2020/07/15 のログ
ご案内:「異邦人街 大通り」に雨見風菜さんが現れました。
ご案内:「異邦人街 大通り」にスピネルさんが現れました。
雨見風菜 > 夜の異邦人街。
風菜はのんびりと大通りを散歩していた。

「期末試験も特に問題なく終わりましたし、あとは夏季休暇ですね」

学生らしく試験を振り返るその様は、清楚な美少女ではある。

スピネル > 夜はいい。
忌まわしい太陽の光に晒されず、風は涼しく、静かだ。

この日、異邦人街での買い物を終えたスピネルは居住区に向けて真っすぐ夜道を歩いていた。
この辺りはスラムとは違って物騒な奴が突然現れることもない。

ついつい浮かれていたのか小石に躓き、向かい側から歩いてきた女性へとぶつかる。

「おっと、すまんな。」

スピネルが飛び込んだ先は柔らかい弾力。
顔から突っ込んだだけならいざ知らず、その際に右手条件反射で触れてしまう。

「おぉぉぉぉ、すすすすすす、すまない。」

声だけでなく、全身が震えるスピネル。
こっちに来て初めて触れる女性がこんな状況だとは夢にも思わなかった。

雨見風菜 > 正面の男子が躓き、風菜の胸に飛び込んできた。
無論、それを嫌がる風菜ではなく抱きとめてやって。

「あら、お怪我はないですか?」

慌てて離れる男子に優しく声をかける。
胸に顔をうずめたり手を触れたりしたことは風菜にとっては何も問題はない。

スピネル > 「すまぬな、お陰で怪我はないぞ。」

スピネルからすれば、包容力の塊のように思えた。
胸元に飛び込んで見知らぬ男を咎めるではなく身を案じてくれるとは。
頬が熱くなっていくのを感じながら、スピネルは咄嗟に身を離し気まずそうに顔を見上げる。

「お主は学園の生徒か? お主こそ怪我はないか。」

雨見風菜 > 躓いたのが見えたのでとっさに踏ん張れたため、特に問題もなく。

「ええ、大丈夫ですよ」

少々揉まれたかもしれないがその程度で風菜は動じない。

スピネル > 「いやいや、それでは我が合わせる顔がないだろう。」

スピネルは顔を赤らめたまま、気まずそうに顔を反らし。
しかしながら視線だけは横目で女生徒を見上げる。

「そうだお主、何かしたいものか欲しい物はないか?
我はこう見えて偉大で高貴なヴァンパイアでな。
お主の望みを全てとは言わんが、出来る範囲で叶えてやろう。」

女生徒に正面を向くと、右手を自らの胸元に、左手を腰に当てて偉ぶっている。

雨見風菜 > 「したいもの、欲しいもの」

ううん、と考え込む。
今は特に欲しい物もなく、ブラブラしていただけだが……

「そうですねぇ。
 じゃあ私と仲良くして頂く、ということで」

スピネル > 「ほほう…。」

スピネルは意外な提案に女生徒が輝いて見えてくる。
金目のモノを要求するでもなく、ただ仲良くするだけでいいらしい。

「ならば早速だが仲良くするとしよう。
我は高貴なヴァンパイアのスピネルだ。
いづれはこの常世島の闇を支配する者よ。」

御大層な口上を述べてから、右手を差し出す。
正気を疑われるかもしれないが、これが彼の普段通りの挨拶であり、彼は本気で闇の支配者になろうとしている。

雨見風菜 > そんな尊大なスピネルの態度に。

(まあ異邦人の方にも色々居ますしね。
 本気のようにも見えますが)

「申し遅れました、一年生の雨見風菜です」

差し出された右手を取り、握手。

スピネル > 「雨見か、良い名前だな。」

固い握手を交わすスピネル。
ちょっと痛い奴と思われているとは気づいていない。

「このまま外で立話と言うのも暑いだろう。
どうだ、学生らしい店で少し話さないか。
我は学園の生徒が普段どんなことをしているのか興味があるぞ。」

雨見風菜 > 「そうですね、涼しい店でお話しましょう。
 私もスピネルさんがどんな人か興味がありますし」

少々個性的かな、とは思いつつ。
こういった性格には少々期待してしまう風菜だった。

「では、あの喫茶店あたりにします?」

スピネル > 「そうかそうか!
我に興味があるか。 実に見どころのある人間ではないか!」

優しい上にこちらに興味を持っている?
もはやスピネルにとっては神に見えてきた。
同じ人間でも崇拝度が足りないチンピラ達と大違いだ。

「おお、あの店だな。」

スピネルは雨見の手を掴んで喫茶店に向かう。
木造建屋の古典的な喫茶店。
スピネルはチンピラ達とこういった店には行き慣れているのか。
店に入るなり窓際の席を確保し、向かい合って座りあう。
メニューを広げると、雨見の手元に置いて。

