2023/01/07 のログ
ご案内:「常世神社」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「常世神社」にメロウさんが現れました。
黛 薫 >  
お辞儀を2回。次いで2度手を打合せ、もう一度
頭を下げる。境内にはちらほら人の姿が見えるが、
参拝が被らない程度には閑散としている。

初詣と言えば元日、三が日のイメージが強いものの、
"初" でない複数回の参拝を包括したり、1月中なら
良しとする場合もあるなど、意外と大らかだ。

(あーしにゃその方が気楽よな)

年明けからおよそ1週間。イメージ上の初詣からは
些か遅れたタイミングで神社を訪れた2人組の少女。
その片割れが面を上げ、隣の少女の様子を伺った。

遅まきながらも日付はギリギリ松七日の最終日。
元日ほどの賑わいではないが、まだ正月屋台も
残っており、人混み嫌いが楽しむには悪くない。

当然ながら、黛薫は晴れ着など持っていない。
持っていないのだが、委員会の先輩から初詣に
誘われた折、別の子と行く予定があるとうっかり
溢したばっかりに、強くレンタルを勧められた。
そのため今日は和服の装い。

メロウ > 「にれーい、にはく、いちれー」

隣から聞こえるのは小声にて、ちらりと横を見ながら動作を真似る姿
形を真似るに集中するばかり、その本質たる『祈り』を怠っていそうな罰当たり
それが先程、参拝作法を知ったばかりのメロウの態度であったのだった

カジュアルなパーカーも、参拝者の中で浮くことは無いのだが、和装で着飾った相手と並ぶと、どうしても違和になる。そしてそれを彼女が気にするかというと特にそうでもなく。遅れて面を上げては貴女に向けてのまた下手な作りの笑みが向く


「やっと、落ち着けそうだね」


慣れない格好で石段を上る。リハビリを終えたとて、易い作業ではないだろう
薫の信心に任せてここまではノンストップで辿りついたが、ここまで気にしていた事を、それは口にした

黛 薫 >  
「そーな。勧められたはイィけぉ、石段のコトは
 完全に頭から抜けてたわ。和服ってあんま歩幅
 取れねーのな」

参道以外には雪が残っているため、足元だけは深靴。
仮に慣れない和服に合わせて下駄まで揃えていたら
石段を前に諦めていた可能性すらある。

とはいえ、和服が嫌かと言われればそうでもなく。
足元の防備は普段のタイツよりしっかりしている為、
疎らな参拝客の視線への備えになっている。

「正月屋台の最終日狙ったのは正解だったかな。
 メロウ、こーゆー『香り』はスキ?」

三が日ほどの賑わいではないが、門松飾りが残る
今日この日まで屋台は開いている。縁起物のお餅や
米菓子、雑煮や甘酒に加え、正月とは縁もゆかりも
ない串焼きやフライドポテト、ベビーカステラ等の
ポピュラーな屋台料理も一揃い。

冬の冷たい空気、厳粛には程遠くも祭りとは異なる
静謐とした雰囲気に醸された祝いの香りだ。

メロウ > 「そうだね。見ているだけでも、とてもしっかりと絞めるんだ
 苦しそうだ、お洒落とは我慢というらしいね。成程だね」

若干ズレた言葉と共に、手を差し伸べよう
今までもそうしてきた行いの繰り返し

それが瞳を閉じて返答を一旦区切る時、
『香り』と話題を向けられたのだ、集中・分析の仕草であろう
交じり合った、人間に向ける香りの束。疎らな足音も声も、囃し立て

「私は人間が好きだからね。人の為となれば、好意的
 でも種類が違うから、私の産み出すものではないね

 好きと言えば、そう。でも今日は、それを楽しむ側だとすると
 慣れていないのが、そうなのかな?そわそわするってこと

 神社に詣でる、って言うんだっけ。その目的で来たのって初めて
 何をするのかどうしようか、この香りに流されるべき?」

もしも興味のままに香りを追うとすれば、彼女の足は自ずと奥に奥に進んでしまいそうでもある。そして、今望む行為でもない
欲のまま神秘に手を引かれてしまえば、人間の風習に倣う意味が無かろう。貴女のそば故、留まって首を傾けた

黛 薫 >  
「ホントにな。帯って "巻く" じゃなくて "締める"
 なんだもん。やってみて初めて納得したカンジ」

幸いにして首元は帯ほど苦しくない。パーカーの
サイズも大きめ、内シャツの襟も緩みがちな彼女が
我慢出来ているのはそのお陰と言える。

「あくまで目的を "参拝" とするなら不要なんだろな。
 お祈りはもー済ませたし、メロウもあんまお祈り
 そのものにゃ思ぅトコ無さそーだったし?」

黛薫とて信心深い方ではないが、魔術の徒である。
神の実在や祈りの実現が必ずしも絵空事でないと
理解するがために、祈るときはきちんと祈る。
単に几帳面なだけと言われても間違いではないが。

