2021/01/02 のログ
照月奏詩 >  
「バイトしないで初詣に来たほうが確実だろ。時間制限もないし……まぁでも、バイトした方が話しかけやすいのは事実」

 完全に負けである。肉体派インファイターは口は弱いのである。
 腕に抱きつかれれば一瞬バランスを崩しそうになるがすぐに立て直して。

「当然、というかここで金取ったらいくらなんでもクズ過ぎるっての」

 どんな構図にせよここで金をとれば確実に回りの目線が酷い事になるだろう。
 甘酒の店に到着すれば。サイフを取り出してお金を出す。

「甘酒二つ。はい、あけましておめでとうございます」

 店員にとんなやり取りをして。自分のはまだ屋台に置いたまま。先にもらった一つを彼女に差し出す。

「ほら、熱いから気をつけろよ」

 彼女が受け取れば自分も甘酒を受け取って飲み始めるだろう。

劉 月玲 > 「ありがと、おにーさん」

甘酒を受け取ってちびちび飲んでいく。
あまり飲んだことがないのと、ちょっとあついのでちびちび。

「で、おにーさんはここでバイトなの?
見回り兼ナンパの?」

相変わらずナンパ扱いをして笑っている。

照月奏詩 >  
「どういたしまして」

 お礼を言われればそう返して自分も飲み始める。
 甘さと温かさが体を包む。がその後に少しムセそうになる。

「ナンパのバイトってどんなバイトだよ! 掃除のバイトだよ。つっても今は休憩だけどな」

 ゴミ多いんだよと目線と顎で指す先は道端に捨てられたごみ。人が多ければ必然そういう物も増えていく。
 こっちとしては仕事が増えるので簡便してほしいわけだが。

「たぶん開始は夜中になるんじゃないかな。ある程度客がいなくなるまで待ってろとか言われたし……そういうあんた。ってなんかあんた呼びもあれだな。俺は奏詩、君は」

 名前を聞いていないのであんた呼びになっていたが。中々に違和感がすごかったので名前を尋ねた。
 

劉 月玲 > つっこみが面白く、ケラケラ笑いつつ。

「そっか~、掃除のバイトかぁ。
意外と普通のバイトねー」

しかも社会貢献タイプ。
ちょっと予想外。

「私は劉 月玲。でも、シャオリンでいいよ。
皆からそう呼ばれてるから。
そーしはあだ名ないの?」

照月奏詩 >  
「普通じゃないバイトはここら辺じゃないからな」

 ある場所にはあるが。普通じゃないバイトで神社に来る事などない。無いはずである。
 名前を聞けば頷いて。

「ならシャオリンって呼ばせてもらうか。よろしくな、で、あだ名だったか。残念ながらそういうのはつけてもらったことはないな。残念ながらさ」

 そういって肩を竦める。
 そういうあだ名をつけるような友人はいない、偽名と言う意味でしいて言うとすればヴィランコードになるが……それをここでぶちまけるわけにはいかない。

