2022/01/10 のログ
ご案内:「常世神社」に小鳥遊 日和さんが現れました。
小鳥遊 日和 > 年末のことである。
今年も初詣にいこう―――そう考えていた小鳥遊は、秘策を講じていた。
年末に衣装部に依頼していたのである。

そして今、お正月…。衣装部に依頼した衣装で、自分は常世神社に立っている。
振り袖姿で。 女装で。

「なんで…?」
精一杯お正月に気合をいれた高校生程度の女子のように見えるが、れっきとした男性教師である。
頭の上に?マークをたくさん浮かべながらも、とりあえずするべきことはしよう…そう考えて、参道を進む。

流石に正月となれば人もたくさんいるし、なにより異世界の人たちからすればかなり物珍しくも見えるのだろう。
様々な露店が軒を連ね、異邦人たちが興味深げに覗き込んでいる様は眺めているだけで学園の懐の広さを感じさせる。

小鳥遊 日和 > 流石に列は長い。そろそろと厳かに進む列に並んでいると、新しい1年が始まったのだなという気持ちになる。
そんな感じで心を改めていたところで、ふと脇に眼をやった。

「あっ……」体がうずく。 えっちな意味ではない。
おそらく謂われのあるものなのだろう、大きな岩が苔生していたのだ。
こうなると好奇心は爆上がりである。参拝も大事だが、すごい勢いで興味がそっちに移る。

自分が教える蘚苔学…すなわちコケ等に関する学問のツアーは、うまくいかないという。
コケはどこにでも生える故に、集合地点のコケを観察し始めてしまい、目標まで移動できなかったという笑い話があるぐらいだ。

結局、列を離れて岩の足元にしゃがみ込み、観察を始めることになった。

「ふむ……」
懐からルーペとピンセット、保存用のシャーレを取り出す。
コケの一群と思えていても、実際には複数の種が混じり合っていることもあるのだ。
傍から見れば『気分が悪くなって列を離れ、しゃがみこんだ人』のように見えるかもしれないが、
本人としてはどこ吹く風である。 興味の、学問の対象が目の前にあれば、それを捨て置くことなどできないのだ。