「だから、そーな。いっつものお出かけの延長で
 考ぇてみたらどーだろ? あーしだってこーゆー
 催しにゃ明るくねーけぉ、手ぇ引くくらぃなら
 出来るつもりだからさ」

差し出された手を取り、つられたように首を傾ける。

メロウ > 「祈ったり呪ったり、そういうのはどうしても、人間の気持ちの方だからね
 そもそも心を他に裂くような行いは、私としては矛盾してる
 不安定だって、言ってもいいくらいにね。依存は専売特許

 ようは、私の普段通りではあるけれど。『いない』よりは『いる』
 優先したいものが決まってるのは、薫さまもわかるでしょ?」

神様でもお客様にしてしまいそうな彼女の普段の態度
それにとっての特別な位置は、モノにした貴女に対して
...『心』を許されている故に、理解の欠片程度はあるけれども
そうでなければそもそも、初詣自体に興味を持つまい

「そういえば、普段よりも背丈がある様にみえるんだよね
 成程、姿勢が整うともいうのかな。俯きにくそうだし
 それはとてもらしくなくて、レアだ。うん、今日はレア
 会った時もびっくりして固まったけど、気付きもある」

口元をもぞもぞと、笑みを再現しようとするその表情は普段よりも近いか遠いか

黛 薫 >  
「じゃ、今はあーしだけを見てくれてるって
 自惚れてもイィのかな? もしそーだったら
 あーしはメロウがいてくれた方が楽しぃって
 言ったげるけぉ」

ピークを避けたとて人が集まる場、黛薫も1人では
来ようとは思わなかっただろう。自分以外に心を
裂かずにいてくれる彼女には特別な理由付けなんて
要らないかもしれないが、"誘う理由" という1匙の
スパイスはその日を楽しみに待つのに丁度良い。

「姿勢もなー……やっぱ帯が影響してんのよな。
 屈もぅとすっとお腹が圧迫されるみてーな?
 背中の方も結び目がギチってなるし、勝手に
 姿勢が整ぅカンジ。ちょぃ落ち着かねー……」

無意識に伸びた手は帯ではなくその下に。
黛薫のいっとう "弱い" 場所。手違いで帯を低く
留めていたら参拝の礼すらままならなかったかも。

背丈は変わらないのに、顔を隠すように屈むから
普段は貴女より僅かに低い目線。背筋が伸びれば
隠れがちな瞳は同じ高さ。微差でしかないのに
近い目線に戸惑って、僅かに目が泳いだ。

メロウ > 「お店じゃなければいつもそう
 私はいつも見ているからね
 今、やっと気付いたのかな?」

目線に特別敏感な人なのに、おかしなのだと
くひっと笑う声が漏れてしまう
髪の向こう側を通して瞳を覗くように、
異能で得た『触覚』が今日も撫でていく

泳いだ目も、私の眼が欲しくて戻ってくる
知っているそれは、一度手の動きを追うとまた並行へ

「うん。話があるとすれば、その事もあるかな
 薫さまの体の事。出会った時に、聞いてみようかなって
 でも初詣の雰囲気を楽しむ方が、良いのかなって
 
 ねぇ、どっちを答えたい?」

切り出すだけで、聞き出すほどでもなく
後に両方となることくらいは、伝わってくれると良いのだが

黛 薫 >  
「気付ぃたってか、言ぃたくなっただけでーすー」

気恥ずかしいから言わない内容を貴女の言葉に
託けて確かめる。わざとらしく口を尖らせて
誤魔化すのも、いつも通り素直になれないから。

「どっちを、って言われたらどっちも?
 メロウもそのつもりなんだろ。座れるトコなら
 あっから、雰囲気を楽しめる飲み物だけ買って
 そこでゆっくりお話しよ」

「甘酒とお汁粉なら、どっちがイィ?」

初詣を理由に慣れない和服に袖を通すのは黛薫だけ
ではない。人によっては車を使えるから、積雪にも
負けず下駄を履いていたりもする。そんな人たちが
休めるように境内には長椅子が設置されている。