「なんだったらつけてくれてもいいぜ……あ、ナンパ関連とかその辺は却下な。ネタにしてるだろさっきから」

 と苦笑いを浮かべて告げる。
 実際それをネタにしてつけられたら今後彼女に呼ばれる度に回りに白い目を向けられそうだ。
 

劉 月玲 > 「んふふ、そーしったらなかなか用心深いのね。
今回はその用心深さが正解だけど」

言われなかったら多分つけていたし毎回呼んでいた。
先回りで注意されてしまったのでちゃんとしたのをつけようとは思い。

「んー……。
そーし……そーし……。
そー……た?
そーた?」

名前になった。

照月奏詩 >  
「それ別人じゃね?」

 完全に別人の名前となっていた。それを聞いて少し笑っていた。
 一口余鮭を飲んで。

「ま、普通に奏詩でかまわないよ。俺もそれが1番慣れてるしな。そういえばシャオリンはもうお参りはすませたのか?」

 ここに来たということはお参りが目的だろうなと思ってそう尋ねる。
 それから参拝の方に目線を向けて。

「もしまだなら早いところ並んだ方が良いかもな……まだまだ増えるぞあの感じ」

 まだまだお参りを終える人より並ぶ人の方が多い勢いである。
 もし並ぶなら早くしないと言った通りドンドン増えていきそうだ。

劉 月玲 > 「難しいわね、あだ名って」

残念ながらそんなにつけたことはないので、一瞬のひらめきではこの程度になってしまう。

「あ、お参り。
興味はないけど、行っておいたほうが良いのかしら?
神様って信仰してない人でも、お参りしていいの?」

甘酒をまだちびちびと飲んではいるが、そろそろなくなりそうではあり、移動するのもやぶさかではない。

照月奏詩 > 「ああ、かなり難しいよな。俺も考えろって言われたら無理だわ」

 ああいうのをスラスラと作れるのはある種才能のレベルだとすら思っている。
 少なくとも自分には無理な事だ。
 それからいいのかと聞かれれば首をひねって。

「まぁ……いいんじゃね? 俺も年末にもうお参りしてきたし。別に神様とか信仰してないけど今のところ罰は当たってないぜ」

 ここの神様は心が広いねぇなんて言いながら甘酒をクイッと飲む。体はしっかりと温まった。
 近くのごみ箱に紙コップを捨てた。

「だけど興味ないなら無理には必要ないと思うけどな。あの列だし、やりたいって思わないと中々に大変だし」

 ゾロゾロと人が列を為す姿は中々にすごい見た目だが。
 同時にそこに入るとなると抵抗があるのもまた事実であり。

「まぁでもなんだかんだ初詣っていうと並んでお参りするって流れだったりもするし。どうなんだろうな……案外こうやって話してればすぐかもしれないし。行ってみるか?」

劉 月玲 > 「んー……」

人混みをみて唸る。
確かにしゃべっていればすぐかもしれないが、なかなかに人が多い。
ちび、と最後の甘酒を飲み終えるとゴミ箱に捨て。

「いきましょっか。
じっとしてても仕方ないもの!」

照月奏詩 >  
「了解、じゃあ行くか。人込みではぐれるなよ」

 一瞬手を差し出しかけたが。少し考えてひっこめ、彼女が見失わないようにゆっくりと歩く。
 手を引っ込めたのは彼女が存外はっきりしている子のようだしあまり子ども扱いも問題だと判断してである。

「あ、でも小銭とか持ってるか。お賽銭必要みたいだが。流石にそれを俺の金でやったら後利益的にどうかなって思うしな」

 高いお金ではないが。それを他人のお金でやって後利益があるのかどうかというのは中々に疑問が残る所ではある。

「それと必要なのは今年のお願いとかか? なんかあったりしないのかよそういうの。俺は年末の段階で今年も1年友人たちが無事に過ごせますようにってお祈りしておいたぞ」
 

劉 月玲 > 「ん、ゴーゴー!」

逆にこちらから腕にひっつき、はぐれないようにする。
人混みが凄いので、こっちの方が楽なのだ。

「小銭ぐらいならあるわ。
そんなに大きな金額じゃないけど」

百円とかその程度だが。
流石にそこまで他人のお金はまずかろう。

「お願い事かぁ……。
んー……、特にないかも。
てきとーにお願いしておけばいいかなー」

次の1年を迎えられますように、ぐらいだろうか。

照月奏詩 >  
「ごーごー」

 彼女の言葉に乗っかるように同じことを言った。今度は来るかもしれないと予想がついていたのでバランスを崩しかける事はなく普通に歩き進める事が出来た。

「ん、なら大丈夫か」

 あると聞けば安心。まぁ最悪こっちのお金でも問題はないだろうが。なんとなくである。
 特にないと言われれば少し苦笑いをした。

「適当か、気持ちはすごいわかる、正直いきなりお願いとか言われても困っちゃうよな。俺も気が付いたら年末になっちまってたからさ。それでさっきのお願いになったって感じ」

 とはいうが、正直自分には願いなどそれくらいしかないので考えた所で無駄だったかもしれないとは思う。
 少しだけ考えるしぐさ。

「俺はどうするかな。一応年末にお願いしちまったけど。改めてもう一回しておくべきかどうか……」

劉 月玲 > 「うんー、願い事っていっても困っちゃうしー。
それに叶えてもらえるものは、そのうち自分で叶えちゃいそうだし」

神様にお願いしたから叶ったというのは微妙に癪だといいたげ。
それ以上に、かなえたいものがないというのもあるが。

「じゃあ、今度は挨拶だけにしておけば?
神様も一回に一つの願い事言われてたら、みんな何回もお参りすればいいみたいなことになっちゃうし。
神様に『今年もよろしく』みたいにいっておけばいいんじゃないかなー?」

