2021/10/29 のログ
セレネ > 柄杓もきちんと残りの水で清めてから、冷える濡れた手をハンカチで拭いて。

『…この時期だと流石に辛い…。』

でも仕方ない、マナーですもの。
その国のマナーに則らなければ変な目で見られてしまうのは知っている。

しかしなかなかに広い境内だ。よく催し事が行われているのは知っていたが、
この広さなら充分色々と出来るのだろう。

『お祭りや楽しい事が好きなのはどこの国も世界も共通ね。』

蒼を細めると、本殿の後ろにあるご神体がある場所へと歩いて行く。

セレネ > 大きな岩には注連縄が渡されており、視ただけでご神体と分かる物。
目の前で立ち止まれば、それを見上げて感嘆の息を洩らした。

『――今晩は。良い夜ね。
初めまして。私は……”     ”」

紡ぐ名は真名。その言葉は風に攫われ音とならず。

『訳あって普段は別の名前を名乗ってるのだけどね。
私はあまり力のない神だから、存在も揺らぎやすくって。
…いつぞやお人好しの誰かさんから放っておいたら消えそうだーなんて言われた事もあったけど、
強ちそれも間違いじゃないなぁなんて思ったり…ごめんなさい、関係ない話をしてしまって。』

相手が話しやすいせいか、つい口が滑り過ぎる。
口元に手を当てて謝罪を。

セレネ > 『…え?あ、あぁ…まぁ、そうよ。
――でもあまり期待されると困ってしまうわ。
其方にも居るのでしょう?弓の名手。』

流石にその方には負けるかも、なんて苦笑。
面白そうだからなんて理由で勝負でもさせられたら緊張で外してしまいかねない。
弱小神にはかなりのプレッシャーだ。それだけは回避しなければ。

『わ、私は此処で穏やかに暮らしたいだけなのよ。
でも挨拶しないっていうのも…いや、今更なのでしょうけど…
とりあえずの保険と、ご挨拶に来ただけです。』

保険とは、と聞かれれば

『…肉体が消えてしまった時用に。
貴方が私の本質を覚えていてくれれば、多分消滅する事もないでしょうから。』

セレネ > 『そのまま消滅しちゃったら笑ってねー。
力のない者は消えるだけだし、それは人間も神も変わらないって。
…勿論、自殺行為はしないけど。
此処、何があるか分からないから一応ね。』

軽く肩を竦めて笑う。

『…さて、とりあえずの目的も果たしたし…あまり此処に居ると身体が冷えて仕方がないし。
私はそろそろ失礼するわ、お話ありがとう。』

身体を蝕む痛みもなくなった。
ならばもう此処に居る意味はないと、ひらりと片手を振って
背から淡い蒼の光を纏う翼を生やし、飛び去って行く。
月色の羽根が一枚、宙に舞い――。

ご案内:「常世神社」からセレネさんが去りました。