2019/02/03 のログ
■人見瞳 > 「呼び捨てでもいいんですよ、こういう時は。瞳とか、瞳様とか。合わせる必要はありませんから」
用事もなく彷徨うだけでも楽しいんですよね。異邦人街は、島内でも最も変化に富んだ場所。
道行く人の顔ぶれも、交わされる言の葉や音楽のようなものさえも。
「知らない土地で用もなく、そぞろ歩きに興じるより贅沢なことなどありましょうか。きっとあるのでしょうけれど、それはそれ。私には関わりのないことです」
「「私」は休憩担当なので、今日はお留守番を。ちょうどお菓子が切れてしまって、何か探しにいこうかなと」
今この時にも11人の私が同じ空の下でせっせと働いているわけですが、これも同意の上でのことなので。
「こちらの水には慣れましたか? たまーに水質や気候……気圧の関係で、具合が悪くなってしまう方もいるのですけれど」
■蛭谷 エル > 「では瞳と呼ばせてもらおう。
俺のことも好きに呼んでもらって構わない。」
様付けで呼べと言う人間を見るのは初めてだ。これもこの世界の文化なのだろうか?実に興味深い。
とりあえず名前で呼ぶことにしよう、仲間に聞かれでもしたら面倒くさそうだ。
「休憩担当...瞳は今日は休みなのか。ここの菓子は何もかもが旨すぎる。これでは資源が尽きるのではいか?」
先程も数件食べ歩きをしていた。ちゅろすとかいうものやどぉなつ。見たことのないものばかりだった。
そしてなにより全てが美味。実に興味深い。
「ん...そうだな。元居た世界と気候などの環境はあまり変わらない。快適に生活させてもらっている。」
■人見瞳 > 「あなたのいた世界では、私くらいの齢の子がお友達の名前を呼ぶときどうしていたんですか?」
ところ変われば何とやら。言葉や仕草、会話の機微だってガラッと変わったりするのでしょう。
知らずタブーに触れてしまうくらいなら、教えて下さいとお願いする方がずっといいと思うのです。
「人気が集まれば、使える資源がもっと増えるんです。さらに人気に火がついて新しいお店が出たり、メニューが増えたりもして。みんなが得する仕組みですよね」
この世界の経済システム、なかなかやるじゃないですか。異世界出身の方にとっては、これが当たり前でない場合も多いわけで。
「ごはんが美味しいのは大事です。衣食住でいうと、住む場所もまずまず快適……お召し物はいかがでしょう?」
民族衣装を再現している方もこのエリアでは珍しくありません。ふるさとへの愛着や、宗教上のあれこれと理由は人それぞれみたいです。
■蛭谷 エル > 「ふむ...友人への名前か。そうだな、俺の世界は基本的に識別名で呼んでいたな。しかしこの世界では名前で呼ぶのが常識だと聞いた、俺はこっちの方が好きだな。」
元の世界では友人関係など存在しない。ただ決められたことを決められただけこなし、成果に見合っただけの昇進を受け、生を終える。
そんな環境で生活していた彼はこの世界での友人という関係がどうもむずがゆく、気分のいいものだった。
「なるほど...競合関係を作ることによって互いの精度を上げていく仕組みか。合理的だ。」
この世界特有の文化なのだろう。非合理な点も多々あるが、それ含め全てが昇華され、結果あのような興味深いものが生まれる。
やはりこの世界ではまだまだ知らないことが多い。
「あぁ、あんな料理を食べたのは初めてだ。お召し物...服か?そうだな...確かにどのようなものか気になるな。」
服装なんて考えたことも無かった。支給された服だけを着て生きていた自分には体験したことがなかったことだ。
これがこの世界で言うおしゃれ?というものか?