温かい篝火近くの椅子は人気なので、温かい物を
買って人の少ない場所に誘うつもりなのだろう。

メロウ > 「だったら、私は甘酒かな?」

一方、こちらの行動は素直なもの
指摘された通り『そのつもり』であるのなら
貴女を支えるために繋いだ手でそのまま引かれ行く

小さな歩調に合わせるように、呑気の歩みにて

「薫さまって、何か抱負ってものはあるの?
 ここってそういうお願いをする場所だとは知ってるよ
 
 ただのお出かけの気持ちでも、そこを怠るとは思えないからさ
 それとも、私には言えない事だったりするのかな」

そして辿り着くまでの最中も、簡単な話としてこう投げかけてみた

黛 薫 >  
「抱負ってなると、魔術の習熟とか社会復帰とか、
 メロウやフィールのこれからとか色々あっけぉ。
 お願いしたのは別のコト。抱負とか目標ってのは
 叶ぅよーに祈るもんじゃなくて、自分で努力して
 実現させるもんだかんな」

近場の屋台で少し迷って、メロウに甘酒、自分用に
お汁粉を購入。お揃いも憧れるが、別の品を買えば
シェアも交換も出来るからだ。

「お願ぃの内容はー……言ってイィんだっけ?
 まーイィや。周りが平和であるよーにって。
 無病息災とかも考ぇたけぉ、神頼みすんなら
 自力でどーにか出来ねーコトにしよかなって」

寒空の下、湯気を立てる紙コップを貴女に手渡す。
自力で叶えるべき願いを避けて、結果あまりにも
ありきたりな祈りになるのも彼女らしいというか。
口に出すと無効になる、なんてジンクスもあるが、
それは今隣にいる相手より優先すべき物ではない。

「……で、聞こーとしてたコトあんだっけ?」

白玉の浮いた小豆色の甘味を一口味わってから、
話を聞く姿勢を作る。疎らな参拝客は建ち並ぶ
屋台や社、篝火やおみくじばかりを見ている。
端に座る2人は喧騒から取り残されたかのよう。

メロウ > 「それはずるいよ、薫さま。願って良いなら、私だってそうしたもんね!」

受け取ったカップの湯気と香り、漂う諸々を堪能しようと
その矢先、随分と我儘な言葉を聞いてしまった
隣のそれだって、自分の事を願うのは随分と下手なもの
その代わり、『周り』を願う事に関しては数倍という言葉では安く

きっと参拝の途中、待たされる時間もその分比例していただろう
『人の為』、それが相変わらず好きすぎるメロウなのでした

「...で、そうだね。話を戻さないといけないね
 薫さま、前よりも『進んだ』よね。うん、匂いが違うんだ
 人間には分からないだろうけれどね。それこそ、機械が分析でもしないと」

普段の居場所も、表通りから外れた路地裏。店に構えた時のように、言葉を自然と繰り出す

口に含んでみたとろみは独特の甘さ。気持ちが浮つきそうな香りを、嚥下する仕草

黛 薫 >  
「んふひ、先に言っとけば良かった?
 ま、いーんだけぉ。だって言わなかったお陰で
 今日はメロウを独り占め出来たワケですしぃ」

自分のために願うのが下手なのはお揃い。
根幹を占めるがために他者に願いが向くのがメロウ、
自己評価が低いため自分が願いから外れるのが黛薫、
ということなのだろうか。

「……そーゆー違ぃまで匂ぃで分かんのかぁ」

人間には分からない差と言われたが、こっそり
袖の匂いを確認する。勿論自分では分からない。

「んー……そだな、『進んだ』って表現が正しぃか。
『変わった』ワケじゃねーんだし。んでも手続き上
 あーしはもー『人間』扱ぃじゃねーらーしの。

 どー変わって、どー影響が出るのかとかいろいろ
 お医者さんと話したりしたけぉ。あーしは別に
 ……いぁ、そーゆーのをヘーキで受け止めちまぅ
 価値観が良くねーかもって言われちまったな」

「メロウはどーかな」「気になる?」

お汁粉の入った紙コップで手を温めて、問う。

メロウ > 「気にはしてる、かな。薫さまが気にしないとしてもね
 これでも役目の中に、マスターのバイタルチェックも含まれているのだし

 私が一番、気にするかもって部分は...そうだね」

貴女が自分の匂いを嗅いで、確かめる
その仕草の前後に違和が無いか。その時の目線は感情を抑え、
全身をくまなくなぞるように、触れていたのだとか

「...今はその問題は、なさそうかな?」

それは口にはしなかった、1つの可能性。測定不能の香りの影響
人ならざる者を誘うならば、『貴女自身』にその影響は?
問題ないと言いながらも、もどかしさの態度は、カップを持つ指先に表れる。そわそわと