照月奏詩 >  
「カッコ良いこというなシャオリンは」

 サラっと言ってのけたが。かなりすごい事を言っている。
 その後に言われた事に少しだけ笑う。

「違いない、何度もお願いするのはルール違反か。挨拶だけにしておく」

 言われればその通りかと頷いて並んでいた。
 時折吹く風はとても冷たく中には並んでいてもあきらめて抜けていく人までいるだろう。

「おお、寒。さっきで結構あった待ったつもりだったけど風とか吹くと結構ヤバいわ」

 しかもコートとかがあるわけではない。かなり寒いわけで。
 それから彼女をチラと見て。

「シャオリンは大丈夫か。俺も人の事言えないけど……だいぶ軽装だろ」

 パッと見かなり寒そうな格好をしている。
 だから大丈夫かと尋ねた。

劉 月玲 > 「そーお?
私のお願い事はそんなすごいものはないってことだけよ?」

うん、たぶんお願いすることなんて実現範囲レベルのことしか思い浮かばないと思う。
ちょっと難易度は高いかもしれないが、時間をかければ。

「ん、寒さには強いほうだし。
あと、服もけっこう中の方がもこもこしてるから暖かいんだよ?」

照月奏詩 >  
「それでもこういう場所ってお祈りしちゃう人が多いからさ」

 特に彼女くらいの場合そういうのが多いだろう。と思っていた。
 見た目通りの年齢で考えてしまっていたのが1番なのだが。

「マジか。モコモコしてるっていってもそれで耐えられるってのは……少しうらやましいわ。いやスカート履きたいって意味じゃないけどさ」

 寒さに強いというのがうらやましいわけで。恰好がうらやましいわけではない。
 そんな趣味は残念ながら持ち合わせていない。

「俺は寒いのホント苦手だからさ、これも下はカイロとかシャツとかで必死こいて守ってるんだが……早く春になってほしいわ俺は」

 能力を使えば防げなくもないが。こんなところで能力使うのはいくらなんでも面倒だし。そもそもバリバリと電撃を纏いながら列に並ぶなど不審者でしかない。

劉 月玲 > 「ふーん……まぁ褒められたってことにしとこー」

えへへ、とちょっと照れつつ。

「あー……春。
冬からすぐの春はいいかもだけど、夏に近い春は嫌いー。
春っていいつつすごい暑いことあるもん。
わたし、暑いの嫌い」

暖かいのは好きだが。
近づいてきた賽銭箱を見て、お賽銭を用意する。

照月奏詩 > 「ああ、暑いの嫌いか。それならたしかにその辺は辛いわな」

 自分が寒いのが苦手だからその逆も当然いるとわかるわけで。
 その気持ちはわかるのである。

「俺も暑すぎるのは少し嫌だからな。寒いのよりはマシだけど。あ、でも祭りとかは結構好きだぞ」

 ふと思いついたように。
 夏の風物詩ともいえる祭りを上げる。

「あの賑やかな感じとかさ。あんまり参加はしないけど雰囲気とかで結構楽しめるから好きなんだよ。暗い雰囲気だとこっちまで暗くなっちまうし」

 だから明るい方が好きだと苦笑いをして。お賽銭を準備する。今度は10円を取り出した。
 実はこちらもしっかりお参りは初めてなので回りを見てお参りのマナーみたいな物を確認しておく。

劉 月玲 > 「お祭りは私も好き!
だから今日もここに来たんだけどね。
冬にも花火とかあげればいいのにねー?」

屋台があるとそれだけでお祭りっぽい。
ちょっと楽しくなってしまうのだ。
花火があるともっといい、と思いつつ。

「あ、ほら賽銭箱。
よいしょ、っと」

賽銭箱までたどり着けば、用意していた硬貨を入れて手を合わせて目を閉じる。

照月奏詩 >  
「ホントにな。だけど俺は冬花火は参加できそうにないや。この中で立ったまま何時間もあれを見てるとか……一種の拷問にしかならなさそうだし」

 俺には絶対に無理だと肩を竦めた。
 そして賽銭箱までたどり着けば10円を入れて。今度はカラカラと鈴を鳴らした。
 そういえば前はならせていなかったし丁度いいかもしれない。
 そして手を合わせて軽く目をつぶる。
 今度は簡単な挨拶だけで。