■人見瞳 > 「識別名と名前は違うんですか? 家名とは違うんですよね。昔で言う官職の名前とも違う……私は蛭谷さんのままにしておきましょうか」
彼がこちらの世界を想像すらできなかったように、私の想像力だけではきっと足りない。
興味がそそられる、と安易に言っていいのかどうかわからないけれど。
「流行り廃りが激しい分、ちょっといいなって思ったお店も応援しないと無くなっちゃったりするんですよね。学生通りの一本裏側に入ったところにあった出雲屋さんみたいに……」
ちくわパフェの専門店があったんですよ。信じられないかもしれませんが。ええ早々に潰れましたとも。
私にとってアリだと感じたものが世の中的にもそうだとは限らない。あの件では教訓を得ました。
「そろそろ行きつけのお店のひとつやふたつ、できたんじゃないですか。誰かを誘ってみたりとかして、ちゃんと応援してあげて下さいね」
「こちらの服装に抵抗がなければ、いろいろ楽しめると思いますよ。はじめは店員さんに全部お任せすればいいんです」
■蛭谷 エル > 「家名...?生まれた順番とかか...?ふふ、名前で呼ばれるのは悪くないものだな。感情論になるが、気分がいいものだ。」
蛭谷という名はこちらに来た際に付けられた名前だ。
名前にあまり意味はないと思ってはいたが、思ったよりもいいものだ。
「なるほど、その辺りにおいてはこちらの世界とあまり変わらないのだな。より良きものが生まれれば古いものは廃れる、それはどの世界でも共通なのかもしれないな。」
最新型と呼ばれた兵器であっても数年後には既に型落ち、次第に姿を消していく。自分の世界でもよくあった光景と似ている。
ただ、出雲屋というものが気になる。一時期流行ったものであれば何も知らない自分にとってもいい刺激になっただろうに。
「そうだな。最近はらぁめんというものが気に入っている。あれは非合理極まりない食べ物だが...何故か癖になってしまう。」
昨日も食べた。あの暴力的な栄養バランスが非合理的だと分かっていながらつい食べてしまう。
あれは一種の麻薬か何かだったのかもしれない。
「抵抗はないが...着飾るというものに慣れていなくてな。なるほど...店の人間に任せればいいのか。」
■人見瞳 > 「私の名前はどっちもひとみで、覚えやすいでしょう?」
彼と同じ缶コーヒーを選んで、ひんやりとした細長い缶を手の中で転がして。一口味わってみれば普段通りの味がしました。
「あんまり美味しそうにされていたのでつい……ええ、予想通りというか、私にとっては当たり前の味でしたとも」
「そうだ、いいこと思いつきましたよ蛭谷さん」
「食レポの動画を撮るんです。簡単ですよ。好きなものを美味しく食べて、感じたことをそのまま言うだけ。できそうな気がしませんか?」
彼のような人にできて、私にはできないこと。美味しいものを美味しいと言える感性を、この人はまだ手放していない。
「本当はきっと素晴らしいものがたくさんあるのに、私は驚くに価しないと思ってしまう。慣れとは恐ろしいもので、感性が鈍ってしまっているのでしょう。でも、あなたは違う。感動できるんです。あなたが味わう姿を見れば、同じものを食べたいと誰だって思います。なので食レポを」
いけそうな気がしてきましたよ。
「ラーメン、いいじゃないですか。お店ごとに味が違うので、いろんなお店の動画を作るんです。これはもう最高の応援になりますよ!」
■蛭谷 エル > 「そうだな。保護してもらった恩人から名前をもらった。確かに覚えやすい、それに覚えやすい。いい名前だと思う。」
人見瞳、うん覚えやすい。
コーヒーを一口含み、味わって飲み込む。自販機というものは素晴らしいものだな。
「当たり前の味...。やはりこの水準の嗜好品ばかりなのだなこの世界は。上層部と同等以上のものが食べられる世界...実に良い。」
特に味のない液体と小麦粉をブロック状に形成した食べ物。
それと比べれば栄養バランスは遥かに劣るが、非常に美味だ。
「食れぽ...?確かに簡単なことだが...。」
少し考えこむような仕草をして見せる。
食れぽというものを周囲が望んでやるのであれば無論実行はするが、自発的にやるのであればそれは自己満足に過ぎない。
ただこの世界の食べ物を広めることができるのであれば一考の余地はあるだろうか?
