2020/07/28 のログ
九十八 幽 > 「そうなのかな そうなのかもね
 ふふ、ありがとう冬織 うん、やっぱり かすかと呼んで貰えるのが一番好きさ」

嬉しそうに両手を合わせ 口元へ運んで微笑む
声を掛けられた当初よりも 少しだけ広くなった肩幅を僅かに窄めて

「そうなんだ 素敵な街でしょう、ここは
 暖かくて 賑やかで それでいてちょっぴり寂しい所なのだけど
 それなら……うん じゃあ冬織の知っているところに案内してくれないかい
 大丈夫 おなかはまだ我慢できるから」

自己紹介した時のように 静かに胸に手を当てる幽
一度静かに目を伏せてから 穏やかな笑みを以て少年を見つめて
先導は任せるよ と静かに告げて 歩み出すのを待ち始める

阿須賀 冬織 > 流石に初見で会った相手の体格が少し変化している、なんて気が付くこともなく、そのまま会話を楽しむ。

「うん。確かに建物の雰囲気とかは全然ちげーけど、住んでいるのは同じ人……人っていっていいのかな?
まあ、なんていうか思ってたよりも普通だったけど、いいところ……なのかな?
……おう! 我慢してもらう分、自信もってすすめられるとこ紹介するよ。」

こちらも、ニッと笑い返す。
紹介するのは中華。気に入ってくれるかな、なんて思いながら先導するように歩き出す。
今日もまた新しい出会いが出来た。

九十八 幽 > 「そうだね 人……ではない人たちも沢山暮らしている
 でもそういう人たちも 今は人としか呼べないから
 もっと適切な呼び方があれば、と 考えてみないとね」

ふと 冬織に声を掛けられる前に考えて居た事を思い出し
口元はゆったりと笑みに歪めつつ 目元は少しだけ鋭く眇める
しかしすぐに温和な目尻へと 様相を変えて

「ふふ、楽しみにしているよ
 お店につくまで もう少しだけ話相手になってくれると嬉しいのだけど──」

歩き出した冬織の 後を追って歩き出しながら
飲食店までの道程を 他愛無い話の花弁を伴いながら往くのだろう──

ご案内:「異邦人街」から阿須賀 冬織さんが去りました。
ご案内:「異邦人街」から九十八 幽さんが去りました。
ご案内:「異邦人街」に橘 紅蓮さんが現れました。
橘 紅蓮 >  
「……ふー。」

この学園内に置いて、ついでに言えば教師という立場上においても、実は喫煙できる場所というのは貴重である。
異邦人街は、その中でもかなり特殊なケースとして、禁煙という概念自体がおおよそ存在していない。
常世学園という特殊な存在を維持するのは、法律ではなくお互いの不可侵領域であるがゆえに、此処には法という法は機能しないのだ。
もし法のような何かが機能するとしたら、それは風紀委員や公安委員の連中がよっぽど大ごとになってから動き始める、それこそ島に大きな危険を及ばしかねない連中が居た時だろう。
つまりどういうことかというと、この場所では生徒の目を気にせずに煙草を吸おうが酒を飲もうが注意する人物はいないという事だ。

赤いマルボロの箱をを取り出し、軽く振る様にして一本だけ浮かせると、それを咥えて箱は懐に。
ポケットの中に入っているジッポライターを使って火をつけた。
まぁ、この火が苦手という種族、異邦人も居るかもしれないが、そんなことを気にしていたらこの町には住めないのだ。
いくらある程度の区画整理がされているとはいえ、並行して存在する世界の数はこの島の面積に対して多すぎたのだ。
空気を吸い込めば煙草の先端に火が燻って、苦みと酸味、ついでにちょっとした辛みが口腔内に広がる。
満足するまで堪能してから、宙に向かって吐き出した。

「喫煙者に厳しい世の中になったよなぁ。」

橘 紅蓮は時々、この場所を訪れる。
面白いナニカを探して。
紅蓮の求めるナニカを持っているダレカを探して。

橘 紅蓮 >  
「いや、昔から厳しいか。」

思えば、随分昔から喫煙者は煙たがられていらという話。
煙草の成分に発癌性物質が含まれているとかいないとか、ニコチンが灰を真っ黒にするとかなんとか。
麻薬と同等の言い分をされつつも、それでも違法とされないのは、それで経済が回っているからだろう。
飲酒運転がなくなれば事故は減るのに、酒は無くならないのと同じこと。
禁止というものはそれに応じた被害というものが出るものだ。
それはこの学園でも同じ。

