2021/01/03 のログ
■迦具楽 > 0
「んー?
だって可愛いんだから、仕方ないでしょ?」
そう思ったんだから、言うのは当たり前だろうとでもいうように。
名残惜しそうに離される手を、こちらも指先が離れるまでしっかりと感じて。
「そっか、言っちゃうと叶わないのかぁ。
サヤの人生設計が狂っちゃうんじゃ、私のこれからも危ういしね」
きっと彼女は自分との事を願ってくれるのだろう。
それは素直に嬉しく、幸せに思う。
なら、自分は何を願うのだろうか。
(――サヤとの事は、誰かに願うようなものじゃない。
私がちゃんと、叶えてあげないといけない事だもんな。
他の事も、うん、私が自分で頑張らないといけない事ばかりだ)
彼女の作法を真似ながら、しっかりと手を合わせて。
なら、一体何を神頼みすればいいのだろうか。
邪神の残滓で、破壊神の親友、そんな迦具楽が神に何を願うのか。
(――あの子が、本気になれる事が見つかりますように)
それは、もう一人の大切なヒト。
大切な、この先沢山の可能性がある親友の事。
隣の彼女には少し悪い気がするけれど、迦具楽が誰かのために祈るなら――その親友の事だった。
タイミングを合わせてくれたのだろう。
拝殿を離れる彼女は、すぐに手を重ねてくる。
それに笑って指を絡め、肩を寄せ合う。
「それじゃ、甘酒でも貰って少し温まろうか。
それとも、お守りとか矢とか、買っていく?」
そう、甘酒を配る神職たちや、売店の方へと視線を向ける。
■サヤ > 拝殿から離れると、くしゅんっ、とサヤからくしゃみの声が漏れる。だが本人はくしゃみの素振りなどしていない。
目を向ければ、口元を押さえて恥ずかしそうにする様が見れるだろう。
「すみません、石蒜が急に……変ですね、同じ体なのにあの子だけくしゃみするなんて……。」
首を傾げながら、マフラーを一部解いて迦具楽の首にに巻き直して、またくっついた。
「そうですね、忘れると大変ですし、破魔矢とお守りを頂いてからにしましょう。
あ、迦具楽さん大丈夫ですか?そういう破魔とか、加護とか……。」
参道を戻る途中に並ぶ購買、その直前で足を止める。
迦具楽は以前自身を邪神の類だと言っていたはずだ、それが破魔矢を家に置いたりお守りを持ち歩いたりして不快感を覚えたりしないだろうか?
■迦具楽 >
「んえ、珍しい。
そんな事もあるんだ」
また二人でマフラーを巻きつつ、しっかりと寄り添って。
「あー、あんまり強力なのはちょっと苦手だけど、基本的に平気かな。
なにかあっても、ちょっとこう、ピリピリするっていうか、気になるくらいだよ。
ほら、じゃなかったら神社とか来れないって」
足を止める彼女に、大丈夫だよと笑う。
なにせ、様々な結界があちこちに用意されてる常世島だ。
その程度の事は気にならないくらいに、すっかり慣れてしまっている。
「じゃあ、矢とお守りと――」
そう言って、売店の軒先で、売られているお守りを一つ手に取る。
お守りには『安産祈願』と書かれていて、それを手にしながらちらりと隣を見た。
■サヤ > 「誰か噂でもしてたんでしょうか、色々回りましたから。」
サヤの服装は良くも悪くも目立つし、石蒜は率先して厄介事に首を突っ込んでいった、各地で噂の種になるには十分だろう。
「あ、そうですよね。お家もすぐそばにお社があったりしますし。
すみません破魔矢と、火伏せの御札と、家内安全のお守りを一つずつ。
迦具楽さんはなに、に……。」
しますか、と聞こうとして、持っているお守りに目を見開く。
「え、あ、ちょ、ちょっと、あの、えと、あ、あの、あ、ちょっ、え、ま、まさか、え、え、え……?」
針が飛んだレコードのように、え、とかあの、を繰り返し続ける。
■迦具楽 >
「――ぷ、ふふ、ごめんごめん、冗談!