黛 薫 >  
「そっか。いぁ、そーよなぁ」

この変容は夢を叶えた代償。もし人生をやり直す
チャンスを与えられても、きっと変わらない結末。
後悔はないが、それでもちょっぴりバツの悪そうな
表情は浮かんでしまう。

少なくとも現状、黛薫自身が己の体質の影響を
受けている様子はない。自分の香りを自分で
感じ取るのが難しいからか、体質の『意図』に
沿わないがための例外的な挙動なのか。

「メロウがそー言ぅなら、信じる。だってメロウ、
 あーし自身より……つーか下手したら検査して
 くれる病院よりもあーしのコト知ってるもん」

何かと気を揉みがちな黛薫が寄せる全幅の信頼。

不用心と言われれば否定出来ないかもしれない。
しかし、それでも貴女の手腕を知っているから
疑わない、信じると決めている。

汁粉に浮かぶ白玉をつるりと唇の内に招き入れ、
一息つく。風情はあるが普段と違う装いのお陰で
肩が凝りそうだ。

「あーもー……メロウにレアなトコ見せれたって
 収穫はあっけぉ、やっぱ慣れねーな、着物。
 メロウが一緒に買った服着てくれてんのなら
 いつも通りでお揃ぃにしても良かったなぁ」

カジュアルなパーカー。常世渋谷で買い物した日を
思い出す。隠れ気味なショートパンツに "寒そう" と
いう感想以上に思う所があるのは、あの日の印象が
強い所為だ、と頭の中で要らぬ言い訳をする。

メロウ > 「なーんーでー、そんな顔するのかな?
 気にするけれど、良いも悪いもそこにはないよ
 それはただの、薫さまとしての様子である
 そこは変わりないのにね。変えてはないのにね

 薫さまはいつも、気持ちが多すぎると言えばそうなのかも
 だから、私の事は信じるって気持ち1つ、それはいいね
 とってもいいと、私は思うね」

従者にとって、主人に貰ったものを出会う際に扱うこと
当然のように思えるが、ここ数回はいつも繰り返している
そろそろ飽きられてしまうのかなと、思っていた事は杞憂になれど

...ふむ、と。少女はそこで首を傾ける

「私もレアな方が良いのかな。普段通りでもいいけどね
 私は今も良いと思うから、着物というのも好きだけれど
 その後ろめたさはちょっと、看過しかねる所だね

 それは随分と、悔しい言葉というものになっちゃうね」

すり、と。タイツ越しの細い腿が擦られる
貴女でなくとも、しばしば感じる目線には、自ずと肌で反応してしまう

「薫さま。飲みたい?」

そして目線とは、手元にも時々来ている事も、知っていた様子
一口飲んで、そこから嵩も変わらぬ白い水面

黛 薫 >  
「後ろめたぃ、ってワケじゃねーけぉ。
 あーしも欲張りになったなぁって思っただけ。
 今の楽しみの他に、こーゆーのもアリだなって
 別の楽しみまで考えちまってんだもん。

 いつも通りも、ちょっとレアなのも、お揃いも、
 全部イィなって思ぅのに、一度には出来ねーの。
 それって、すごく……欲張りじゃん」

小さな幸せさえ手放すのが怖くて、暗闇の中で
縋りついた日もあった。今を楽しむに留まらず、
こういうのも良いな、なんて展望が浮かぶように
なるとは思っても見なかった。

ただ、そういった心境の変化に心が追いつかない。
やるべきこと、やらねばならないことに先行して
やりたいことでもどかしくなるなんて。

こういうとき、黛薫の表情には弱さが浮かぶ。

「ん、それじゃ交換な」

甘酒を受け取り、代わりにお汁粉を手渡す。
貴女のために白玉を残してあるのも最初から
シェアを想定していたからだと読み取れよう。

何も考えず受け取ったが、このコップはメロウが
口を付けていたんだよな、と余計なことを考えて
一瞬手が止まる。下手に対応を練ろうとすれば
余計に恥ずかしくなるので早々に口を付けて。

「熱っつ」

慌てて飲めばそりゃそうなる。とろみのある白い
液体は存外冷めるのが遅い。だからこそ寒い日に
美味しく頂けるのだが。

メロウ > 「欲張り、そうかもね。思えば出会いから、1年と少しくらい、か」

それがこうして飲み物を交換し合う仲
細めた瞳が思い出すのは、自分の境遇の遷移

嘗ての昔話はあなたも知っての事
ふとした時に、それが途絶えたのだ

「私はどうにも、上手すぎたのかな?
 でも仕方ないよね。聞いちゃうと、叶えたくなる
 ふふふひ、一度では出来ない。でも交換は出来る
 ん。なんだかとってもお得なコト、考えそう」

