2020/06/17 のログ
ご案内:「異邦人街・ラーメン屋『永遠のティルナノイ』」に戸田 燐さんが現れました。
戸田 燐 >  
路地裏で東郷月新と戦って。負傷して。
魔術的処置を受けて退院。この間、僅か一日。
なのに……どうしてかこう、病院食の味気なさに苦しむと。

ラーメンが食べたくなるのよねぇ。

「すいません、エターナルラーメンください」

この店の豚骨ラーメンはちょっと変な名前をしているけど絶品。
おっと、トッピングを忘れていた………

「エターナルラーメンの楽園ニンニク抜き、常若の味卵追加で」

いや本当どうかと思うけど。名前。どうかと思うけど。
美味しいから仕方ない。

戸田 燐 >  
人はラーメンと対峙する時、傲慢になる。
自分だけがこのラーメンを征服できる、とすら考える。
目の前の器を攻める暴君となるのだ。

運ばれてきたエターナルラーメン……まぁ見た目はありふれた豚骨なのだけれど…
攻略してみせる!!

まずは先制攻撃。
城門を攻める……麺を一口。
美味ひい!! ああ! 体が油分を欲していたことがわかる!!
ちょっと固めの麺がよくスープと絡んで極上!!

眼鏡が湯気で曇った。泣いてないし。

戸田 燐 >  
城門は硬く閉ざされたままと見た。
のんびり攻略していては麺が延びる……
士気を上げる策が必要。

ここで海苔を食べる。
まだ大してシケっていない海苔、これを破城槌とし…
んん!? 美味しいじゃない!?
スープに浅く浸った海苔の一撃、これにて仕舞ッ!!

城門は崩れた!!
彼奴め、牙城め、忌々しき尖兵め!
蹂躙しつくしてくれる!!

フハハハハ。順調じゃないか。
条件はクリアされた───あとはイレギュラーさえなければ…

戸田 燐 >  
城内の兵を出してきたか……だがもう遅い。
食欲のままに麺を啜る。
一人でラーメン食べに来てるなんて、
友達に知られたらコイツ腹減ってるのかぁ?みたいに思われそうで怖い。
だから……一気呵成に攻め入る!!

ここで物資を出す。よく冷えた水。
口の中が新しくなる気がした。暑い中食べるラーメンも乙だけど。
こういうちょっとした小技が戦況を決定付けることは珍しくもない。

……!!
麺の底から、隠れていたメンマが!!
ここで奇策に頼るとは忌々しい!!
だけど……余力がないことの証左に他ならない!!

ここで……メンマを食べる!!

ご案内:「異邦人街・ラーメン屋『永遠のティルナノイ』」に群千鳥 睡蓮さんが現れました。
群千鳥 睡蓮 > ラーメン。
《大変容》以前より庶民食として広く知られている。
源流は大陸にあるとされ長い歴史をかけジャパナイズされ枝分かれしていったそれは、
ひとつの多様な文化体系を形成していた。つまりラーメンは地球であり、宇宙、世界なのだ。
その枝は門の向こうまで伸び、分かれ、暖簾ごとに異なる味を提供してくれる。
……行列が動いた。此度の暖簾は、がっつり系。いわゆる男の食い物。

(……女一人でラーメンとか、同級に見られたらキツいな)

と言いつつも、カフェ飯にロカボフード、インスタ映えするお洒落飯では肉体が保たない。
気配を殺し、時間を見計らい、ついに着席。
真隣に同輩が居ることは気づかなかった。居ない筈だ。普段は顔見知りが来ない時間見計らって来たんだもん!
ショルダーバッグを背中に向ける。
豚骨の獣臭がたまらない。明日は学校休もうかな……。
さて、正統派に攻略してはいられない。油、塩分、カロリー……味の濃いものに立ち向かうには必須アイテムがある。

「エターナルラーメン……の、味玉。 と………"ライス"で」

コールした。やりきった!ガテン系さながらの大量注文!
握りこぶしを作ってもはや今夜は勝ったも同然の気分。
視界の端に捉えたロックな髪色のほうに着丼待ちの手持ち無沙汰になんとなく見てみると、
あ、見たことある人だ。学校での顔を使ってご挨拶。いやーこんなところに女生徒が居るなんて奇遇だな~。
――あれ?