「なんでも好きな物を頼むと良い。」

雨見風菜 > スピネルの反応に微笑ましいものを見る風菜。
と思いきや手を掴まれ、示した喫茶店に引っ張られる。
この強引さもいいな、とも少し思っていたり。

「あら、ありがとうございます。
 では……メロンソーダフロートで」

スピネル > 今日のスピネルは興奮していた。
日頃はチンピラの相手ばかりなのでたまにはこんな風に良識ある女生徒との時間はいい。

スピネル達が座った席の周りは学生ばかり。
基本的に学生が使う様な入りやすく、お値段も手ごろなお店の様だ。

「ほう、飲んだことのない飲み物だな。
我も同じものを頼むか。」

店員を呼び、二人分を注文する。

「さて、最初の経緯を考えると我の方から自己紹介をするべきだろう。
我は高貴なヴァンパイアのスピネルと言う。
数日前に転移荒野なる場所に突如目を覚ましてな。
色々あっては今は学生居住区の片隅に部下と共に暮らしている。」

店員がドリンクを持ってくるまでの間、大げさな身振り手振りをしつつ自己紹介。
転移荒野で最初に礼儀正しいオークに出会った事、他に数人の生徒に出会った事、スラムでチンピラを束ねてチームを結成したこと、
異能の使い手と戦い辛くも勝利を収めたことなどを得意げに、さぞ一大物語のように感情籠めて語った。

雨見風菜 > 「転移荒野。
 マディファさんも其処から来たって言ってましたね」

話からするに、行き来が自由にできる世界とそうでない世界があるのだろう。

「オーク。
 異邦人街ではあまり見かけた覚えがないんですよねぇ。
 最近の創作では野蛮な種族として描かれることが多い気がしますが、やっぱりそんなものですよね」

種族で性格を決めつけるのはわかりやすい差別だと思いつつ。
言ってる自分は他人を差別していないことはないんだろうなとも考える。

そういうふうに話をしていると、注文したメロンソーダフロートが運ばれてくる。
鮮やかな緑色の炭酸飲料の上にバニラアイス。
この店は氷の上にバニラアイスを置いているタイプだった。

スピネル > 「マディファ? お主の知り合いか?」

おお、早くも知らぬ名前が。
スピネルは興味津々に問いかける。

「そもそも人以外の種族をあまり見かけたことがないな。
我も同族が居るかと思いきやまだ見ておらん。
居そうな気配はたまにするのだが。
まあ、人間も色々おるだろう。 それと同じではないのか?」

種族で括っても個体差や性格など千差万別。
二人ともその辺の認識は同じようで話が早い。

「うぉぉぉ!?
これはまた凄いモノがきたな。」

甘い香りが漂うメロンソーダ。
そもそもスピネルはメロンもメロンジュースもあまり縁が無かった。
スラム暮らしだったので仕方がないのだが。
緑色の液体の上に浮かんでいるのは白いバニラアイス。
浮島のように浮かんでいるバニラアイスをスプーンで掬い、口に入れる。