「ん、よしOK」

 挨拶が終わって目を開いた。

「じゃ、今度はおみくじっと?」

 おみくじに誘おうとした所で懐から感じる振動。
 携帯電話を開くと。あちゃーと言いながら頭を軽く掻く。

「悪い、時間っぽい。違うエリアが少し人が減ったから仕事開始するってよ。後は一人で大丈夫そうか?」

 まぁこれだけ大きなイベントならば風紀委員なども警戒に当たっているだろうし。問題はないと思うが。一応そう尋ねた。

劉 月玲 > 「あー、なるほどぉ……。
じゃあかまくらとかあればいいのかなー」

用意するつもりはないが、そうやってどこかで暖かさを確保しながら見れれば、アリだろうかと考えつつ。

「あれ、もうそんな時間?
ありがとそーし。
あとは一人でもだいじょーぶ!」

照月奏詩 > 「それならギリセーフかもしれない。というかセーフにしたいなすごい楽しそうだわそれ」

 カマクラに入りながら見る花火とかとても面白そうだ。もし機会があるならぜひやってみたい。
 さて、そうして大丈夫だと聞かされれば頷いて。

「ホントごめんな。一応あっちの屋台エリアの方にいるからさ。もしなんかヤバそうだったらすぐにそっちに来てくれ。しっかり風紀委員の所まで案内してやる」

 ここで守ってやると言えないのは地力の少なさであった。
 携帯を操作して了解しましたと返信だけして。

「それじゃあシャオリン。っとそういえば言い忘れてた。あけましておめでとう。よいお年を」

 肝心のあいさつを伝えていなかったのでそれを伝えると屋台エリアの方へと消えていった。

劉 月玲 > 「誰がそんなのつくるかとかあるけどね」

言い出しっぺの法則?
そんなものはしらない。

「ん、ありがとそーし!
あけましておめでとー!」

そういえばこちらもいってなかった、と去る彼に手を振りながら挨拶を返す。

ご案内:「常世神社」から照月奏詩さんが去りました。
ご案内:「常世神社」から劉 月玲さんが去りました。
ご案内:「常世神社」にサヤさんが現れました。
ご案内:「常世神社」に迦具楽さんが現れました。
サヤ > 元旦の朝、初詣の人々でごった返す神社。参道を種々様々な屋台が挟み、普段とは全く別の様相を呈している。
常世神社入り口付近、サヤは迦具楽からクリスマスプレゼントの一つとしてもらった振袖姿だ。

「すごい人ですね、こんなにこの島に人が住んでたんですね。」
サヤの身長では全く周りが見えないので軽く飛んで人混みから頭を出し、その人数に驚く、人々の頭の色が様々なので黒山ではなく、絵の具を撒き散らしたような人集りだ。


「それにお店もいっぱい、参拝したら少し回ってみますか?」
立ち並ぶ出店に視線を向けながら。すんすん、と鼻を鳴らす。混ざりあった匂いは知っているものもあれば知らないものもあった、異邦人街から着ている店もあり、得体の知れない商品が並んでいたりもした。

迦具楽 >  
「おー、今年も大盛況だねえ。
 いいね、参拝したら甘酒とか、お雑煮とか食べて温まろうか」

 と、腕を組んだ相手から、少し目を逸らすようにしながら答えた。
 大切な女性が、自分の用意した晴れ着で着飾って、隣を歩いているのだ。
 どうにも落ち着かなくて仕方がない。

「それより、その。
 ――綺麗だね、サヤ」

 そんな普段なら平気で言える言葉もぎこちなくなってしまう。
 参拝客の列に並びながら、自分の髪を留めている、赤いバレッタを無意識に触っていた。
 

サヤ > 腕を組んでゆっくりゆっくり進む行列に続く。
以前のサヤなら腕を組むなどしたら顔を赤くしていただろうが、今日はごく自然に、当たり前のように腕を取ることが出来た。
「そうですね、でも帰ったらおせちもありますから、食べ過ぎないようにしてくださいね?」

綺麗だね、と言われて、自分のこととは思えず。
「え、何がですか?」
と目を逸らしている迦具楽が何か見つけたのかと、顔を寄せて、同じ方を向く。そうなれば当然、頬が擦れ合うほど近づくことになる。

迦具楽 >  
「そっかサヤのおせちもあるんだもんね。
 まあでも、それならいくらでも食べられるしなー」

 自然と腕をとってくれる彼女は嬉しいのだが。

「え、あ、うん。
 その、サヤが」

 距離が近づくと、またぎこちない調子で。
 うっすらと、頬が赤くなっているのは寒さのせいじゃないだろう。
 

サヤ > 「え、私……そ、それは、ちょっと、驚きましたね。」
真正面から褒められると、こちらも頬を赤らめて、顔を背けてしまう。
そのまま口を閉じて、組んだ腕にもう片手を添えて、より体同士をくっつける。
「う、嬉しい、です……。」
そして小さく小さく、お礼の言葉。

迦具楽 >  
「綺麗だし、その、私も、嬉しい」

 距離が近くなれば、また顔を逸らしてしまうが。
 はたから見れば、きっと恋人のように見えているのだろう。
 それに、気恥ずかしさと嬉しさを感じている。

「え、っと。
 ヒトも多いし、はぐれない様にしないとだもんね」

 迦具楽からもしっかりと、組まれた腕を支えて。
 それこそ恋人らしく指先を絡み合わせる。

「あー、はは。
 それにしても、これだけヒトが多いと、時間がかかっちゃいそうだね。
 サヤ、寒くない?」

 

