熱のある言葉。


――いなくなったりしませんよ


「……そう」

答えはそれだけ
でもそれはフェアじゃない

「……一生、答え、でないかもよ?」

ぽつり、とそれだけを付け足した。



「ま、貰いモンを人にあげるッテのモな。
 ありガとさん、エイジ」

目を輝かせる相手に少し首を傾げつつも、お礼を述べる。
喜んでいるようなので、まあいいか。


「とっテおき? いいヨ。どコいくノさ」

なにか特等席でもあるなら、それはそれで悪くないのだろう。
考えてみれば、わざわざ花火を見る、なんていうのも初めてだ。
たまたま見かける花火なら見た記憶はあるが…

山本 英治 >  
相手の言葉に呵呵と笑って。
器用に片目を瞑って言う。

「それじゃ一生、俺は園刃先輩の傍にいることになりますね?」

冗談に、等身大の愛情を込めて。

彼女に伝えた。

 
 
「いやぁ、園刃先輩にプレゼントができるなんて光栄です」

そう言って自分も夜店でお面を買う。
買ったけど、アフロが邪魔して上手くつけられなかった。
悪戦苦闘して、結局諦めた。

お揃いが良かったんだけどな。

 
二人で歩いて行くと、立入禁止区域。
まぁ、神様に申し訳ないから入るなとか危険だから入るなとかいう場所じゃない。
交通整理と誘導のために祭りの間だけ入れない場所だ。

林道の前にいた風紀に敬礼をする。

「須藤委員、この先に用事があります。立ち入りの許可を願う!」

折り目正しく。
そして、わざとらしく。声を張った。

須藤 > そう言われると敬礼を返して。

「用事があるなら仕方ない、許可します山本委員」

ハハハと笑って山本の肩を叩いて。

「それにしても、急に根回しの電話なんてくるから何かと思ったらお相手は園刃か………」
「花火、楽しんでこい」

そう言って見送った。

山本 英治 >  
「……だ、そうです」
「灯りはありますが、林道なので足元に気をつけてください」

肩を竦めて歩きだしていって。

園刃 華霧 >  
「……ァー」

『馬鹿』は『馬鹿』。
常々思ってることが証明されただけだった。

……やれやれ
あっちもこっちも馬鹿ばかりだ。

あの件は真面目に考えたほうが良いかもしれない。


「ン、おま……此処って……」

交通整理で立ち入り禁止になってなってるじゃん、と
表示を見て思うわけだが。

ああ、なるほど。
いつの間にか、そういう段取り着けていたのね。
コイツ、意外に悪いやつだな?