「おお、これは美味なのじゃ。」

雨見風菜 > 「ええ、何やら機械竜だそうで。
 とは言え、今の見た目は褐色の犬耳尻尾の女の子なんですが」

「異邦人街にはそういう人がたくさんいますね。
 ええ、人間色々、異邦人もいろいろ。
 きっと他に吸血鬼の方もオークの方も居るでしょうね」

そして、メロンソーダフロートに驚くスピネルに。

「上の白いものはバニラアイス。
 下の緑色の液体はメロンソーダなんです。
 飲んでみるとシュワシュワしますよ」

微笑ましいものを見るかのように。
その上で説明してあげて、どんな反応が出るのかが楽しみだ。

スピネル > 「機械竜? 機械の竜ということか。
それが少女になっているのはよくわからんが、一度会ってみたいものだな。」

雨見の紹介ならおかしなことにならないだろうと多少は予測し。
好奇心旺盛なスピネルは機械竜の女の子に興味を抱く。

「ならそのうち見かける機会が来るかもしれんな。
しかしそんなにしょっちゅう呼び出されているのでは溜まった者じゃないな。
お互い困ることもあるだろう。」

どうにもならないのだろうが、島のことを危惧してしまう。

「なるほどのぉ。
では早速。」

言われたまま、ストローを口に咥えて。
空気が入るとボコボコと泡が発生しては消えてしまう。

「おおぉぉ!? こんな不思議な飲み物が安価で飲めるのか。
人間の文明は素晴らしいの。」

メロンソーダと雨見の顔を何度も視線が往復する。
店に入ってからずっと落ち着きがない。

雨見風菜 > 「彼女も一年生ですので、もしかしたら会えるかもしれませんね」

なお、風菜よりもマディファの方がまともではあるのだが。
まあ風菜の本性を知らない以上は仕方がないことだ。

「このままだと島がパンクしてしまいそうですよね、本当に」

とは言え、まだまだ余裕はありそうではあるのだが。

「異邦人の方はよくこちらの食文化に驚きますね」

メロンソーダに驚く姿が微笑ましい。

スピネル > 「どうだろうな。 我はまだそちらの正式な学生ではないからな。
先日こっちのエリアに移ってきただけで今の時点では不法入島者だ。」

会えれば色々と知ることもあるだろうが、果たしてタイミングよく会えるだろうか。

「それには及ばんだろう。そんな時は人間達は海を埋め立てたりすると聞いたぞ?
そうして橋を通したり空港なんぞ言う巨大な施設を建てているのだろう?」

最近購入した本で知った知識を基に尋ねる。
スピネルの中で人間は恐ろしい存在ではあったが、その印象が更に深まっていく。

「皆、こういった文化は知らんだろうからな。
我がこれまでによく飲んできたのは紅茶にワインに人の血くらいだろうからな。
こんな飲み物は初めてだ。」

雨見風菜 > 「あら、なるほど……
 まあ、彼女も行動範囲が広いらしいですしもしかしたら合うことがあるかもですね」

争いにならなければ良いのだが、とはちょっと思う。

「とはいえものにも限度はありますし……。
 この世界からも異能者がこちらに移り住んでますし」

世界は広い。
だが異能者の肩身は狭い。
風菜自身は自分の行いがアレなのだが。

「食事は娯楽でもありますし、なんなら炭酸なんて技術が発達してないと中々無いのではないでしょうか。
 そう考えると、ここまで発展させた昔の人達には感謝ですね」

スピネル > 「もし出会った時はお主の知り合いと言えばよいのだろう?
まあ、分かるかどうかだがな。」

機械竜と言われてもイメージが付かない。
本当に出会った時に判断がつくだろうかと少し疑問が浮かぶ。

「島の外では異能者には居場所がないのか。
なんとも困った話だな。」

ストローから息を吹き込み、メロンソーダをプクプクと泡立てる遊びを発見したスピネル。
それがはしたない事だとは知らずに、空気を流し込んでいる。

「まあ、メロンソーダの話はほどほどにしてだな。
お主は普段どうしてるのだ? 学園の生徒のことをもう少し教えるのだ。」

雨見風菜 > 「まあ、見た目は目の色が個性的な褐色の犬耳尻尾の女の子ってだけですからね。
 あとは……喋り方が古臭い?」

「居場所を作れてる人も居ますが、基本的には肩身が狭いものです。
 危険な異能だってありますし」

飲み物に息を吹き込むさまには何も言わず。

「学園ではいろいろなことを学びますね。
 まあ、つまらなくて寝ちゃったりする人も居ますけど。
 休み時間では中のいい子と遊んだり、お喋りしたりですね」

スピネル > 「ふ、古臭い?」

スピネルは一瞬、心臓がドクドクと高鳴った。
実を言うと彼もチンピラ共から最初の頃に喋り方が変わっているとか言われたのだ。
自分が言われたかのようにダメージを受けている。

