2020/12/31 のログ
ご案内:「常世神社」に杉本久遠さんが現れました。
ご案内:「常世神社」から杉本久遠さんが去りました。
ご案内:「常世神社」に杉本久遠さんが現れました。
杉本久遠 >  
「だーはっはっは!」

 大晦日の常世神社。
 もう夜中という時間に、この男、杉本久遠は神社の境内で腕を組み仁王立ちしていた。

「うむ!
 夜はやはり冷え込むな!
 スーツを着てきて正解だったぞ」

 着物に袴、羽織りを着て立つ久遠は、少しも寒そうに見えない。
 着物の下に、エアースイムというスポーツで使う魔道具のウェアを着ているのだ。
 体温を維持し、外気からも身を守る優れものだ。
 

杉本久遠 >  
『──説明しよう!
 私達杉本兄妹は、昔からよく、大晦日と元旦のお手伝いに来ているのだ!
 私は元日対応の準備のお手伝いで、兄ちゃんは夜中にくる参拝客への対応──という名目で、最速初詣をしたいだけなのである!』

 と、どこからともなくフェードインした巫女装束の少女が人差し指を立てて、突然解説を始めた。
 この少女は永遠、久遠の妹である。

「うむ!
 ──で、永遠、誰に説明してるんだ?」

『そこは兄ちゃん、親愛なる読者諸君へってやつだよ。
 それより、オジサンが兄ちゃん一人で平気か、だって。
 私も夜回り付き合おっか?』

「だはは、心配するな。
 これも誰よりも早く初詣をするために必要だからな!
 なあに、この時間からは流石に誰も来ないだろう!」

『それ、鏡見ながら言える?』
 
 この大晦日の深夜、久遠が最速初詣の為に夜回りを買って出ているのには一応、訳がある。
 『二月末』の『エアースイム常世島大会』で上位入賞を目指すための願掛けだ。
 速さを求める久遠の、誰よりも速く、という願いを込めようというのである。
 

杉本久遠 >  
『去年も何人かいたでしょ、神社で年越ししようとか、兄ちゃんみたいな事考える人とか。
 来たらちゃんと対応してよね。
 夜中にトラブルが起きると大変なんだから』

「お、おう。
 うむ、責任重大だな」

 夜中に神社を訪れる人にも種類がある。
 年越しをしたい人、初詣を待ちきれない人、混雑を避けるため初詣をして日の出を見て帰る人。
 様々な理由から、毎年何人かはこうした真夜中に姿を表す事があるのだ。
 

杉本久遠 >  
『じゃ、私はお手伝いしてくるから。
 何かあったら呼んでねー』

 そう言うと、永遠はひょこひょこと社務所へ向かって行った。
 久遠はそれを見送ると、再び境内の真ん中に立ち、やってくる人は居ないかと待ち構えている。
 人が来たら、ストーブのある仮設のテントに案内する事になっているのだ。
 そして年が明けたら、順番に初参りをするのである。

「とはいえ、もう一時間もないからな。
 これから来るような人となると、どんな人が来るかなあ」

 一体どんな人物が来るか。
 それとも来ないのか。
 久遠は一人、深夜の境内に立ちつくす。