サヤ > 「はい、あの、なんか、あの、ええっと……迦具楽さんのプレゼントの、おかげです。」
互いに顔を赤らめて目を合わせられず、それでも腕をしっかりと組んで歩く様はいかにも結ばれたばかりのカップルだ。
それに気付けば更にぎこちなくなるだろうが、少なくともサヤは気づいていない。

「…っ、そ、そう、ですよね。はぐれたら、大変、ですもんね。」
指を絡められると、躊躇いがちにこちらも握り返す。

「あ、えと……そう、ですね。ええと、さ、寒くは、あ、えと……さ、さむ、かったら、な、何か……してくれます、か……?」
汗ばんだ指が何度も迦具楽の指に絡め直される。ちらりちらりと期待するように視線が向かうのは、迦具楽の巻いているマフラー。

迦具楽 >  
「えへへ、照れるな。
 私のプレゼントで、サヤがこんなにきれいになってくれるんだ。
 また、サヤに似合いそうなもの、探さなくっちゃ」

 ほんのりと赤くなったまま、デレっと表情を緩めて笑う。
 絡め合う指が、ほんのりと汗ばんで、熱い。

「ん、んー。
 どうしよっかー――こうしてみる?」

 と、自分のマフラーを緩めて、彼女の肩にも掛ける。
 身長が近いのもあって、長いマフラーは二人が一緒になっても丁度いいくらいだ。

「これなら、ね、あったかいでしょ?」

 肩を寄せ合いながら、少し照れ臭そうに笑う。
 

サヤ > 「迦具楽さんも、お、お似合いですよ。綺麗です。」
組んでいる腕に添えていた手を伸ばして、艶のある黒髪の中、炎のように浮かび上がるバレッタと髪を撫でる。
さらさらと指の間を髪が通っていく。

「わっ……。」
ふわりと長いマフラーがこちらの首にも巻かれる。
色恋沙汰に疎いサヤでも知っている、恋人同士がやるような巻き方。期待していた巻き方。

「はい、暖かい、です……。ふふ……幸せ、です……。」
すぐ側の迦具楽の肩に頭をあずけて、どこか呆けたような声で。

そうしているうちに、のろのろとした行列の歩みは本殿へと届く頃だろうか。

迦具楽 >  
「んふふ、ありがと」

 指が髪を梳いていくと、くすぐったく感じながら微笑む。
 彼女に比べて、綺麗や可愛いなど多少言われ慣れてはいるが。
 それでも、彼女に言われるとどうにもむず痒くなってしまう。

「そうだね、あったかいし――サヤも可愛いし」

 隣にいる彼女の様子に、迦具楽もまた幸福を感じて。

 ようやく目の前にあと数組というところになって、拝殿の様子も見えてくる。

「そういえば、サヤは何をお願いするの?
 ――って、こういうのは聞かないモノだっけ」

 二人で巻いたままじゃ、お参りも出来ないので、彼女は残念がるだろうが自分の分を解いて、彼女の首元にマフラーを巻く。
 自分は、さて、なにを願うおうかと首を傾げた。
 

サヤ > 「急に可愛いとか、言わないでくださいよ。その、嫌じゃ、ないですけど、びっくり、します。」
少し前までなら慌てながら否定していたであろう言葉も、少し言葉につまりつつも、受け取ることが出来る。
こちらもどこかむず痒そうに、肩を揺すった。

「そう、ですね。ええっと、こちらだと言ってしまうと叶わないと言われているとか。
 だから、秘密です。叶わないと、その、私の人生設計に大幅な狂いが出てしまうので……。」
ほとんど何を願うのか自白するようなものだが、サヤとしては秘密にしているつもりだ。
二人で詣でるためだろう、二人をつないでいたマフラーがほどかれる。名残惜しそうに顔を埋めて、中にこもっている迦具楽の匂いを吸い込む。
手も離さなければならないだろう、神前でも繋いだままなんて無礼な真似は出来ない。片時でも離したくないのだが。

前に並んでいた組がばらけて、自分たちの番が来る。
階段を昇って賽銭箱の前に立って、また名残惜しそうにゆっくりと手を解く。
拝殿、そこに祀られている神に向かって頭を下げ、賽銭を投げてから、鈴を鳴らして、二礼二拍手一礼。
迦具楽とずっと一緒に居られますように、と誠心誠意込めて神に乞い願う。

もう一度軽く会釈をして拝殿を離れる。すぐに迦具楽の手に重ねられる手は催促するかのように。