「あ、戸田さん。 ……だっけ、奇遇だ……ね……?」

戸田 燐 >  
さぁ、国連会議を始めようじゃないか。
どちらが戦勝国で、どちらが敗戦国かをはっきりとさせよう…
これでトドメだ!!

その時、隣に着席したのは。
ア、アーリエーン!! 同級生の群千鳥睡蓮さんだー!!
奇遇だけど、ここで会うのは女子力にお互い大きくマイナス査定なのでは!?

群千鳥 睡蓮。
私と同じ一年の常世学園女子。
スタイルが良く、密かに男子人気が高い。
色白な肌と前髪で隠れた瞳には、何かとミステリアスな噂がつきもので。
今まであんまり話す機会はなかったものの、興味深い女子であることは確か。

「き……奇遇ね…?」

それが。ラーメンライスである。
ラーメンライス。音に聞こえし炭水化物の暴君が支配する国。
攻略法としては非常にシンプル。ラーメンを食べたらライスを食べる、だけ。

だけど………あの群千鳥睡蓮が、ラーメンライス!?

群千鳥 睡蓮 > しまったァァ――炭水化物をおかずに炭水化物食べようとしているところを同輩に見られてしまったァァ――!!
ラーメンの誘惑に負けて周囲への警戒を完全に疎かにしていた。
淀んだ店内に鮮やかな髪色が眩しい。曇った眼鏡の奥にサファイアが見える。
赤縁がオシャ度高い――印象としては"陽"。あるいはそれを抱く"空"か。
あー交友広そう!マズいな――!

どうする?どうすればいい?考えろ……ッ!
世間話か――?脳内に展開する連綿としたシミュレーションからひとつを選ぶ、これだ…!

「あの、そう……、ラーメンって……ライスと一緒に食べるものだって聞いてたんだけど……!
 ……戸田さんは、頼んでないんだね!」

赤くなった顔でぎこちない微笑を浮かべる――流石に苦しい!
初心者は周囲を疑うのがベターな筈だ。
こっちは既に卓上セットの味変に手を伸ばして戦術を構築したっていうのに。

むずむずと唇を動かす。着丼した。凄い美味しそう。味濃そう。最高。
彼女がいるからお上品に食べて『やっぱり男の人向けかな、食べきれなかった…』って可愛こぶるのが常道か。
いただきます、と手をあわせて割り箸を割り、茶褐色の宝玉……味玉を器用にお箸で持ち上げると。

「……この事はどうかっ…! 内密に。 戸田さんだってその。
 ……ひとりラーメンは……噂されたら恥ずかしい、よね?」

彼女の丼に塩――ならぬ味玉を送った。とぷん。あー美味しそう……また来よ……。

戸田 燐 >  
どうしよう、どうしよう。
こんな気まずい思いをするならこの店を選ぶんじゃなかったァー!!
私だってソロラーメンだよ!!
頭の中で軍師気取ってたけど!!
一人寂しきソロラーメンだようー!!

「へ? え? でも………」

初心者がラーメンライスとなると騙されてたとしか思えない……!!
それはそれで可哀想だからそのセンは消えてくれー!!

味卵がこちらに載せられると、取引は成立した。

「ええ、内密に」

にっこり笑って頷いた。
しかしラーメンも二人で食べるというのも良いかも知れない。

「群千鳥さんはどう? テスト対策」

そんなことを言いながら味玉を食べる。
濃い……味が濃い…心の奥底にある暗い感情が呼び起こされるほどに、美味しい。

群千鳥 睡蓮 > 「……話のわかるひとで良かった。 味濃いの、すきなんだよね。
 がっつり系って言うのかな。 お肉とかもすごく……。
 でもこう……好みに正直だと、目立っちゃうかな、みたいな」

女神は居た。神に捧げる供物として、味玉は惜しくも確かな効果があったようだ。
前髪はそのままに、腕につけてたシュシュで髪をまとめると、あらためて――
まずはスープから。……嗚呼、この身体に悪そうな味!アクア・ウィターエとは案外こうしたものなのかも。

「なまえ。 覚えててくれたんだ、ありがと。
 んー、まずまずかな。此処独自のカリキュラムへの対策がちょっと……
 戸田さんは? ……わかんないとこがあったら、教えてくれる感じ?」

