2019/05/19 のログ
竹村浩二 >  
「シャキっとしろったって……」

不承不承に顔を上げて、目の前の少女と向き合う。
手首を掴まれたままで、かなり情けない。

「ああ、聞いてるよ。でもそれが俺と何の関係があるんだ」

不貞腐れた顔で頭に浮かんだ言葉を言い捨てていると。
探しに? 異世界に? 俺が?

「………え? 俺、その写真の通り風紀に属さず異能犯罪者と戦ってる系だけど?」
「あ、いや、違う……今、言いたいのは…」

「行きたい。メイジーともう一度会えるなら、片道切符でも構わない」

目に力が戻ったか、どうかはわからない。
それでも真っ直ぐに人見瞳を見て。

人見瞳 > 「たとえあなたが……夜な夜な暴行を繰り返すヤバい人だったとしても、私たちには関わりのないことです」
「この世界に由来する脅威をどうにかするのは、風紀の皆さんのお仕事ですから」
「怖るべきは、異界より現れるモノ」
「相容れない意志と能力をもって、私たちの生存を脅かしかねない存在です」

掴んだままの手を放して、幾分か力のこもったまなざしを受け止める。

「あなたがミス・ピックフォードの身元引受人だったならば……」
「証明して下さい。彼女は私たちに害をなさないと」
「真の脅威をたしかめて、できればご無事のお戻りを」

机の表面を軽く一撫でして写真を消し、元の木目の表示に戻す。

「送還を強く希望される方のために、ごく限られた条件下ではありますが……」
「逆召喚の技術を確立しました。事故率はけっこう高くて、私も実験中に何度か死んでいるのですけど」
「この際それは忘れましょう。準備は進めておきます。ところで」

大事なことを忘れていました。

「クッキーいります?」

竹村浩二 >  
「……何度か死んでるって、オイ…」

さすがに顔が引きつった。
そういう異能? じゃあそういう異能を持っていない俺はどうなる?
死ぬか。ワンチャン死ぬか。

「クッキーどころの騒ぎじゃないし、今食べても味がしないだろうからノーサンキューだ…」

溜息をついた。
でも、光がないわけじゃない。
危険な賭けでも、乗ってみせるのがヒーローだ。

「証明してみせるぜ、あいつは……」

そう、あいつは。

ご案内:「異邦人街」から竹村浩二さんが去りました。
ご案内:「異邦人街」から人見瞳さんが去りました。