さすがにそんなすぐにはわからないって」
そう言って、目を見開いてわかりやすく狼狽える彼女に笑う。
夜の間はしっかり主導権を取ってくれるのに、普段は少しからかうだけでこの調子だ。
だから可愛くて、ついつい構ってしまう。
「えーっと、私はそうだな、健康のと、長寿のお守りを二つ。
あ、あと『みちひらき』のお守りを一つ、かな」
そう言いながら、授与品を受け取って。
長寿のお守り二つを、隣の彼女に差し出す。
「はい、これ。
サヤと石蒜の分ね」
そう言って、二人に差し出しながら。
残りは自分のポケットへとしまい込んだ。
■サヤ > 「も、もう!迦具楽さんは意地悪です!」
寒い中歩いたりして大丈夫なのか、選手としての今後とか、一瞬で色々と頭の中を駆け巡っていたのに、またからかわれた。
そっちがその気なら、と、迦具楽が持っていたお守りを買って。
長寿祈願を受け取って、代わりに手渡す。
「でも、いつかは必要ですよね?」
「さ、さぁ、甘酒はあっちで配ってらっしゃるみたいですよ。」
言ってしまってから気恥ずかしくなって、引っ張るように甘酒を紙コップで配っている一角へと。
■迦具楽 >
からかって、狼狽えるところを楽しんだと思ったら。
仕返しとばかりに、お守りを手渡される。
「――むう」
確かにいずれは必要になるかもしれないのだが。
こうして渡されると、意識させられてさすがに言葉に詰まる。
手を引かれながら、困ったように頬を掻いた。
二人で甘酒を受け取ると、甘い匂いが鼻をつく。
すっかりと寒くなったこの時期には、とてもありがたい、少し熱いくらいの甘酒だ。
「はー、これこれ。
新年っていうと、甘酒にお餅におせち料理、って感じだよね」
そう言いながら、甘酒を一口飲んで、白い息を吐きながら。
「――ああ、そうだ。
ねえサヤ、うちでさ、新年会とかやらない?
友達とか誘ってさ」
そう甘酒を呑みながら、隣り合う彼女に聞いて。
■サヤ > 甘酒を受け取っても、手は握ったまま。片手で紙コップを持ってふぅふぅと吹いてから、こくりと一口。
「ふふ、迦具楽さんは食べ物ばっかり、他にもありますよ。水垢離をやったり、子供の年を祝ったり、新しい暦が始まるわけですからね、儀式もいろいろです。
家を出る前にサヤが太陽に向かって祈ったり、家の社に何かお供えをしたりと忙しくしていたのが思い起こされるだろう。
「そういえば私も今日で20ですね。なんだか感慨深いです。」
甘酒で暖まった白い息を吐きながら、呟く。サヤの居た世界では誕生日ではなく、正月に皆一斉に歳を取る、15で成人なので20歳はなんの区切りでもないが、それでもなんとなく思うところがある。
「新年会、ですか。私は構いませんよ。ただ、私がお呼び出来るような方はいらっしゃらないので、迦具楽さんに呼んで頂くことになりますが……。」
申し訳無さそうに眉をひそめる。島を出る前に交友関係にあった人物は、戻ってきたときにはほとんど居なくなっていた。
残った一握りも、新年会に呼べるほどの仲かというと少々疑問がある、同じようなことを考える人は多いだろうし、下手に誘って迷惑にならないか心配だ。
■迦具楽 >
「へえ、そっか、私は初詣くらいしかよく知らないや。
帰ったら色々教えて――え、今日で?」
新年の行事なんて初詣くらいしか知らない迦具楽だ。
他にも教えてもらおうと思ったところで、また寝耳に水な一言。
誕生日、というわけでもなさそうだから、また彼女の世界の風習だろうか。
「あ、うん、私も精々二人くらいかなー。
って、サヤ、ちゃんと他にも友達いる?