「ほうほう、ならばそんな者たちを我が新生スピネル護衛団に向か入れていくのも良いとは思わんか?」

誰も自分と同じような遊びをしていないことに気づき、なんとなく止めた。
大人しく柔らかくなったバニラアイスを突いて食べている。

「いかにも学び舎と言う感じだな。
通っていて面白いか、お主は。」

雨見風菜 > 「古いというか……おばあちゃん?」

スピネルがダメージを受けているとはつゆ知らず。
まあ、彼女は実際100歳だしそんなものだろうとも思う。

「まあ、相手に入る意思があれば良いんじゃないでしょうか」

周りの様子を見て遊びをやめたのを見つつ。

「私は面白いですね。
 それに、学びたいこともありますし」

空間魔法がまだ発展途上であるため。
もしかしたら他の魔法も使えるのかもしれないが、今風菜が使えるのはそれだけだ。

スピネル > 「なるほど、竜だけに長寿なのだろうな。」

長い時を掛けて目覚めた己と意外と話が合うかもしれない、と前向き思考になっていく。

「お主も入らんか? 丁度今、我は我の眷属になるような者を探していてな。」

バニラアイスを食べ終わり、口元を白く染めたままメロンソーダを飲んでいる。
そして、さらりと勧誘をしてみたり。

「ほう、学びたいことが。
学園に通えば異能や魔法をより学べるのか?
いや、学べるだろうな。 あそこは禁書も保有していたな。」

雨見風菜 > 「お誘いはありがたいのですが、あいにく私にはもう飼い主が居まして。
 そうですね、捨てられたり駄目だったりしたらそちらをお伺いするかもしれません」

冗談めかして笑う。
とは言え、風菜は言葉そのままの意味で言っているわけだが。

「ええ。わからないことを相談に乗ってもらったりしてもらえますので」

スピネル > 「飼い主とな。」

…? スピネルは首を傾げた。
何と言うか、スピネルが勝手に作り上げていた雨見風菜のイメージからは程遠い単語が出てきたからである。

「今の我の分からないことも相談に乗って貰えるのだろうか?
例えば、今お主が言った飼い主がそうなのだが…。」

え? え? と言った感じで頭の中がクエスチョンだらけだ。
こっちでも奴隷だのそういう感じのことがあるのだろうか。

雨見風菜 > 誰だって疑問に思う。
表面上は清楚な少女なのだ。

「ああ、そこは私の性癖なんですよ。
 支配されたい、飼われたい……そんな性癖」

クスクスと笑い、表面からは考えられない本性を出す風菜。

スピネル > 「おぉ~~~、そういうタイプなのかお主は。」

元々はそう言った手合いの事をしてきた経験のあるスピネル。
メロンソーダを見た時の驚きようとは打って変わって、今は酷く冷静で。

「お主がそのような性格なのなら我の所で飼ってやれば良かったな。
どうやら出会うのが少し遅かった様だ。」

人間はやはり見た目だけではわからない一面を持っている。
目の前の彼女もそのようだ。

雨見風菜 > 最初の接触のときの反応からは考えられない反応に少し驚く。

「あら、経験がお有りのようで。
 そうですね、タイミングが違えば、もしかしたかもしれません」

況して、今の『飼い主』とは違い彼は男だ。
もしかしたら、と期待が膨れる。

スピネル > 「まあ、我もお主の友人程かは分からんがそこそこ長く生きておるからな。
それに宵闇の支配者となれば大抵のことは一度は経験しておるよ。
だからと言ってそう言ったモノに溺れるわけではないのだがな。」

メロンソーダが残り少なくなり、ストローに空気を吸い込む音が混じる。
やがて底をついてしまうと、グラスに入った水を飲んでいる。

…覗き込むように、下から上目遣いで雨見の瞳をみやり。

「その様子だと、今の飼い主は同性か。
飼い主との仲が拗れない程度で良ければ我がたまには可愛がってやろう。
なに、友人同士でもスキンシップは大事だろう。」

雨見風菜 > 「なるほど」

経験があるのならばその尊大な口ぶりは口だけではない、と評価を改める。
とは言え、やはり見た目に引きずられて考えてしまうのは悪い癖だなとも感じて。

……気付けば、上目遣いで見上げられている。

「それはご丁寧にありがとうございます」

風菜にとっては嬉しい申し出だ。

スピネル > 「ただ、我の方も頼みたいことがあってな。」

机の上に両腕を載せ、頬杖をつくスピネル。
じっと雨見の顔を眺めながら声を潜めて。

「そうなる時で構わないのだが、お主の血を分けて貰えるか?
話を聞いているとお主は恐らくそう言ったことに興味がありそうだしな。
ああ、眷属にはせんよ。 ただお主らの様に魔力を持った相手の血は貴重でな。」

スピネルは少年じみた格好が災いしてどうしても子供扱いを受けてしまう。彼自身はそういった扱いにすっかり慣れているので気にもしていないが。

雨見風菜 > 「頼みたいこと」

まあ、予測は付くが。
そしてその予測通りの内容を聞いて。

「ええ、構いませんよ。
 ふふ、興奮しちゃいそうです」

ふとそれを想像して。
首輪の下に手を入れて首筋を撫でる。
笑顔は期待に染まっている。

スピネル > 「なんだ、最初の頃と随分と印象が異なるな。」

雨見の表情に怪しい光が灯っていくように思えて。
スピネルも口元に笑みを浮かべていた。
互いに思惑が合致した二人。近いうちに夜の街へと向かうことになるだろうか。

雨見風菜 > 「ふふ、私はそういう女なんですよ。
 ですから、そのときは。
 遠慮なく、貪ってください」

喫茶店の中。
この席だけが、空気が違っていた。

そうして、メロンソーダフロートを飲みきり。

「さて、今日のところは、これで。
 またのお誘いを、もしくはお誘いする機会を。
 楽しみにしていますね」

ご案内:「異邦人街 大通り」からスピネルさんが去りました。
ご案内:「異邦人街 大通り」から雨見風菜さんが去りました。