2020/06/27 のログ
ご案内:「異邦人街 街角」に羽月 柊さんが現れました。
羽月 柊 >  
「ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。――様。」

異邦人街の中でも、かなり裕福だろうと思われる建物から男が出てくる。
そんな建物にはそぐわないくたびれた白衣が、
梅雨の湿った空気に裾を遊ばれた。

普段淡々と、特に表情も変えずにいる柊だが、
今この時だけは飛び切りの営業スマイルである。息子が見たら二度見するぐらいの。

今だけは性格が180度違うようにすら見えるとも。

羽月 柊 >  
営業は帰るまでが営業です。遠足ではない。
とはいえ、そこから出て角を曲がる頃には表情を戻したい一心なのだが。

ニホンジン的お辞儀を何度かぺこぺこしつつ。
手には少し重めの紙袋を持ち、2匹の小竜を引き連れて。


男の既知であるならば、彼のこんな表情は滅多にない。
そうでなくともスタスタと姿勢よく歩き去り、ひとつ角を曲がり見送りのモノも見え無くなれば、
長い溜息と共に表情筋の運動会は終了する。

誰かに見られていないことを祈りたい。

羽月 柊 >  
それにしても、ここに来る用事で仕方なく出てきたが、
今日は島の空気がイヤにピリピリとしているように感じる。
何がとは言えない。

風紀委員の制服をちらほらと見かけるだとか、
少々危ない橋を渡っていそうだという生徒が目についただけ。

ただそれだけだ。

ただそれだけでも、大人の嫌な予感というのはなんとなく現実になる。

ゆっくりと街角を曲がり、漸く表情を普段通りに戻すと、
一応でもきっちりとしていた襟元のボタンを外す。

羽月 柊 >  
最近収支赤字が酷い。
今日は"回収"作業に来たのだが、メンテナンスで少々上乗せしてもらった。

貯蓄がある分、生活の首が回らない程という訳でもないのだが、
借りパクに装具の破損の補填をするには収入が無いと気分が暗くなる。

「煙草の一本でも吸いた……おっと。」

思わずのぼやきには御付きの小竜達からの睨みが効いていた。
手をぱっぱと払い、
やらないやらないとジェスチャーすれば頭を掻いた。