受け取ったカップを揺らす。小豆を煮詰めた湖面に白玉
葛藤よりも、流されるままに。本性のふてぶてしさにて一口

見下ろしたカップを揺らす。小豆を煮詰めた湖面に白玉
『こんなことが』と思うかもしれないが
貴女の様子をうかがう為に、食べ忘れたのでもう一口
...随分と、欲張りに見えた物か

黛 薫 >  
歓楽街に潜む人形の話。黛薫はその噂を知っていた。
"お願い" のために確認したり、お互いを確かめ合う
流れで聞いたりはしたが、以降は深入りしていない。

それは『メロウ』になる前の『調香師』の話だから。
自分でない誰かに使われていた "ソレ" を知る気は
今のところない。配慮ではなく、単なるヤキモチだ。

「そいぇばさ、メロウってお店に行くとよく紅茶
 淹れてくれるよな。メロウが香りのプロだからか、
 喫茶店とか行っても紅茶メニューがメロウのより
 見劣りしちまって、最近全然飲んでねーんだけぉ。

 もしかしておんなじ香りが大事な飲料だったら、
 珈琲のブレンドとかも出来たりすんの?」

全くジャンルの違うホットドリンクを口にして
なお思い出すのがメロウの淹れた紅茶。随分と
日常にまで侵食されてしまったな、と思いつつ、
ふと思い付いたことを聞いてみる。

メロウ > もちゃっと。喉で味わった薫とは違い、暫くは口の中で堪能するのが癖である
この白玉も例外にあらず、話を聞きながらも、忙しない口元が窺えよう

「んっと。それは、難しいかも?
 私が紅茶をよく用意するのは、『いい』と思ったから
 うん、味よりも香り、それがわかるから選べてる
 それを一番気に入ってるって言ってくれるのは、ね
 毎日それを用意しようか?って気持ちにも、なっちゃうけど
 それはそれとして。ブレンドまでになっちゃうと

 ...うん。これ、出来ないと思うね。私だと
『選ぶ事』は出来るけど、調和を取るには、似てるようで違う、かも?」

不本意ながらも正直に。門外漢であるのならば、良好なものから気に居るものを選ぶのが精一杯

「突然、どうしたのかな?薫さまってコーヒーが好きだっけ
 次から用意するものは、そっちの方が良かったりするかな
 だったら次からのお買い物では考えておくけれど...」

黛 薫 >  
「いぁ、珈琲好きな友人が出来たから影響受けたの。
 まだスキとか判断出来るレベルですらねーけぉ、
 人が語ってるのを聞ぃてっと興味そそられるから。
 あとエナドリよか身体に良さそーだし」

手元の甘酒を忘れるほどではないが、もにもにと
白玉を味わうメロウの口元を見ている間はカップに
口を付けない。少し間を置き、今度は十分に息を
吹きかけてから甘酒を一口。

「しかし、そっかぁ。てコトはブレンドに必要な
 技能は調香とはまた別なのか。奥が深いな……」

『調香』の範疇であればメロウ以上に信の置ける
知り合いはいない。その彼女が出来ないと言うなら
まずジャンルからして違うのだろうと判断した。
紅茶と珈琲、何方も嗜好飲料だからと一緒くたに
考えていた自分が甘かっただけでもあるのだが。

「いぁ、もしメロウが詳しかったら話の種? に
 なるかもと思っただけだし、専門外だったら
 別にイィや。

 紅茶に関しても知識があった方が楽しめるかも
 って思ったコトあったけぉ、下手にハマって
 自分で淹れるよーになるのはヤだったのよな。
 メロウに淹れてもらぅ機会減らしたくねーもん」

ご案内:「常世神社」に黛 薫さんが現れました。
メロウ > 「香水は飲んじゃダメだもんね?
 珈琲はどうしても味が必要になっちゃうし
 それに豆を使うから、その煎り具合も関係する
 挽き方にも色々な種類があるからね

 うん。詳しくない訳じゃない。出来ないってだけ
 調べればわかる事と調べた以上に知らなきゃいけない事
 その差がどうしても大きいかな。必要とあれば、学ぶけどね

 ま、必要とされたくはないんだけどね。私は本気になっちゃうから
 紅茶を淹れてもらう機会を大事にしたいなら、そっちに現を抜かしている暇はない」

カップを椅子に置き、空けた両手に息を吹く
温もりに当たり過ぎたのだ、少しばかり冷ます

「でもお話しとしては、興味深い事ではあるよね
 お友達、ふふ。それ聞いたことってそんなにないかも」

珈琲自体よりも、そちらに興味を持ったのか
首を傾け、目にて問いかけてくる。それは一体、どんな人?