私が居るから他はいいやー、なんて思ったりしてないよね?」
と、隣の顔を覗き込むように、じとっとした視線を向ける。
■サヤ > 「ええ、私が居た世界では新年になると皆1つ歳を取るんです。こっちでは生まれた日を記録しておいて、その時に取るんですよね。
一家族で十人子供が居たりするのが珍しくありませんでしたし、暦も毎年少しずつ変わるので、正月や冬至、春分秋分みたいな節目があっても、細かい日付にあまり意味がないせいかもしれません。
それに私は孤児でしたので、生まれた日付を知らないんですよ。」
聞かれれば、そういえば言っていなかった、程度の調子で説明する。
「あーうー、えーとー………あのーえー……。」
じとりとした視線には存分に目を泳がせてから
「ちょ、ちょっとは昔の伝手をたどったんですよ、でもほとんどの方はもう島にいなくて……それに……島に戻って、迦具楽さんに真っ先に会いに来て………、それでずっと一緒だから……離れたくなくて……。」
ぎゅ、と手を握る。迦具楽と出会ってからはほとんど常に一緒だ、買い出しや自分の立てた社の掃除以外でサヤが一人で出かけるのは全くと言っていいほどなかった。
これでは友人など作りようがない。
■迦具楽 >
「なるほど、じゃあ今度からは新年のお祝いと一緒に、誕生日のお祝いもしようね。
早速来年の楽しみが増えちゃったな」
なんて言いながら、さて、そちらの話は善いのだが。
「さやぁ。
私の事さ、それだけ思ってくれるのは嬉しいけど。
私は別に、サヤに仲のいい友達がいたって、怒ったりしないよ?」
渡すお守りは、縁結びの方が良かっただろうか、など思いつつ。
かと言って、友人を作れというのも変な話だ。
ご近所づきあいなんかは、ちゃんと出来るだろうし、と。
「んー、それじゃあさ、サヤと会ってみたいって友達がいるんだけど。
その子でも誘ってみようか?」
そう、彼女の様子を窺うように、たずねてみる。
■サヤ > 「両方込みで祝ってるつもりだったんですが、なんだか改まって個別に祝われるってなると……。
なんだか、い、祝われすぎっていうと、変ですけど、そんな気分です。」
コップを持った手の指先でこめかみあたりを掻く。
一年生きられた感謝は神々に捧げたし、豪華な料理を食べるので祝っているつもりだった。
そこに更に上乗せされると、質素な生活を送ってきたサヤとしては気後れする。
「あー、いえー、そのー、迦具楽さんに遠慮してるわけじゃなくて……その、単純に……私、人付き合いが……。」
苦手で……。と消え入るような声。学生時代はそれでもある程度の付き合いがあったが、今となると顔見知り程度の仲がせいぜいだ。
何か現実に目を背けるように、ぬるくなった甘酒を飲み干して、コップをゴミ箱へ。
「私に、ですか…?ええと、それはまた、どうして…?」
会ってみたい、などと言われると、不思議そうに首をかしげる。
どうして自分に会いたいなどと思うのか、心底わからない。
■迦具楽 >
「あー、うん、得意じゃないのは、知ってる」
とはいえ、人と関わるのが嫌いというわけじゃないのは、学生の頃を知っていればわかる。
自分と居る事で寂しくないと思ってくれているのは良いのだが。
一人くらい、不満や愚痴の一つも言えるような友人が居てほしいものだ。
「えっとね、色々と、サヤとの事とか相談に乗ってもらったり、話を聞いてもらったりしててさ。
そしたら、会ってみたいなぁって。
どういう人なのか気になるみたい」
繋いだ手をしっかり握って。
「悩んでた事とか、サヤの事とか、色々後押ししてくれたの。
私のね、大事な親友で、未来のライバル――だといいな」
彼女の肩に頭を寄せながら、とても大切なものを語る様に話す。
■サヤ > 「そうですか。大したお話は出来ないと思いますが、それでもよければ。」
迦具楽がどう自分を話しているのか少し気になるが、そういう理由ならサヤとしては断る理由はない。
「じゃあ、私にとっても恩人ですね。
そして、いつかライバルになって欲しいんですか。
わかります、競い合う相手がいると、張り合いが出ますよね。」
手を握り返す。まだ年若く白い手に似合わない沢山のタコや傷跡の感触があるだろう。
「迦具楽さん、そういう相手は得難いものです。末永く仲良くしてくださいね。」
肩に頭を乗せてきた迦具楽に向けて、穏やかに微笑む。サヤにもそんな相手が居た、だがその相手は世界を隔てた向こうだ。
■迦具楽 >
「いいんじゃないかな?