「オマエ、意外に悪いヤツだな?」

カラコロと、慣れない下駄であとに続く

山本 英治 >  
「園刃先輩の傍らに居続けるアフロの騎士ってどうです?」
「あ、やばい。吝かではない。アリ寄りのアリだこれ」

おどけて言いながら。
相手の言葉に寄り添おうとした。
多分だけど、彼女は背負っているんだ。

自分を好きだと言ってくれた人全員の言葉を。

今は。今だけは。彼女の言葉に仕えよう。
今までたくさんの人を守ってきたんだ。
今夜くらい、たった一人のために風紀委員をやるのも悪くない。

 
「ギリギリでした……園刃先輩、当日にメールくれるんですから」

二人で歩きながら、話す。
間に合うかな。間に合うだろうか。

「四角四面に規律だけを守る男ではありませんので…」
「園刃先輩のためになら、少々の横紙破りもします」

そして、林が開けた時。

花火が。夜空に散った。

園刃 華霧 >  
「へイへい、好きに言ってロって。
 しかシ、騎士……ねェ……?」

一瞬頭にいわゆるそれっぽい鎧を着た目の前の男を想像する。

……超絶に似合わなかった。
思わず笑いそうになるが、流石にちょっと自重。

うん……さっきから、なんかちょっと違和感があるんだよな


「いヤ、まあ…祭り行くの決めタの今日ダしな?
 ってイうか、あの時間デよく此処まで話通しタな。」

今朝、どころか昼くらいのレベルで決まって。
そこからそういえば、くらいのノリで連絡したのだ。

実質数時間あったかどうかだろうに。
暇なことだ。


「ふーん、ようやるな……」


からころからころ

響くのは下駄の音
静かな中に、ただ音が響き
ついには目の前がひらけて――


遠く破裂音が全てをかき消し
宙に美しい花が咲いた

山本 英治 >  
「エアデートのエア妄想はエア得意なので、エア経験がエア生きました」

ぐっとサムズアップ。
ま、多少強引になったけど。
先輩……花火、喜んでくれたらいいな。

 
「……綺麗だ」

空に咲く花火。空に散る花火。空に舞う花火。
美しく、そして。

横目で見る、花火に照らし出される彼女の横顔は。

「花火と、園刃先輩」

とても綺麗だった。

園刃 華霧 >  
「全部エアじゃん」

思わず突っ込む。
大丈夫かコイツ、と思わないでもないが……
まあ、此の男はそういうイキモノなのは大体"味わった"。


「……」

花火というのは
その大小に関わらず

美しく咲き 儚く散る
一瞬に鮮烈を残し
消えていく


「……ふぅん」


初めて真面目に見る花火は

思った以上に多彩で
思った以上に多様で
思った以上に強烈で

思わず見入っていた

山本 英治 >  
花火を見上げる。
空に弾ける彩りと。
腹に響く轟音が。

二人を包んでいた。

「お互い、荷物があっては手を繋ごうと提案することもできませんね」

口の端を持ち上げて。

「全部……全部手放したら」
「園刃先輩の手を取れるんでしょうか」

「あなたをさらって。逃げて。どこまでも二人で行けたら」

「愛した女と二人だけ……」
「どこまでも逃げて、何もかも関係ないところで二人で生活を始めて」
「家庭を持って……シャカリキんなって働いて…」

「そんなことを考えます」

空がぱぁっとオレンジに輝いた。

園刃 華霧 >  
「………」

響く轟音の中
それでも聞こえてくる言葉がある

それは想い
それは熱

それは――


「      」


ひときわ大きな花火が弾けた

山本 英治 >  
ぬいぐるみが入った袋を持つ手に力が入る。

「……もちろん、できないことはわかっています」
「俺にも、園刃先輩にも」

「見つめるべきものがある」

「全部放り捨てるようなこと……できるわけがない」
「それでも……それくらい園刃先輩が好きなんです」

空に咲いては散っていく花火。
それは美しく、儚く。夏を彩る。

「園刃先輩の声が好きだ」
「園刃先輩の瞳が好きだ」
「園刃先輩の手が好きだ」

「園刃先輩の全てが好きなんだ」

「それだけは……今日、そのことだけは」
「伝えておきたかった」

尺玉が空に大輪の花を咲かせた。

園刃 華霧 >  
「……そう」

つよいおもいが
つたわる

にげずに
まえをみて

たちむかって

 

「物好きだな、ほんと。
 ナンパ男が血迷ったなぁ」

けたけたと、面白そうに笑う。

あ そうか 

山本 英治 >  
「自分でも驚いています」

苦笑して首の辺りを掻く。

「自分の中に、こんな情熱があったなんて」
「そのことに気付けたのは……僥倖でした」

「園刃先輩と出会えてよかった」

派手な花火が連続で上がる。
その華やかさの裏にあるもの。

花火が。二人の時間が。終わろうとしていた。

園刃 華霧 >  
「よりによって、アタシだもんな。
 まったく……自分で言うのも何だけど。
 なにがいいんだかな。」

卑下のようなその言葉は、しかし、
愉快そうな声で紡がれていた。


「……と、そろそろ花火も終わりか?」

リズムよく打ち上げられていた花火が、
だんだんとゆっくりなリズムになってきた。

もう、終わりなのだろう

山本 英治 >  
「さっきも言いましたけど全部です」

そしてこれが俺の返事。
夜空を見上げる時間。二人でいられる時間。
大切な時間が過ぎていった。


 
「ですね……」

空いた手を差し出して。

「帰りましょうか、真琴さんちまで送りますよ」
「大荷物ですしね」

感情のままに情熱をぶつける時間も、終わった。

園刃 華霧 >  
「ああ、もう帰る感じか。
 んじゃ、ちょっとだけ待て」

相手を引き止める。
一個、気がついたことを言っておかないと


「一個だけ、エイジに言っておかないといけないこと、
 またできたんだ。ずっと引っかかってたこと。」


感じていた違和感というべきか。
とにかくも


「この間のお見舞いからこっち、なんかエイジと改めて話しててさ。
 なんかずっっと気持ち悪かったんだわ。」

割とド直球をぶつけた。

山本 英治 >  
「ショ、ショーック!!」

こんなことってある!?
ガチ口説きが気持ち悪い男は誰だ!! 俺だ!!
惚れた女に気持ち悪いと言われる男は誰だ!! 俺だ!!

今、マジモンのショックを受けているのは誰だ……それも俺だ………

「あ、はい……普通に話しますね…」

園刃 華霧 >  
「それだ、それ。
 "普通"に話せよ。」

そう、それだ。
なにか引っかかる、というか……
悪くないんだけれど、悪い感じの


「時計塔で喧嘩した時とか、
 アタシに『自分を低く見るな』って言ったときみたいにな」

"なんでもする”といって結局それはできなくて
"惨めったらしく泣き叫びながら"喧嘩した時のように

それはとても気持ちよく響いたから


「敬語、気持ち悪いんだよ。」

山本 英治 >  
「……そうか?」

なんか懐かしいな。
あの時の時計塔の話も。
二人で喧嘩したような……特別も。

頭を掻いてくしゃりと笑って。

「それじゃ、これからは普通に話させてもらおうかな」
「改めてよろしくな、園刃」

園刃 華霧 >  
「そう、それだ。」

満足げに笑う。
うん、さっきまでよりよっぽどいい。
気持ち悪さがない。


「ん? ああ……なんか今更だな。
 よろしくな、エイジ」

山本 英治 >  
「口調を変えるんだからな、改めて言うんだよそりゃ」
「さ、帰ろうぜ……俺ぁ気取った口調が気持ち悪いと知ってHPが一桁なんだよ」

そのまま来た道を戻りだす。
今日はまぁ……楽しく過ごせたな。

なんとなく。なんとなくだけど。心が暖かくなった。

園刃 華霧 >  
「アフロの暑苦しさと並んで気持ち悪かったんじゃない?
 そりゃナンパも失敗するな」

けたけた笑いながら、帰り道につく。

意外と楽しかったかもな。
いい気分だ。