存外気楽だった。編入前のように肩を組みに行くようなことはないけれど。
話し易い――というのか。ロックな髪色だからもっとバンギャ感あるアッパー系かと思っていた。
雰囲気に絆されつつ、小首を傾げて問いかけてみる。人から学べるところは学びたい。

「勉強は嫌いじゃないんだけどね……試験ってなんかキュークツな感じが。
 ……そいえば、入院した、らしい、って噂きいたけど、ほんと?」

噂の真偽をそれとなく確かめた。生きてるということは戦える異能か。
と言いつつも……海苔はスープに浸す戦法。搦め手。
燻製されたいい感じのチャーシューを箸で器用に切り分けて…オンザライス。
そこに海苔でくるんで頂く――邪道食い。行儀悪し。
かつてのように茶碗持ってガツガツとは行かぬまでも…堪え難し!これは譲れない。んー…♪幸せな吐息がこぼれた。

戸田 燐 >  
「わかる……女子はタピオカとスムージーだけで生きるにあらず」
「ガッツリ行きたい日もあるけど、女子というだけでハードルが上がる場所があるもの」

自分もスープに取り掛かる。
今、健康が害されている!! 甘美なる侵蝕を受けている!!
豚の骨を煮込んだスープなんて……と思っていた時期が私にもありました…最高!!

「ううん、私も名前覚えてもらってたし? そこはまぁ」
「教えるわよ、言っちゃ何だけど眼鏡のブランドイメージを落とさないために勉強してるし」
「ほら、眼鏡なのに成績悪いとイジられるし」

もちろんそれは冗談なのだけれど。
群千鳥さんはもっとこう、大人しくて本を読んでいれば幸せなタイプかと思っていたけど。
これは……男子人気出る…むしろ出れ……

「試験って無駄に緊張させてくるのやめてほしいよね」
「あー、うん。辻斬りと一戦交えて。回復魔法のおかげで一日しか入院しなかったけど」

ラーメンライスに多彩な技術が使われている……
私も今度ラーメンライス食べようかな……美味しそう…
群千鳥さんの中に鋼の冒険心を見出しながら、麺を食べきった。

伸びるものがなくなれば、あとは自由時間。そういうものなのである。

群千鳥 睡蓮 > 「あー、この学校もやっぱりある……? "眼鏡ちゃん"煽りみたいなヤツ。
 でもそれ、すごく可愛いよ。 赤いの似合うのってずるい。ヤバいと思う。
 ……そんな知的な戸田さんには、有り難く、ご相伴に預かります。
 異世界史とか新物理のあたりとか、研究の進捗のせいかココと前のがっこで書いてあること違うんだもん。
 ほんっと助かる……! いい点取れたら考査のあとなんか奢るね」

いっしょに行こう!女の子一人じゃくぐりづらい暖簾のお店に!
気配を断ってインスタのシャッターから逃れながら……!
……前の学校では"メガネちゃん"と"メガネくん"を弄っていた筆頭、だとは口にするまい。
思いっきりズルルとは啜れないので、ふぅ、としっかり冷ましてから少しずつ口にする。
とはいってもあまり遅いと店主さんにニラまれそうなので、ペースは早めだ。

「わたしたちを試してるんだよ。やらなくたってわかってるっつの……
 ……って、さらっとスゴいこと、辻斬り……?ああ、物騒な区画があるってあの人がいってたな。
 よく無事だったね? ……あ、わかった。 病院食、あんまりだったんでしょー?」

撃退したのかどうなのか、事も無げに告げているが、
"普通の女の子"の印象は胸の中で塗り替わる。前髪の奥が僅かな警戒に絞られるが態度には出さない。
麺も減ってきたので、ここはお酢で味変。――丼ごと行きたいがレンゲで我慢。
ううん、塩分の角が丸まってまろやかだ。悪戯っぽく問いかけて切り替える。

「わたしは試験よりも……いろんなこと、知りたいな。
 異能とか、魔術とか……それを持つ人のこと。 
 ……こんな形だけど、しょーじき戸田さんのこと、初めてみた時からキョーミあってさ。
 お話できて、うん、嬉しいかな。 …メン友だし?」

