2020/11/17 のログ
ご案内:「常世神社」に幣美奈穂さんが現れました。
誰それ >  
今から見ると昨日。
午前中から神社の社務所に関係者や他の宗教家、研究者などが集まった。
眉の間に溝を深くした者や、困った顔をした者など。
常世祭の中で忙しい最中のことである。

『先般からの件だが・・』
『門だったのか?』
『黄泉穴だと思う』

と、神楽舞をする際に発生した現象を討議しているのです。
急激に神社の神域が広がったり、周囲が常春になり桜が咲いたり。
そして、黄泉に繋がるらしき穴が空に開き、そこから見えた牛頭の巨大な存在。
その存在力や参拝者の具合が悪くなった状況から、牛刀天王か蚩尤かと
そんなことを言い出す宗教家もいたのだ。

『封印を・・』
『いや、学生にそれは・・』
『危険だ』
『うちの宗教に・・』

なんて、物騒な方向に流れ出した時間もあったのだ。
それを起こした学生は、今回は休みとしてもらっていた。
カバラ数秘学者からは、転異荒野の中心と裏常世渋谷の件の事件のあった場所と。
そして神社が黄金数φで現わされ、何か関係しているのではないかという発言さえあったのだ。

誰それ >  
結局は、常世島の特徴。
転移荒野の存在や裏常世渋谷など、そういうのが発生しやすい土地柄で、
歪を開きやすい場だからではないか・・などと声が大勢をしめたのです。
そして、昼からは件の生徒に関与する教師や祭祀局、組織の人達が合流。
どんな存在かと聞けば、神主さんが言うとおりに天真爛漫な子供だと。
悪いことなど考える隙間もないのを再認識させられるだけで。
そこで、神主さんが「どういう気持ちで」と伝えた事を述べられると、
信じやすい子だからと知っている人たちは苦笑するのです。

そこで、面白いデータが少し見つかりました。
神楽舞の最中で、ほんの少しだけ神力がぶれているのです。
普通なら当たり前だろうという乱れですが、まったく同じ出力を出すその学生だと、
そのわずかな乱れはなにか・・色々と類推されます。

――何がこの乱れを起こしているのか。
議論をされて、やはり体調などではという結論にされようという中で。
1人の教師が手を上げるのです。
その手には、その日の天候データが。10秒毎にとられる公共のもので、
神社にも観測点があるのです。

『この乱れの時間、どうやら北西から風が吹いた時に』

早速に見比べられます。
確かに、北西からの風が吹いた時のみ乱れ、他はフラットです。

誰それ >  
これが原因か、と。
常世島の地図が持ってこられ広げられます。
神社の北西・・指で辿ると、青垣山。
青垣山になにかが・・?
と、更に議論がされるのです。
日が陰るのが早い秋の空、茜に沈む外を世界魔術協会の人が窓を開き、
外の祭りの賑やかな音が聞こえる中。
そこから少し身を乗り出して、北西の方を見ます。

『この先の青垣山から・・あの建物は?』

視線の先には3階建ての建物。
西に沈む太陽によって、陰になり。既に明かりが点いている様子があります。
神社の人が近づいて同じように窓から顔を出しますと。

『あぁ、社務所です。
 この時期だと24時間フルですよ。
 ほら、身体が冷えているから甘酒とか、お汁粉とか切らさないように。
 常に作り置きして・・』

その瞬間、学生を知る人たちから納得の顔。
首を傾げさせるそのほかの人達に、一つ提案をするのです。
それは・・・・。

幣美奈穂 >  
美奈穂、今日はお昼過ぎからです。
朝の間は学業で、授業を受けておりました。
一般教養3つに、竜語。
ぐわぐわぐわぁ~、とちょっと楽しかったのです。

昨日はお休みとなりましたけど、今日はまたお役目だと、
着替えや勉強道具などが入ったカバンと一緒に、お迎えの車の後部座席で
いつも通りゆるほわな雰囲気で正座してます。

送ってくださった運転手さんにお礼を言いまして、迎えのお時間も聞きまして。
いざっ、お役目です。
やる気十分な美奈穂です。

身を清めまして着替えまして、そして出番まで待機です。
水物も我慢です。
そうしましたら来られた神主さん、挨拶しましてから。
きりりっと本人はしたつもりのお顔で、言う事を言うのです。
言えるオトナな美奈穂です。

「あの、今日はやっぱり。神様にありがとうって舞いたいです・・」

と、ちょっと上目遣いになってお願いしますと。
あっさりとそれでいい旨が伝えられます。
美奈穂、デキるオトナです。

出番になり、神楽殿に立ちます。
瓶子を捧げ持つ両手をぴんっと。

――この御酒は わが御酒ならず 

神様たちへの感謝の舞を・・。
そう思い舞う美奈穂に、ほのかに甘い匂いがお鼻に。
美奈穂は半トランス状態ですが、つい、ぴくぴくとお鼻が動きます。

――酒の司 常世にいます

すすっと右足を前にして、手を少し上方に。
常世を見守る神様、ありが・・お汁粉の匂いです!。

『・・神力、放出量が乱れてます』
『もう少し風を強くしてみましょう』
南側の窓が開けられた、社務所の台所。
設置された扇風機の風力が増します。

幣美奈穂 >  
――石立たす 少名御神の

実家での舞なら、ここでしゃんっと鈴を鳴らしますけど。
ここでは瓶子を傾けるのです。
この地を、見守る神様に捧げる・・今日のお汁粉、お餅2つ入ってるかしら?

――神寿き 寿きくるほし

瓶子を切るようにして持ち上げて、それを両手に持ちまして。
ゆるりと舞台を回ります。
美奈穂のお腹が小さくぐ~っと鳴るのです。
ただ、どんどんお汁粉脳になってきている美奈穂、
そんな状態でも舞には1㎜のブレもズレもないのです。

――豊寿き 寿きもとほし

『・・何も起こりませんね』
『いや、まさか。・・まさか?』
今日の観測は、始まるまでは緊張していたのですが。
すっかりゆるい空気になっています。

幣美奈穂 >  
半トランス状態になっている美奈穂。
たたんっ、と舞台を踏み鳴らしまして。

――まつりこし御酒ぞ

最後の言葉は言わないというしきたり。
舞台に屈み、膝まづき。
本殿の方へと深く頭を下げるのです。
そしてお腹はぐぐぅ~。
今日、3杯に挑戦してみてもいいかしら?

『えぇ、何も起こらず・・普通でしたね』
『普通に綺麗な神楽舞でしたね』
気の抜けた観測現場です。
まさか、お汁粉の匂いで調整できるとは・・。

そんな風になっているとも知らない美奈穂。
人非ざるけれど色気が薄い少女の表情、ふっ、と解けますと。
いつもの無邪気なお目めがぱちぱち。
そしてへにょり。

「できましたでしょうか・・?」

頭を神主さんに撫でられまして、ほのほの嬉しそうな美奈穂。
神様に沢山感謝しました、とえっへんと伝えますと。
・・お汁粉脳が途中でお汁粉を捧げたりしていたことに、本人気付かず。
そんな美奈穂に苦笑する神主さんです。

そんな美奈穂、お汁粉はやっぱり2杯でした。
両方にお餅が2個入ってたのです!
初穂料を頂き、そしてやはりお駄賃の金券10枚を神主さんからもらいまして。
今日も神社周囲の屋台を楽しむのでした。

ご案内:「常世神社」から幣美奈穂さんが去りました。