「ふむ...感動か。前々から気になっていたのだが、どうもこの世界は感情論で行動する人間が多い。何故だ?」
ふと疑問を投げかける。この少女もそうだ。感動するからという理由で食れぽを薦める。
正直な所そんなものは非合理的だ。だが、興味はある。
「店ごとに味が違う...。むむむ。」
■人見瞳 > 「初めて綿飴を食べた時の驚きを、まだぼんやりと覚えています。でも初めて食べたキャラメルの味はもう忘れてしまいました」
「学園都市から一歩外に出れば、異邦人といえばまだまだ得体の知れない恐ろしい存在です。偏見を持つ人も少なくありませんが……あなたは私たちが失くしてしまったかもしれない感性の持ち主で、私たちの好物を美味しいといってくれる。そのお姿をたくさんの人に知ってほしいとも思います」
《ブルーブック》の公式チャンネルでもそういうのがたまに流れます。異文化交流は鉄板ですよね。
「他の方のことはわかりませんが……判断の軸を自分の中に置いているのでしょう。ただ感情に従うのではなく、自分に問いかけているんです。その判断を信じてもいる」
「ラーメンは非合理だと言いましたね。単に栄養を取るだけなら、あんな手間暇はいりません。私たちにとってモノを食べるということは……きっとそれ以上のこと。ココロの栄養を求めているんです」
というか、まさにそれを求めにいく最中でした。缶コーヒーの残りをぐぐっと飲んでしまいましょう。
「私はこのままお菓子を探しに行きますが、よければご一緒にいかがです?」
■蛭谷 エル > 「ふむ...。忘却か...。それはどこでも同じなのだな」
確かにそうだ。初めて任務を成功させたとき等もう覚えていない。
敵対勢力の人間を殺したときの記憶は少しあるが...それと同じようなものなのだろう。
「得体の知れないか...確かにそうだな。我々は体に入り込んだウイルスと同じようなものだ。
だが、食れぽとやらをすることで我々を理解してもらえるのであれば...アリだな。」
この世界は元居た世界より格段に平和な世界だ。そんな世界に迷い込んだ自分は害のある細菌のようなものだろう。
だがそれが取り除ける...のであれば。
「...非合理的だ。指揮するものが適切な指揮を飛ばさなければ人は動けない...そう思っていたが。なるほど、自身で全てを考えるのが大事ということか。」
「ココロの栄養?ふむ...また感情論か...。だが、俺のいた世界ではなかった風習であり、文化だ。素晴らしいものだ。」
いまの自分では理解できないが。
いつかそのココロとやらが理解できる日も来るだろうとそう考えを放棄した。
「何?嗜好品か...。それはかなり興味深い。まだ見ぬ食べ物があるというのであれば、同行しよう。」
■人見瞳 > 「ウィルスだなんて。そんな事は言わせませんよ。私たちがお互いを怖れる必要なんてないんです。《ブルーブック》も無用の軋轢が生まれないために存在しているわけですし」
《ブルーブック》は学園都市の当局が提供するセーフティネットを補完する存在。全てを失った人がこの世界からも疎外されて、本物の脅威へと変わってしまう前に手を差しのべる。ささやかながら、そういう有形無形の支援を提供しています。
「大切なモノは目には見えない。うまく言葉にもできません。そうする意味もあまりない。だって、あなたはもう知っているはず。美味しいモノを食べて、胸の奥がぽかぽかするような……幸せな気分を味わっているでしょうから」
「おすすめはいもけんぴですね。栄養価が高くコスパも最強。お茶にも熱いブラックにもぴったりです。今日は特別に専門店をお教えしましょう……では、参りましょうか」
いもけんぴとお菓子を何種類か買いにいきました。
ご案内:「異邦人街」から人見瞳さんが去りました。
■蛭谷 エル > 「ふむ...瞳はいい人とやらなのだな。お前のような人間がいるお陰で俺達異邦人が生きていけてるのやもしれないな。」
彼女たちがいなければ間違いなく自分は現状を理解できず殺戮という爪痕を残して果ててしまっていただろう。
そうならず、快適に生活させてもらっている以上彼女たちには感謝している。
「ふむ...無形の歓びか。それも俺の世界では存在し得なかったもの。興味深いな。」
「いもけんぴ...。その口ぶりでは戦闘時の保存食かなにかか?専門店というのもあるのか...是非行こう。」
いもけんぴ、それは大量の砂糖で作った嗜好品。それを知ったとき彼は再び驚き、大量に買って帰ったらしい。
ご案内:「異邦人街」から蛭谷 エルさんが去りました。