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ……、捨てるならもっときっちり捨てれば良い物を。」

中途半端に残しておくから、我々の様な喫煙者が肩身の狭い思いをするのだ。
そう思いながら、短くなった灰殻を捨てて踏みにじった。

ご案内:「異邦人街」から橘 紅蓮さんが去りました。
ご案内:「異邦人街 街角」に羽月 柊さんが現れました。
羽月 柊 >  
 
遠くで、慰霊の祝詞が聞こえる。


どれほどのことがあっても、誰が何をしても、
こうして日常はいつも通りやってくる。

あっという間の出来事だった。夢のような出来事だった。

なのに、光の柱に触れたのが、闇夜を駆けたのが、遠い過去のようにさえ思える。


時は夕刻、通常業務の外回りの帰路。
紫髪の男は自販機の前に居た。

何も考えること無く大体いつものお茶を買い、
他に買うヒトがいることを考えて、その場から立ち退くと、
ペットボトルのキャップを開けると、まず最初にその小さな皿にお茶を注ぐ。
手の平の上に乗せて、傍らの2匹の小竜たちへ水分補給。

戦いの傷も粗方癒えたが、多少傷痕は身体に残った。

なんてことない日常。

羽月 柊 >  
通り過ぎる誰かが知っていること。
通り過ぎる誰もが知らないこと。

常世島の片隅で起きた、小さな大事件。

「………慰霊祭か。」

自分も喉へ水分を流し込んで呟く。


死者を送る祭は苦手だ。

そこに死を自覚してしまうから。
もういないことを理解してしまうから。
毎年この島で行われるこの祭りに、男は参列したことが無かった。
大体は仕事を詰め込んで、見て見ぬフリを続けて来た。

……自分の愛しいモノの死を、未だ認めたくないから。


――遠くで、死を悼む声が聞こえる。

ご案内:「異邦人街 街角」にレザーズさんが現れました。
レザーズ >  
僅かに聞こえる祝詞は清らかで、静謐な空気が広がっていくように感じる。
だから、目の前で呟く二匹の竜を連れた男性の呟きも厳かな言霊に思えた。

竜をに引き連れた面白い人―――ここ最近、何度か後ろ姿は見たことがあったから、

「――そう、慰霊祭。
 色々とあった後に素晴らしい儀式だよ」

声をかけた。
その声は、発した者の背格好からは少しおかしく感じるような、低くハッキリとした男性の声。
しかして、あなたに声をかけたのは黒紫色のローブの小さな子どもに思える。

「なにか、想う所でもあるのかな?」

興味深そうに輝く瞳で貴方を見て首を傾げる。
見た目に反した声でセリフを口にして貴方の前に近寄るだろう。

羽月 柊 >  
「……まぁ、思う所は色々と。」

ちらりと新たな登場に桃眼を横に流し、瞼を閉じる。
暑さの残る光を避けるように歩み、小さなそれの前へと歩いていく。
背に夕日を背負えば、子供のような誰かと影が重なる。

動揺するほどの事でもない。ここは異邦人の街。
異を許された場所。異のまま居ることを認められた地。

驚くことは即ち、相手への失礼に他ならない。

「少しばかり死を身近に感じたばかりでね。
 ……初めまして、で良いかな。」

一旦ペットボトルのキャップを閉めながら、
小竜を連れた男は小首を傾げた。

レザーズ >  
相手の礼儀をわきまえた対応に思わず、喉を軽く鳴らして笑う。

「……いや、失礼。
 突然声をかけたにも関わらず、手ひどくあしらわない方は久しぶりでね。
 私は礼の失した者たちに慣れすぎていたようだ」

笑う口を隠して、言葉とともに笑っていたのが嘘だったかのように切り替わる。
低い声は夕日に照らされ浮かぶ影のようにハッキリと濃く、耳に残る。
夕陽の影であっても、この者の瞳は光を得ているようにハッキリと見える色をしている。

「『はじめまして』、私はレザーズ。
 色々な呼び名を拝命しているが、初めて逢う君たちには名乗るほどでもない呼び名だ」

そう言って演じるように左手を右肩にあてて瞳を閉じて軽く頭を下げた。

「よろしければ、君たちの名前を聞かせて欲しい」

頭を上げて、その双眸で再び君たちを捉える。