私だって、サヤとの惚気話ばっかりしてたし。
ほら、プレゼントがお互いに髪飾りだったのとか、すごい自慢しちゃった」
えへへ、と笑いながら、緩んだ顔をして。
そのあと、少しだけ寂しそうな顔をする。
「――うん、本当にライバルになってくれたら、いいんだけどね」
彼女の手に残った柔らかい以外の感触を、なぞる様に感じ取って。
自分のこの、暗い嫉妬の感情と向き合うためにも。
あの子には同じ舞台に立ってほしいと、思ってしまう。
「そうだね、仲良くしたいって思う」
彼女の微笑みが、ほんの少し寂しそうに見えたのは、きっと気のせいじゃないのだろう。
「――だーから、サヤにも、そういう友達の一人くらい。
いてほしいなって思うんだよ、私も。
私には相談できない事とか、悩み事とかできた時とか、頼れるような友達がさ」
心配なんだよ? と、少しだけ気遣うように微笑みを覗き返す。
■サヤ > 「……ライバルになれないのは、どうしてですか?今の実力の差だったら、気にすることではありません、追いつくために鍛え、追いつかれないように磨くのもライバルです。
でも、迦具楽さんが気にしているのは、きっと違うことですよね。何か、心につっかえるものがあるなら、話してみてください。
大丈夫、これでも剣術道場で暮らしていた身です、助言が出来ると思います。」
握り合う手に、もう片手を重ねる。そちらにも沢山のタコと傷。
そして、いつもの震える子犬のようなものではない暖かな笑みでじっと迦具楽を見つめる。
「そう、ですね。迦具楽さんに隠し事はしたくないですが、言えないことも出てくるかもしれません。
あるいは、迦具楽さんでは出来ないことを頼める相手とか、ええ、頑張ってみます。」
思いつくのは宗教施設群、あそこには住んでいることも社の掃除もあるしで顔なじみが多い、あるいは街に繰り出してみてもいいだろう。
迦具楽と離れるのは寂しいが、ある程度仲良くなったら一緒に会うようにすればいい。
安心させるように、何度かうなずいた。
■迦具楽 >
「あはは、その子に、今のところそのつもりがないってだけだよ。
でも、うん、ありがと」
感謝を表すように、頬にそっと唇を寄せる。
最近は気持ちを伝えるのに、キスというコミュニケーションがお気に入りだった。
もちろん、彼女にしか出来る事ではなかったが。
「無理はしなくていいからね。
もし縁があったら、それを大事にしてあげてってだけだからさ」
お互いに『相手しかいない』ような関係は、あまり健全じゃない。
だから彼女の事を想うと、少しだけ外との縁をはぐくんでほしい、それだけの話なのだ。
「――さて、そろそろいこっか。
どうする、なにか食べてく?」
手を繋いだまま、空になった甘酒の紙コップを放り投げ、綺麗にごみ箱へと入れる。
空いた手で出店のある方を指した。
■サヤ > 「相手にその気がないのでは仕方ないですね……無理に引きずり込むわけにはいかな……っ。」
頬に柔らかい感触、迦具楽はごく当たり前のように口付けをするようになったが、される方はたまったものではない。
「か、迦具楽さんっ、私以外にはこんな風にしてませんよね?」
あまりにも自然な動作に、その親友とやらにもしているのではないかと、仄かな疑念と、嫉妬の心が湧き上がる。
「お気遣い、ありがとうございます。
無理は…そうですね、無理しがちな性分ですから、気をつけます。もし何かあったら、頼らせていただきますね。」
しない、とは言い切れない。したくてしているわけでもないが、気付けばしているのが自分だと自覚している。
しかし今はその時に頼れる相手がいる。それが4年前との大きな違いだ。
「そうですね、じゃあ来る途中に見たパンセポンセっていうお店が……」
立ち並ぶ出店の中、参道の列の脇を気になった店へ向かって歩いていく。
その後、一通り出店を回りながら、初詣を楽しんだことだろう。
ご案内:「常世神社」から迦具楽さんが去りました。
ご案内:「常世神社」からサヤさんが去りました。
ご案内:「常世神社」に葉山翔一さんが現れました。
■葉山翔一 > 正月3が日の最終日、人が少なくなるだろうという日を選び神社へと。
最終日と言う事もあり人も屋台も少ない中を神社に向けて石畳を歩く。
「あー。これ一個もらえるか。後はそっちのも一つ」
人を避け屋台を眺めて歩き、途中で一つの屋台でカステラと飲み物を買うと歩くのを再開し。
参拝をすればよかったよなと最後に神社に来たのはいつだったかと思い出しながら歩き。
■葉山翔一 > そうして神社に付けば賽銭箱に500円を投げ込み鐘を鳴らす。
そこで何を願うかと考えるが全く浮かばずに拝む格好でしばらく動きが止まり。
「一年の健康で…いいか」
これといったことが浮かばずに健康祈願だけをすれば後の客に場所を譲るように退き来た道を歩きだし。
■葉山翔一 > 「今年はいい年だといいな」
去年は色々とあったが今年はどうだろうかとふと考え、
少なくとも生徒になったので二級の頃のような危険はないだろう。
そう前向きに考えて岐路にと付く、
ご案内:「常世神社」から葉山翔一さんが去りました。