戸田 燐 >  
「まさか、ないない。眼鏡ちゃん眼鏡くん弄りって中学で卒業でしょ」
「ありがとう、群千鳥さん。この眼鏡気に入ってるの」
「異能犯罪史とかそんなのあったのって大事件が連発だしねー…」
「オゴりとかはいいよ、その代わりアドレス教えて?」

友達ができたのかも知れない。
最初は気まずい思いをしたけど、こういうことがあるなら。
ソロラーメンも悪くはない。
……でも次からは群千鳥さんと示し合わせて、学生がいない時間帯に食べに来よう。

「人を試す側って楽しいのかなぁ……」
「うん、その物騒な区画のよりによって路地裏に迷い込みました…」
「病院食がもう、本当合わなくて……ラーメンが食べたく…食べたくなって…」

感情を搾り出すような言葉。
私はラスト味玉を食べてあっさりスープを飲み終えた。
あー。健康に悪い。あー。最高。

「メン友だしね?」

からからと笑って箸を置いて。

「本当? 嬉しい。私も群千鳥さんと話してみたかったんだー」
「今度一緒に勉強しよ? 遊びに行くのもいいけど」

そう言ってお会計を終える。お腹も心も満たされた。

群千鳥 睡蓮 > 身体も胃袋もでかいのだ。ライスも含めて完食。
――けぷっ、とでかけたものを唇を抑えて我慢。
炭水化物はおかずだ。ラーメンとライスは終生の友、あるいは競い合うライバルだ。
君たちはどっちも主役であった。手をあわせて、ごちそう様でした。これは昔からの習慣。

「ぷは。 えっ、そーぅ……だよね! 子供、子供……中学までだよね!
 いいよー、なんかあったら気軽に連絡して。わかんないとこあったらわたしも訊くから。
 ……眼鏡とか、服とか買えるとこも、色々知っておきたいし」

携帯端末を向けて、最先端の技術は設定さえしていればそれだけでアドレスの送受信を完了する。
受け入れるかどうかの可否は持つ者に委ねられる。領分、線引き。
表でいう高1――桜の見頃の入学直後にここに送られた自分は、まだ子供。
"大人"……"普通の女子高生"。カモフラのためにも、戸田凛。
メン友の秘密を共有している彼女からは多くを学べそう。
お愛想する。ラーメン屋では小銭を多めに。

「私もずーっと身体に悪い食べ物我慢してた。
 ……でも戸田さんにバレてなんか気楽になったかも。
 えへ……ほんとうに助かるよ、甘えられる友達がまだぜんぜんで、さ。
 あ、でも、気をつけてね。 わたしの少ない友達が、怪我じゃ済まなかった…とか、イヤだから」

立ち上がる。そうするのが癖なのか、画面に映る彼女のアドレスを含めて、
ポケットから取り出した古い手帳に新しく、彼女の名前を書き込んだ。
しまい込む。続きの記述は、次の機会。

「とりあえず、怪しまれないとこまで一緒に行こっか。
 ところで――ラーメン食べた後って、ライス……じゃなかった。
 アイス、欲しくならない? ……帰りにいいとこあったら、教えて欲しいんだけど」

――糖分は、未だ足りない!

戸田 燐 >  
「美味しそうに食べる子は素敵よ」

曇った眼鏡を拭いて。
豚骨ラーメン……味玉…ベストマッチ!
刻んだ葱も入ってたから、まぁ野菜カウントもヨシ。

「いいわ、なんだかんだであちこち歩いてるしね…方向音痴だけど」

携帯デバイスに入ってきた彼女のアドレスに目を通し。
いつだってこの瞬間は楽しい。

「……うん、友達に心配はかけないわ」
「私の好きな言葉は1に平穏、2に静寂、3は青春だからね」

続く言葉は。
信じ難い……脂ぎった豚骨ラーメンを食べてなお、アイスを食べに行く…
度し難い!! けど!! あまりに甘美で素敵で最高の提案!!

「異邦人街にある、0度以下の石の上で練るアイスの店を知っているわ」

サムズアップ。

「ダイエットは明日から!」

そうして最高のオリジナル笑顔で私たちは次の店へと進んでいったのだった。
後日、体重計の針も進んでた。